「政治を国民の手に」国民会議

政治を国民の手に取り戻すために、腐りきった菅政権や検察、裁判所などの実態、権力と癒着したマスコミの横暴を暴きます。

「新・日本改造計画」が日本を救う

2007年07月31日 | Weblog
小泉政権の歴史的価値を考えると「改革を進めた」というより、自民党の基礎体力を破壊し「政権交代可能な2大政党制」への移行を早めたといえるだろう。森政権の後をもし小泉ではなく他の人間が総理になっておれば、衰えたりとはいえ自民党の基礎体力は温存され自民党政権はさらに続いたかもしれない。

ところで小泉前総理の最大の問題点は、彼が(政局には強いが)政策にまったく疎いため、「官僚に政策の丸投げ」をしたことである。唯一官僚と戦ったのは竹中大臣くらいだが、優秀な彼もしょせん官僚組織には太刀打ちできなかった。小泉政権の5年間を通じ結果として官僚機構の力が強大になっただけである。

国民は官僚の天下りや社保庁の不始末、役所の無駄使いを見て官僚はけしからんと怒り心頭である。しかし彼らを選挙で落とすことはできない。霞が関に原爆でも落とさない限り彼らを消し去ることはできないのである。ところで官僚の殆どは「東大法学部卒業」の天才たちである。自民党幹部は「官僚を有効に活用」というが逆に官僚に操られている。

安部総理も就任当初、官僚を制御しようとしたが結局それは叶わなかった。さらに「公務員改革」で官僚を押さえ込もうとするが、小泉や安部を馬鹿扱いする天才集団にかかったら100%法案は骨抜きにされるだろう。どうやら政治家が束になってかかってもかなう相手ではなさそうだ。

ところで現在、官僚から尊敬される政治家は小沢一郎くらいだろう。小沢の「公務員改革」の発想は「地方分権」を行い「官僚には地方への補助金分配の仕事ではなく国家として行うべき仕事をやらせる」とし、高度な能力を保有する官僚の業務を高付加価値化しやる気を高めさせようというものである。

そのためには現在の行政の仕組みを抜本的に変え効率化を図り、浮いた経費を基礎年金の原資にあて、消費税アップは当面行わないという。現在政府が行っている対症療法的で部分最適の改革に比べ、小沢の「行政改革や公務員改革、年金、税制までを体系的に捉えて全体の最適化を図る」構想はすばらしい。

しかしこれを理解できる政治家やマスコミは非常に少なく、「財源が不明確だ」「なぜ消費税を上げないのか」など部分的捉え方や固定観念論で批判する。また民主党内もまだ小沢の思想を本当に理解しているとは言えない。しかし昨年末以来の党内政策論議で小沢の政策が少しずつ浸透しているようにも見える

さて小沢政治を体系化した歴史的名著と期待される「新・日本改造計画」はまだ出版されていない。今回、参議院選挙で大勝利し政権交代への道筋がついてきたので、小沢は「新・日本改造計画」を民主党の旗印にして次期衆議院選挙に打って出るのだろう。その時初めて日本の将来に曙光が見えてくる。

参議院選挙後の内閣改造は

2007年07月30日 | Weblog
参議院選挙の結果は自民党の大敗、民主党の大躍進であった。安倍総理は責任を感じつつも退陣しないと言明。しかし安倍が総理の座に居座れば自民党の支持率はさらに低下する心配もある。元々安倍は選挙用の顔として期待されて総理に選ばれたので、次の衆議院選挙の顔に使えないという声が党内で高まれば居座るのも難しくなるかもしれない。

ところで安倍内閣の最大の過ちは「側近で固めた官邸スタッフ」や「論功行賞で遇した閣僚」のミスキャストである。その結果、安倍総理と同じ「国家主義」の議員や側近たちで固めたモノカルチャー内閣になってしまった。昔から国家主義者たちの特徴は「天皇制」という理念に凝り固まり「国民」に対する配慮が欠ける点である。

安倍内閣も国民に対し謙虚さを欠き、虚言、暴言、失言やスキャンダルを頻発させてきた。そして反省するどころか下手な言い訳をして国民の信頼を失ってしまった。かつての自民党政府は反対者も閣内に取り込み多様で重厚な内閣を作っていたが小泉内閣の郵政選挙以来、反対者は自民党から放り出され小泉教の議員ばかりになってしまった。

企業でも社内組織をモノカルチャーにすると一見統率がとれているように見えるが、トップは裸の王様になりその企業は衰退する。エクセレントカンパニーと言われたホンダや京セラ、未来工業などは、社内で甲論乙駁の意見が飛び交っており、かつての自民党もそんな風土を持った政党であった。

自民党が参議院選挙後、再び蘇るためにはかつてのような甲論乙駁の政党に生まれ変わることだろう。参議院選挙後の安倍新内閣は国家主義者の反発を恐れず、政権に批判的な加藤宏一や山崎拓、谷垣前財務大臣、さらには小泉前総理の政敵であった国民新党の亀井静香などを総務大臣として入閣させたらどうだろうか。

一方小沢民主党には若手が多く、また野党暮らしで大臣などの経験者は少ない。従って国民の目から見ると政権を任せて大丈夫かと心配になる。大ベテランの小沢代表にとってその点のぬかりは無いだろうが、政権選択を競う次の衆議院選挙までにはこれが民主党内閣と誇れる人事案を国民に示してもらいたいものだ。

筆者の勝手な案ではあるが、防衛大臣には反小沢の前原前代表、財務大臣には榊原英資、国交大臣には前長野県知事の田中康夫、外務大臣には鳩山由紀夫、経産大臣に岡田克也、副総理兼環境大臣に菅直人、厚労大臣に長妻明。こんな布陣であれば国民も是非民主党に政権を委ねたいと思うかもしれない。

参議院選挙の民意は?

2007年07月29日 | Weblog
7月29日はいよいよ天下分け目の参議院選挙である。ここ数週間、マスコミは民主党の有利を伝えているが、自民党もマスコミや御用評論家を動員し嘘八百を並べ立てながら「政府は正しい」と必死で訴えてきた。しかし先の郵政選挙で小泉前総理に乗せられた国民の目は安倍政権に対し冷ややかな視線を送っている。

一方、民主党は政権交代の可能性が見えてきたせいか、「女性に弱い民主党」の原因ともなっていたお家芸の内部抗争もすっかり影を潜め一致団結しているように見える。この民主党の状況を見ると「政権」というものがこれほど求心力を持つものかと驚かされる。逆に自民党が政権から離れれば一気に遠心力が働き分裂さえも起こりかねない。

従って両政党とも「政権」維持や獲得に必死になるのは当然であろう。さて国民は今回の選挙で「自民党にお灸をすえる」のかもしれないが、今回、安倍政権の腐敗や傲慢さを嫌というほど目にした国民は単に自民党にお灸をすえるだけではなく、政権交代させて政治の刷新を図らなければならないと感じたかもしれない。

その判断は自民党の獲得議席数で判るだろう。もし与党が過半数を割っても惜敗程度(例えば自民党の獲得議席数が40台)であれば「与党にしっかりしろ」と叱咤激励する程度であり、もし大敗(例えば自民党の獲得議席数が30台)であれば国民は「与党の政権運営を行き詰まらせ政権交代させる」ことを望んでいると判断できるだろう。

世論調査では自民党の獲得議席は30台後半から40台半ばと予測している。どちらに転ぶかは、今まで「自民党でなければ」と盲信的に支持してきた人達が、自民党の酷さにどれだけ我慢出来るかにかかっているのだろう。果たして今日、国民はどのような判断を下すのであろうか。

政界再編を大胆予測

2007年07月28日 | Weblog
7月29日に行われる参議院選挙の結果次第で大規模な政界再編が起こるのではないかといわれている。もし自民党がこの選挙で45議席以上取れば無所属や国民新党を取り込み与党で過半数を維持できる。一方民主党は小沢代表の引退によって求心力を失い護憲派と改憲派に分裂するだろう。

そうなれば安倍内閣は長期政権となり、民主党改憲派と連携し悲願の憲法改正に突き進み日本の政治は「国家主義」一色に塗りつぶされるだろう。これはかつてのナチスドイツや日本の大政翼賛会の再現となり、他国とうまくいかなければ直ぐ「核武装」「先制攻撃」などと口走る国家主義者によって将来、戦争突入という事態も予測される。

一方民主党が55議席以上を確保すれば野党の過半数は確実になり、次の衆議院選挙に向けて本格的な政界再編が起こる。さらに自民党が40議席を割るような大敗をすれば安倍総理退陣で麻生、福田、谷垣らの後継争いが起こるだろう。その場合、自民党の大勢を占める国家主義者達は自分たちの立場を守るためにも同志の麻生を選択する可能性は高い。

ところで国家主義者には短絡的で思慮が浅い人間が多い。麻生も失言や差別発言が多く、また安倍総理と同じように統一教会の勝共連合とも強いつながりがあり総理としての品格や資質面で問題もある。当初はマンガ宰相などと人気を博するかもしれないが、底の浅さで化けの皮がはがれ自民党最後の総理になる可能性もある。

安倍続投か麻生総理誕生かは参議院選挙の結果次第だが、政権を手離したくない自民党は参議院選挙で大敗しても野党民主党の政策を丸呑みしてでも任期満了以前に衆議院解散はしない。従って政権交代の主戦場は2年後の衆議院選挙になる。さてこの2年間で政界では一体何が起きるのか。「政界の1寸先は闇」ではあるが敢えて大胆予測をしてみよう。

参議院選挙後、小泉前総理の威光は消え国民新党はじめ「郵政民営化反対組」の自民党への復党は加速される。「郵政民営化反対組」には平沼や亀井などの「国家主義者」も多く、自民党の「国家主義」傾向はさらに強まる。そうなると「国家主義」に違和感を持つ公明党や少数派となった自民党の反主流派が離反する可能性もある。

特に公明党は次の衆議院選挙で与党が民主党に負け政権を失うならば自民党と連立する意味は無くなる。もし参議院選挙で公明党が目標議席を逸すれば、衆議院選挙へ向けて連立解消の動きがでてくるだろう。また公明党頼みの選挙で足腰がすっかり弱った自民党が公明党と連立を解消したら、民主党から政権を奪い返すのに10年はかかる。

もう1つは、自民党の国家主義者が同じ考え方を持つ民主党の反小沢の前原・枝野グループを取り込もうとする動きである。参議院選挙でもし民主党が負ければ、前原・枝野グループは党を割ってでも自民党と連携するだろう。しかし民主党が勝てば政権交代の可能性がでてくるので洞ヶ峠を決め込むことになる。

議員の心理として「勝ち馬に乗る」のは当然である。細川政権が誕生したときも多くの自民党議員が離党して新進党に集まってきた。同じように小沢民主党が政権をとれば民主党からの離脱は殆ど起こらず、むしろ自民党から民主党への鞍替えが多数でてくるだろう。そのためにも小沢代表はなんとしても参議院選挙に勝利したいところだ。

自民党政治の過去・現在・将来

2007年07月27日 | Weblog
戦後60年間の政治は一時期を除き自民党支配で進められてきた。権力を一党支配できたのは経済成長によって安定的な国民生活を実現してきたからであろう。しかし日本も少子高齢化時代に入り世界も大きく変化している。そこで参議院選挙を前に「温故知新」ではないが、過去の自民党政治を振り返り今後の日本政治を考えてみよう。

終戦直後の1950年代から60年代における政治は、マッカーサーの日本弱体化政策(軍隊の不保持)を逆手にとって経済復興を目指した吉田茂や吉田学校の優等生である池田勇人、佐藤栄作らの「経済主義」と、日本人のDNAである「天皇制」にこだわる鳩山一郎や岸信介らの「国家主義」の2大勢力が権力闘争を繰り広げていた。

「国家主義」はその後、福田、安倍、森の「清和会」と中曽根、渡辺、亀井の「志師会」に引き継がれてきた。一方「経済主義」は1970年代の前半に田中角栄が池田、佐藤の後を継ぎ、日本列島を高度経済成長へと導いた。しかし日本の経済力が強くなるにつれ国際金融資本との対立が強まり彼らによって田中角栄は抹殺される。

1970年代後半から1980年代にかけ、日本の政治は福田赳夫の「清和会」、大平正芳の「宏池会」、竹下登の「経世会」の3大派閥が動かすことになる。1990年代に入ると、日本は経済面で米国を脅かす存在となり、国際金融資本と対等に戦おうとしてきた宮沢喜一のような「国際主義」の政治家が「宏池会」から出現する。

しかし自民党は長期政権で腐敗や傲慢が頂点に達し政治危機を生み出していた。そこで「経世会」の大幹部でもあり政治改革に情熱をかけた小沢一郎らが党を割り、真の2大政党制を目指し非自民の細川内閣を作った。しかし下野した自民党のなりふり構わぬ「細川降ろし」や「政敵の社会党を取り込む」奇策で政権をすぐに奪回する。

政権を奪回しても自民党の退潮は続き、国民の支持は森内閣で最悪となった。そこで自民党はパフォーマンスを得意とする「清和会」会長の小泉を総理に担ぐことで政権の維持を図ろうとした。長年「経世会」に変人扱いされ、怨念の塊となっていた小泉はこの機に乗じ国際金融資本と手を組み保守本流の「経世会」を「郵政民営化」で叩き潰した。

小泉の功績で傍流の「清和会」は見事、保守本流となったが郵政解散ショックで自民党には人材がいなくなり、一方戦前の陸軍のように思慮の浅い短絡的な「国家主義者」が幅を利かせるようになった。そのため安倍内閣では閣僚に怪しげな「国家主義者」が多数就任し、官邸には少年官邸団と揶揄される未熟な議員がふんぞり返るようになる。

従来自民党は異質な理念を持った大派閥による権力闘争と、主流派と反主流派の間で擬似政権交代を行うことで長期政権を維持してきた。しかし郵政解散後、党内は小泉、安倍総理に媚びを売る輩が増え権力闘争は影を潜めている。どうやらモノカルチャの総主流体制となった自民党は今後、党外の民主党と政権を競うようになるのだろう。

なぜ隠す?事務所費の領収書

2007年07月26日 | Weblog
事務所経費問題では辞任した佐田前行改相、うやむやにした伊吹文科相、自殺した松岡農水相に引き続き、今度は赤城農水相、塩崎官房長官に疑惑が持ち上がっている。これら自民党の閣僚たちは領収書の公開に決して応じようとしない。「問題ない」ならば公開すればと思うが、恐らく大問題を抱え公開が出来ないのが本音であろう。

ところで最近、山本拓農水副大臣が福井県の演説会で松岡農水相の領収書について「赤坂の芸者の所に行く際、領収書は出ないので事務所費で払ったという話だった」と本音を漏らしたため政府が大慌てで火消しに走った。この事件は、安倍内閣が「政治とカネ」をめぐって自浄能力も危機管理能力もないことを浮き彫りにしてしまったようだ。

よく自民党議員が「政治家には表に出せない付き合いというのがある」と公言するのを聞くが議員諸侯は「なぜ閣僚が領収書を公開しないか」について薄々気づいているのだろう。恐らく「事務所費」というのは個人会社でいうと「接待費」のようなもので、家族で飲み食いしていても接待費で落とすといった類のものかもしれない。

若い頃に税務署長の経験がある片山元鳥取県知事は「議員が政治資金を個人的に使いながら税務申告していなければ所得税法違反になる」と警告する。なるほど税務署は「接待費」の公私混同を厳密に調査する。ところが政治資金は税務署の管轄外であり、政治家は「経費」を政治資金と個人の確定申告の両方にあげて節税(脱税))することもできる。

脱税などのケチな裏技を使ってきた議員諸侯にとって領収書公開は議員生命を失うことにつながる。その点で領収書を堂々と公開した小沢代表はやはり立派な政治家だ。安倍総理も社保庁の杜撰さを怒る前に閣僚たちが脱税していないか調査すべきであろう。しかし安倍総理自身も脱税をやっているかもしれない。そうなるともうお手上げだ。

なぜ急ぐ?社保庁の解体

2007年07月25日 | Weblog
社民党が年金記録を保管している「社会保険業務センター」の「文書管理規定」に下記のような気になる部分を見つけた。要約すると秘密保全を要する文書について「極秘 秘密保全の必要度が高く、その漏洩が国の安全又は利益に損害を与えるおそれがあるものは関係者以外に知らせてはならない」とある。

一見、普通の文書規定であるが、問題は年金記録の中で「国の安全又は利益に損害与えるおそれのあるもの」が「国と社会保険行政への信頼に損害を与えるもの」と解釈すれば「棄てられた年金記録」についてもその理由を「極秘事項」として封印していると考えてもおかしくない。

社民党は「年金記録」への信頼がこれだけ崩壊した以上は、「極秘」「秘」の指定解除を行い「封印された歴史」を明らかにすれば問題の原因解明になるとしている。しかし事はそんなに簡単ではない。なぜなら封印を解けば真っ先に困るのは政府・自民党であることが予測されるからである。

本来役人は国民から批判されないよう形式を守り規則遵守はするものである。今回のような「棄てられた年金記録」のような不自然な対応は役人単独の仕業とは思えない。恐らく社保庁役人が作った「極秘文書」の中に「棄てられた年金記録」のいきさつが律儀に書かれていることが予想される。

「週間ポスト」によると安倍総理、塩崎官房長官ら現在の厚労族は、5000万件の宙に浮いた年金問題を少なくとも3年前の年金国会の時には認識していた。その時安倍総理らは過去の厚労族の不始末が今回の問題を起こしたと認識したのではないだろうか。しかしこんな情報を国民の前に明らかにすれば自民党は壊滅してしまう。

そこで菅厚労相や過去の社保庁長官、自治労職員に責任をなすりつけたのだろう。しかし安倍政権にとって最大の問題は社保庁内の秘密文書の存在である。この文書が表に出ると今までの厚労族の不正が一挙に表面化する恐れがあり、それを防ぐために社保庁を慌てて「年金機構」に移し「秘密文書」の廃棄をしようとしていることが考えられる。

本来ならば問題を起こしている社保庁をきちんとしてから新組織を考えるのが筋である。いま「年金機構」設立を急ぐ政府・自民党の不自然な動きには「秘密文書」隠しがあるのかもしれない。さらに言えば2年後には政権交代の可能性もあり、その時までに「秘密文書」を廃棄しておかねば民主党に暴露される危険がある。

安倍政権がそうでないと主張するならば「年金記録問題検証委員会」で社保庁内の秘密文書も調査すべきだろうが、政府「やらせ」の御用委員会であれば解明は難しいだろう。このままでは「年金機構」が2年後に設立されるまでに「秘密文書」は廃棄される。民主党が政権をとったとしても全ては闇の中なのかもしれない。

自民党の底力

2007年07月24日 | Weblog
参議院選挙の1週間前の7月22日に群馬県知事選が行われ、公明党の推薦を受けた自民党新人が大接戦の末に現職を破り当選した。新聞各紙は「年金問題などの逆風にさらされる中での勝利であり、自公にとって参院選に弾みをつける朗報となった」と報じている。群馬県は「保守王国」とはいえ自民党の底力を見せ付ける結果となった。

一方民主党も参議院選挙の楽観ムードを引き締めるために「緩めば負ける。必死で戦え」と小沢代表名で各候補者や支援者に檄文を送っている。「追い風は一瞬にして変わる」と選挙の怖さを知り尽くす小沢代表にとって、未熟な民主党議員の気の緩みは何としても避けねばならないのであろう。

ところで自民党支持者には「政治のことはよく分からないが政府を100%信じる」という家畜化された主婦や高齢者、「貧乏になるのは努力が足りないからだ」という優等生、さらに圧力団体の組織票などからの根強い支持が多いように見られる。また選挙上手の公明党は逆風の中とはいえ創価学会の信者票をしっかり押さえて磐石である。

一方民主党支持者は当然のことながら「政府のやり方に何となく不満」といった無党派層や、政府や会社に骨抜きにされて弱体化した御用組合の支持が多い。さらに国民の投票行動を見ると自民党や公明党支持者は律儀に投票所に足を運ぶ人が多い反面、民主党支持者は天候や家庭の事情などで投票に行くかどうかを左右される傾向が強い。

そのため投票率が高いと民主党有利、低いと自公に有利といわれている。ところが今回の参議院選挙では「自民党にお灸をすえる」と考え民主党に投票しようとする人が自民党支持者の20%にも達するといわれている。これは恐らく小沢代表が昨年末から行ってきた地方行脚で「自民党の金城湯池の1人区」を切り崩してきた成果であろう。

そこで自民党執行部は「お灸をすえられすぎたら自民党が壊れてしまう」と必死で支持者に哀願している。どうやら参議院選挙の勝敗の帰趨を決するのは、選挙当日にこれら自民党支持者が民主党に投票するのか、それとも自民党の必死の巻き返しで「やはり自民党」に入れるにかかっている。

まさにここ1週間が自民党、民主党にとって正念場であることは間違いない。ところで今回の参議院選挙は日本のこれからの針路を左右する大事な選挙だが、選挙に全く関心を持たない層も多い。「現在が楽しければそれでいい」という発想だろうが、場(戦場)に送られてからブイブイわめいても後の祭りである。

日本の政治家の質が低下

2007年07月23日 | Weblog
昨年の9月に安倍総理が総理に就任して9ヶ月を超えるが、北朝鮮の拉致問題については「経済制裁」を行っただけで何の進展も無い。それどころか安倍総理の「従軍慰安婦の強制連行は無かった」という発言で、「拉致」は人権問題だと主張する日本が「慰安婦問題」を隠そうとしていると米議会から批判を浴びている。

一方日本が頼みとするブッシュ政権は「拉致問題について同情」はするが米国の「北朝鮮政策はそれとは別」という割り切った考え方を持っている。ライス国務長官は議会で「アメリカに攻撃を加えない国をテロ国家に指定するわけにはいかない」と証言し、拉致問題とは関係なく北朝鮮のテロ国家指定解除を示唆している。

このやり方に対し共和党の大統領候補でもあるチャックヘーゲル上院外交委員長代行は「国家に友人はいない、共通の利益があるだけ」というタレイランの言葉を引き合いに「米国は北朝鮮との間で共通の利益(安全保障)を見つけ出し、それを基に意見の違う問題に取り組むべきだ」と現政権を擁護する。

さらに米外交の大御所であるキッシンジャー、ブレジンスキー、スコークロフトが6月24日付けの「ワシントンポスト」で次期大統領へのメッセージとして「米国は世界の問題を解決するために部分的な役割を演じ、世界の声に耳を傾けるのみならず、潜在的な敵国との対話を推進することが肝要である」との認識を示している。

まさに米国の政治は今までの「シロクロをはっきりさせる短絡的政治」から「不完全さを認めつつ敵国と粘り強く対話する」方向へ転換しようとしている。安倍政権はそのような米国の姿勢に不満を持っているようだが、単に北朝鮮に制裁を加えるだけで問題解決すると思うならば一国の指導者として思慮が浅いと言うべきだろう。

日本では小泉前総理の「郵政民営化是か非か」という分りやすい主張がもてはやされて以来、与野党問わず政治家はパフォーマンスばかり気にして物事を深く考えなくなってしまった。そのため政治が官僚の手の中で操られるようになり、国会は官僚が作った政策を追認する機関に成り下がってしまっている。

また久間、松岡、麻生大臣の失言問題に代表されるように政治家の発言があまりにも軽くなっている。亡くなった宮沢元総理がTVのインタビューで「政治家はもっと勉強し考えなければいけない」と示唆していた。国家の最高指導者である安倍総理も拉致問題が重要と考えるなら打開策についてもっと知恵を絞るべきであろう。

安倍総理と田原総一郎の詐欺芝居

2007年07月22日 | Weblog
数あるメディアの中で「週間ポスト」ほど年金問題の本質に迫った取材を行っているところは無い。彼らは様々な取材の中から問題の核心に自民党の厚労族がかかわっていることを突き止めている。ところで自民党厚労族とは誰を指すのか、またどんな関わりをしているのであろうか。以下「週間ポスト2007.6.22号」の記事を紹介する。

自民党厚労族のドンには長い間、橋本元総理が君臨していた。橋本氏亡き後は厚労相経験者の小泉前首相と丹羽総務会長が君臨し、それに続く実力者には安倍総理(A)、塩崎官房長官(S)、根本総理補佐官(N)、石原幹事長代理(I)の「年金NAIS」グループがいる。このように小泉-安倍の清和会政権の中枢は厚労族で占められている。

さて年金問題の発端は小泉前首相や閣僚の年金未納で大混乱した3年前の年金国会に始まる。当時、自民党内では現在問題になっている5年の年金時効について「時効でもらえなくなった年金」を救済する問題が協議されていた。厚労省と社保庁は「時効でもらえなくなった年金」データについて現在も公表していないが厚労族には3年前に提出している。

それによれば毎年新規年金受給者のうち2万人前後が「時効」を理由に年金を減らされ、平成15年度の場合、1人あたりの平均133万円、「総時効消滅金額」は300億円にも達している。当時、安倍幹事長は「これも直さなきゃなあ。時効も10年くらいに延ばしたほうがいい」と言ったが、その後救済問題は完全に棚上げされた。

当時、自民党内では安倍幹事長-厚労族-厚労省が結託して救済策づくりを握り潰したと見ていたようだ。安倍幹事長が時効見直しに手をつけなかった背後には、今回の「5000万件の不明記録」問題が深く絡んでいた可能性があると厚労省の元幹部の証言をもとに「週間ポスト」は指摘する。

その証言は「誰のものかわからない年金記録が5000万件以上あることは厚労省や社保庁内部では公然の秘密であり、もちろん自民党の厚労部会の幹部も把握していた。時間をかけて処理していけば、受給者は知らないうちに死んでいくだろうというのが暗黙の了解だった」という信じられないものであった。

そして「あの時に時効撤廃に踏み切れば、閣僚の年金未納や負担増への批判に加えて、記録漏れの問題に火が付きかねない。そうなると、一時支給額が一挙に増えて年金財政に重い負担がのしかかり、年金計算のやり直しで保険料のさらなる引き上げや受給額カットを迫られる。だから時効見直しは阻止した」というわけである。

「週間ポスト」が入手した、この時の社保庁の「時効消滅年金」資料は、安倍総理ら厚労族が「消えた年金問題」を封印してきた証拠とも位置づけることができる。年間300億円の年金不払いを握り潰しておきながら、今になって「安倍内閣の責任ではない」「私たちが救済する」などといい出すのだから厚顔無恥も甚だしい。

また安倍総理は7月22日のサンデープロジェクトで「消えた年金問題を知ったのは2007年2月頃」と大嘘をついている。またそれを受けて評論家の田原総一郎が「それまで厚労省が問題ないと安倍総理に嘘の報告をしていたのでしょう」と国民を騙す片棒を担いでいる。一流といわれる評論家の退廃には目を覆うばかりだ。