酒と地域と近代化遺産・庵田の日常雑記

『地域文博・高炉館』管理人庵田の、愚痴と嘆きとどうでもいい日常。

三宜楼一般公開(その1)

2006年08月13日 14時19分34秒 | 近代化遺産
皆さん、本日は三宜楼においで頂き、まことにありがとうございました。本日の案内を勤めさせていただく、庵田と申します。あ、チップは要りません。念のため。

ここ三宜楼は明治末期頃から営業された料亭で、現在の建物は昭和6年に竣工した木造三階建のものです。門司随一の料亭として、落成から一週間、建物は宴会で賑わったとのこと。
さてこの建物の特徴は建物全体が数寄屋風の意匠で特徴づけられていることです。右手をご覧ください。これは下地窓と申します。通常土壁を造る際には、格子状に竹を組み、籐を絡ませ土が載りやすい状態にして土を被せていきますが、こちらはその下地を敢えて見せることで格調ある空間を構成づけています。三宜楼ではこの窓の他にも二階、三階にも下地窓がありますので、どうぞ注意深くご覧ください。

 さて、一階をご案内いたします。こちらは所有者であります三宅さんの居住空間でありました。そのためお客さんはこちらに入らず、玄関から直接2階に上がっていました。本来なら各部屋をご案内したいところですが、掃除も行き届いていない為、今回は残念ながら廊下のみの見学とさせていただきます。
 翻りまして、階段を渡り2階の方をご案内させていただきます。こちらの階段、幅の広い構成となっています。大広間へ多くのお客さんを案内する必要があったためで、材もきっちりしています。ここはおすもうさんが載っても問題ないと思います。

 右手にお入りください。はい、こちらが通称「百畳間」といわれる大広間でございます。実際はたたみ8×8、計64畳の大広間と16畳の舞台によって構成されています。
 舞台にお上がりください。こちらはかつて能の興行が催されたとのこと。そのためか音響効果を高めるためにこちらの床には甕が埋め込まれているそうです。同じような様式は市内においては、三菱化学黒崎工場・敬止館の武道場にも用いられています。
 さてこの大広間からはかつて門司港の景観が一望できましたが、現在マンションに阻まれています。手摺りなどに往時の雰囲気が遺されているので、外に出てみてはいかがでしょうか。安全確保のため、こちらは一度に5名までとさせていただきます。

 次は向かいの洋間をご案内させていただきます。さてこの洋間には色々とおかしな部分がございます。天井をご覧ください。天井は和風様式の典型である棹ぶち天井、そして欄間や書院の痕跡さえもあります。どうやらこの部屋は元々和室であったようです。なぜこのような状態になったのでしょうか。
 一説ですが、ここ三宜楼は昭和17年から20年まで陸軍カイ行社に接収されていました。全国から集められた兵隊さんは、ここでお酒を呑みながら英気を養い、大陸へと出征されたのです。そのときのリフレッシュ空間として、この建物は洋間となったと考えられます。戦後はやはり進駐軍がこの部屋をホールとして使用されたそうです。


 、、、とまあ、2階部分まで三宜楼の実況解説をなぞらせていただきました。
 昨日、北九州市門司区清滝にあります旧料亭「三宜楼」の一般公開が行われました。
 告知期間も少なく、またばたばたとしていたにもかかわらず(それゆえに?)500人を超す来場者を迎えることが出来ました。それもこれも、三宜楼の建物自体が持つ魅力と開催準備に携わった門司港コミュニティというまちづくり団体の行動力がなせる業だと感心した次第です。
 今後も門司港のまちづくり活動には興味しきりと言えますが、それにしても、昨日は暑かった、、、まずは開催に携わった多くの皆様方、お疲れ様でした。


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (suzemon)
2006-08-15 21:32:46
ああ、、、お盆の帰省ラッシュシーズンでなければ。

門司まで駆けつけたところでした。

三宜楼の大広間。以前自分が関わっていた東京・芝浦の「協働会館」(旧芝浦見番)を思わせますので。。。

是非とも、見たいと思っています。



ところで協働会館ですが、おかげさまで港区議会で保存への請願が採択されました。(下記4ページ目参照)

http://www.gikai.city.minato.tokyo.jp/dayori/da_0607.pdf
返信する
ああ~ (秋武政道)
2006-08-16 23:45:43
その(2)が、まちどうしいなぁ~
返信する
Unknown (庵田)
2006-08-17 23:18:12
>suzemonさん

協働会館も保存に向け一歩、ですね!

三宜楼はまだまだその道のりまで長く果てしなく、、、今年の台風シーズンが少々心配です。



>秋武さん

書けました、、、書きました。

私は今日から仕事再開です(笑)。
返信する