テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

「茶々の恋」~恋物語その3

2011-05-30 08:44:29 | 大河ドラマ
いや~~、今回は予想に違わず、茶々の演技に引き込まれてしまった。もちろん、今週の一押し、ツボ中のツボは宮沢りえ演じる茶々に決定! もうこうなりゃ、戦国ドラマなんて形だけの看板は下ろして、悲恋ドラマとしてリニューアルしてはどうだろうか? 史実と異なっていようが、歴史考証がどうであろうが、宮沢の演技がここまで真に迫っていると、そんなことはどうでもよくなってくる。これはこれでいいんではないかな?な~んて思えてくるから恐ろしい。秀吉と同じく、茶々の魅力にすっかり嵌まってしまったのかも知れない


(江…達者でおるか?)
京極家に嫁いだ初からの手紙を、江が読んでいる。文面は実に他愛ない。城からは懐かしい琵琶湖が見えるし、食べ物は美味しいし、何より高次様に愛されてる、ってノロケまくりの内容だ。「私はこの国一の幸せ者じゃあ~~!!」と、初が城から叫ぶシーンまで描いている。花火が炸裂する効果音まで入れて…。能天気すぎて、見てるこちらまでアホらしくなった。

「またにござりますか?」
江の傍らで見守っていた侍女が呆れ顔で尋ねる。「そうじゃ…また届いたのじゃ」江がうんざりした顔で文箱を開けると、そこには山のように積み重なった初からの手紙。
「ノロケておる場合かぁ! こっちで起きていることも知らずにぃ!!」と怒り、手紙を筆箱に収めると、蓋をバーン!と閉める。
江は、茶々が秀吉をビンタしたことと、そのあとに号泣したことが気掛かりでならなかったのだ。

「初は幸せそうで何よりじゃな…」
茶々は、江と一緒に食事しながらそう話すが、心ここにあらずの様子。侍女が秀吉のことを話し出すと、慌てて箸を落としてしまう。
「京都で普請中の聚楽第が間もなく完成するそうで…。諸大名が競って寄進し、大坂城に劣らぬきらびやかさだとか」侍女の説明を受け、江が「どうせ金キラキンの悪趣味な城であろう。ねぇ、姉上」と話し掛けても上の空。
茶々に直接、本心を聞き出せない江は、龍子に意見を聞きに行く。

「お茶々様が殿下の頬をねえ…」
龍子は、自らの頬をピシッと叩くジェスチャーを交えながら意味ありげに微笑む。

「それは…悋気というものですよ」

「りんき?」

「や・き・も・ち…側室に焼きもちを焼かれたのね」

茶々の恋心に、とっくに気付いている龍子は、自信たっぷりにそう断言する。

「よほどの想いがなければ、あの冷静沈着なお茶々様がそんな馬鹿なことをするわけないわ」

「でも秀吉は敵なのですよ!」

「だから…だからよ、ご自分の気持ちを認めたくなくて、お悩みじゃないのかしらねぇ」

「龍子様…何でもかんでも、男と女の話にしないで下さい!」

「あら、でもそうよ」

龍子の答えに納得できない江は憤然として部屋を出てゆく。
「フフフッ、何だか面白くなってきたわねぇ」龍子は一人楽しげに呟く。
しかし、この龍子、台詞が現代口調すぎやしないか? のだめ丸出しの江よりも、更に現代的な言葉遣いではないか! ドラマのコンセプトがコンセプトだから、まあこれでもいいけど

次に訪ねたのは利休の茶室。
「龍子様の言わはる通りかも知れまへんなあ。おなごが想いに駆られて、叩いたり泣いたりする時は、そんなもんやないかと…」と、龍子と同じようなことを言う利休に、江は食って掛かる。「姉上に限ってそんなこと!」

だが、肝心の茶々に本心を尋ねられないでいることを打ち明けると、ズバリこう指摘される。「…ということは、お江様もお気づきではないんですかな? 茶々様が殿下に想いを寄せられていることを…」

「私は利休様も、利休様の立てる茶も好きです。でも、今のお言葉は許せません…」江は悲しげな顔になり、茶室を出て行った。

「分からん…おなごの気持ちはさっぱり分からぬ」
秀吉が厠で踏ん張りながら呟いている。秀吉には茶々の真意が全く伝わっていなかった。
「なぜ頬を叩かれたのかのお…」厠から出た秀吉が腑に落ちぬ顔で廊下を歩いていると「事件現場」の縁側で茶々とばったり出くわす。

「いやいや、今日もよう晴れましたなあ…」話題を逸らせながら、何気ない風で茶々に尋ねた。「先だって、お茶々様が頬を叩かれた訳は?」

「耐えられなかったのです! 昼日中から若い側女と戯れることが…。何より、そのお顔、お姿が嫌なのです!」

茶々から手酷い言葉を投げつけられた秀吉はすっかり落ち込む。
「今すぐ聚楽第に行く! 大坂にいることは耐えられないのじゃ~!」寝室に戻った秀吉はベッドの上で布団を被りながら、おねの前で駄々をこねる。
「お茶々様のことですか? 女房の前でヌケヌケと…」呆れるおねだったが、茶々にビンタされた一件を聞くと顔色が変わった。「お茶々様がお前様を叩いた?」

おねも茶々の恋心には勘づいていた。知らぬは当事者の秀吉ばかりなり、ってところだ。
大竹しのぶの、微妙な表情の変化で感情を表す演技はやはり絶品だ。そう言えば、大竹もかつては上野樹里と同じく天然女優の異名を取っていたが、当時から演技力には定評があったなあ…。

秀吉が大坂を去ると聞いた江は大喜び。中庭に向かって「猿がいなくなるぅ~! 猿よいなくなれぇ~!」と叫ぶ。同席していた茶々は、口では江に同意しつつも、表情は寂しさでいっぱい。宮沢も、微妙な表情の変化だけで複雑な感情を表せる。大竹と宮沢の確執がますます楽しみになってきた。

その夜、庭の東屋へ茶々を呼び出した秀吉は、再度プロポーズを試みるも「あなたは…父と母の敵です!」と、またしても拒絶される。
「本日このときをもって、キッパリ諦めまする」と言って去ろうとする秀吉を茶々が呼び止める。
「力ずくで我が物にしようとは思わぬのですか?」
茶々の婉曲な愛情表現も秀吉には通じない。「普通のおなごならそうしていたでしょう。では…」と言い、去って行った。

翌日、聚楽第に向かう北政所ら秀吉の家族一向が、茶々と江に挨拶をする。

「あの…関白殿下は?」と心配顔で尋ねる茶々に「一足早く立ちました」と答えるおね。
龍子が「お茶々様は殿下の頬っぺを叩かれたとか…。私もあの側室はチャラチャラして嫌いでした。すっきりしましたわ。ですよねぇ…」傍らのおねに同意を求める。「フフッ、そうじゃなあ。夫には良い薬です」おねは頷くが、やはり目は笑っていない。このピリピリした緊張感。女達の腹の探り合い。こりゃ完全に大奥の世界だよ。ヒィー! 恐いよぉ~~!!

いきなり場面は半月のち。秀吉が京都で催した北野大茶会のことも、侍女たちの説明だけでスルーしてしまった。歴史的な一大イベントが完全スルーで、恋愛模様は嫌というほどコッテリ見せつけられる。こういうパターンにもすっかり慣らされた。

塞ぎ込んでいた茶々だったが、「聚楽第から関白殿下がお見えになりました。お茶々様にお逢いしたいとお仰せです」との報を受けると、侍女にも不審がられるくらい“いそいそ”と秀吉の元へ赴いていった。
久しぶりに逢った秀吉が茶々に告げたのは名門公家との縁談。政の道具にする気かと茶々は怒るが「決して政略結婚ではなく、お茶々様に幸せになって頂きたいとの思いからです。せめてもの罪滅ぼしです」秀吉が頭を下げる。「そこまで考えて頂いたのなら…お受けいたします」と茶々は即答した。

茶々の縁談成立を誰より喜んだのは江だった。「やっと猿も姉上のことを諦めたか!」
だが茶々は浮かぬ顔。夜半、寝所で寝床に就くとき江も「姉上はあまり嬉しそうではなかった」と侍女にこぼす。「そう! わたくしもそう思っておりました。でも、姫様とお別れになるのがお寂しいからでしょう」と言われ「そうじゃな…」と、江も無理やり自分を納得させる。


茶々は、秀吉との逢瀬の際に交わした言葉を忘れられず、例の東屋に来てしまう。そこへ偶然、秀吉が通り掛かった。秀吉も、眠れぬから来てしまったと言う。
一礼して立ち去ろうとする秀吉に茶々が尋ねた。
「なぜですか?なぜ、私に縁談など…。私を側室になさりたかったのでは?」

「それは諦め申した。いや、諦めきれぬから縁談を持ってきました。己れの気持ちにけりを付けるために…」

「ならば三成を寄越せばよいこと…」

「それは…己れの口からお伝えしたかったから…いや、ひとめお茶々様にお逢いしたかったからでございます…いやいや、これはまた未練がましい。こうしていては、また未練が募ります。これにて御免!」

再び立ち去ろうとする秀吉に、茶々が精一杯の想いをぶつける。

「未練を持つなら、いっそ持ち続けるべきではありませんか! 幾度か断られたぐらいで諦めるのは、それしきの想いしかないからでございましょう!!」

「そのような…」

「…そうなのです!」

燃えるような眼差しで訴え掛ける茶々。秀吉もついに茶々の真意を悟った。表情を“オス”の顔に一変させ、茶々に駆け寄り手首を掴んだ。

「お離しなされっ!」茶々は反射的に身を翻し拒絶の言葉を吐くが、もちろん本意ではない。手を振りほどき秀吉と向かい合う。「そなたは敵(かたき)じゃ…父と母の敵じゃ…」言葉とは裏腹に、もはやそこに秀吉への敵意はなかった。

「さよう、敵にござります。ならばこそ、あなた様に尽くします。尽くして、尽くして、あなた様を命懸けでお守りいたします。この手で…守り抜いてみせまする…」膝まずいて茶々の手を取って誓うや、立ち上がり茶々を固く抱き締めた。

「そなたは…敵じゃ…敵じゃあ…」茶々は涙に溢れ、言葉もかすれ、ただただ秀吉に身を委ねた。
「守り抜きまする…」茶々の耳元へ押し殺したような声で囁くと、秀吉は更に強く茶々を抱き締めた。その想いに応えるかのように、茶々も秀吉の背に手を回してきつく抱き締め返した。
大きな満月の下、狂おしく抱き締め合う二人のシルエットが一つになった…(このシーンで流れる甘く切ないバラードのBGMが、これまたいい!)。


書いていても照れ臭くなるくらい、熱烈なラブシーンだ。大河ドラマでこんな迫真に満ちたラブシーンは見た記憶がない。NHKだから卑猥な描写はもちろんないが、二人の情熱の現し方が半端ではないほど凄い!

宮沢は今回で5回目の大河ドラマ出演だ。2003年にはフジの年末時代劇『太閤記 猿と呼ばれた男』では、なんとなんと、お市の方を演じている。その時の画像と、今回の画像とを見比べてみるとかなり印象が違う。





上が2003年で、下が今回のものだ。可憐さというか若々しさではもちろん8年前の方が勝っているけど、艶かしさというか憂いを帯びた深みという点では今の方が格段に勝っている。今の宮沢りえだからこそ、あんな狂おしく切ないラブシーンを演じられるんだと思う。ただ可愛さや若さだけで勝負している女優には、絶対に演じられない境地にまで宮沢は到達している。

相手役の岸谷五朗も、感情表現の巧みさはずば抜けている。今回の大河はマンガチックな演出が目につくが、シリアスな演技をしたらそこはやはり舞台出身だけあって素晴らしい。ラブシーンはやや誇張されてはいたけど、その誇張さ加減が絶妙で唸らされてしまう。

宮沢と岸谷は2004年に日テレのドラマでも共演しているので、息が合ってるのかなあとも思う。





シリアスさがまるで違うから単純比較はできないけど、宮沢の、女優としての進化(深化?)は一目瞭然ではないかなあ?

来週のサブタイトルは「豊臣の妻」。予告編を見ると、おねと茶々との間に相当、確執が出てきそうな感じ。ストレートな台詞やジェスチャーに頼らず、表情や言葉の行間だけで、どれほど女の性(さが)を醸し出せるのか注目だ。
「江ワールド」は見方をちょっと変えるだけで、意外な奥の深さが感じ取れるし、非常に楽しめると思うよ~

『地球が静止する日』~現代文明への警告

2011-05-29 07:00:02 | ニュース・時事ネタ
「人類は地球で最大の寄生虫」

「人類は地球に対して、あまりにも暴力的すぎた」

「我々は人類が自ら変わるのを待った。しかし人類は変わらなかった」

「地球が滅びれば人類も滅びる。人類が滅びれば地球は救われる」

「地球のように生命に満ち溢れた惑星は宇宙の中でもごく僅かしかない。その惑星は守らねばならない。そのために我々は、人類を滅ぼすことを決意した」



…以上は、27日(金)に日テレで放送された米映画『地球が静止する日』で、キアヌ・リーブス演じるエイリアン「クラトゥ」が人類に送ったメッセージだ。

映画は、ニューヨークに光り輝く謎の巨大球体が降りてくるところから始まる。同時に世界各地にも同じ形の小型球体が降りてくる。
人類には、これらが何の目的でやって来たのか全く分からない。CTスキャンを使っても透視できず、ガスバーナーでも燃えず、ダイヤモンドヘッドのドリルでも傷ひとつ付けられない。
巨大球体から降りてきたエイリアン(クラトゥ)は銃撃され、軍に身柄を拘束されるが、特殊な能力で人間を翻弄し、たちまち脱出してしまう。クラトゥは逃亡劇のさなか、拘束中に立ち会った科学者ヘレン(ジェニファー・コネリー)に連絡を取り、行動を共にする。球体は「ノアの方舟」であり、地球上の生物を乗せて宇宙へ一時的に脱出させたあと、人類を滅亡させるためにやって来たのだと、地球来訪の目的を告げる。その時、同時に告げたのが冒頭のメッセージだった。

このメッセージの内容自体は、現代文明に対して発せられ続けてきた普遍的な警句ではある。SF作品においてはお馴染みのものともいえる。が、大規模な原発災害の渦中にある今の日本で聞くと印象は一変する。あたかも我々自身に突き付けられた最後通諜であるかのような、恐るべきリアリティさを持って迫ってくる。
原発、ひいては原発がもたらす膨大なエネルギーによって成り立っている人間社会に対する警告に思えてならないのだ。

福島での原発事故を受け、政府は原発政策を白紙から見直し、再生可能エネルギーの開発を促進すると表明している。当然の対策だし、そのこと自体はいい。だが、肝心の点には触れられていない。いや、官民とも意図的に無視している。その点とは、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とせざるを得ない文明社会の在り方そのものに対する再検証だ。上記の対策は、あくまで現状と同等のエネルギー供給を如何にして確保するか、その一点に矮小化されている。仮に代替エネルギーによって同等の電力が供給可能になったとしても、現代文明の持つ病理は何一つ解決されない。エネルギー消費そのものを減らし、環境への負荷を低減させない限り破綻は避けようがない。若干は延命するだろうし、多少は破綻の形が変わるかもしれないが、それだけのことだ。

日本の電力政策のいびつさは、電力消費量の推移に如実に現れている。バブル全盛期より、不況に喘ぐ現在の方が電力消費は倍加しているのだ! 官民一体となり、電力を大量消費するシステムを作り上げ、多くの電力なくしては生活できない社会にしてきたからだ。結果、電力会社は「需要に応えるため」との大義名分を得て、原発政策を推進できた。
麻薬を投与して依存症に陥らせ、相手の方から麻薬を求めざるを得ない状況を作り出す、麻薬犯罪の手口となんと似ていることか。

もちろん問題は日本一国だけではない。文明社会全体の問題である以上、全人類共通の大問題であることは言うまでもない。

今、人類は国や地域を問わず、際限なき欲望を充足させるため、ひたすら経済成長路線を邁進している。地球が数億年も掛けて蓄積してきた地下資源をたった数十年で浪費し、人類誕生以前は1000年に1種の割合でしか絶滅しなかった生物種を、1年で1万種も絶滅へと追いやるようになり、1年で日本の四国に匹敵する面積の森林をも消滅させている。
これで資源が枯渇しないとか、環境破壊が地球の許容限度を越えないとか考える方がどうかしている。拡大路線を無批判に擁護する専門家は、「日本の原発は絶対に安全だ!」と言い募り、批判的意見を封殺してきた御用学者と同根だ。

人類がどれほど専横を極めたとて、自然界が一方的に搾取・破壊されるままということはなかろう。大自然の力は偉大だ。自然界がひとたび牙を剥けば、人間などひとたまりもない。それこそがまさに東日本大震災であり、それに続く巨大津波だった。
東京都の石原都知事は今回の災害を「ある種の天罰」と評し批判を浴びた。が、東北地方の住民への天罰ではなく、人類全体、あるいは現代文明そのものに対する天罰だと捉えれば、あながち間違ってはいないような気がする。たまたま、矛先が東北地方に向いただけではないかと思うのだ。
同じように、かつてヨーロッパを襲った記録的な熱波、オーストラリアを襲った大干魃、アメリカ南部を直撃した巨大ハリケーン「カトリーナ」なども、大自然の怒りであり、人類への強烈なしっぺ返しなのではなかろうか?



さて、話を映画に戻す。
ニューヨークのセントラルパークに、巨大球体と共に降り立った巨大ロボットを、米軍がありとあらゆる兵器で攻撃するが無論、全く歯が立たない。ダメージを全然与えられないだけではなく、攻撃すればするほど、金属製の虫のようなものが大量発生し、それが人間や、人間の作った人工物をあっという間に腐食させ消滅させてゆく。

金属製の虫は無限に増殖、拡散してゆき、いよいよ人類滅亡は時間の問題となった時、ヘレンらが「人類は窮地に陥った時、必ず変われる! もう一度だけチャンスを与えてほしい!」と、クラトゥを懸命に説得。その言葉を信じたのか、クラトゥは金属製の虫を一瞬にして消し去り、最初に地球にやって来たのと同じ球体に乗り、地球を去って行った。

テーマはタイムリーで、メッセージには説得力があったが、映画としてはやや物足りない。さんざん裏切られてきたのに、クラトゥがあっさりと人間の言葉を信じて去って行ったのがどうも納得いかない。予定調和に過ぎる。もっとひと波乱、ふた波乱くらいあって、予想もしないどんでん返しがあってもいいいんではないか? 予算の都合もあって難しいのかもしれないが、せっかくの最新CGがもったいない。攻撃シーンや金属製の虫の襲来シーンが、単なる壮大な前振りになってしまっている。あれだけの大仕掛けをしておいて、最後はあんな呆気ない幕切れかと、がっかりさせられた。トム・クルーズ主演の『宇宙戦争』にも通じる空しさだ。

個人的な評価は5点満点中で2点くらい。テーマがタイムリーなことを加味しても、せいぜい3点くらいかな?

★★★☆☆



「初の縁談」~恋物語その2

2011-05-27 07:38:37 | 大河ドラマ
初っぱなから訂正…先週、初と二人っきりになって見合いしたのは秀勝ではなくて高次だった。秀勝は江の夫になる人だよねぇ

で、またしても遅れに遅れた江のレビューだが…今週も、先週の延長みたいな話。一から十まで恋愛話ばっかり。こういうドラマだと受け入れるしかないか…。


「姉上が猿の側室にぃぃ!?」
初が中庭の向こう側から叫ぶなり、映像早回しで廊下をぐるっと半周して江の部屋へ。「でも姉上はキッパリ断った」と江から聞く。「当たり前じゃ!」と返すや、傍らのお菓子に手を伸ばすも、(菓子は嫌いです…)という京極高次の顔が浮かび食べるのを止めてしまう。

(秀吉が約束を破った!)と怒り心頭の江は秀吉に直談判に及んだ。
「姉上に手を出さないという念書は?」と詰め寄る江。側に控えるおねが侍女に目配せし、念書を持って来させる。
「声に出して読め!」と、またや命令口調で迫る江。投げやりな口調で秀吉が読み上げると「それはどうなってるんですか?」と問いただす。
「今はそんなことは考えておらん」と秀吉が答えると「今はぁ!? ということは、この先は考えるということぉ~!?」ヒステリックに責め立てる江に秀吉はタジタジ。江はこの時点でもまだ14歳くらいの筈。中坊にタジタジの天下人って…(呆れ)

初は龍子の部屋へ。「弟も初様のことを憎からず思ってるようですよ~」って龍子の言葉に喜色満面の初。が、「でも三姉妹は信長公の姪だし、もっといい使い道があるだろうから結婚は難しいかも…」という言葉に一転して顔を曇らせる。

茶々の部屋へ駆け込んだ初は「猿は私達を政略結婚の道具にする気なんですぅ!」と号泣する。「高次様と結婚できるよう秀吉に頼んで下さい!」と茶々にすがる初。「そんなこと頼んだら秀吉が姉上に何をするか…」江が危惧を露に反対すると「どうすればいいのじゃ~! わ~~ん!!」と初は泣き崩れる。

数日後、京へ上った秀吉が新築後間もない聚楽第へ家康を招いた。
「それにしても立派な屋敷ですなあ~!」と、ひとしきり社交辞令を述べたあと「殿下はちとお疲れですかな? おなごのことでお悩みですか? いやいや驚きましたぁ、天下人でも思いのままにならぬ方がおいでとは!」と、見事に秀吉の悩みを言い当てる。家康が鋭すぎ。テレパシーでもあるんかいな? で、家康の登場場面はこの3分足らずのシーンのみ。今週もまた端役扱い。出番が短かすぎ。キャラ設定がどう変化したかどうか以前の問題だな

場面は再び大坂城。初が、初めて高次と出会った渡り廊下で想いに耽っていると、後ろから当人が声を掛けてきた。
「この前、初殿の嫌いなものを聞き忘れてました。お嫌いなものは?」と、屈託なく問う高次に「私が嫌いなのは…あなたのように、仕官のために己れの姉を側室に差し出すような男です!」吐き捨てるように答えると、またまた茶々の部屋へ。
「どうせ秀吉の命令で、何処かへ嫁に行かされるのじゃあ! あ~~ん!!」またまた泣き崩れる初。同じようなシーンを2回もやらんでいいのじゃあ! あ~~ん!!と、見てるこちらが泣きたくなった

初の健気な恋心に、茶々はついにある決意をする。その夜、大坂城に戻った秀吉の元へ乗り込んだ茶々は「初の想いを遂げさせてやって下さい」と頭を下げる「それでは今まで初殿のためにしてきたことが一切無駄になる。ワシに何か見返りを下さるのかぁ?」秀吉がいやらしい~目で訊くと「初の縁談がまとまったらお答えします」と思わせ振りな答えを返す茶々。三姉妹の中で、大人の男女のドロドロした恋愛劇を演じられるのは唯一、この茶々だけだな。大河ドラマというより昼ドラみたい。こういう腹の探り合いをリアルに演じられるほど、宮沢りえが大人の女優になったんだと思うと何だか感慨深い。もし相手役が中村勘三郎だったりしたら、ドロドロさ加減が更にリアリティを増すとは思うが…それではリアル過ぎて逆に怖いか…



それから何日かあと、秀吉が京極高次と姉の龍子、初ら三姉妹を一室に集める。その席で高次は、初に正式にプロポーズ。が、初は険しい顔のまま「関白殿下に命じられたから仕方なく?」と詰問する。「己れの姉を側室に差し出した高次様のことを、姉は信じられないのです…」江が初の真意を説明する。
「そうではありませんよ。私は既に側室だったのです」と龍子が釈明。「私が殿下にお願いし、仕官の道を手に入れたのです」
続けて高次が「初めて会った時から初殿に惹かれておりました」と告白すると、初は恥ずかしくなって座敷を飛び出した。後を追い掛けてきた高次に向かい初は問うた。「私は菓子が好きです! それでも私を嫁に…?」
「ならば私も菓子が好きになるよう努めまする」高次が爽やかに答えると初は嬉し泣き。見守る龍子や江は「よかった、よかった」と笑顔だが、茶々だけはチラッと秀吉の方を見つめて一礼し、思い詰めた表情に…。

それから一ヶ月。初の嫁入りの日が迫る。初は高次のために菓子断ちを宣言する。茶々は「母が娘を送り出すような心持ちじゃ。母上はこのような思いを味わうこと、出来なかったのじゃな…」と、しんみり呟く。
そこへおねが、道中の安全祈願のためのお札を持ってやってくる。おねは複雑な表情で茶々を見つめる。

いよいよ初が近江へと旅立つ日がやって来た。江は「私は姉様に“嫌ならいつでも戻って参れ”と言われたので戻ってきてしまいました。私はそんなこと言いません。いつまでも、いつまでもお幸せに…」
茶々は「私が母上の代わりじゃ。私の居るところが、そなたの家じゃ…」
三姉妹が手を取り合って感涙にむせぶ。

初が嫁いでいった夜、江が侍女に尋ねた。「姉上が縁談をまとめるため、秀吉に働きかけたのではないのか?」江は異常に勘が鋭い。家康以上だ。本能寺の変の時もそうだったし…。霊感少女だな、こりゃ

一方、茶々は覚悟を決めて秀吉の元へ。「私の身を自由にして下さい。でも側室になるのだけは嫌です…」
目を閉じた茶々にキスするのかと思いきや、秀吉は「戯言にござる」と呟いて話題を逸らす。「ワシは幼い頃しょっちゅう腹を空かせていて、月を見るたび大きな餅に見えてしょうがなかった」と、夜空の満月を見上げながら茶々に話し掛ける。
「では、三日月ではダメですね」茶々の返事に対し「なあに、かじった餅の残りと思うておりました」ウィットに富んだ答えに、思わず笑みがこぼれる茶々。
「笑うと更にお美しいのお…」戸惑いを見せる茶々に「もしも、ワシが敵でなかったら、想いを受け入れて頂けたのかと…いやいや、未練がましゅうござったな…」意外なほどの純情さを見せる秀吉に心惹かれてゆく茶々…。

それから数日後。江と二人、廊下を歩いていた茶々は、縁側で紅葉狩りしながらダンゴを頬張る秀吉に出くわす。
「帰りましょう」と促す江に「いや、ご挨拶していこう。初のことでは世話になった。そなたも礼を言わねば…」と、秀吉に歩み寄ってゆく。
と、そこへ庭から上がってきた若い女が秀吉に寄り添い「殿下~ こんなに紅葉が赤々と…」と言いざま、ほっぺにチュー! 「殿下の頬にも美しい紅葉が付きました~
ハァハァ~とヤニ下がる秀吉。三成に呼ばれ「何じゃ~?」と振り向くと、そこに茶々の姿。秀吉は息を呑み、慌てて立ち上がると「ご機嫌うるわしゅう。良き日和ですなあ」と、平静を装って挨拶する。
で、その女はっていうと「わたくし新参の側室、トヨと申します」ってな具合に、全く照れもせず無邪気に自己紹介する。
「ずいぶん若いご側室ですねえ」少々嫌味ったらしく茶々が言う。「いやいや、お茶々様と同じ巳年の生まれで…」と秀吉が言うや否や、茶々が(バシッ!)と思いっきり頬を叩いた! 江やおねや茶々にまで、叩かれたり引っ掻かれたり…可哀想な秀吉

唖然とする秀吉を尻目に、一目散に廊下を走り自室へ駆け込むと、茶々は声を上げて泣き始めた。
「なぜ泣いておられるのですか?」江の問いにも「分からぬ…私にも分からぬ~!」と、ただただ号泣する茶々だった。


今週のツボは、圧倒的に茶々を演じる宮沢りえ。抜群に光っていた。心ならずも秀吉に惹かれてゆく微妙な女心…こういう難しい役どころを演じ切れるとは凄い。名女優の域に達してるといっても過言ではないと思う。やはり、実生活で色恋沙汰の修羅場をくぐってきてるから、それが活きてるのかなあって思ってしまった。
来週のサブタイトルはズバリ「茶々の恋」。予告編では満月の下で「そなたは敵じゃあ…」と、嗚咽しながら狂おしく秀吉と抱き合うシーンもあったし、大いに期待できそう。当分の間、宮沢の演技から目が離せそうにない!

「恋しくて」~三姉妹の恋物語

2011-05-18 05:35:49 | 大河ドラマ
今週の『江』はサブタイトル通り、三姉妹の恋物語一色。家康は出番が少なすぎて、キャラ設定がどう変化したのかさっぱり分からず…。で、その件は来週以降に先送りってことで、取り敢えず今週の主役、次女の初を中心にレビューを書いてみようと思う。

1587年正月、またしても座敷に親族一同を集め、大自慢大会を始めた秀吉。司会進行役の三成がやたらハイテンションで仰々しい。
「こたび殿下は、源・平・藤原・橘に連なる豊臣姓を賜り、畏れ多くも天皇家とご親族になられたのでござりまする!」と声を張り上げる。続けて巻物を持ってこさせ、ビロ~ンと拡げると、そこに長々と記されていたのは豊臣家のインチキ家系図。
「大政所様が禁裏から尾張に下られ、そこでお産みになられた方こそ、関白秀吉公に他なりませぬ!」と、三成がインチキな出生秘話を披露したもんだから、親族からは苦笑や失笑の嵐。悦に入ってるのは秀吉ひとりだけで、まさしく猿芝居+裸の王様状態。
まあ、成り上がりの権力者ほど、華麗なる系譜をでっち上げたがるもんだ。近年でいえば北朝鮮の金一族もその類だしなあ…。

そのあと議題は一転。九州攻めの軍議へと移った。
「また戦かあ…」同席していた初と江の姉妹が憂鬱そうに呟く。
甥の秀勝と、オカマの健ちゃん…ではなく秀康は秀吉と共に出陣することになったが、バカ殿秀次は留守役を命じられる。不服そうな秀次を見て「留守役がしっかりしてなければ安心して戦えませぬ」と、不出来な兄を立てる秀勝。
軍議終了後、「言いたいことをズバズバ言うのですね」と話す江に対し、秀勝は「お江殿の真似をしただけ…」と返す。二人のやり取り見て、ニヤニヤしながら冷やかす初を、江は無理やり龍子の部屋へ引っ張ってゆく。

「姉上が最近変なんですう。親のカタキだった秀吉のことを何だか好きになったみたいでぇ…」てなことを龍子に訴えかける江。
「うふふ、女は強い男に惹かれるものよぉ。でも弱い男もいるけどね。例えば私の弟…」と龍子が返答するや、即座に侍女ヨシが江に説明する。
「弟というのは京極高次のことで、明智の家来だったけど姉を秀吉に差し出したことで出世した云々かんぬん…」コラコラ、侍女がそんな込みいったことを当人の姉の前で言うかいな。視聴者が分かりやすいようにというサービスだろうけど、あんまり説明調のセリフが増えると橋田壽賀子ドラマみたいになっちゃうよ~

この説明を聞いて激怒したのは初。「己れのために姉を差し出すなど、男の風上にも置けぬダメ男です!」と、お菓子をボリボリ食べながら怒りまくる。
時は移り、春真っ盛りの桜の季節、渡り廊下をお菓子をポリポリ口にしながら歩く初。ホントに初は、いつもいつもお菓子食べてばっかりやんけ~!
ふと庭に目をやると、満開の桜を見上げる若侍の姿が…。お菓子を食べる手も止めて見入ってしまう。
一目惚れした初は、江の手を無理やり引っ張って、渡り廊下に連れてくる。
「ついさっき、そこに背が高くて、涼やかで、憂いも含んだイケメンがあ~」と目をハートマークにして探し回る。と、そこへ龍子と共にやってきたのがその若侍! 「これは弟の高次よ。あなたが情けないと言った…」と紹介する。
「初にございますぅ~」緊張で声が裏返り、立ち眩みまでしてしまう初。

この京極高次を演じてる斎藤工という俳優を見て気づいたのだが、つい最近、水川あさみとの熱愛が発覚した小出恵介と実によく似ている。





上が斎藤工で、下が小出恵介。水川が一目惚れしたというのは案外、演技ではなく地のままなのかも?

出陣前夜、秀吉は意中の茶々を庭のへ呼び出す。
「私は明日、出陣いたします。話ができるのは今日が最後かも…歳のせいか疲れやすくなった…無事に帰ったら聞いて頂きたいことが…」そこへ突然、江が乱入!「姉上に何をしておるのじゃ~!」と、またまた猫みたいに秀吉の顔を引っ掻く。江は猫娘かい! ゲゲゲの鬼太郎じゃあるまいし…。

いよいよ出陣の日。茶々は秀吉に、初は高次に、江は秀勝に、それぞれ身を案じ思いを馳せる。
で、その九州攻めのシーンだけど、ナレーションと過去の進軍シーンが10秒あまり流れただけで、ほぼスルー状態だった。恋愛は丹念に描くけど、合戦は極力描かない。戦国ドラマなのにどうなってるの? 脚本家の好みは偏ってるなあ。

ここでちょっとだけ家康の登場。浜松城で本田正信とやり取りしてる。
「九州攻めは朝鮮半島攻めの布石じゃ。信長公の夢を叶えようとするに相違ない」ほんのこれだけ。時間にして1分ほど。今週の家康は完全にチョイ役扱いだ

秀吉軍は大勝利を収め、大坂に凱旋を飾る。
秀勝も無事に帰還した。弟と初を結びつけるべく、龍子は一計を案じ、口実を設けて二人を呼びつけ、部屋で二人っきりにしてしまう。

「秀勝様の好きな食べ物は?」

「鮒寿司でしょうか…」

「私もです! では嫌いな食べ物は?」

「菓子です。見ただけで胸焼けするし、食べてる人を見るのも不快です」

菓子袋をそっと隠す初。こりゃ気まずいわな

続いて江。天守閣を見上げ、想いに耽る秀勝と出くわす。
「これで見納めです。九州攻めの恩賞が少なすぎて文句言ったら追放処分になりました。またいつか会いましょう…」と言い残し、去って行った。
利休の元へ相談に行った江は「ご縁があれば、また会えますやろ」とのアドバイスを受ける。実際、再会するし夫婦にもなる

その夜、再び秀吉が茶々にプロポーズ。
「それがしの思われ人になって下され」
ところが、というよりやっぱり茶々はキッパリ断る。
「親のカタキの側室なんかになるわけないでしょ!」

ここでまた江が乱入。「姉上に何をした!」と詰め寄る江。三成が代わりに答える。
「殿下はプロポーズしただけです。でもキッパリ断られました!」

「当たり前じゃ! 姉上が猿の側室などになるわけなかろう!」

この騒ぎをおねは見てしまう。「側室…」愕然とするおね。
おねと茶々、女の戦いの幕が開いた瞬間だった…。

今週のツボは、初の一目惚れシーンが熱愛報道と重なって見えたことかな? それと、ドラマのストーリーとは何の関係もないけど、鈴木保奈美と宮沢りえに不思議な共通点があること。
それは1987年、宮沢が出演したCM『三井のリハウス』での役名が、その2年後に鈴木が主演したドラマでの役名と一致していること。その役名とは「白鳥麗子」。

転校生の役で登場した宮沢のあまりの可愛さに、CMは大評判を呼んだ。



一方、その2年後にドラマ化された『白鳥麗子でございます』に、超タカビーお嬢様として登場した鈴木の姿も、バブル全盛期だった世相とマッチし、こちらも大きな話題を呼んだ。



今回、大河ドラマで二人が共演したのは「白鳥麗子」繋がり!? そんなわけはないと思うが、まさかということが芸能界にはあるから、案外そうだったりするのかも知れない

「家康の花嫁」~家康が悪人キャラに!?

2011-05-11 11:16:48 | 大河ドラマ
今週の『江』のツボは、家康に悪人キャラの雰囲気が漂ってきたこと。何だか人相まで悪くなったような気が…。このまま本格的な悪人キャラへと変貌を遂げるのか、一時的なものなのか、今後の展開が気になってきた。

朝廷から関白宣言…もとい、関白宣下を受け、名実ともに天下人になった秀吉。この「関白宣下」という鈴木保奈美のナレーションを「関白宣言」と聞き間違えた人は絶対多いと思う

秀吉は金ぴかの座敷に親族一同を集め「関白秀吉様じゃ!帝を覗けば日本一じゃあ!」と有頂天の報告会。母や妻は呆れるが、妹の旭だけは「あんちゃんは誇りじゃ!」と相変わらずの応援団っぷり。
後ろに控えていた三成が気配を感じて金ぴか襖を開けると、そこには江の姿が。これって清洲会議の時と同じパターンだなあ~。



江を招き入れた秀吉は「そちも祝いに来てくれたのかぁ?」と訊くが、江は素っ気なく「別にぃ~」と沢尻エリカ張りの答えを返すのみ。「茶々様のところに挨拶へ出向かねば…」と言いつつ座敷を出ようとした秀吉の足を引っかけ、転ばせてしまう。またしてもマンガ的演出…。

勢いに乗った秀吉は、宮中で過去に例のない茶会を開く。後日、茶室で話をしている江と利休のところへ突然、秀吉が入ってくる。
「今度は金ぴかの茶室を使って茶会を開くぞぉ!」と意気込む秀吉。利休に代わって茶を立てるが、これが乱暴なことこの上ない。ところが利休は「大したもんや…」と感心しきり。いぶかる江に向かい「あんな乱暴に茶を立てたのに、湯一滴も落ちてへん。時の人の勢い、ゆうもんかなあ~」って、こんな感心の仕方ってあり?

そんな中、秀吉が養子にしていた信長の四男、秀勝が18歳の若さで病死してしまった。秀吉は甥の小吉を養子に迎え、勝手に秀勝の名を継がせてしまう。
秀吉が江に、またまた相談を持ちかける。「領国に引っ込んでいる家康を引っ張り出すにはどうしたらよいかのう? 何か妙案を出せ」なんて、またしても、またしても、天下の一大事を江に相談している! 重大な節目、節目に江が関わり、歴史を動かしていたとは!

「何か大事なものを差し出せば?」との、江のいい加減な提案にヒントを得た秀吉は、妹の旭を家康のもとへ嫁がせると決意。旭も「あんちゃんのためなら、どこへなりとも!」ってな感じで承諾する。このパターンもどこかで見たと思ったら、信長の妹、お市の方が嫁ぐ時と同じだった。でもこう言っては大変失礼だけど、旭はお市の方と比べると、気品というか美しさの点で格段に落ちる。嫁ぎ先の一室で家康と二人っきりになった旭が「おなごとして扱って下さい…」と頼んでも、家康は「はいそうですか、と受けてしまっては、あなたは人質ということになってしまいますぞ」と、最もらしいことを言い残し、さっさと出て行ってしまう。さすがに「そなたのようにパッとしないおなごには興味が湧かん」なん~て失礼なことを家康は言わないが、本音はそんな辺りではないんかいなあ

旭ではダメかあ~!と落胆した秀吉は、切り札として母親の大政所を家康の人質として遣わせる。さすがにここまでされては家康も動かないわけにはいかなくなり「どうやら、ワシの負けのようじゃな。ワッハッハッハッ!」と高笑い。この時の家康の顔、まさしく悪人キャラだ。

大坂城を訪れた家康は控室で「どうかワシの前で頭を下げて下され」と秀吉に懇願され、大名らがずらりと並ぶ大広間で臣下の礼を取らされる。交換条件として家康は、秀吉が羽織っていた信長拝領の陣羽織を所望し、秀吉は家康の肩へその陣羽織を羽織らせてやる。この辺はお馴染みのシーンだが、前段階の経緯が作り話だらけだから、史実としての重みに欠けてしまうんだなあ…。

再び茶室にて。利休と茶々、江の前で茶を振る舞う秀吉。政のために親族や江を利用してきたことを申し訳なく思い、これまで茶断ちをしていた。母が無事帰ってきたので、もう己れを許してもよかろうと思った…と、しんみりした口調で語る。
秀吉に続き茶を立てたのは茶々。秀吉と茶々は互いが立てた茶を飲み交わす。
「今まで関白殿下は茶々様に会うことも控えておられた。茶断ちと茶々断ちですな」利休が寒いオヤジギャグを飛ばす。おいおい、そんなところで茶々を入れるな!って、これまた寒いギャグ

「秀吉は大嘘の中に真がある」しみじみ語る茶々に向かって「騙されてはなりません! あれは秀吉の芝居です!」と江。おいおいおい、その言葉を最初に言ったのはアンタじゃろうがぁ! 自分で自分の言葉を否定するかあ!?

…今週もやっぱり、最初から最後までトンでも脚本の江だったが、気になるのはやはり、来週以降の家康のキャラ設定。どう変化していくのか、ソフトバンクのお父さん犬も注目だワン!