「政治を国民の手に」国民会議

政治を国民の手に取り戻すために、腐りきった菅政権や検察、裁判所などの実態、権力と癒着したマスコミの横暴を暴きます。

安倍総理の中東訪問は米国を激怒させる?

2007年04月30日 | Weblog
ブッシュ大統領との首脳会談を終えた安倍総理は、その足でサウジ、UAE、カタール、クエート、エジプトの中東5カ国を歴訪する。日本は輸入原油の9割を中東から輸入しており、また最近の中国の資源外交に対抗するために産油国との幅広い交流を深めることが狙いであろう。

4月28日には、安倍総理はサウジアラビアのアブドラ国王と会談、両国が経済だけでなく文化、教育など幅広い分野で連携し重層的発展を目指し「戦略的パートナーシップ」を構築することで合意した。また沖縄にある国家備蓄基地を活用する新たな石油安定供給構想について提案し閣僚レベルでの調整に入ることとした。

今回特徴的なことは、安倍総理が産業界のビジネスチャンス拡大を狙い石油、化学、商社、プラント、自動車、電機、銀行、証券など70社180人の財界人を同行させたことである。しかし訪米直後のこのような仰々しい中東訪問はブッシュ政権中枢を支配する金融や石油資本を中心とした経済派ユダヤの神経を逆なでする恐れがある。

安倍総理が今回訪問する親米イスラム諸国の安全保障は米国の軍事力に依存している。安全保障の代償として米国は中東の利権を確保し米国の金融機関や石油メジャーなどに利益をもたらしてきた。米国は「日本は石油メジャーが開発した石油を買うだけでいい」と思っていたところに「日本がショバ荒らし」にきたと受け取られても仕方が無い。

また米国がイラクで多くの国民の血を流し多大の戦費をつぎこんで泥沼の戦争をしているのに得たものがほとんどない状況において、とっくにイラクの泥沼から抜けだした日本が中東のビジネス利権を手に入れるというようなことになれば米国はトンビにアブラアゲとなり怒り狂うかもしれない。

どうやら今回の中東訪問は成功すれば米国の恨みを買い、うまくいかなければ中東諸国から軽く見られることになる。安倍政権は米国が最もこだわる中東地域や石油という戦略製品について日本としてのしっかりした考え方を持っているのだろうか。それとも心底では「日米同盟」に見切りをつけて独自の外交を進めるつもりなのだろうか。

安倍総理、政治信念はどこへ?

2007年04月29日 | Weblog
4月27日ワシントンで安倍総理とブッシュ大統領の首脳会談が行なわれた。米国のメディアは訪米前、安倍総理の「従軍慰安婦問題」での発言や「憲法改正」に取り組む姿勢を取り上げ、安倍総理を「警戒すべき国粋主義者」というイメージで報道していた。

それを意識したのか安倍総理は米国のメディアとのインタビューにも積極的に応じ、従軍慰安婦問題で「心から同情する。申し訳ない気持ちで一杯だ」と発言した。恐らく日本が「従軍慰安婦問題」で人権に対し熱心で無いという見方をされ米国内で安倍政権への批判が広がることを危惧したのであろう。

しかしそのような事情はブッシュ政権にとって織り込み済みであり、問題は「安倍総理は心底では国家主義者であり、日本独自の立場を主張しようとしている。しかし周辺諸国はまだ日本のそのような主張を受け入れる心の準備ができていない」と考えており、特に中国や朝鮮との関係が悪化し東アジアが不安定化するることを怖れている。

従って安倍総理は今後も米国の希望通り中国との関係を揺るがせないためにも「靖国参拝」は総理在任の間は封印せざるを得ないし、また「拉致問題」で米国の協力を得るためにも「河野談話」も踏襲せざるを得ないだろう。結局「日米同盟」を優先するならば、自身の政治信念を曲げざるを得ない。

ところで安倍晋三・岡崎久彦共著の「この国を守る決意」で岡崎は「1993年~95年の経済交渉で米国は『日本と同盟国』などという姿勢はひとかけらもなかった。日本は潰れてもいいという姿勢だった」と述べている。米国の恐ろしさを知る安倍総理にとって米国に軽くみられても「対米従属」の方が重要と感じているのだろう。

金正日政権内の権力闘争

2007年04月28日 | Weblog
北朝鮮の最高指導者である金正日は「朝鮮人民軍」「朝鮮労働党」「内閣(行政)」の3つの組織の上に君臨している。金正日が軍事力強化優先の「先軍政治」を宣布したのは1995年である。しかしその直後(96~98年)に300万人が餓死する大飢饉が発生した。

北朝鮮経済の危機的状況の中で金正日は2001年に中国を訪問している。そこで金正日は中国の「改革・開放」の成功を目の当たりにし、帰国後の2002年7月1日に「経済改善措置」を発表した。この経済改革は従来の「計画経済」から「市場経済」への転換であり、これを主導したのは「朝鮮人民軍」ではなく「朝鮮労働党」であった。

「経済改善措置」の発表後、金正日は全国9道(日本の都道府県に相当)の市場経済化を進めるために「朝鮮人民軍」の予算をそちらに回したため軍幹部らは兵員の削減につながりかねない「改革・開放」路線に反対した。結局「朝鮮人民軍」と「朝鮮労働党」が妥協して「経済改善措置」は3年の試験期間の結果を見てという条件付きとなった。

3年後の試験結果について「朝鮮人民軍」は「失敗」とし「朝鮮労働党」は「成功」と評価した。もし失敗なら従来の計画経済に戻るし、成功なら「先軍政治」を後回しにしてでも中国式「改革・開放」を推進させることになる。金正日は一旦「朝鮮労働党」に軍配を上げ人民最高会議(国会)で「改革・開放予算」を審議・可決するはずであった。

ところが「改革・開放」路線を進める「朝鮮労働党」と組んでいた官僚の「内閣(行政)」はモデル企業の新経営方式で経営者に相当の権限を与えたため利権喪失を恐れる「朝鮮労働党」と意見対立を起こし分裂してしまった。そこで金正日は人民最高会議を延期し「先軍政治」か「改革・開放」推進かの決断をひとまず先送りした、

ところで軍部は経済改革に対し批判的であったが何か有効な代案があったわけではない。軍部の不満は経済悪化による利権の縮小と威信低下にあり、「朝鮮人民軍」は食料不足で訓練もできないのが実状であった。そこで金正日は2005年に「農業重視」の新方針を打ち出したが中途半端な「改革」で北朝鮮経済を再生させるのは難しかった。

この頃「朝鮮人民軍」は40代~50代の将校が軍の実権を握るようになった。彼等は兵士のモラルが低下した軍の威信回復のために2006年7月に軍事演習と称し長距離弾道ミサイルを乱射した。このミサイル発射によって彼らの発言力が強くなり、北朝鮮は核実験を強行するなど軍事力誇示の「先軍政治」を突っ走ることになる。

ところでミサイル発射直後、北朝鮮では大水害が発生し2007年の春には大規模な食料不足が深刻化することが予測された。金正日の頭には96~98年の大飢饉がよみがえり緊急対策を打つ必要が出てきた。そこで考えたのが2005年11月以来中断していた6カ国協議を1年ぶりに再開させ韓国や中国から支援を引き出すことであった。

しかしエネルギーや経済支援を受けるためには軍部が反対する「核廃棄」が必要になる。また「テロ支援国家指定」の解除のためには軍部が深く関与する日本の拉致問題をどう扱うかも鍵になる。軍部の独走を押さえつつ「朝鮮労働党」や「内閣(行政)」を動機付けて経済を回復させることが金正日のこれからの課題になるだろう。

イラクの石油を巡る争い

2007年04月27日 | Weblog
イラクの安定化を目指しマリキ首相はシーア派、スンニ派、クルド人の3大勢力と米国の狭間にたって難しい政権運営を迫られている。その中でイラク政府は昨年来米国の助言を得て、世界第二位の埋蔵量である石油開発の制度を定めた新たな法律を検討しており、今年1月の閣議で法案として決定し5月決議を目標に議会で審議が進んでいる。

イラクの石油新法は「油田開発について外国からの投資を受け入れ、石油の販売によって得た利益を国際石油資本やイラク中央政府、クルド自治政府などが配分する」ことを定めている。これに対し「やはり米国は石油目当てでイラク戦争を始めた」と批判もあるが、設備や資本の無いイラクにとって外国資本の導入は欠かせないのだろう。

イラクではクルド人が支配する北部とシーア派が支配する南部に巨大な油田地帯を抱えており、スンニ派が支配する中部には殆ど油田は無い。イラク戦争で米国に協力したクルド人は北部のキルクーク油田を現在自分たちで管理しており将来はイラクからの独立も視野に入れているようだ。

石油新法ではイラクの石油はすべてイラク中央政府が管理するが、配分などを巡って中央政府とクルド自治政府の間で
激しい攻防が繰り広げられている。一方シーア派過激グループのサドル師やシーア派最高指導者シスターニ師は米英系の国際石油資本がイラクの石油利権を手に入れることに反対している。

サドル派はイラク中央政府に閣僚を6人送り込んでいるが、4月16日にはマリキ首相の「駐留米軍の撤退日程を策定しない」という発言や「石油利権を国際石油資本に渡す石油新法」に抗議し閣僚全員が辞任した。反米のサドル派は中国やロシアに開発を任せたいのかもしれないがイラク人のために血を流してきた米国が反発するのは必至だ。

ところで先日マリキ首相が日本を訪問したが、ひょっとするとイランのアザデガン油田を失った日本に対しイラクの石油開発に協力を求めたかもしれない。日本であれば親日のイラク国民の反発も少なく米国も反対はしにくいだろう。もしそうなればイラクに自衛隊を派遣したメリットもあったことになる。

プーチンとブレアの戦い

2007年04月26日 | Weblog
ロシア前大統領のエリツィンが4月23日死去した。プーチン大統領はTV演説でエリツィンが「民主的なロシア」の実現に尽力したと賞賛していたが、演説は死後6時間もたってから行なわれておりプーチンにとってエリツィンは「過去の人」であったのだろう。一方米国ではプーチンの強権政治に対し民主化に貢献したエリツィンへの評価は高い。

ところで4月13日のガーディアン紙は、英国に亡命中のロシアの大富豪ベレゾフスキーがプーチン政権を武力で倒す準備をしていると報じた。これに対しロシア当局はベレゾフスキーの身柄引き渡しを英国政府に求めている。ベレゾフスキーはエリツィン時代に「民営化」で売却された国有財産を安く手に入れ財をなしたユダヤ人である。

当時、彼のようにロシア経済を支配していたユダヤの大富豪たちは「オリガルヒ」と呼ばれ、エリツィンの取り巻きとして強大な力を持っていた。彼等は一般市民が貧困にあえいでいた中、チェチェン・マフィアなどの犯罪組織と組んで金融や石油などの分野で富を独占してきた。

しかし2000年に大統領に就任したプーチンはエリツィン時代に肥大化した「オルガルヒ」を追放し彼等の利権を剥奪していった。そのためベレゾフスキーは英国に亡命し逆襲のチャンスを窺っていた。その英国では昨年来、奇怪な事件が続発している。元ロシア情報機関のリトビネンコが放射性物質によって殺害された事件は世界を驚かせた。

リトビネンコはベレゾフスキーと関係があったといわれており、ロシア政府はベレゾフスキーがプーチン政権に罪をきせるためにリトビネンコを殺害したと疑っている。一方、英国警察は元KGB職員を犯人として逮捕状を出すと見られているがロシアは身柄引渡しに応じない方針だ。

また最近ではブレア首相の資金源だったユダヤの大富豪マイケル・リービー上院議員が逮捕されブレアが警察から事情聴取を受けている。2007年秋に退陣するブレアにとってユダヤは鬼門になっており、ベレゾフスキーやリトビネンコ問題の処理を誤ればプーチンとの対立を深めることになりそうだ。

統一地方選を読み解く

2007年04月25日 | Weblog
4月22日の統一地方選後半戦の市議選当選者は民主党370議席と3割増、自民党は3割減の589議席となった。また同時に行なわれた参議院補欠選挙は与野党一勝一敗の痛み分けとなっている。民主党にとって地方議会の議席を増やせたことは、夏の参議院選挙に向けて地方組織の強化が図られつつあることを示している。

それに反し自民党は統一地方選前半戦と同様、地方組織の衰退が止まらない。民主党小沢代表の地方組織の強化策がじわじわと自民党の地方組織を蚕食しつつあるのだろうか。自民党の中川幹事長は小沢代表のやり方は「古い時代の選挙手法」と批判するが、地方で地殻変動が起きていることに対する焦りとも受け取られる。

中川幹事長は自民党青木参議院会長のやり方も「古い時代の選挙手法」と感じており、かねて主張していた「勝てる候補への差し替え」がどれだけ実現できたのだろうか。また選挙運動中、安倍総理は「景気がよくなり地方へも波及」と言っていたが、現在踊り場に差し掛かっている景気の腰を折らないようにすることも重要であろう。

一方民主党の課題は野党共闘でのぞんだ沖縄の参議院補欠選挙で先の知事選に続き敗北したことである。野党共闘が相乗効果を生まなかったためだろうが、自民党と主義・主張が合致する民主党右派の議員や保守系支持者にとって憲法改正に反対する社民党との共闘アレルギーも敗戦原因の1つであろう。

かつて自民党と社会党は表面では争っているように見せても裏では強く結びついていたため「自社さ」で政権までも共有することが可能であった。しかし今の若手中心の民主党右派は社民党とは何のつながりもないため選挙協力さえ難しい。参議院選挙までに野党共闘のあり方をどう見直していくのかが鍵になるだろう。

参議院選挙に向け与野党の対立軸は、自民党の「憲法改正&景気重視」に対し民主党の「格差是正&生活重視」と非常に明快である。しかし現時点では与野党とも党内に構造的「ねじれ」を抱えており、参議院選挙は予断を許さない状況だ。あと3ヶ月の間にこの「ねじれ」を少しでも克服したほうに勝利の女神が微笑むのだろう。

イラクに平和はいつ来るか

2007年04月24日 | Weblog
米国の政治は民主党や共和党内に存在する「米国の民主主義を世界に広めようとする理念主義」や「中国やロシア、インドなど経済成長著しい国家と協調しようとする国際主義」「国内問題を優先する保護貿易主義」などいくつかの政治勢力による権力闘争で左右される。

当初ブッシュ政権はネオコンの理念主義を掲げイラク戦争を始めたが、イラク情勢の泥沼化や中間選挙敗北を受けキッシンジャーなどの国際主義の考え方に傾斜し始めた。そしてイラク問題ではイスラムの親米勢力と反米勢力の和解を進め、また東アジアでは中国との関係強化や北朝鮮問題の平和的解決などを目指している。

ところでブッシュ政権の喫緊の課題はイラク安定化であるが、最大の障害はイラクの不安定化を望む米英の「軍産複合体」の存在である。しかしその力はあまりに巨大すぎ大統領ですら逆らえば暗殺の憂き目に合いかねない。恐らくブッシュ大統領も任期中に米軍撤退はできないだろうし下手をするとイランとの戦争もせざるをえなくなる。

最強といわれる「軍産複合体」がもっとも恐れるのは国民の厭戦気分に乗って米軍撤退を主張する米国民主党であろう。もし来年11月の大統領選挙で民主党候補が勝てば、否応無く米軍の早期撤退が始まる。米軍が撤退すれば「軍産複合体」もイラクでテロを起こさねばならない理由も消える。

一方、宗派対立を起こしていたシーア派とスンニ派も和解にむけて動き出しており、米軍撤退でイラク安定化が実現することも夢ではない。来年米国でもし政権交代が起これば、「ブッシュ政権」と「軍産複合体」の癒着も解消されイラク戦争が終結に向かうことを期待したいものである。

どうする拉致問題

2007年04月23日 | Weblog
拉致問題に関し北朝鮮は「拉致は解決済み」、日本は「拉致被害者の返還」を求め、両者の意見は食い違ったまま時間だけが過ぎている。昨年来、日本政府が考えていた「国際社会が北朝鮮を追い詰め言うことを聞かせる」という筋書きが破綻した現在、新たな戦略を構築しないと日本は拉致問題で不利な立場に追い込まれかねない。

「拉致問題」は北朝鮮の「テロ支援国家指定」解除の問題もからみ、少なくとも日朝双方がどんな方法で問題を解決していこうとするのか米中露韓に対し説明が必要になる。その際、日朝両国政府は「拉致問題を進展、解決させる」ということはどういうことなのかを定義し、解決までのロードマップを示すことが求められるであろう。

そこで日本政府も今までのような「制裁一辺倒」や相手が下りて来るのを「待つ戦略」だけではなく、北朝鮮政府の内情もよく理解するとともに金正日政権内部の権力闘争も利用した戦略も必要だ。例えば北朝鮮内部は軍部の力が強く必ずしも金正日体制で一枚岩というわけでもない。

今年に入り米国は「金融支援解除」という柔軟姿勢に転じたが、ひょっとすると「核開発に固執する軍部」に対し金正日の発言力を高めさせ「核廃棄」に踏み出させる戦略だったのかもしれない。この辺については軍部と対立する北朝鮮外務官僚が米側との秘密会合で率直に話し合った可能性は高い。

ところで拉致は時期的に見て金正日の父親の金日成が特殊機関にやらせていたようで、金日成は不良息子の金正日もこの特殊機関に監視させていたといわれている。そのためか2002年の小泉訪朝時に金正日は「拉致は特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義者の仕業」と説明し特殊機関への反感をにじませていた。

北朝鮮の「拉致は解決済み」の姿勢の裏には特殊機関を管轄する軍部の意向が強く働いているとも考えられる。恐らく軍部は様々な工作活動に携わっている拉致被害者を返還すれば軍事機密が漏洩すると恐れているかもしれない。一方金正日や外務官僚は「体制の維持」と日本からの膨大な「経済援助」を望んでいるはずだ。

そこで「経済制裁解除」や「膨大な経済支援」を切り札として「拉致解決」に反対する軍部を金正日によって押さえ込ませる工夫も必要だ。このような交渉は表立ってはできないだろう。そこで日朝の交渉担当者間で信頼関係を築き、秘密交渉に持ち込む事が必要になる。複雑化する交渉を進めるためにも安倍政権はもっとこのような寝技を使って欲しい。

軍産複合体の正体

2007年04月22日 | Weblog
年間20兆円の戦費がかかるイラク戦争は軍産複合体にとってビジネスの宝庫である。軍産複合体には兵器や武具を開発生産している伝統的な「軍需企業」のほかに、国防総省のLOGCAP(兵站民間補強計画)に基づき兵站の民営化に参加する「兵站企業」、米軍の元兵士や元士官を高給で雇い戦地へ送り込む「傭兵企業」など様々である。

ところでブッシュ政権の最高幹部の前身は、例えばチェイニー副大統領はハリバートン(軍需大手)CEO、ライス国務長官はシェブロン(石油大手)役員、パウエル前国務長官はエアロスペース(軍用機)取締役、ラムズフェルド前国防長官もエアロスペース取締役といったように軍需大手や石油大手と密接な関係を持っている。

軍産複合体の強力な政治力の影響か、イラク開戦以来、兵士が使う装備の価格が急上昇している。銃器、防弾チョッキなど兵士が身につける装備の価格は1999年に7千ドルだったが、最近では4倍の2万5千ドルに値上がりしているという。また装甲車の価格は01年に3万ドルだったが、今では7倍の22万ドルに値上がりしている。

またラムズフェルド前国防長官はイラク侵攻時に大量の地上軍派兵に反対し、新型戦闘機やIT装備などのハイテク兵器の巨額な開発事業を推進してきた。その理由の1つとして「地上軍を増やすと兵士の人件費が増え、空軍と海軍のハイテク兵器開発の軍事費が減り軍需産業に不利」になることが挙げられている。

さらに民営化された兵站業務はチェイニー副大統領と密接な関係のあるハリバートン社の子会社であるKBR社がほぼ独占的に受注している。当社は兵士への給食をはじめクリーニング、住宅など陸軍への兵站支援事業と油田の消火活動や石油採掘関係の事業を行い2003年には約7500億円の売上げを上げた。

ところで米国では最近新兵の募集が難しくなっており、本来米軍がやるべき仕事の一部を米英の元将校らが経営する傭兵企業にアウトソーシングしている。国連調査ではイラクに駐留する外国兵力のうち30%を占める5万人前後が傭兵で、その数は米軍の15万人に次ぎ2番目、3位のイギリス軍の1万人より多いといわれている。

このようにイラク国内が混乱し破壊が進めばイラクへの米軍増派や復興支援などで米国の軍事費は更に増加し軍産複合体がぼろ儲けする構造となっている。軍産複合体にとって売上げを伸ばすためには戦争が拡大し継続されることが望ましいため、彼等が故意にイラクの内戦を煽っているのではないかと疑われている。

日本のイラク安定化戦略は

2007年04月21日 | Weblog
昨年末以来ブッシュ政権は北朝鮮の核開発問題で大幅な政策転換を行ってきた。その理由として米国のイラク占領政策の泥沼化が原因と言われている。もしイラクが安定化すれば米国も北朝鮮につけ込まれず、また北朝鮮も強硬姿勢をとり続けることは難しくなるだろう。イラクの安定化は日本の北朝鮮政策にも影響が及ぶ問題でもある。

現在ブッシュ政権内ではイラク政府の統治能力向上と治安回復が最大課題となっている。そこでイラク軍やイラク警察の組織化と米軍増派によって少しずつ成果をあげつつあるが、「軍産複合体」のようなイラン不安定化を望む黒幕の意を受けた諜報組織やアルカイーダの暗躍で市民を殺傷する爆弾テロは止みそうにも無い。

4月18日にはバグダッドでアルカイーダの犯行と見られる死者140人の大規模爆弾テロが起こった。従来アルカイーダはスンニ派武装組織と組んでシーア派住民を無差別に攻撃していた。アルカイーダの狙いはシーア派とスンニ派の宗派対立を激化させイラク政府の統治を邪魔することにある。

ところが最近、スンニ派武装組織もアルカイーダのあまりのひどさに絶縁を宣言した。一方シーア派の過激グループのサドル師もイラク人同士の殺し合いをやめて米軍を撤退させる運動を呼びかけ、4月9日にはスンニ派とともにイラク南部で大規模な反米デモを起こしている。

もし米軍を早く撤退させたいならイラクを安定化させることだが、アルカイーダはむしろイラクを不安定化させて米軍を撤退させたくないように振舞っている。イラクの不安定化を喜ぶのは米英の「軍産複合体」と「北朝鮮」であろう。どうやらシーア派やスンニ派は外国人で組織化されたアルカイーダの狙いに気づき始めたのかもしれない。

ところで安倍総理は4月9日、訪日中のイラクのマリキ首相と会談し、同国北部クルド地域での電力事業復興計画などのプロジェクトに対し577億円、またイラク全土の電力復興に1028億円の円借款を供与することで合意した。さらに航空自衛隊の空輸支援を継続するためイラク復興特別措置法を2年延長する閣議決定を行ったことも表明した。

これに対しマリキ首相は「日本の支援は友好の象徴」と謝意を表明した上で、改善のめどが立たない宗派対立を克服する意欲を示すとともに5月初旬に開催予定の「イラク安定化国際会議」に日本も参加するよう要請した。日本は確かに復興支援でイラクの安定化に貢献をしている。しかし今後は外交的、政治的な面でも貢献できないのであろうか。

できれば今回マリキ首相が提案した「イラク安定化国際会議」に日本も出席し不安定化要因の1つであるシリア、イランと米国の間の険悪な関係を調整する役目を果たしたいものだ。日本がもし米国の顔色ばかり覗う外交ではなく、主体性を持った外交を展開すれば、諸外国からの信頼を勝ち得て安保理事国に推されることも夢ではない。