「政治を国民の手に」国民会議

政治を国民の手に取り戻すために、腐りきった菅政権や検察、裁判所などの実態、権力と癒着したマスコミの横暴を暴きます。

党首会談の意味

2007年10月31日 | Weblog
福田総理と民主党の小沢代表が10月30日に国会内で初の党首会談を行った。マスコミは福田総理が小沢代表に対しテロ新法の協力を要請するために党首会談を開いたと報じているが、「特措法は認められない」との立場を堅持する小沢代表を説得するために党首会談を開いたとは考えにくい。

会談後、福田総理は「ねじれ国会で衆参の意見が違う状況をどうするか、一番、頭を悩ませている」と延べ「民主党は協力政党だ」とも強調している。また小沢代表も「一般論として協力できることは協力する」と柔軟姿勢を示し、31日に予定していた党首討論を延期してまでも再度11月2日に党首会談を行うことでも一致した。

会談の中身は分らないが最近の政治情勢や双方の話し振りから推測すると「政策や政局全般を通じ両党が合意できる一致点」について話し合ったのだろう。例えば年金制度改革についても意見交換したと報じられているが、恐らく民主党の「基礎年金の全額税方式」について消費税との関連で突っ込んだ話し合いがされたかもしれない。

また「テロ新法」について民主党はイエスとは言わないだろうが、ひょっとすると「テロ新法」の対案として民主党が提出予定している「ISAFへの民生支援」法案を政府や与党が丸呑みすることも考えられる。元々「テロ新法」は米国の機嫌を取るための法案であり、米国が「ISAFへの民生支援」で納得すれば政府・与党も問題ない。

いずれにしろ「衆参ねじれ国会」で自民党と民主党が双方の法案を否決しあう状況になれば国会は機能不全に陥る。それを防ぐためにも、話し合いで両党の法案をできるだけ可決する方向で協力し合おうとしているのではないか。そうなれば野党の民主党も国民に約束した政策を実現できるし、与党も円滑な国会運営が可能になる。

今までも国会の場で与野党は話し合いをしてきたが、どうしても対決基調になってしまう。そこで党首会談で福田総理は「政府・与党の譲れる限界」を示し、小沢代表との間で合意点を見出そうとしているのだろう。果たして今回の党首会談が「衆参ねじれ国会」を円滑化する特効薬になるのか、もう暫く様子を見る必要があるだろう。

日本の世界戦略は?

2007年10月30日 | Weblog
21世紀はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)の時代だと言われている。米国やEUとともに広大な国土を持つこれら大国の中で島国の日本は21世紀をどう生きていくのだろうか。日本の強みは高い「教育」レベルと高度な「技術力」を保有していることであり「科学技術立国」こそが将来の道かもしれない。

特に経済発展するBRICSは近い将来CO2の巨大排出大国になることは間違いない。これに対し日本の技術力は地球的規模の課題でもある「環境問題」を解決する切り札になるだろう。また日本のもう1つの切り札は「自国を守る以外は他国の戦争に与しない」という世界でも例の無い「平和憲法」である。

しかし世界には北朝鮮のような無法国家もある。これに対応するために日本は米国の核の傘に依存してきた。しかし米国の軍事力に頼りすぎれば、当然のことながら米国の言うことは何でも聞かざるを得なくなる。イラクやインド洋への自衛隊派遣も「国際貢献」と奇麗事をいうが、結局は米国の機嫌とりであることは間違いない。

現在世界は米国による単独覇権から米国やEU、中国、ロシアなどの列強が並び立つ多極化の時代へと向かいつつある。その中で日本が採っている対米追従政策は長い目で国益を損なうことにもなりかねない。そこで「日米安保」を中心に据えてきた日本の外交や安全保障政策を多角的・柔軟に見直す時期が始まったと言える。

そこで外務省は対中国包囲網としての「自由と繁栄の弧」構想を独自外交の1つとして力を入れようとしてきた。しかし中国との関係を最重視する米国のライス国務長官から「中国が入っていませんね」と牽制球を投げられ頓挫している始末だ。確かに2050年には世界1のGDP国になる中国を敵に回した外交が成立する訳が無い。

ここは中国が好きとか嫌いといった問題ではなく、この国とどう積極的に向き合うのかを考えることが重要だ。米国が中国に対し最も関心を寄せるのは金融、エネルギーなどユダヤが最も力を入れる分野だろう。そこで日本は米国とぶつからないようにCO2排出大国でもある中国と技術や環境面で連携することが現実的だろう。

また今後は、6カ国協議を基盤にした北東アジアの安全保障、さらには中国、朝鮮、日本、ASEANによる東アジア経済圏構想などが具体化するだろう。その中で日本は「国連中心主義」に徹し、米・中・露といった列強に対しても日本の強みである「平和主義」や「環境主義」を訴えることで「諸外国から尊敬される国」を目指すべきだ。

残念ながら現在の政府・与党は、民主党小沢代表の「国連中心主義」に対し「中国やロシアが反対したら何も出来ない」とネオコンと同じことを言って反対する。「対米従属主義」で凝り固まる自民党では、世界情勢の変化に対応できる戦略は描けない。やはり政権交代が無ければ日本は激動する世界の中で取り残されてしまう。

政治家はなぜ嘘をつく?

2007年10月29日 | Weblog
政治の世界では閣僚や国会議員、官僚の嘘が横行している。石破防衛相は「インド洋の自衛隊の補給艦はイラク戦争向けの艦船に給油していない」と嘘をつき、福田総理は官房長官の時代に「キティーホークには20万ガロンしか給油していなかったからイラクには行っていない」と嘘をついた。

また守屋前事務次官は業者との癒着を否定し、厚生労働省の役人も肝炎患者リスト放置しておきながら偶然見つかったと嘘をつく。そして嘘がばれると決まって「単純ミス」だと見苦しい言い逃れをする。戦前においても政治家や軍部が嘘をつき国民を戦争に巻き込んでいったが、その構図は現在も変わらない。

何故、政治家や役人はこのような見え透いた嘘をつくのだろうか。物事というのは必ず筋道(道理)がある。ところが目先のことに囚われて嘘をつくと筋道から外れ、それを取り繕うためさらに嘘を拡大して大問題になる。政治家や役人の場合も「その場しのぎ(無原則)」の対応がこのような「嘘の上塗り」を生んでしまうのである。

もし「テロ特措法」が憲法の原則に反していないならば「20万ガロン」と嘘を言ったり「イラク向けの艦船には給油していない」などの嘘をつく必要は無かったろう。また役人が「公僕」という原則を認識していれば「肝炎患者リストが無い」など場当たり的責任逃れの嘘は言わなかったろう。

このような嘘は民間でも同じように発生している。例えば「赤福」も彼らの経営理念という原則をきちんと守っていれば、あんな不正は行われず、また嘘をつく必要も無かった。原則を軽視して場当たり的対応をすれば問題を起こし、結局嘘をつくことになる。ところで政治家すべてが嘘つきだと言うわけでもない。

例えば民主党の小沢代表のように「原則」や「理念」にこだわる政治家は決して嘘をつかない。また彼の政策は国民の視点に立つとともに、口先だけの奇麗事ではなく極めて体系的、論理的、現実的である。しかし世の中には物事を感情的に捉えたり論理的に考えられない低レベルの政治家や評論家も多い。

この手の連中の特徴は自分としての「原則」や「論理」を持っておらず、発言内容はその場しのぎで嘘つきの人間が多い。例えば小沢代表の「国連中心主義」について「国連は中国やロシアが反対すれば何も出来ない」から「国連中心主義」は幻想だと批判する連中だ。

彼らは「国連は頼りにならない」と言いつつ、一方では「国連から謝意の決議をもらった」と大騒ぎし「テロ特措法」は正当と主張するなど支離滅裂な論理展開だ。こんな連中に政権を任せていたから嘘八百や詭弁の政治になってしまった。政治家や役人も悪いが選んだ国民にも責任はある。

世界の政治形態

2007年10月28日 | Weblog
日本最大の国家主義者の団体である「日本会議」の国会議員懇談会の設立10周年記念大会が10月6日、東京都内で開かれた。安部前総理や三好元最高裁長官から極右翼団体までが参加する同会議では福田政権が「所信表明で憲法改正に触れなかった」と批判し国家主義の後退に強い懸念を示した。

ところで現在世界には民主国家や共産国家、王政国家など様々な政治形態が存在する。これらの政治形態の特徴を対比してみると、神などの霊的意思に従う「神秘主義」に対し国民、労働者の意思に従う「世俗主義」、さらに統治者が権力の継承で選ばれる「世襲制」に対し、国民が直接・間接的に選挙で選ぶ「代議制」に分類することができる。

これを4象限のマトリックスであらわすと1)「神秘主義」&「世襲制」2)「神秘主義」&「代議制」3)「世俗主義」&「世襲制」4)「世俗主義」&「代議制」となり、夫々の政治形態を大まかにポジショニングすると1)は「王政や独裁国家」2)は「国家主義」3)は「共産主義」4)は「民主主義」と分類できる。

国民の民度が低いと「強力な権力者頼み」の1)や3)の形態になり、また政治力が低いと政治家は「神頼み」の1)や2)の形態になる。そして民度や政治力が向上すれば最終的には4)民主主義へ行き着くのだろう。ところで戦前の日本は国民の民度も低く政治力も未熟であったため軍事独裁的な国家主義に陥ってしまった。

戦後はGHQから民主主義を与えられ民度や政治家のレベルは相当高くなったが、安部前政権のような国家主義が根強く残っていることはまだ本当の民主主義にはなっていないのだろう。しかし国民は参議院選挙で安部政権の憲法9条改正や教育基本法など国家主義的動きを拒否することで民度の高さを示したのだろう。

米国でもブッシュ政権の第一期は「キリスト教原理主義」という神秘主義で国家主義的政策を進め、イラク戦争を泥沼化させる政治的失敗を犯した。第二期目では中間選挙に敗けたことでネオコンなどの理想主義的政治勢力が政権内から姿を消し、現実的政治力を持った国務省などの勢力が力を得たことでより民主主義的になった。

このように民度の高い米国や日本国民のいずれもが、ここ1年の間に行われた国政選挙を通じて国家主義や傲慢な政治スタイルにNOを突きつけている。今後、ロシアや中国など世界の非民主主義国家が健全な民主国家になるためには、国民の自立性を高めるとともに、常に民意に耳を傾け透明化を図る政治が必要であろう。

動き出した拉致問題

2007年10月27日 | Weblog
10月第4週になって「拉致問題」が急速に動き出した。10月24日には「拉致問題」に同情的であったシーファー駐日大使がブッシュ大統領に公電を送り「テロ支援国家指定解除」をしないよう求めているが、見方によっては米政府もいよいよ指定解除に踏み切ろうとしていることを示唆しているのかもしれない。

翌25日にはジョーダン一等書記官が横田滋さん等の拉致被害者を米国大使館に招き意見聴取を行った。その中でジョーダン氏は「拉致問題は日朝の2国間問題」であり「指定解除の条件に拉致問題は関係しない」との見解を示すなど、年末に向けての北朝鮮に対する「テロ支援国家指定解除」を臭わせるような発言をしている。

一方日本側も高村外相が25日の参院外交防衛委員会で「何人かでも帰国すれば拉致問題の進展であることは間違いない」との認識を表明している。また福田総理も26日に就任後始めて首相官邸で拉致被害者と面会し、北朝鮮との対話で拉致問題を解決する意気込みを示した。

ところで安部前政権は当初「拉致問題の解決」なくして経済支援も無いという強硬姿勢であったが、6カ国協議の進展や米朝接近の影響で「拉致問題の進展」でも可とするようになった。ここで「拉致問題の進展」とは巷間言われるように「よど号ハイジャック容疑者の日本への引渡しと欧州で拉致された有本恵子さんら数人の返還」の可能性が高い。

米朝国交正常化を果たしたい米国政府の圧力もあり、いよいよ福田政権は安部前政権の「圧力重視路線」から北朝鮮との「話し合い重視路線」に舵を切り始めたようだ。恐らく水面下では「拉致問題進展」の落とし所を北朝鮮と話し合いつつ、「経済制裁解除」や「エネルギー支援」に向けた筋書き作りを始めているのだろう。

交渉の最大の課題は北朝鮮の「拉致問題は解決済み」という原則論と、日本政府の「拉致被害者全員返還」とのギャップが埋まるかどうかである。日朝交渉で「拉致問題が進展」し「継続交渉」となったとしても、テロ支援国家指定が解除されれば多くの拉致被害者が歴史の闇の中に消え去ってしまう可能性も高い。

HAT-KZを撲滅せよ

2007年10月26日 | Weblog
民主党の長妻議員が税金や保険料のムダ使いについて「HAT-KZ」という略語を提案している。Hは「ひもつき補助金(中央省庁が自治体に不要な事業を申請させる)」、Aは「天下りあっせん・仲介」、Tは「特別会計(天下りを養う原資)」、Kは「官製談合」、Zは「随意契約(特定の天下り企業に高値発注)」である。

今まで自民党政権は国民向けに「行政のムダ」を撲滅するポーズだけは示してきたが、「政官業」の癒着が極まわる中で役人の税金ムダ使いは益々ひどくなっている。そのしわ寄せが増税と言う形で国民に降りかかっているのだが、増税したい政府はマスコミを操り「少子高齢化だから消費税増税は仕方が無い」という世論喚起に一生懸命だ。

ところが民主党が「HAT-KZ」で14兆円ものムダがあると指摘、消費税増税は当面不必要と<余計なこと>を言い出したため、慌てた自民党は「支出の多くは年金や社会保険の支払いであり行政コストは僅か」と言い訳けし、民主党の「行政コスト削減は夢物語」と打ち消しに必死である。

ところで一般会計と特別会計を合わせた国家の総支出は240兆円程度ある。そのうち年金や保険料、教育費など国民に直接支払っているお金は60兆円、また公務員400万人に支払われる労務費は40兆円である。これらの経費と比較しても「HAT-KZ」でムダ使いされている14兆円という数字が如何に大きいかよく分かる。

現在自民党は基礎年金の国庫負担を1/3から1/2にするために消費税を2%程度上げたいとしている。しかし14兆円のムダ使いは消費税の7%アップに相当し、ムダ使いさえ無くせば消費税アップは不要だろう。消費税を上げたい政府・自民党にとって「HAT-KZ」は決して国民に知られたくない「不都合な真実」なのだろう。

政権交代で外交はどうなる

2007年10月25日 | Weblog
米国は自由主義のチャンピオン国家である半面、冷戦時代を通じ今日に至るまで世界最強の核兵器や軍隊を保有し、また自国の国益のためにはCIAのような秘密工作機関を使って他国政府の転覆や政府首脳の暗殺も実行してきた恐ろしい国家でもある。そのため日本政府は戦後一貫して米国に忠誠を尽くす「親米外交」を採らざるを得なかった。

しかし小泉政権で極端な「媚米外交」を行ってきた自民党政府も、米国の覇権がイラク問題で陰りを見せる中、微妙な姿勢の変化を見せている。例えば「在日米軍再編に絡む普天間基地移設問題」や「在日駐留米軍経費(思いやり予算)の負担軽減」などでは、遠慮しながらも米国の言うがままにはならないようになってきた。

特に現在国会で問題になっているインド洋での海自の給油継続問題では「中断すれば日米関係を損なう」と言いつつも政府・与党内には来春以降に先延ばしする声も出てきている。恐らく防衛省の不祥事もからみ「テロ新法」の成立を強行すれば世論の反発を買い政権を失うかもしれないと思いだしたのだろう。

ところで世界情勢が激変する中で日本外交は難問山積である。6カ国協議で米国が北朝鮮の「テロ支援国家指定解除」を行えば「拉致問題」の解決は程遠くなってしまう恐れもある。また日米関係だけではなく日中関係も東シナ海の油田開発で進展は見られず、ロシアとの北方領土問題も話し合いの兆しすらでてこない。

政権交代したからといってこれらの問題が直ぐに解決されるとは思えない。しかし自民党の「対米追従外交」が、民主党政権になれば「国連中心外交」に転換する可能性は高い。小沢代表が「テロ新法」に反対するのも「国連中心主義」を外交の原則とすれば、米国の戦争に巻き込まれないという思いがあるのだろう。

だが今回の民主党の「テロ新法」反対は「米国の反発」という大きなリスクを伴う。小沢代表も米国の恐ろしさを十分認識しており「ISAFへの自衛隊参加」という代替案を打ち出し米国との間合いを計ろうとしているようにも見える。また小沢代表の東アジア戦略は米国、中国との等距離外交を進める「米中日二等辺三角形論」である。

しかしこれも中国利権を巡り米国との間で対立を生む心配もある。いずれにしろ政権交代で「国連中心主義」外交が展開されれば対米追従の「ぬるま湯外交」と異なり、米国や近隣諸国との間でタフな外交を強いられるだろう。しかしタフな外交交渉力が身につかなければ中国やロシア、北朝鮮との間に横たわる外交諸問題の解決は難しい。

長期政権が生み出した役所の腐敗

2007年10月24日 | Weblog
臨時国会が10月1日に再開するやいなや「インド洋での海自補給艦の航海日誌破棄問題」や「政府が発表した給油量のミスが4年前に把握されていた事実」、さらに極めつけは「守屋前事務次官と業者の接待疑惑」など防衛省内部のずさんさな管理体制が次々と明るみに出ている。

安部前政権では農水省の官製談合や社会保険庁の年金着服などの不祥事が世間を騒がせたが、これらの問題が片付かないうちに今度は厚労省の肝炎患者リスト放置問題や防衛省の不祥事やである。どうやらこのような「ずさんな管理体制」は農水省や社保庁、防衛省、厚労省だけにとどまらず全ての役所に内在する問題なのであろう。

国民が「お上」と恐れ敬う役所が何故これ程までに腐ってしまったのか。どうやら今回の守屋前事務次官の例に見られるように「高級官僚」と「業者」、またそれに与する「政治家」らの癒着が根本原因にあるようだ。確かに甘い汁を吸っている「偉い人」の姿を部下の役人が間近で見ていれば、それを真似したとしても罪悪感は全く無いのだろう。

また腐敗が役所にはびこっても税金で動く役所は民間企業のように倒産することは無い。こうして役人や政治家による税金ピンはねが常態化すれば行政コストは天井知らずになり国家財政を圧迫するのは当然だ。そして人間社会の常ではあるが、管理体制の緩みは役人同士の抗争を助長し内部告発合戦となり不祥事が世間に明らかになる。

このような不祥事は与党が衆参両院で過半数を占めていた頃は、役所が与党政治家を動かし蓋をしてきた。しかし「ねじれ国会」で野党の力が強まるにつれ隠しきれなくなっているのだろう。いずれにしろこのような役所のモラル低下は自民党政権が長く続きすぎ、役所に緊張感がなくなったことが最大の原因であることは間違いない。

揮発油税を環境税に

2007年10月23日 | Weblog
年末の予算編成に絡み「道路特定財源」の「一般財源」化が話題になっている。道路を作りたい国交省や道路族は「一般財源」化に反対し、赤字財政や税不足を解消したい政府や財務省は「一般財源」化を目指している。またマスコミは「道路特定財源」のままでは無駄な道路が作られるので「一般財源」化に賛成との論調が多い。

しかし「一般財源」化すれば税金の無駄使いが減るという保証は無く「行政コスト削減」の努力が行われなくなる恐れもある。といって今までのように無駄な道路をどんどん作れば良いというものでもない。これに対して民主党は「道路特定財源」の8割を占める「揮発油税」を「環境目的税」とする構想を打ち出している。

この構想は「消費税を基礎年金の財源にあてる」ように「温暖化の元凶であるCO2の発生源であるガソリンの税金をCO2削減対策等のために使う」という目的税化であり国民の目には分かりやすい。来年4月には揮発油税に上乗せしていた暫定税率の期限が切れるが、税率維持を巡って政府・与党と民主党の間で激しい火花が散りそうだ。

参議院選挙で惨敗した自民党は執行部に道路族の重鎮である二階総務会長や古賀選対委員長を据え、地方対策として道路を求める地方や土建業者の声に応えようとしている。確かに地方の疲弊を救うことは重要だが、民主党には「土建事業」から環境税を活用した「環境事業」への転換を促進する政策も打ち出して欲しいものだ。

この分野では民主党と統一会派を組む新党日本の田中前長野県知事の得意分野でもあろう。是非彼の「脱ダム宣言」のノウハウを国政にも活かして欲しい。一方、民主党が政権を取れば「環境事業」が政官業の癒着の温床になるのは明らかだ。そこで自民党の二の舞にならぬよう、民主党の公約には「政権与党は企業献金の禁止」を掲げて欲しいものだ。

国の財政再建を図るには

2007年10月22日 | Weblog
現在国は800兆円の借金を抱え、今もその借金は増え続けている。ところで企業経営の視点から財務体質の改善を図るためには1)売上げを上げる、2)単価を上げる、3)コストを低減する、の3つしかない。現在のような競争の厳しい時代は外部環境の影響を受ける1)売上げアップ、や2)単価アップ、は非常に難しい。

従って多くの企業は内部努力で実現が可能な3)コスト低減、に全力を挙げざるを得ない。しかしコストを低減するためには社内のムリ・ムダ・ムラを減らさざるをえなく、日産自動車のゴーン社長のようにトップが先頭に立って大胆な機構改革や社員の意識改革を進めなければならない。

国家も財務体質を改善するためには1)納税者を増やす、2)増税する、3)行政コスト低減、しかない。しかし経済成長が頭打ちになる中、1)は少子高齢化で納税者は減少し、2)は国民生活を圧迫する。そこでやはり3)の行政コスト低減、が必要で、そのためには総理大臣が先頭に立ち国家(=官僚)機構を改革する知略が必要だ。

ところで平成19年の8月に渡辺行革相が「独立行政法人の整理・合理化案」提出を各省庁求めたが「ゼロ回答」だっため、マスコミは「行政改革に対する官僚の徹底した抵抗、意識の低さにはあきれる」と報じていた。しかし民間企業でも部門長に組織合理化案を出せと言っても出るわけが無い。

何故なら夫々の部門長は自分の担当する組織は最も合理的と考えているからだ。しかしそれは「部分最適化」であり「全体最適化」にはなっていない。行政の「全体最適化」は民主党の小沢代表が打ち出した「補助金行政の廃止」が好例だろう。「全体最適化」を考えるのは幹部社員ではなく社長であり、行政では官僚ではなく行政トップの総理大臣だ。

こんなことが分らないほど渡辺行革担当相もマスコミも馬鹿ではないと思うが、もし分っていたとすればゼロ回答は「やらせ」としかいえないだろう。では何故こんな「やらせ」をしたのか。今の政府・与党は官僚に操られており、国民の手前「官僚と対決」するパフォーマンスはやっても役人の嫌がることは基本的にはできない。

過去に自民党がやってきた「省庁再編」などの行政改革も、結局どれだけコスト削減できたかという具体的な数値が挙がったことは無い。これだけ頑張ったから「増税」させてくれという言い訳のために、何の効果も挙がらない「行政改革」をやってきたのが現実だ。それが証拠に現在、行政は肥大化し、べらぼうな借金だけが残ったのである。

今回の「やらせ」で最も考えられるのは、消費税などの「増税」のための布石であろう。各省庁に「ゼロ回答」を出させ、一方手なずけておいたマスコミを通じ「独立行政法人の廃止」はこんなに難しいと国民に思わせ、その後小手先の対策をやって、こんなに苦労したのだから消費税アップを認めてという戦略だろう。

国民も政府・与党のこんな詐欺に騙されてはいけない。民主党は「談合・天下りの根絶」「特殊法人・特別会計廃止」「公務員労務費削減」「補助金一括交付化」で全体として13兆円の「行政コスト削減」を提案しているが、自民党も民主党と同程度の精度でよいから国民の前に数字をきちんと出して「行政コスト削減」競争をして欲しいものだ。