テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

これぞバラエティの真髄! 見事な「有終の美」

2014-04-07 08:51:38 | ワイドショー・バラエティ


またまた久々となってしまった拙ブログの更新で、再び登場願うのはやはり「笑っていいとも!」。とうとう迎えた最終日(お昼の最終回と、夜のグランドフィナーレ)は、まさしくテレビ史上に残る伝説の神回となった(番組が終わって一週間以上経ってからUPしたのは、その後「いいとも最終日ネタ」を各メディアがどう伝えたか知りたかったから。具体例は後述)。
なぜ伝説の名に値するのか。多くを語らなくても、冒頭にUPした画像を見たらその理由は一目瞭然だろう。誰がこのメンバー達での共演を予想し得ただろうか。「実現したら凄いな」と、願望としては抱いていても、大半の人は「やっぱり無理だろうな」と諦め半分で観ていた筈。実際、当事者が後日ラジオ番組で明かした裏話によると、「犬猿の仲」と噂されているダウンタウンVSとんねるず・爆笑問題は、スタジオ内でも絶対顔を合わせないよう配慮され、出番も別々に設定されていたらしい。
ところが、である。テレフォンショッキングの最終ゲストとして登場した明石家さんまが、引き続き「タモリ・さんまの日本一の最低男」コーナーでも長々と喋りまくり、業を煮やしたダウンタウンとウッチャンナンチャンが「長~~い!!」と怒声とともに乱入してきたことで予定調和の流れは吹き飛んだ。浜田雅功が、悪態をつきながらさんまの口に粘着テープを貼り付けて喋りを封じ、松本人志は「とんねるずが出てきたらネットが荒れる!」と煽り立てた。
だがここまでならまだ、想定の範囲内といえなくもなかった。問題シーンはこのあと。松本から公然たる挑発を受けたとんねるずが黙っていなかった。すぐさま爆笑問題の楽屋を訪れ、「おい、殴り込みに行こうぜ!」と加勢を求め、まずはとんねるずが先陣を切って乱入。スタジオ内はステージ、客席とも大騒ぎになった。「今出てきたらダメでしょ!」と浜田が制するなか、続いて爆笑問題も乱入。スタジオはさらにヒートアップした。

その際の松本のリアクションは見ものだった。明らかに虚を突かれたようで、苦笑とも照れ笑いともつかない表情を浮かべ、困惑した様子がありありだったのだ。が、そこはベテラン芸人。すぐさま態勢を立て直し、ある種"禁断のフレーズ"である「ネットが荒れる~~!」を再び繰り出した。これに対して太田が吠えた。
「荒れろ、荒れろ~~! 燃やせ、燃やせ~~! この野郎~!!」
両者の応酬でステージはカオス状態に陥った。客席を埋め尽くす、いいともゆかりの有名タレント達も「悪乗り」して大いに盛り上げた。
とんねるず石橋、ダウンタウン松本、爆笑問題太田の三者のなかでも、特に松本と太田の確執は半ば都市伝説のようになっていて、発端は次のようなことであったとされる。
20年以上前、松本はチンピラ紛いのジャージ姿で漫才をしていて、それを見た太田が自身のラジオ番組でさんざんバカにした。そのことを松本が聞きつけて激怒。太田を楽屋へと呼び出し、「俺に殴られるか、芸能界を引退するか、土下座して謝るか、どれかを選べ!!」と凄んだというのだ。太田はやむなく、その場で土下座して謝罪。以来両者は「絶対共演NGタレント」になったそうな。
この噂、両者とも全く言及しないので真偽のほどは定かではないが、太田がパーソナリティを務めるラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」のなかで水道橋博士から「もしダウンタウンDXにゲストで呼ばれたら?」と問われ「絶対行かねえよー!」と答えている(動画サイトで確認済み)ので、何らかの確執があったのはどうやら事実のようだ。松本も遠回しながら、確執の存在を暗に認めている→松本人志が「不仲説」認める

乱入後も太田はいつもの芸風通り言いたい放題。ステージのあまりの荒れように、見かねたディレクターが出した「みんなで仲良くお話しして下さい」というカンペに対しては「はっきり言って、このメンバーで仲良くできるわけねえじゃねえか!」
タモリへの労いの言葉を求められると「タモリさんのお陰で、こうして仲悪い人達と会うことができた」。当の松本が真横にいるにも関わらず、だ。ピリピリした緊張感が漲る、何でもありの「真剣勝負」は実に見応えがあった。

ネットニュースや雑誌記事などで続報を更に調べてみると、不仲説が取り沙汰されているのは上記の芸人達だけではないようだ。さんまと松本も、松本シンパの後輩芸人をさんまが引き抜こうとしたことが原因で犬猿の仲になったと噂されており、木梨と浜田の間にも、かつて小川菜摘(現在の浜田の妻)と木梨が恋人同士だったことで、今だにシコリが残っているという。ナインティナインに対しては、松本が自身の著書のなかで非難、というより完全に見下した論評をしていて、そのことによりナイナイの二人は松本のことを怖がって共演を避けてきたのだそうだ。これらの報道が事実だとしたら、ウッチャンナンチャンを除き、あとはことごとく「敵同士」の芸人が一堂に会したことになる(以上のことを踏まえて録画を観るとなお面白い)。

これほど本気度溢れるバラエティは近年なかなかお目に掛かれない。第一線の芸人が、手抜きなし・タブーなしでステージに臨み、それを編集なしでストレートに放送すれば、これほど面白くなるのだということを改めて認識させられた。巷でもそう感じた人は多かったのだろう。放送後、ブログや掲示板だけでなく、ネット上のニュースサイトでも「いいとも最終日」のネタで持ち切りになった。まさしくネットが「荒れた」のだ。もちろん肯定的な意見ばかりではない。辛辣な批判も相当ある。だがそれでいい。バラエティは賛否両論真っ二つに割れるほどアクの強いものでなくては面白くない。クレームを恐れ、無難に予定調和でまとめる生温いバラエティが蔓延る現状では尚更その感が強い。

「グランドフィナーレ」のハチャメチャ振りは、昼の「いいとも最終回」から既に始まっていた。皮切りはテレフォンショッキングの最終ゲストとなったビートたけしが読み上げた「感謝状」。タイトルこそタモリへの感謝状となっているが、たけしが真面目な感謝状なんか持ってくるわけがない。当然ながら内容は感謝とは程遠いふざけたものだ。以下その全文を記してみたい。



表彰状、タモリ殿


長らく「笑っていいとも!」の司会を務めてきたタモリさんに、私から表彰状を送りたいと思います。
ちなみにこの表彰状はゴーストライターが書いたものです。私は一切書いていないことをご了承ください。

本日は32年間続いた国民的長寿番組「笑っていいとも!」の最終回という晴れの日に、世界的人気映画監督であり、高額納税者人気タレントであり、さらに「総理大臣にしたい男」5年連続ナンバーワン、「上司にしたい男」3年連続ナンバーワンという、人気と実力を兼ね備えた超一流タレントである私を呼んでいただき、誠にありがとう。

私の「笑っていいとも!」の思い出と言えば1983年2月、理屈ばっかり言っていた田中康夫が気に食わず、生放送中に乱入し、首を絞め上げたこと。その結果、翌日のスポーツ新聞には「たけし、心身症」と書かれてしまいました。今となってはいい思い出です。

「いいとも青年隊」と言えば、かつて女をだまし、金をせしめ、詐欺恐喝罪で訴えられたH賀研二、パチンコでマンションを買ったといばっていたK保田篤さん、いまだ「世界ふしぎ発見」でしか姿を見ることのないN々村真さん、さらにはいいとも青年隊卒業後、ホームレスになってしまったK田健作さん、そして全く売れなかった萩本欽一さんのところのあさりど。などなど、数々の一流タレントを輩出してきたことを忘れてはいけません。

そして何と言ってもこの番組の名物コーナーである、「テレフォンショッピング」。友達を紹介するという名のもとに、いきなり電話をして出演をお願いするという斬新な企画でありました。
しかしながら、女優の矢田亜希子さんが大竹しのぶさんを友達として紹介するときに、思わず「初めまして」と言ったとき、私はショックのあまり、耳が聞こえなくなりました。得意の作曲活動をあきらめなければいけない事態に陥ってしまいました。あらためて芸能界というのはヤラセの世界だなと痛感した次第でございました。

そして32年間、初めて新宿に来た番組観覧の田舎者を相手に何もやらず、まぬけな芸人に進行を任せてきたタモリさんに触れないわけにはいきません。
かつてあなたは、ヘルスの呼び込み、オレオレ詐欺の出し子、パチンコ屋のサクラ、フィリピン人との偽装結婚の斡旋などを経て芸能界に入り、イグアナの形態模写、4か国語麻雀、意味不明なハナモゲラなどの卓越した芸で、一部のエセインテリ集団から熱狂的な支持を受け、あれよあれよという間に国民的人気番組の司会者まで上り詰めました。

しかし、そんな「笑っていいとも!」も今日をもって終わってしまうのかと思うと、私としては残念でありません。明日からは、O倉智昭さんの「かぶっていいとも!」という番組がはじまると知ったとき、私はそのとき思わず聞こえなかった耳が回復し、今は歪んで聞こえるまでになりました。最近では、新垣さんとの一度壊れた友情も復活し、今では二人で元気に作曲活動にいそしんでおります。ですからタモリさんも何の心配もすることなく、二流とも三流ともつかない芸人しか出ないと言われている「タモリ倶楽部」に全精力を注いで頑張ってください。


2014年3月31日 「A女E女」復活を望む会
会長 イジリー北野



「いいとも!」で封印されてきた矢田亜希子の「初めまして事件」や、フジテレビでタブー視されている小倉智昭の「かつらネタ」を堂々と盛り込み、時事ネタの「佐村河内ネタ」までトッピングした、如何にもたけしらしい感謝状だ。
因みに末尾にある「A女E女」はこちらを参照→A女E女 この番組もまた素晴らしい! 今回の「グランドフィナーレ」以上に問題視された番組だが(実際バッシングの嵐になった)、これもこれでやはりバラエティの真髄と言って差し支えないと思う。なぜならタブーに挑戦しているから。バラエティはタブーに挑むか、もしくは緻密なストーリーを構成しているかのどちらかでなければ魅力を感じない。無理だと分かってはいるが、こんな番組こそぜひ復活してほしい。

「グランドフィナーレ」に話を戻す。確執を抱えた松本・太田を核に、一癖も二癖もある「お笑い怪獣」が勢揃いしたステージは、もはや誰も仕切れない。意味不明なボケや怒号が飛び交い、ついには全く関係のないサンコンやおすぎとピーコ、田中康夫や橋田壽賀子まで客席からステージ上に引っ張り上げておもちゃにする始末。田中康夫などは、たけしの感謝状に書かれていた内容そのままに、太田に首を絞められ床に背中から叩き付けられた。必死で謝る相方の田中に対し、田中康夫は何を思ったかいきなり田中にハグしてチューをしたもんだから、さあ大変。田中は「なにチューしてんだよ!」とブチ切れ、田中康夫をステージ上から蹴り落とすようにして客席へ追い返してしまった(同じ苗字でややこしいなぁ…)。
ネットニュースによると、この時ステージ裏の各芸人のマネージャーや事務所関係者の間でも「聞いてないよ!」とか「ヤバイよ、ヤバイよ!」などといったダチョウ倶楽部や出川哲朗張りの怒号が飛び交っていたそうだ。彼等にしてもとんねるず&爆笑問題の乱入劇は完全に想定外だったようで、ベテラン芸人の暴走にはさぞ頭を抱えていたことだろう。

今回のツボは、こんな滅茶苦茶なステージ上で、何ら動じることも熱気に水を差すこともなく、淡々と司会をこなし続けたタモリ本人。自らは全然仕切ったりせず、芸人たちに好きなようにやらせてるにも関わらず、タモリを軸に番組が動いてる感が醸し出されていて感心させられた。ギネスに掲載されるほどの長寿番組の司会者の存在感はやはり伊達ではない。
ダウンタウンらが乱入してきたのが、番組が始まってから52分30秒後。そのあと3回のCMを挟んでの約35分間は「奇跡の35分間」と言っても過言ではないくらい光っていた。確かに内容らしい内容は何もなかった。ネット上での批判意見の大多数も、無意味なドタバタ劇は見苦しいという類のものだった。けれど個人的にはそんなことは問題ないと思っている。生放送で、かつタブーに挑戦する、その二つがあれば充分。次の瞬間、何が起こるか予測できないドキドキ感こそバラエティの醍醐味なのだから。

さて肝心のテレビが「いいとも!」をどう伝えたかだが、これはどうも物足りない。全部は見ていないが、総じてネットの充実ぶりとは比較にもならない。
まず翌日(火曜日)のワイドショー。フジテレビ以外は他局とあってスルー状態。お膝元の「とくダネ!」にしてもあっさりし過ぎ。芸人の乱入劇については紹介したが、なぜそれが凄いことなのか、裏事情に関しては(おそらく意図的だろうが)完全スルー。笠井アナが「爆笑問題が入ってくれば、そりゃ大荒れになります」なんて無難にサラッと触れただけだった。もちろんと言うべきか、最終回でたけしが読み上げた「感謝状」については何も触れなかった。小倉キャスターに関するタブーはまだまだ破られそうにない。
日曜日の情報バラエティの中では、「アッコにおまかせ!」がもっとも突っ込んだ情報を提供していた。ステージ裏が大騒ぎになっていたことも紹介し、さらには「不仲説」にまで言及したが、レギュラーのIMARUが「あくまで説ですからね」と釘を刺し、番組内でも内幕については一切触れなかった。当人同士さえ触れないことだから仕方ないとはいえ、この辺りにテレビの限界を見た思いがした。同じくお昼の時間帯、関西系の芸能情報番組「上沼・高田のクギヅケ!」はというと、こちらは完全スルー。上沼の毒舌に期待していたのに肩透かしを食らった。前々から思っていたことだが、関西ローカル系の番組はどうしても関西芸人のスキャンダルについてはツッコミが甘過ぎる!
深夜枠から移動してきた「ワイドナショー」は前述の通り。同時間帯の「サンデージャポン」は一番期待していたのだが、残念ながら完全スルー。確執の根深さを匂わせた。
以上、テレビ報道の概要を見るにつけ、如何に「大人の事情」が幅を効かせているかが分かる。それだけになお、「いいとも最終日」の凄さが窺えようというものだ。

「いいとも最終日」の素晴らしさに引き換え、後番組の「バイキング」のなんと生温いことか…。はっきり言って失望を通り越している。MCが不慣れとか、内容が生煮えとか、そんなことはどうでもいい。あんなお化け番組のあとだ、いきなり上手くいかないのは当然のこと。フジテレビの広報も、現段階では試行錯誤しながら進めているのを認めている。
問題はもっと根幹、そう去年のちょうど今頃、やはり「笑っていいとも!」の偉大さを称えた際、最後の一節に込めた願望が全く叶えられなかった。「生放送で、かつVTRを一切使用しないこと」この二点のうち後段の部分が無くなり、凡百の情報バラエティと同類に成り下がってしまった。いくら生放送であっても、VTRを使用したら意味がない。タレントが100%トーク力と演出力だけで勝負するのと、VTRの逃げ道を作るのとでは画面から滲み出てくる緊迫感が段違いなのだ。
「VTRを使用しない」という最大の美点を引き継がなかった時点で、新番組は死んだも同然と言っていい。「いいとも!」があんなに生温く、マンネリ化してもギネス級の長寿を達成し得たのは、ひとえに「VTRを使用しない」というコンセプトだけは絶対に曲げなかったからだと推察している。今後どんなに企画に工夫を凝らしたとしても、根幹部分を変更してVTR無しにするとはとても考えられないから、「バイキング」には全然期待していない。

バラエティでVTRを使用していいのは、「VTRでなければ表現できない映像を映し、なおかつその映像が番組のコンセプトと密接に関わっている」場合のみだと思っている。過去の番組で例えれば「トレビアの泉」がその典型だ(奇しくもタモリがMCの番組!)。
「トレビア…」はバカバカしい疑問に対し、潤沢な予算を投じ、大変な手間暇を掛けて検証するという、バラエティの王道を歩む素晴らしい番組だった。「バカバカしいことを大真面目に…」これを貫けば、たいてい優れたバラエティになる。翻って「バイキング」でのVTR映像は、グルメ情報とか最新トレンドとか、どうでもいいものばかり。こんなものなら他にいくらでも代わりがあり、見応えも何もない。

ロウソクは燃え尽きる寸前にもっとも明るく輝くという。「いいとも!」はまさしくそれ。最終日に最高の輝きを見せた。と同時にそれは一つの番組のみならず、真のバラエティの終焉を告げる弔鐘のような気がしてならない。ある有名ブログでは「いいとも最終日」を「テレビのお葬式」と例えていたが、まさに言い得て妙だと思う。
だがこのままバラエティを死なせてはならない。生放送で、かつVTRを一切使用しないバラエティか、もしくはバカバカしさの極みに対し、大掛かりに、かつ大真面目に取り組むバラエティか、そのどちらかの復活を強く望む。もちろんその際のMCは、タモリでお願いしたい!


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