「政治を国民の手に」国民会議

政治を国民の手に取り戻すために、腐りきった菅政権や検察、裁判所などの実態、権力と癒着したマスコミの横暴を暴きます。

民主党政権の将来を占う

2007年11月25日 | Weblog
参議院選挙で野党に過半数を与えた国民は、次期衆議院選挙で「民主党政権」か「自・民による連立政権」かを問われることになる。現在の「ねじれ国会」に対し多くの評論家やマスコミは「与野党が話し合いをすべき」と主張しているが、衆議院選挙を目前に控え、自民、民主がそれぞれの政策を譲り合うということは難しい。

特に民主党にとって自民党に譲れば、その成果は政権党である自民党のものになる。それでも話し合うべきとなれば「大連立」によって政権の一方を民主党が担うしかないだろう。しかし「大連立」=「巨大政党」=「民意に反する」と感じる人が多すぎるため「大連立」もなかなか難しい。

結局、政治が落ち着くためには早々に解散・総選挙を行い衆議院でも民主党など野党に過半数を与えるしかないだろう。国民はすでに民主党や野党に参議院選挙で過半数を与えた段階で政権交代を決心したことになる。幕末に大政奉還を行った徳川幕府と同じで、自民党も既に実質的な権力を失っているのだろう。

幕末の歴史によると「大政奉還後に幕府と薩長による戊辰戦争が勃発」し最終的には「江戸城の無血開城」へと進んでいく。恐らく今の政局も「衆議院選挙」「政権交代」へと進むのだろう。ちなみに戊辰戦争の前までは幕府軍の力は薩長軍を上回っていたが、戊辰戦争初期の鳥羽・伏見の戦いで形勢は逆転した。

形勢逆転の原因は、大阪城に陣取った大将の徳川慶喜が味方の将兵を置いたまま敵前逃亡したためといわれている。まるで政権を投げ出した安倍前総理の姿が重なって見えるようだ。さらに「錦の御旗」がバラバラだった薩長軍の結束力を高めたといわれているが、これも民主党が掲げる「国連主義」が「錦の御旗」のようにも見える。

ところで幕府から政権を奪った薩長は、明治新政府を樹立し様々な改革を実行していく。その基本方針が「5箇条の誓文」であるが、民主党の政権政策の基本方針である「政策マグナカルタ」がこれに相当するのだろう。また廃藩置県は小沢代表が主張する「300自治体構想」かもしれない。

しかし明治維新の三傑といわれた「西郷隆盛」「大久保利通」「木戸考允」らも維新から5年後に征韓論を巡って対立し、西郷隆盛は西南の役で自刃する。「歴史は繰り返す」ではないが民主党による新政権も数年後、「小沢」「菅」「鳩山」が朝鮮や中国政策を巡って内部分裂を起こすのだろうか。

国民が後悔する日

2007年11月24日 | Weblog
米国事情に詳しい無所属の江田けんじ衆議院議員が、日米首脳会談において米国側の関心の高いテーマは、1位は米国産牛肉(BSE問題)の輸入規制緩和、2位は「思いやり予算」(2300億円)の維持、3位は沖縄米軍のグアム移転等の日本負担費用(1兆円)、4位にインド洋上の給油(6年間で220億円)と述べている。

どうやら米国の本音は、年間40億円のインド洋上の給油よりは、「思いやり予算」や沖縄米軍のグアム移転費をきちんと払ってくれる方が有り難いのかもしれない。自民党はテロ特措法に関連して「インド洋上から自衛隊が撤退すれば、日米関係が大変なことになる」と言っている。

しかし現在政府が進めている「思いやり予算」削減によって日米関係が損なわれないのかについては何も言っていない。もっとも守屋事務次官と防衛商社との癒着が暴露され、防衛利権に世間の目が集まっているため下手なことは言えないというムードが政府や自民党内にあるのかもしれない。

ところで「インド洋上の補給活動の油調達」や「沖縄キャンプ・シュワブの滑走路計画」「沖縄米軍のグアム移転の住宅建造費に関する通常の3倍以上の水増し予算」などに関し、久間、額賀などの防衛族議員が裏で暗躍しているという噂がかねてから流れている。

守屋問題に見られるように防衛利権の闇は深いが、自民党政権による本格追及は自らの身を切り刻むことになるので出来ないだろう。しかし民主党が政権をとれば、防衛利権や外務省のODA利権などの腐敗が続々と表面化する可能性がある。もしそうなれば行政機構全体が大混乱に陥る恐れがある。

当然、行政に対し国民の非難が集中するだろうが、社保庁の例のように役人のモラルが更に下がり行政機能が麻痺状態になるかもしれない。そうなれば国民生活にも多大な影響が及ぶだろう。このとき始めて国民は自民党に長期政権を委ねてきたことを後悔することになるのかもしれない。

公明党はいらない

2007年11月22日 | Weblog
現在の衆参両院における議席構成の中で公明党の存在意義は乏しい。キャスティングボートを握っているわけではなもく自民党との連立を離脱しても国会の構成に基本的な変化はないからだ。強いて言えば自民党は衆議院での「2/3条項発動」の際に公明党の協力が必要ではある。

しかし次期衆議院選挙で自公が2/3の議席を確保するのは絶望的だろう。もし民主党など野党が次期衆議院選挙で過半数を得れば「政権交代」によって自公は野党へ転落する。そうなれば公明党にとって自民党との連立の意味は無くなる。また与党が勝っても「ねじれ国会」は続くため自民、民主による大連立の可能性は高まる。

いずれに転んでも公明党の存在価値は薄くなり、自民党に吸収されるか共産党のように野党として独自に戦うのかを迫られるだろう。振り返ると公明党は自民党の旧竹下派と連立を組んできた経緯がある。ところが小泉、安部政権とは「集団的自衛権の行使」などで理念的に対立していたが「政権のうまみ」を失うことを恐れ連立にしがみついてきた。

しかし「平和の党」を自称する公明党が「国家主義者」と同居するのは無理がある。ところで自民党と民主党の「大連立」は政界の大再編を生む可能性を秘めている。自民党と民主党のバスが(一定期間の)大連立というトンネルをくぐり抜ければ、夫々のバスに違った人が乗っていたということは十分考えられるからだ。

現在、自民党も民主党も右から左までの人材を抱え、党内で理念のねじれ現象を起こしている。もし同じ理念や考え方の人材が夫々の党に集約されれば政策も分かりやすくなる。例えば自民党は国家主義や市場原理主義の「新保守主義」に、また民主党は国連主義や生活第一の「保守主義」に集約されるかもしれない。

一方、公明党は共産党や社民党のように2大政党の狭間に埋没する可能性は高い。もともと小選挙区制度は共産主義者や創価学会の支持を得ているメジャーでない政党をふるい落とす作用がある。どうやら先の参議院選挙における与党の敗北が公明党没落の始まりになってきたようだ。

給油と拉致の取引か?

2007年11月21日 | Weblog
11月16日に行われた日米首脳会談では「インド洋での自衛隊による給油活動」の早期再開と、米国が検討している「北朝鮮へのテロ支援国家指定解除」について話し合われたようだ。拉致被害者家族会からは福田総理が首脳会談で反対姿勢を明確に示さなかったとして「失望」の声があがっていた。

しかし11月20日、内閣府で中山総理補佐官が拉致被害者家族会に対し首脳会談の内容についての補足説明を行った。その際、中山総理補佐官は「首脳会談では拉致問題が真剣に話し合われた」と自信を持って説明したため飯塚副代表は「少しは落ち着いた」とコメントしている。

ところで福田総理は11月21日、シンガポールのホテルで記者団に対し、「テロ新法」に関連し与党が「3分の2条項」を行使すれば民主党など野党が多数を占める参院で首相問責決議案を提出する構えを示していることについて「何のための問責かさっぱり分からない。僕を問責できるような人はいるかな」と述べた。

さらに22日に予定されている野党各党との党首会談について福田総理は「テロ新法」の成立へ協力を求める考えを示し、同法案成立に強い意欲を表明している。しかし今更、野党党首と会談しても協力を得られる見通しはゼロである。なぜこの時期に福田総理が野党との党首会談を望んだのか疑問が残る。

ひょっとすると日米首脳会談でブッシュ大統領は福田総理に「インド洋での日本の給油活動」の継続ができれば「北朝鮮のテロ支援国家指定解除」を先延ばしにすることを示唆したかもしれない。そこで福田総理は米国に「テロ支援国家指定」を暫く継続をさせるためにも「テロ新法」で「3分の2条項」の行使を決意したかもしれない。

それが福田総理の「早期成立に全力を尽くす」という発言の具体的な意味なのかもしれない。ひょっとすると野党との党首会談でも「テロ支援国家指定」継続を盾に「テロ新法」成立への協力か、少なくとも「3分の2条項」行使による野党の問責決議案提出で国会を混乱させないよう働きかけをするのかもしれない。

くすぶる大連立

2007年11月19日 | Weblog
11月7日の小沢代表留任会見からはや12日が過ぎた。小沢代表は11月18日のフジテレビ番組「報道2001」で大連立構想について「真意が誤解された」とし「政権に入って民主党の政策を実現し、政権担当能力を示し選挙に勝つことが二大政党制への近道と考えた」と当時の心境について述べている。

また「選挙区は自民、比例は公明のように党の存在を否定することはやらない」と選挙協力を伴う連立を否定した。当初、小沢代表は世論やマスコミから「二大政党制を否定」するものだと袋叩きにあったが、時間が経つにつれ小沢代表の真意が伝わるようになり、ようやく世間でも大連立に対する冷静な評価が行われるようになった。

評論家の田勢康弘は11月19日の日経新聞のコラムに「法案が通らないねじれ国会」であれば大連立の構想は自然だとし「1年くらいの期限を切って閣僚を出し合い、政策について協議することは無茶な話ではない」と言う。むしろ反省すべきは小沢党首ではなく党首が何を考えていたか読むことができなかった民主党役員の方だとも批判する。

確かに民主党にとって「大臣の経験」は政権奪取においてプラスに働けどマイナスにはならない。こうしたシナリオは政治のプロであれば普通なのかもしれない。最近では小沢代表の大連立構想に理解を示す民主党役員もでてきており、もし民主党などの野党が次の衆議院選挙で過半数を得られなければ大連立の可能性は強まるだろう。

いずれにしろ参議院で野党に過半数の議席を与えた国民は、次の衆議院選挙で「与党を勝たせて大連立」の道を選ぶのか、「野党を勝たせて一気に政権交代」を実現するのかが問われることになるだろう。どちらにしても民主党が今後、国政の中で重要な役割を果たさなければならないことは間違いない。

政治の世界では「相手の動きを読み解きながら、時には俊敏な対応行動を起こす」ことも必要だ。今回の騒動を通じ民主党議員には自らの「青臭さ」を反省してもらうとともに、小沢代表の政治力を見習い老練な自民党政治家やずる賢い官僚に負けない「政治のプロ」に育ってほしいものだ。

政権交代へのうねり

2007年11月17日 | Weblog
ここ1、2年の政界の動きを見ていると国民は「政権交代」という歴史的転換点の真っ只中にいるように見える。事の始まりは偽メール問題で政治的未熟さ露呈して退場した前原代表に代わって選ばれた小沢代表の登場である。小沢代表は就任早々「政権交代」を掲げ「民主党議員の足腰強化」と「国民のためになる政策」に力を入れた。

一方自民党は国民に人気があるという理由で小泉を総理に祭り上げたが、小泉は仇敵の経世会をぶち壊しただけでなく自民党の政権政党としての政治能力も崩壊させてしまった。小泉の後を継いだ安部も官僚敵視や「政治と金」にまつわる閣僚の辞任や自殺、「年金」問題などの処理で政治的未熟さを露呈し参議院選挙で大敗した。

外交面でも「拉致問題」で強硬姿勢をとり続け交渉は膠着状態に陥り、また「テロ特措法」でも、自民党が過去あいまいにしてきた憲法解釈が安部を窮地に追い込み政権を放棄せざるを得なくなった。一方、民主党の小沢は党内分裂の芽を抱えながらも「生活が第1」を掲げた参議院選挙での勝利により党内の求心力を急速に高めた。

参議院選挙で大敗した自民党は今まで好き勝手にやっていた国会運営が行き詰まり、役人に作らせた法案を嘘八百で糊塗し成立させることが困難になっている。そのため安部総理の後を継いだ福田政権は「民主党と話し合う」として「政策協議」や「大連立」などの奇策で民主党の抱きこみを始めている。

しかし防衛省や厚労省などに見られる政官業癒着の構造に対し、政権交代の声は日増しに強まっている。未熟な民主党議員も「大連立」騒動で緊張感が生まれ、次期衆議院選挙に対する危機意識も芽生えてきたようだ。どうやら政権交代に向けた最後の決戦が始まろうとしているのかもしれない。

行政コストと増税論議

2007年11月15日 | Weblog
天下りや談合などで「税金のムダ使い」がこれほど頻繁に報道されているのに、マスコミや多くの評論家は「消費税増税(5兆円~10兆円規模)」は当たり前という。理由は膨大な「財政赤字(800兆円)」を解消するためというが、既に行われた定率減税廃止(3兆円)の増税には言及せず馬鹿の1つ覚えのように増税大合唱である。

行政による15兆円のムダに切り込んだ民主党の考え方にもう少し耳を傾ければと思うが、政府与党の「15兆円は夢物語」という発言を代弁するだけだ。もちろん「増税の世論操作」のために内閣官房機密費がマスコミや評論家にばら撒かれているのだろうが、それにしても何の理論武装もなくただ喚いているだけでは見苦しい。

ところで行政コストを試算すると、現在中央及び地方の役人に支払われる労務費(給与や福利厚生など)は40兆円(内訳は人数が400万人、年間1人当たり平均1000万円)といわれている。この中には民主党が指摘する独立行政法人で働く準公務員の給与や天下り、談合、補助金など12兆円にのぼるムダ遣いは含まれていない。

それらを入れれば行政コスト(人件費分)は50兆円を超すのだろう。国家の税金収入が40兆円であるから、それを超える行政コストがかかっていることになる。財政赤字の原因は福祉などの年金コストの増大(5兆円~10兆円)と政府与党は主張するが50兆円にものぼる膨大な行政コストにはも口をぬぐったままである。

最近の防衛省など役所の税金ムダ使いに憤る国民も多いが、世論調査では国民の消費税アップに対する許容度は高まっており政府与党の世論操作が功を奏しているようだ。しかしこのまま自民党政権が続き消費税増税が当たり前のように実施されれば役人のム使いを助長し、日本は「役人栄えて国滅びる」ということになりかねない。

無原則外交のツケ

2007年11月14日 | Weblog
永年の間「無原則外交」を続けてきた自民党政権は、いま「テロ特措法」と「拉致問題」という2つの外交、安全保障の難題にぶつかっている。政府は「テロ特措法」について「テロとの戦い」「国際貢献」のためと国民に対し理解を求めようとしているが、民主党は「国家の行動原則である憲法」に違反していると反対の立場だ。

「拉致問題」についても小泉元総理は「拉致被害者の全員帰国」という原則を放棄し、北朝鮮が出してきた「拉致被害者13人(8人死亡、5人生存)」を呑んで「平壌宣言」を結ぶ政治決着を行ってきた。その後、拉致被害者の反発もあり13人以外の拉致被害者も返せと要求したが北朝鮮から約束違反と激しい反発を受けている。

北朝鮮のこのような態度は日本人の感覚からすると盗人の開き直りのように見える。これに対して拉致被害者家族の蓮池透氏は11月11日放送のサンデープロジェクトで「日本政府はなぜ北朝鮮が日本に対して激しい怒りをぶつけるのかを理解して対応策を練るべき」と極めて冷静な発言をしている。

蓮池氏は、小泉訪朝以来、日本政府は拉致被害者の全員帰国という原則を主張せず、4つのあいまいな政治決着(1つは2002年の小泉初訪朝と平壌宣言、2つめは拉致被害者5人の一時帰国で決着を図ろうとしたこと、3つめは小泉再訪朝と拉致被害者家族の帰国、4つめは横田めぐみさん遺骨問題)を行ってきたと批判している。

拉致被害者からすると小泉政権は自身の支持率回復のために北朝鮮との間で「平壌宣言」というあいまいな政治決着をはかってきたという思いがあるようだ。国民感情からすると「5人でも帰ってきたのだからいいじゃないか」と思うかもしれないが、相手にそれで打ち止めと思わせたことになれば他の人は返還されなくなる。

結局、最初に原則を決めずに日本政府が「北朝鮮の拉致被害者は13人」を認めたことが、その後の問題の解決が一歩も先に進まない状況を生み出した。安部総理が「拉致被害者の全員帰国」という原則を新たに持ち出しても、日本政府が「平壌宣言」に縛られる限り北朝鮮は約束違反と原則論を繰り返すだけだ。

さらに蓮池氏は「拉致問題」解決に熱心な福田総理に対しても、また「あいまいな政治決着」をするのではないかと危惧の念を抱き、真の問題解決のためには「平壌宣言」を破棄し、もう一度再交渉すべきとも主張する。しかし「平壌宣言」の破棄は小泉訪朝の否定につながり、今の自民党政権下では実現は難しい。

日本人の「あいまい」な交渉態度は相手を傷つけないなど良い面もあるが、文化の違う諸外国との外交交渉においては無原則やあいまいさは相手を怒らせたり、こちらの立場を不利に追い込むことになる。国民の間で小泉訪朝は高く評価されているが「拉致被害者の全員帰国」が実現しなければ日本外交の失敗であったといっても過言ではない。

大詰めか?テロ支援国指定解除

2007年11月12日 | Weblog
いよいよ北朝鮮の「テロ支援国家指定」解除が目前に迫ってきた。11月11日には米国訪問を終えて帰国した韓国の宋旻淳外交通商相が記者会見で、米韓両国が「北朝鮮の核施設無能力化や核施設と核活動の申告状況に合わせ、米国が北朝鮮のテロ支援国指定を解除し対敵国通商法適用を終了させる」ことで合意したと語った。

一方、指定解除が近づいたことを察知した拉致被害者家族会や「救う会」のメンバーも、米政府が指定解除をしないよう要請するため11月11日に米国へ向かった。訪米中は、米国の有力議員やジョン・ボルトン米前国連大使のほか15日には6か国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補とも面会する予定だ。

ところで日本政府も11月10日から中国・瀋陽で日朝両国の外交当局実務者による秘密裏の非公式協議を続けているようだ。今回の協議で日本政府は「拉致問題の進展に応じて、対北朝鮮制裁を段階的に解除する」意向を伝えるようだが、最終的には「テロ支援国家指定解除」に向けての環境作りを日朝両国政府で話し合っているのだろう。

ここで焦点になるのは、どんな状況になれば日本は「拉致問題の進展」と判断し、米国に対し「北朝鮮のテロ支援国家指定解除」にOKを出すかである。巷間言われるように「よど号ハイジャック容疑者の日本への引渡しと、欧州で拉致された有本恵子さんら数人の返還」になるのかどうか。

今のところ「拉致問題は解決済み」とする北朝鮮の原則論に押され、自民党政府はこの線で手を打つ可能性も高い。しかしそれでは国民や拉致被害者は納得しないだろう。その場合には、表では御用マスコミを使い、裏では「救う会」にもぐりこませた「住吉会」系のヤクザを使って国民や拉致被害者を黙らせるのだろうか。

いずれにしろ「拉致問題」は米国や日本、北朝鮮による政府間駆け引きだけではなく、10兆円以上と言われる北朝鮮援助利権を巡って商社や闇社会、政治家が暗躍する舞台となりそうだ。結局、自民党政権の「無原則外交」のつけを払わされるのは彼らを選挙で選んできた国民や拉致被害者なのだ。

大連立に対する鋭い分析

2007年11月10日 | Weblog
最近の大手マスコミの退廃には目に余るものがある。今回の「大連立」騒動の仕掛け人と言われる読売新聞社の渡辺恒雄会長は、2ヶ月前から公器である新聞を使ってジャーナリストにあるまじき世論操作を行っている。マスコミ界のトップに君臨する人間がこうだから、現場の記者たちのジャーナリズム精神ルも推して知るべしである。

また読売新聞以外の新聞やTV、評論家たちも今回の「大連立」騒動について「密室」だとか「小沢代表は無責任だ」など現象面ばかりを捉えた低レベルな分析や批評に終始している。実は、今回の騒動は日本の政治史上においても画期的な出来事だったのだが、複雑さ故に並みの国会議員や一般国民には理解が難しかったようだ。

どうやら小泉政権以来、底の浅いパフォーマンス政治がもてはやされマスコミも本質を捉えた分析が出来なくなってしまった。ところが今回の問題を鋭く分析した論文が一部マスコミの中からでてきた。例えば11月9日のThe Commonsに載った田中良紹の「大連立を見てみたかった」という記事である。以下にその論文の要約を紹介する。

私はかねてから「大連立話は政府与党が政権交代をさせないための罠だ」と思っていたから、初めは小沢氏がその話に乗ったことに驚いたが、4日に行われた小沢氏の辞任会見を聞いて、全く考えを一転させた。小沢氏が言う「大連立が政権交代の早道」というのは極めて説得力があり検討に値する話だった。

勿論、国民が投票する選挙によって政権交代を果たすというのが正論である。だが次の選挙でそれが実現する保証はどこにもない。自民党にとって政権の座から滑り落ちる事は地獄を意味するから、全身全霊をかけて、あらゆる手段を使って選挙に勝とうとするだろう。

民主党のスキャンダルを徹底して暴露してくるかもしれない。マスコミが民主党の候補者に二重丸の予想をつけて落選させる方法もある。今回の大連立を仕掛けた人物が会長をしている新聞社の記者から、「上司からの命令で上層部が気に入らない政治家を落選させるため、予想を二重丸に変更させられた」という話を聞いた事がある。

とにかく次の衆議院選挙で民主党が過半数を獲得する事はそう簡単ではない。そのことを小沢氏は十分承知している。小沢氏は次の選挙に政治生命を賭けると言っているから、仮に次の選挙で民主党の議席を今の2倍に増やしても政治家を辞めなければならなくなる。

そこに新聞社の会長から話があった。国家国民のためにねじれ国会をこのままにしておくわけにはいかない。大英断を持って連立を組むべきという話だったのだろう。福田総理からも会いたいと言ってきた。参議院選挙で惨敗したときから既に自公政権は「死に体」で、野党の協力なしに政権運営は全く出来ない。

だから会いたいと言って来るのは当然だが、もしかすると自分を陥れる罠かもしれない。しかしどのような提案をしてくるのか会ってみる価値はある。小沢代表はそう思ったのではないか。政治の世界では古今東西どんな民主主義国でも機微に触れる重要会談をオープンでやる馬鹿はいない。密室でやるのが常識だ。

特に交渉事であるならばなおのことそうだ。今回の党首会談はやる事を公表した上で行われた。それを密室談合と批判する人たちがいる。他の野党にとっては自分たちが排除される話だから批判するのは当たり前だが、メディアの中にそのような批判をする者が多いのに驚いた。

いろいろな国の政治を見てきたが今回の党首会談を密室談合と呼ぶのはいささか政治を知らない素人の議論ではないか。鳩山幹事長が「大連立話は王手飛車取りのような陰謀だ」と言ったが、大連立を仕掛けた側にはそうした狙いがあったのだろう。小沢氏が大連立に応ずれば政権交代はなくなり、いずれは中選挙区制に戻す。

そうすれば昔の自民党単独政権時代と同じ政治構造になる。もし小沢氏が大連立を拒否すれば、会談に応じた小沢氏に対して反発を誘う情報を流して民主党を分断する。ところが小沢氏は仕掛けられた大連立をまったく逆に転換する事を考えていた。

大連立に乗ることで自公政権を自分の手の中に入れ、民主党の政策を次々実現させたうえ、次の衆議院選挙は自民と民主が別々のマニフェストを掲げて戦い、民主が過半数をとれば自民と手を切って政権交代を実現し、過半数にいかなければそのまま連立を続ける。

新聞社の会長や自民党とは全く逆の思惑で事を進めようとしたのではないかと会見を聞きながら思った。大連立と聞いてすぐ「大政翼賛会だ」とか「中選挙区制に戻る」と短絡する人がいるが、これも余りにも単純すぎる。連立を決めたら2つの政党が直ちに1つになるわけではない。

まず政権協議が行われて、連立の条件が話し合われる。今回の連立は与党の側が必要としているから与党が譲る形の政権協議になる。小沢代表が言うように安全保障政策の大転換が図られた可能性は高い。次に参議院選挙で民主党が国民に約束をした年金法案、子育て支援、農業政策も自民党が飲む可能性がある

伝えられているところでは大臣ポストが民主党に6つ用意されたという。年金の厚生労働大臣、子育ての少子化担当大臣、農業の農林水産大臣を当然小沢氏は要求しただろう。その上財務大臣などが取れたらその意味は大きい。国の財政を民主党が握れることになる。

小沢副総理という話もあったというが、小沢氏ならば副総理でも十分総理を超える力量を発揮した可能性がある。自民党の一部に大連立を危惧する声があったのは、庇を貸して母屋を乗っ取られる恐れがあったからだ。その危惧は当たったのではないか。

大連立になれば選挙は限りなく遠のく。2009年の任期切れまで選挙はない。その間民主党の若い政治家も官僚機構を内側から十分に知る事が出来る。政権を取れば野党のときとは違い、正論を吐いて国民に訴えるだけが仕事ではなくなる。弁舌だけで出来る仕事ではない。明治から続く岩盤のような官僚機構と戦わなければならない。

一方で野党からの攻撃もかわさなければならない。さらに権力を持つものには蟻が蜜に集まるように得体の知れない者が近づいてくる。本人にではない。家族、兄弟、親戚、秘書らにおいしい話が次々持ち込まれて落とし穴が用意される。そうしたことを潜り抜ける鍛錬もしなければならない。

そして小沢氏は、選挙になれば自民党と別々のマニフェストを掲げて戦うという。ここがおそらく国民には最も分かりにくいのかもしれないが、現在公明党と自民党は別のマニフェストで選挙を行っている。連立でも別のマニフェストを掲げる事は出来る。小泉政権では自民党が郵政民営化を巡って分裂選挙をやった。

昭和27年には自民党の前身である自由党が吉田派と鳩山派に分かれ、再軍備賛成と反対で真っ二つに割れて分裂選挙をやった。連立を組んだから小選挙区制は駄目で中選挙区制でなければならないと小沢氏は考えていないのではないか。民主党が中選挙区制を拒否すれば中選挙区制には絶対ならない。

連立を組んでいても選挙が近づけば民主党は自民党との違いを鮮明にして国民に選択肢を与えることも出来る。選挙の結果、過半数を越えれば自民党と別れて民主党単独政権が出来る。過半数を越えられなければ、自民党はそれでも連立を必要とするからまた連立協議をすればよい。

自民党が約束を守らなければさっさと連立を解消する。かつて小沢氏は小渕政権でもあっさりと連立を解消した。あのときは公明党がその穴埋めをしたため自民党も別れられたが、今度は民主党に逃げられたらどうやっても参議院の過半数を自公が回復する事は出来ない。だから自民党は民主党の要求を飲むしかない。

この大連立構想に問題があるとすれば国民が求めたものではないということだ。その点で怒っている国民が多いと思う。しかし国民の求めるものが常に正しく、国家にとって良いことなのか。民主主義は国民が政治の主役である。しかし同時に民主主義は国民を信用しているわけではない。

国民の言うとおりにすると間違う可能性があるというのも民主主義の考えの基本なのだ。だからギリシアの昔から直接民主主義ではなく間接民主主義が採用されている。国民の間違いを直す役目を負っているのが政治家なのである。国民の言うことを聞き、国民に人気のある政治家が優れた政治家とは限らない。

国民に不人気の政治家こそ本物の政治家として評価された例はいくらでもある。だから政治家は時には国民の声を無視して事を決断することもある。最近の政治家を見ていると、国民の声を聞き、毎日街頭で国民に訴えるのが良い政治家だと勘違いしているのが一杯いるが、政治はそんな単純なものではない。

小沢氏は国民の不人気も覚悟しながら大連立に乗ろうとしたのだろうが、私の想像通りならば、私は大連立を見てみたかった。竹下政権以降小粒な政治家のちまちました政略ばかりを見せ付けられてきたが、今回の騒動は久しぶりにダイナミックな政治の駆け引きを見せてくれた。それが理解されていない事が何ともさびしい。