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スチャラカランナーの日々

運動部経験なし、40代マラソンランナーの趣味日記。ランニングも趣味のひとつですから。

「パラドックス学園」鯨統一郎/著

2006年02月11日 | 
 「パラドックス学園」鯨統一郎/著読みました。

 ポーやドイル、クリスティ、ルブラン、エラリークイーン、カーなど推理小説界の大家たちが大学生として存在する世界を舞台にした、一応ミステリということになるのでしょう。

 密室殺人が小説の中では行われますが、トリック・意外な犯人いずれも・・・。

 一応ミステリということになっているものの、そんなことを考えて書いたものではないでしょう。

 ある種のお遊びというか、洒落で書いたものだと思います。

 まあまともにコメントをするのは却って野暮という気がします。

 いろいろと趣向は凝らしてありますが私としては楽しめませんでした。
 ミステリマニアの人がひねくれた楽しみ方をしそうな本ですね。

 読みたい人は止めませんが、お奨めはしません。

「新日本プロレス「崩壊」の真相」別冊宝島

2006年02月08日 | 
 別冊宝島「新日本プロレス「崩壊」の真相」読みました。

 思えば新日本プロレスが初めて東京ドームで興行を行ったときからドームツアー(この年東京ドーム、大阪ドーム、名古屋ドーム、福岡ドームの4つのドームを使用)やUWFインターとの対抗戦などにも行ったものでした。

 現在名古屋に住んでいますが、名古屋ドームに入ったのはこの時が最初で最後です。

 どうも今年の新年の東京ドームが新日本プロレスのとりあえずは最後の東京ドーム興行になりそうとのこと。
 夏のG1などにも行っていた自分が最後にプロレスを見に行ったのは随分昔のことになり、よく覚えていません。

 新日本プロレスでドームに行かなくなった後も、ヒクソンVS高田(2度)、ヒクソンVS船木、ホイスVS桜庭、小川VS橋本などには行きましたから、最近の新日本プロレス自体に勢いがないことはある程度分かっていましたが、今年の興行は信じられないような惨状だったようです。

 ただまあ、こんなムックが出るだけそれでもまだマーケットがあると判断されているということでもあるのですが。

「夜魔」甲田学人/著

2006年02月05日 | 
 「夜魔」甲田学人/著、読みました。

 
 電撃ゲーム大賞の最終選考に残ったという冒頭の短編「罪科釣人奇譚」を含む超自然的な存在「神野陰之」が全編に登場する連作短編集。またほぼ全編に役割は曖昧ながら(もしかすると作品世界で何か役割を果たす予定なのか)十叶詠子という霊感少女とでも言う存在が登場しています。

 同一のキャラクターの関わる短編集ではありますが、1篇1篇はずいぶんイメージの違った作品になっています。

 電撃ゲーム大賞という名称からの印象よりはちゃんとした作品でした。

 本の帯には「女優栗山千明も恐怖した」とありますが、恐怖というよりは幻想的なイメージ小説という感じです。(公共広告機構の栗山千明の方が私は怖い)

 結構楽しめる短編集でした。

「オタク市場の研究」野村総合研究所

2006年01月30日 | 
 「オタク市場の研究」読みました。

 インターネット時代になり、個人による情報の発信などが盛んになりいろいろなマーケットでの普及や進出などいわゆる「オタク」といわれる人々への取り組みが市場形成に一定の役割を果たす可能性を見出してきたことでこういった書籍が発行されたもののようです。

 記述は従来からの典型的な「オタク」の分類になるアニメや鉄道などだけではなく、広く「オタク」的な要素があるものを「ファッション」や「旅行」などまで広げて考えています。

 この点ではまあ「オタク」といわれてもいい私のようなものが考える「オタク」的素養がいろいろな分野でありえるという考え方と一致しています。 私はマラソンに対してもオタク的な取り組みで練習量の割りに早くなったと思っています。

 また、マーケティング面からか「オタク」的な中でも3Cという形で主要な構成要素の実情を分析しています。
 コレクション、クリエイティビティ、コミュニティの3つです。特にコミュニティというものに関してはネット時代になり大きな変化を見せていると思います。

 もともと「オタク」な人々は人と交わることが苦手なため、同質的な趣味の同人の仲間の中にその交流が限定されていることが多かったと思いますが、ネット時代になり、掲示板・ブログなど情報の発信が容易になってきています。
 このような調査がされたのも現在のこのような環境がもたらしたものでしょう。

 分野によっては「オタク」の実態が思いのほかリアルに表現されているものがありますので(尤も私の知る分野はこの本の中の何分の1かですが)この調査の著者の中にはこの本でいう「オタク」の人が結構いるのではないでしょうか?

 むしろ「オタク」ではないという人に読んでもらいたい本です。

『「ゆる」スポーツ・トレーニング革命』高岡 英夫/著

2006年01月18日 | 
 『「ゆる」スポーツ・トレーニング革命』高岡 英夫/著読みました。

 本の中身はそれ程読むべきことは多くない。全般には「ゆる」がスポーツに役立つことを記述していることと、本人の経歴的な内容で、どちらもこれまで記述してきたことそのままです。もちろんこの本が、高岡さんの著書は初めての方もいるでしょうから趣旨の説明としてはそういうものかもしれません。

 現在走りの理論などでもインナーマッスルを重視するものが多くなっているが、この本でも同様な記述があります。ただその重要性を否定する気は毛頭ないものの、アウターマッスルよりも必ず勝っているような記述になっているのは果たして正しいのだろうか?
 アウターだけ鍛えてもだめでインナーとのバランスが大事というものなら何となく納得がいくのだが、この著書ではインナーマッスルを鍛えればそれで何もかもOKというようによめるのだが、本当にそれでいいのか?

 ただ、今回の本はDVDと連携したハウツー本。


 ゆるむ事で反射神経や瞬発力が生かされるようなことが書かれているが、果たしてスタミナの重要な長距離にはどうなのかは分かりません。

 以前ブログで書いた、高岡さんの達人セットの「統一棒」が「ゆるゆる棒」として登場。

 ところで不思議なのは今回もこの「ゆる」が役立った例として出てきたのはバスケットボール(鹿屋体育大学女子バスケットボール部)だった。
 ナンバに関する武術家の甲野善紀さんの挙げた例も都立の高校バスケット部だった。
 バスケットは武術と近いのか?

 またしても、出てきました。
      ↓
「ただ今、アクセスが集中しているため表示されづらい状況になっています。
もうしばらくお待ちになってから、アクセス願います。」

 そろそろメンテナンスでしょうか?

「クライム・マシン」ジャック・リッチー/著

2006年01月16日 | 
 「クライム・マシン」ジャック・リッチー/著読みました。

 2006年版「このミステリがすごい!」の海外部門1位。

 17編の短編を集めた短編集ですが、表題の「クライム・マシン」が巻頭にありますので、まずは「クライム・マシン」を読み随分古典的なトリックというか、作品だなあと思いました。

 それもその筈で、この作家は50年代から80年代にかけて活躍した作家でした。

 日本では星新一さんが代表的な作家ということになりますが、短編集と書きましたがショートショートっぽい印象の作品も多く、アメリカでの代表的な作家というとフレドリック・ブラウンやヘンリー・スレッサーということになると思いますが、アメリカでのショートショートは星さんの作品と比較すると若干長い印象で、ブラウンを思い起こしました。

 この作品集にはいくつか同じ主人公を扱った連作があり、この主人公がちょっと変わった設定になっている。死神が主人公の連作短編集「死神の精度」などとも比較しながら呼んでみるのも面白いかもしれない。

 たまたま年明け早々に、現代アメリカミステリを代表する作家でどんでん返し職人のジェフリー・ディーバの短編集「クリスマス・プレゼント」を読んだが、なかなか趣深いものです。この作品に私は軍配を挙げますが。
 
 しかし、この作品集が今になって日本で発売されるというのも何とも不思議な気がします。ブラウンの作品などはほとんどのものが翻訳されているはずです。
 そのブラウンの作品が恐らくは大半が絶版になっていると思われますが、そんな時に出版、しかも2006年版の「このミス」海外部門1位というのも面白い。

 少々2400円と高いですが、この作品集はお勧めできます。確実に楽しめると思います。

 そういえばこの本の出版社「晶文社」ですが、私が高校生のころからだから既に4半世紀になるが、タブロイド版の出版情報を送ってきている。採算はとれるものなのかな。

「ラッシュライフ」伊坂幸太郎/著

2006年01月11日 | 
 「ラッシュライフ」伊坂幸太郎/著、読みました。

 著者の2作目の作品です。
 ユニークというか特異なキャラクターの創造や各人物のセリフなど、ちょっとこれは並みの人には書けそうもない。

 多くの登場人物の物語を描き、それぞれの物語が交差、収斂していく作品構成は見事の一言。

 ある種異常なキャラクター造型は、まさに現代的と言えるのではないでしょうか?
 この人の作品はとりあえずすべて読んでみようと思います。まだ全部で10作程度が出ているだけだと思われますが、もちろんこの作品も含めブログにも書いたとおりで何作は読んでいます。

 グラスホッパー

 死神の精度


 あと7作品程度しか読んだいない作品が残っていないことは残念です。この人はすごい小説家です。

「クリスマス・プレゼント」ジェフリー・ディーヴァー/著

2006年01月09日 | 
 「クリスマス・プレゼント」ジェフリー・ディーヴァー/著読みました。

 クリスマスプレゼントという作品を年明けになって読み終わっているというのもなんとも間の抜けた話ですが、発行が12月10日で私が買ったのはクリスマス直前くらいだったもので。それにしてもかかりすぎというか、クリスマスを過ぎるとどうでもよくなってしまっていた。

 ご存知、「ボーンコレクター」の作者の初の短編集です。16篇収録(リンカーンライムの登場する短編も一編収録しています)。

 もともとサービス精神旺盛な著者で、長編でもやりすぎな程どんでん返しが続く作者なので、ある意味では短編向きと言えないこともない。

 著者前書きもあり、それを読むと長編の場合は読者から多くの時間をもらうことになるので、後味のいい結末を意識しているなど著者の小説への姿勢などもうかがうことができる。
 短編ではその点ではもっと制約なく自由に書けると考えているようで、いろいろなタイプの作品が収録されている。

 16篇の作品はどれを読んでも、全てが素晴らしいとまでは言いにくいがはずれという作品はないと言ってもいいでしょう。

 長編に方がより楽しめるとは思いますが、この作品集もかなり楽しめます。

 長編に出てくる作者のサービス精神や作品への取り組む姿勢がこの短編でもはっきりと見ることができています。

 一度如何でしょうか?

「巨人という幻想 そして、崩壊するプロ野球とその未来」宮崎満教/著

2006年01月05日 | 
 「巨人という幻想 そして、崩壊するプロ野球とその未来」読みました。

 実は私は草野球暦20数年なんですね。そんな訳で。
 ちなみに著者は夕刊紙の内外新聞の記者だった方との事です。

 また、桑田投手のファンではあるので桑田問題などの裏話などあればと思ったのですが、ほとんどが長島監督、王監督の解任に関する球団の動きについての話が大半でした。

 両監督の扱いにからんで、原監督や藤田監督に関して(特に藤田監督)触れられていますが、長島・王両監督が巨人という球団の基礎を築いた後継者であり、スーパースターであったことは事実でしょうが、2人の扱いに焦点が行き過ぎているように思いました。
 両監督を支持している人たちは、2人のプレーを見た世代がその人気を支えています。
 従って、2人の現役を見てきた世代から世代が変わればいずれその人気にはかげりが出ます。
 現在であれば、松井選手やイチロー選手に当然人気が集まるでしょう。どちらがより偉大な選手であるかということよりも、共感を呼べるか、シンパシーがもてるかという問題にすぎません。
 
 従って、その時の巨人という球団の判断ややり方が正しかったかどうかはともかく、幻想やプロ野球のあり方が変わってくることは時間の問題であったでしょう。

 私にしても例えばイチロー選手のプレーは大リーグに行ってからのほうがはるかに見ましたし、サッカー(Jリーグというより日本代表やヨーロッパのリーグなど)との競合などもう少し大きな部分での課題が出てきている。

 スポーツに限らず、音楽などでも例えば(本当だろうか)携帯電話などの普及によりレコード(CD)の売り上げが落ちているし、ゲームなどもそうで(むしろゲームだとは引きこもりやニートといわれる人の増加で売り上げが上がってもいいような気すらしますが)、要するに娯楽がネットなども含め多様化してきたしてきたということでしょう。

 すべてを2人の監督に対する巨人の判断ややり方に求めることは大きな無理を感じる。その姿勢が象徴的だと言うことなのでしょうが・・・。

 また、この本ではプロ野球界全体への話の展開は薄いです。
 桑田問題も深い話はほとんど記述がありませんでした。

 もともと巨人ファンでも長島、王いずれの選手のファンでもない私にはあまり共感できる部分は多くはありませんでした。

 巨人ファンというよりも両選手のファンの方にはいい本かもしれません。
 

「沈黙者」折原 一/著

2006年01月03日 | 
 「沈黙者」折原 一/著読みました。

 埼玉県久喜市で起きた2つの1家の殺人事件と池袋で起きた万引き・傷害事件の名前を明かさない犯人について語られます。
 いろいろな事に気を使って書いていることは確か・・・なのだが・・・。

 問題は最後に明らかになった結末。話の展開からいってそれ程意外性を期待していたわけではないのですが、残念ならがらカタルシスがなさ過ぎる。

 東京理科大の経営学部とか、久喜市など実際の町や大学学部(どちらも比較的知られていない)が出てくることがむしろ気になって読んでいました。
 久喜市には昔仕事でちょくちょく行っていたことがあったので。

 著者は理科大の出身なのかと思って読んでいましたが、カバーに著者略歴があり、早稲田大学の出身でした。

 よくできているのだと思いますが・・・、相性の問題でしょうか。

「ドキュメント《スターウォーズ》ジョージルーカスはいかに世界を変えたか」ゲリー・ジェンキンズ/著

2006年01月01日 | 
 「ドキュメント《スターウォーズ》ジョージルーカスはいかに世界を変えたか」読みました。

 単行本は1998年、今回読んだ文庫本は2004年発行です。

 翻訳家はSF作家でもある野田昌宏さん。
 私にとっては懐かしい名前です。昔サイン色紙ももらったことがあります。

 さて、スターウォーズがいかに現在の映画ビジネスに大きな影響を与えてたか、画期的なものだったかということが判ります。

 入替制がスターウォーズ公開時に観客の入替を行うために実施されたということははじめて知りました。私は入替制が嫌いなので。途中入場でもそれ程気にならないので、自分時間に合わせ途中入退場をしていたので。
 
 最近では入替制ばかりでスケジュールを考えて映画を見に行かないといけないのでめんどくさい。

 ところで、この本のあとがきは1998年のものとはいえちょっと違和感がある。SF業界のことをある程度知らないと、しかもスターウォーズに絡む話ということでちょっと昔からの、話が見えないというか、一般性のない楽屋話過ぎる。
 かなり偏ったオタクの人しか判らないのではないのではないか、98年時点としても。

「平成マシンガンズ」三並 夏/著

2005年12月29日 | 
 「平成マシンガンズ」三並 夏/著読みました。史上最年少15才での文藝賞受賞作です。

 丁度「死神の精度」を読んだので、死神つながりで読みました。約15分程度で読めました。

 ページ数と本文のレイアウトからすると、400字詰めで100枚ないくらいでしょう。それで1000円。もう一編中篇を収録してほしいところです。

 文章はなかなか独特な感じがしますが、それも私のような年齢だから思うだけでこの世代の人たちでは普通なのかもしれない。句読点が妙に省かれて、地の文がつながっている。

 オリジナリティもそれなりにあるような気もしますし、それなりに読めます。年齢の話題性だけでの受賞ではないということはいえると思います。

 ただし、今回の作品は少女の心理描写を中心にして描かれており(それだけでこの分量を持たせているのはたいしたものとも言えるが)物語を描けるのか、また身近で見聞きしたエピソードを再構築した話だとすると2作目以降はどうなのか分かりません。

 審査員の世代や私のような年齢の読者には新鮮に思えるかも知れないが、その新鮮さは著者が年齢を重ねてくると多くの場合失われてくるし、さらに若い世代が出てきてそれが新鮮に見えるでしょう。

 この作品はまあまあ楽しめました。「死神の精度」と比較するほど死神の出番なし。いずれにせよ、著者が何歳だろうと書店に並んでいたら関係ない、肯定的な意味でも、否定的な意味でも。

「推理小説」秦 建日子/著

2005年12月28日 | 
 「推理小説」秦 建日子/著読みました。

 著者は「ドラゴン桜」などの脚本家で、この作品(ハードカバーが2004年発行)が小説デビュー作だそうです。
 建日子と書いて「たけひこ」と読むようです。

 この作者は友人に早稲田ミステリクラブの人がいるか本人が入っていたと思われます。

 実際にW大学と言う記述でしかもミステリクラブと書いているキャラクターが出てきますが、ある意味では新本格派からの流れといえば流れです。

 作中でおそらく西村京太郎あたりを意識した作家を登場させ、その手のサークル出身者にありがちな、安易な小説を書いている人というような表現で描いています。
 ただ、この作品もそういう点ではまさしくこの著者が作中で表現したような作品というのが私の印象です。

 探偵役の女刑事は極端なキャラクターを与えられそのくせ、その極端さの割にはまったくもって普通の社会的経験が送れる(た)ような設定になっている。美貌でバツ1、片付けは信じられないくらいできず、まともに朝起きる事ができないため同僚が起こしに来る。しかも子供がいて(親権は元夫がもって養育している)検挙率NO1を誇る。

 しかし、作品が進むとその独特の行動はともかく推理が働くわけでもなんでもなく、なんでNO1なのかさっぱりわからない。

 犯人が判るプロセスもとってつけたようなもので、唐突に終わりが来る印象です。なかなか美意識を持った犯人として描かれますが、そんなものまったく感じられません。

 また、作中のキャラクターが前述の大家のゴーストライターをやりますが、その動機がどうにもならない。単に出版社にコネをつけるようなことが動機になっている。
 そんなもん持込でも何でもすれば、いい作品を書いてさえいれば(作中ではかなり才能のある人物として描かれている)いくらでもみてくれるし、江戸川乱歩賞の今年の作品が初応募作であったことが話題になるくらいで、大抵はそれなりのものを持ち込めば、コネなんてものは何とでもなる。
 小説家になりたい人はたくさんいるかもしれないが作中で書いている通り、面白い作品を書ける人は決して多くない。

 そんなことを早稲田ミステリに在籍していたような者がろくに判らないということ自体間抜けな話というか設定を安易にしている姿勢が見える。
 また、就職活動のために100枚程度のハガキを書いたなどいう記述があるが2004年の作品でそれはないでしょ。ほとんどはネットで行っているほうが一般的でむしろハガキを100枚も書く機会を求めること自体難しい。それ程作品の根幹にかかわることではないのだから、編集者がチェックすべき。
 いずれにせよちょこちょこと書き上げた小説という感は否めません。

 新年からドラマになるそうです。脚本家の経験を生かして?ドラマにしやすそうな要素を盛り込んで一丁あがりというような作り方をした作品でした。

「死神の精度」伊坂幸太郎/著

2005年12月26日 | 
 「死神の精度」伊坂幸太郎/著読みました。

 主人公の死神があちこちに任務のために訪れた先での話6篇の短編集です。

 この作者はちょっと変わった視点の人を書かせると本当に面白い。ちょっとした会話のやり取りなどに皮肉やユーモアが効いていて見事なものです。

 何となくそういったちょっとした文章に面白さを感じられるところや少々変わった感性のキャラクターなど村上春樹を思わせる。

 とても楽しめる短編集でした。お薦めできる作品集です。

『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』大塚英志/著

2005年12月25日 | 
 「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか 読みました。

 全体の約8割程度を占める前段部分は退屈でしたが、後半の問題の指摘(この部分こそが「なぜ敗れるか」を示している)はさすがに業界内部の人だけあり、非常に興味深く読みました。

 そもそも業界市場の規模はともあれ現実にはほとんどまともに成立していない市場というのがもともと私の見解で、それはアニメーターの大部分は生活保護レベルの所得しか得ておらず、普通のアルバイトをやっていたほうが遥かにまともな所得が得られる。つまりボランティアが、趣味にかかわっているような感覚で携わる事でやっと成り立っている業界に過ぎない。
 しっかり指摘していました。またこれが敗れる決定的な要因になると思いますが、流通をアメリカにほとんど押さえられているという現実を指摘していましたが、そこまでは知りませんでした。

 大体にして国がかかわってきた段階で衰退が始まっているという感が否めません。本書で著者が書いているようにサブカルチャーが国の認められるようでは終わりというのにはまったく同感。市制の問題だけでなく、そうなることで離れて行くマニアは多いような気がします。

 要するに官僚が新たな利権として(いろいろな利権が減っていく中で)このニッチな市場に目をつけてきたということに過ぎないような・・・。
 オタクな官僚の天下り先の開拓だったとか。

 日本における、漫画やアニメの成り立ちを語る前半がなく、後半の問題の指摘に絞って書かれていたらもっと面白くなるのでは。