テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

ハイパーインフレ!

2011-06-08 12:22:36 | 情報番組
ピーク時のインフレ率、実に年率2億%以上!
7日(火)放送の『仰天クイズ! 珍ルールSHOW』(テレビ大阪)で取り上げられたアフリカ南部の国、ジンバブエ共和国でのハイパーインフレは何とも凄まじい。
このハイパーインフレ劇は何度も情報番組やニュースで報じられているが、この番組は切り口がちょっと面白かった。ジンバブエ独立の立役者ロバート・ムガベの個人的な色狂いこそが、経済破綻の端緒になったことを、再現ドラマを交え分かりやすく紹介していた。


今から60年前、ジンバブエは他の多くのアフリカ諸国と同じく、白人の植民地であった。農場の所有権は白人が独占し、現地の黒人は奴隷同然の劣悪な労働条件で酷使されていた。
この理不尽な状況を、怒りを持って見ていたのが若き日のムガベだった。
「黒人への差別と偏見を打ち破るためには独立を勝ち取るしかない!」そう決意したムガベは独立運動を展開。1980年、祖国独立を達成して「ジンバブエの英雄」と讃えられ、初代大統領に就任した。

ムガベは行政手腕も秀でていた。経済発展のためには白人の協力が不可欠、そう判断し、過去の恨みを捨て白人と対等なパートナーシップを結んだ。アフリカの新生独立国家の中で、旧支配層である白人への敵視政策を全く取らなかったのは唯一、ジンバブエだけだった。
結果、ジンバブエは「ジンバブエの奇跡」と称せられるほどの経済成長を遂げるに至った。

…ここまでは良かった。ムガベは独立運動の闘士としても、行政の長としても非の打ち所がなかった。
しかし1996年、ムガベ72歳の時、42歳も年下のグレースを妻に迎えた頃から歯車は急速に狂い出す。この妻がとんでもない浪費家だったのだ。たびたびヨーロッパに出掛けては桁外れの豪遊を繰り返し、国庫を傾けた。
問題はそれだけに収まらなかった。大統領が税収を私的流用していると知った軍の幹部が、政府へのクーデターをちらつかせながら分け前を要求してきた。ムガベはやむ無く要求に従ったが、彼らの要求はエスカレートするばかり。とうとう国の財政は破綻してしまう。医療や福祉に回す予算もなくなり、平均寿命なんと36歳の最貧国に転落してしまった。

そこでムガベが取った窮余の一策が「白人追放令」。農場主であった白人を追放し、広大な農場を無償で国民に分け与えた。一時は国民も喜んだが、間もなく大きな問題が発覚する。彼らには農作物を栽培するノウハウがなかったのだ。たちまち食料品の在庫は尽き物価は高騰した。
追い詰められたムガベは、強権発動の第2弾として「物価統制令」を発し、物価を無理やり半分にさせた。すると商売人は商品を市場に流通させなくなり、物価は更に高騰した。経済は崩壊し失業率は94%にも達した。ジンバブエドルの価値も暴落。天文学的なインフレが発生した。

レストランへ行っても、食事をしている間に料金がどんどん上がってしまうので、誰もが食事前に争って会計するようになった。その際に支払うのも膨大な量の札束だ



ちょっとした買い物へ出掛ける時にも、山のような札束を抱えて行かなければならなくなった。



当事発行された最高額の紙幣は100兆ジンバブエドル札!で、それ以前の紙幣は紙くず同然になった。
現在はジンバブエドルが廃止され、外貨を流通させることでインフレは収まっているが、ムガベ自身はまだ大統領の座にとどまっている。選挙はやっているのだが公正なものには程遠く、そのたびごと対立候補に不当な圧力をかけ潰してしまっているのだ。


英雄が一転、悪妻によって権力亡者と化し破滅への道を転がり落ちることは歴史上にも枚挙に暇がない。
ある意味、豊臣秀吉もこのパターンだ。茶々が悪妻というわけではないが、茶々を寵愛し跡取りが産まれた頃から豊臣政権の屋台骨は揺らぎ始めている。大河ドラマの台詞通り、秀吉が茶々を「命懸けで守り抜いた」ことが、結果的に豊臣家の命運を断ち切り、破滅へと導いてしまったのだから、何とも皮肉なものだ