テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

紅白、遂に脱ジャニーズを達成!

2023-12-04 06:00:28 | 歌番組
あまりにもあまりにも久しぶり、実に8年ぶりである。埋もれていた拙ブログに(奇跡的に)アクセス出来たので、本当に久々に新記事をUPしてみることにした。
と言っても何から書いていいのかよく分からない。芸能界の変化は実に目まぐるしい。8年も経ったら状況は一変していて、前回記事との繋がりもへったくれも何もない。
ということで取り敢えず、往時の輝きは薄れたとはいえ、今も日本芸能界において確固たるポジションを占める伝統の歌番組『NHK紅白歌合戦』について書いてみることにする(まあ、時節柄という意味合いもある)。

今年は遂に念願の(誰の?と自らツッコミを入れてみる)「脱ジャニーズ」を達成した!
なんと44年ぶり。前回(1979年)はジャニーズ関連のヒット曲がなかったから当然だったが、今年はスノスト2組がヒットチャートに上がってるにも関わらずの落選だから、NHKの「本気ぶり」が伝わってくる。
芸能リポーターの川内天子は、紅白出場歌手発表直前の11月上旬、

「何がヒットして今年の象徴になるか、と公平に考えた時に、ジャニーズを完全にゼロにする理由はないと思います。その中で候補に挙げるとすると、私はSnow ManとSixTONES(通称スノスト)の2組だと思います。彼らはヒット曲もありダンス動画で再生回数を伸ばしたりインスタグラムで新しい発信をするなど、ジャニーズタレントとして新たな試みもあり、実績と人気で申し分ない。しかもレコード会社がジャニーズの自社グループでないというところも音楽業界的に納得できる」
なんてコメントを出していたが、公平に考えれば考えるほど、旧ジャニーズ勢は出場ゼロにする以外に選択肢はない。
何せSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)から独立した形で新たに設立されるエージェント会社の新社名すら決まっておらず、経営体制や新社長が誰になるかさえ発表されてはいないのだから(コンサルティング会社「スピーディー」代表の福田淳の名は挙がっているが、あくまで内定であり正式決定ではない)。新会社が発足する前に旧ジャニタレを出場させたりしたら、受信料収入で成り立ってるNHKは相当な非難は免れない。基本タダで観られる民放とは訳が違う。

で、出場歌手の顔ぶれを見ると、旧ジャニーズ枠がごっそり空いた白組は案の定、韓流タレントが目白押し。
これについてもSNSを中心に非難の声が多く挙がっているが、元はと言えば旧ジャニーズ事務所とメディアが結託してジャニタレ以外の男性アイドルをことごとく潰してきた結果、日本国内にライバルが育ってこなかったからであり、自業自得としか言いようがない。圧力と忖度が相まって形成されたジャニーズ一強体制が仇になっただけだ。
もっとも、馴染みの薄い出場者が増えた感は否めない。紅白とも、特にアルファベットを羅列した歌手やグループなどは、年配者にとっては???の嵐だろう(若い世代でもファン以外はそうかもしれない)。
そうは言っても、同業者はある程度は知っておいてほしいのも事実で、中尾ミエなんかは
「石川さゆりさん、坂本冬美さん、天童よしみさんはね(知っている)。伊藤蘭さんも初めて1人で出るのかしら? 椎名林檎? 名前は知ってるんだけど、顔とあれは…。JUJU? 名前は知ってる」と答えると「白組に至っちゃ本当に(知らない)。郷ひろみさん、さだまさしさん、鈴木雅之さん、はい、おしまいって感じ。ああ、藤井フミヤさんもね」
などと放言していて、少々呆れてしまった。
MISIAは?大泉洋や福山雅治は?星野源は?それらすら知らないということは、芸能界の自流に取り残されてる証であり、自ら化石だと宣言してるに等しいではないか!

と、そんなこんなつまらん私見を披露してみたが、つまらんついでに言及しておくと、今年の紅白は巷間言われるほど視聴率は下がらないと思っている。ネットニュース等では旧ジャニーズ勢ゼロが影響して、今年の紅白は視聴率が壊滅的に落ち込み、ワースト記録更新は必至だとの観測が多数を占めているが、ジャニオタはそれほど視聴行動に影響は与えないと確信しているからだ。

むしろアンチや無関心層の視聴欲求を喚起して、視聴率がアップする可能性さえあるのではないか?近い過去の例で言うと、2020年、コロナ禍の影響で無観客開催という前代未聞の形式で放送された紅白は、事前の大方の予想を覆し、2年ぶりに視聴率は40%を超えた。
ところが2021年は、ジャニタレが5組も出場しているのに視聴率はワースト(34.3%)を記録。さらに翌年の2022年も視聴率は振るわず、35.3%の微増でワースト2位に終わっている(ジャニタレは6組出場)。
ジャニタレ4組以上の出場が常態化した2009年以降も、紅白の視聴率は長期低落傾向が続いており、ジャニタレは視聴率に何ら貢献していないことがはっきりと分かる。
要は意図的な演出によるものであれ、不可抗力の災害によるものであれ、従来とは異なる新味のある番組展開にこそ視聴者は興味を抱くのであって、それに比べればジャニタレの影響など微々たるものだと言って差し支えない。

ただ、なんだかんだ言っても紅白は視聴率40%前後を叩き出すお化け番組であることに変わりはない。娯楽が多様化し、ネットも普及した今時、これほど国民的関心を集めるテレビ番組は他に見当たらない。
だからこそライバルである民放各局もこぞって紅白について報道しているのだが、その中で日テレ『news zero』だけは、紅白出場者が発表された当日(11月13日)の回、番組内で紅白について一言たりとも触れなかった。その日の担当キャスターが有働由美子と櫻井翔だったから、事前に予想できたことではあったのだが、こんなことでは未だに日テレは旧ジャニーズに対して忖度してると見なされても仕方ないだろう。
日テレの石澤顕社長は、先月27日の定例会見で「NHKとは考え方が違うかもしれない」と、旧ジャニタレの多数出演に理解を求めたが、問題意識がなさすぎるにも程がある。系列局役員による『24時間テレビ 』の募金着服が発覚した折も折、更なるイメージ悪化は不可避だろう。

紅白の内容や視聴率については、例年通り、放送後に多くのメディアで取り上げるに違いない。それらに対しても注目していきたいと思う。

追伸:つい先日、『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』を鑑賞してきた。前々回の記事繋がりになるが、片岡愛之助演じる大阪府知事・嘉祥寺晃と、藤原紀香演じる神戸市長の怪演は見事の一語。劇中でも夫婦役なのだが、世間の一部で流布する仮面夫婦説を逆手に取ったというか、パロディ化したような演出・台詞回しには感心させられた(2人ともあの設定で出演したのはさすが。詳細はネタバレになるので自粛w)

ジャニーズ&懐メロ歌合戦?

2015-12-24 06:59:54 | 歌番組
第66回NHK紅白歌合戦 出場歌手・曲目 五十音順(カッコ内は出場回数)👈


紅白の曲目が発表されたが、率直な印象は「やたら古い曲ばかり」。出場回数の少ない若手を除くと、いわゆる耳タコの曲がとにかく目立つ。紅白というプログラムの性質上、必ずしも新曲を揃える必要はないと思うが、それにしても新味が無さすぎ。

目玉のトリ対決にしても松田聖子と近藤真彦といった往年のアイドル同士で、曲目は「赤いスイートピー」に「ギンギラギンにさりげなく」。ともに30年以上も前の曲で、ポップスとはいっても懐メロの域に入る。今年で紅白卒業を表明している森進一に至っては「おふくろさん」。「おいおい、いつの曲だよ…」とツッコミの一つも入れたくなる。

出場歌手の人選にも相変わらず疑問が残る。紅組のAKBグループは2組に減ったが、白組のジャニーズ系は7組。白組司会は昨年まで5年も連続で嵐が務めていてウンザリさせられ、今年はようやく変わったと思ったら今度もまた同じジャニーズ系の井ノ原快彦。井ノ原が有働アナとともに司会を務める『あさイチ』絡みとはいえ、ここまで露骨なジャニーズ贔屓を見せつけられると溜め息しか出ない。

今年の紅白はさしずめ「ジャニーズ&懐メロ歌合戦」。これといったヒット曲も無かった年だからこうなってしまったのかも知れないが、例年以上につまらないものになりそうな予感がする。

以下、個別の歌手の選出・選曲に対してと、「こんな曲を歌ってほしい」という個人的な希望も含め、簡単な論評を書いてみた。
なおAKBグループとジャニーズ系に関しては、どんな曲を歌っても大して印象は変わらないと思うので、論評の対象外とした(ファンにとってはそんなことはないんだろうけど…)。演歌もあまり興味がないので、一部の歌手を除いてスルーしている。


【紅組】
▽E-girls(3)「Dance Dance Dance」
※歌よりも曲のタイトル通りダンスパフォーマンスの印象の方が強い。選出は順当かと思う。
▽いきものがかり(8)「ありがとう」
※今年は水木しげる氏が亡くなっているので、朝ドラ『ゲゲゲの女房』のテーマソングでもあったこの曲が追悼の意味も込めて選ばれたのは順当だと思う。いきものがかりの選出も順当。
▽石川さゆり(38)「津軽海峡・冬景色」
▽今井美樹(2)「PIECE OF MY WISH」
※不倫略奪婚のイメージでミソを付けてしまった感のある今井だが、曲そのものはいい曲が多い。「PEACE…」は24年も前の曲ではあるが、「布袋以前」の代表曲でもあり、選曲は順当(布袋色の付いてない曲となると、これくらい古くならざるを得ない)。今井の出場に関しては、むしろ少なすぎるくらい。
▽AKB48(8)「AKB48 紅白 2015 SP~10周年記念メドレー~」
▽NMB48(3)「365日の紙飛行機」
▽大原櫻子(初)「瞳」
▽伍代夏子(22)「東京五輪音頭」
▽坂本冬美(27)「祝い酒」
▽椎名林檎(3)「長く短い祭~ここは地獄か天国か篇」
※とにかくエキセントリックな印象だが、選出は順当かと思う。曲のタイトルが、まるで紅白を揶揄してるかのようで面白い。
▽島津亜矢(2)「帰らんちゃよか」
▽Superfly(初)「Beautiful」
▽高橋真梨子(3)「五番街のマリーへ2015」
※お馴染みの名曲ではあるが、ペドロ&カプリシャス時代の曲であり、いかんせん古すぎる。ソロデビュー後もいい曲が多いのに、ちょっと残念。希望曲は「ごめんね…」か「フレンズ」。高橋ほど実力のあるベテラン歌手の出場回数がたった3回なんて、明らかに少なすぎ。
▽天童よしみ(20)「人生一路」
▽AAA(6)「恋音と雨空」
▽西野カナ(6)「トリセツ」
※今年リリースされた曲であり、選曲は順当。人気・歌唱力ともにある歌手なので、選出ももちろん順当。ポスト浜崎あゆみとの呼び声も高いが、浜崎よりずっといい。
▽乃木坂46(初)「君の名は希望」
▽Perfume(8)「Pick Me Up」
※E-girls以上に、ダンスパフォーマンスの印象が強い。歌の印象はあまりないので、選曲の希望は特にない。選出は順当。
▽藤あや子(21)「曼珠沙華」
▽松田聖子(19)「赤いスイートピー」
※アイドル界のレジェンドともいえる存在だけに選出は順当としても、前述の通り選曲はやはり疑問。原点回帰ということで、無理やり納得させるしかないか…。
▽水森かおり(13)「大和路の恋」
▽μ’s(初)「それは僕たちの奇跡」
※アニメ声優のユニットで、一部ではカルト的人気を誇るが、それ以外にとっては「誰?」状態。(ミューズ)という読み方も分からない人が多数いる模様なので、選出はちょっと疑問。選曲も同様で、ファン以外は聴いたこともない。
▽miwa(3)「fighting -Φ- girls」
※歌唱力があり、意外と聴く機会もあるので選出は順当。まだまだ曲の知名度は低いので、どの曲がいいとかは特にない。
▽レベッカ(初)「フレンズ」
※2012年の『プリンセス プリンセス』同様、再結成での選出パターン。いわば特別枠なので、この場合は古い曲でもOK。
▽和田アキ子(39)「笑って許して」
※選出・選曲ともにツッコミどころ満載。なぜ大御所扱いなのか理解不能。毎年、往年のヒット曲の使い回しで、もはや笑って許せないレベル。各種アンケートでも「紅白に出てほしくない歌手」で必ず1位に挙がるので、今年を最後に卒業してほしい。

【白組】
▽嵐(7)「New Year’s Eve Medley 2015」
▽五木ひろし(45)「千曲川」
▽EXILE(11)「EXILE 紅白スペシャル 2015」
※マイルドヤンキー御用達のグループ。社会現象になるほどの人気グループなので、選出は順当。ダンス&ボーカルユニットなので仕方ないのかも知れないが、ボーカルより大勢のダンスの方が目立つのはちょっと違和感がある。できればATHUSHIのボーカルをじっくり聴きたい。
▽X JAPAN(6)「紅白スペシャルメドレー ~We are X!~」
※結成以来、これほど波乱万丈のグループも珍しい。メンバーが2人も不慮の死を遂げてるし、ボーカルToshiの洗脳騒動も記憶に新しい。話題性も含めて選出は順当。
▽関ジャニ∞(4)「前向きスクリーム!」
▽ゲスの極み乙女。(初)「私以外私じゃないの」
※活動歴は浅いが、注目株として選出は順当か。ネーミングセンスはまさにゲスの極み。曲の知名度はまだまだ。
▽郷ひろみ(28)「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」
※松田聖子と同様、アイドル界のレジェンド的存在だが、話題性は聖子より低い。「2億4千万…」はさすがに耳タコ。せめて1994年リリースの「哀愁のカサブランカ」以降の曲にしてほしい。
▽ゴールデンボンバー(4)「女々しくて」
※選出は順当だが、毎年「女々しくて」ばかりはどうかと思う。そろそろ新曲で出場してほしい。
▽近藤真彦(10)「ギンギラギンにさりげな
く」
※レジェンドというには中途半端で、なぜ今年いきなり選出されたのか不可解。全然さりげなくないし、選曲も古すぎ。希望曲は強いて言えば「愚か者」。
▽三代目 J Soul Brothers(4)「Summer Madness」
※EXILEの弟分。兄貴分のEXILE同様、選出は順当。論評もEXILEと同じ。
▽SMAP(23)「This is SMAPメドレー」
▽SEKAI NO OWARI(2)「プレゼント」
※「セカオワ」の愛称で人気が定着しているので選出は順当。選曲も悪くないが、今年CMで流れている「ムーンライト・ステーション」でも良かったように思う。
▽Sexy Zone(3)「ニッポン Cha-Cha-Cha チャンピオン」
▽TOKIO(22)「AMBITIOUS JAPAN!」
▽徳永英明(10)「時代」
※実力派なので選出はもちろん順当だが、できればオリジナル曲にしてほしかった。カバー曲も定評があるのでそれでもいいが、「時代」というのがちょっと引っ掛かる。中島みゆきに紅白出演を断られたので、NHK側がこの曲を選曲させたのかと勘ぐってしまう。
▽BUMP OF CHICKEN(初)「ray」
▽氷川きよし(16)「男花」
※曲のタイトルが意味深。以上。
▽V6(2)「ザッツ!V6メドレー」
▽福山雅治(8)「デビュー25周年スペシャルメドレー」
※人気・話題性ともに高いので選出は順当。ただメドレーはどうかと思う。今なら「家族になろうよ」一択では?
▽星野源(初)「SUN」
▽細川たかし(39)「心のこり」
▽三山ひろし(初)「お岩木山」
▽美輪明宏(4)「ヨイトマケの唄」
※訳あって出場回数こそ少ないが、新たな大御所として選出はもちろん順当。どの曲も時代を超えた普遍性があるので古くても全然構わないが、「ヨイトマケの唄」はちょっとストイックすぎる印象。お祭りに相応しいのは沖縄民謡をベースにした「花」などか。長年封印されていて、昨年の『SONGS』でTV初披露となった「悪魔」だとインパクト抜群だが、さすがにそれは無理な注文だろう。
▽森進一(48)「おふくろさん」
※今年で卒業ということなので、選出は順当としたい。作詞家の故・川内康範氏との間で繰り広げられられた、世にいう「おふくろさん騒動」でネガティヴな印象が付いてしまった曲を最後の紅白で歌うのは、騒動の完全収束を印象付けたいからかも知れない。
それよりも森の場合、近年はロウ人形みたいな異様な風貌の方が気になる。デーモン小暮に呪いでも掛けられたのだろうか?

▽山内惠介(初)「スポットライト」
▽ゆず(6)「かける」
 
<特別企画>
▽小林幸子「千本桜」
▽MISIA「オルフェンズの涙」
※抜群の歌唱力に定評があり、新世代の実力派として選出は順当。選曲も今年OAされた『機動戦士ガンダム~鉄血のオルフェンズ』のエンディングテーマなので順当。できればこのような「賑やかし枠」ではなく、本選で出場してもらいたかった。


…で、今回のツボだが、みたいな紅白歌合戦という番組そのものがツボ!



「ラブリン」は養父の性癖を受け継いでいるか?

2015-06-19 22:45:26 | ワイドショー・バラエティ
「片岡愛之助&藤原紀香」の異様な背景…2人の関係を双方周辺は密かに歓迎


グラドルの熊切あさ美と別れた、別れてない、藤原紀香に乗り換えた、など、今まさしく恋愛スキャンダルの渦中にある「ラブリン」こと片岡愛之助。藤原紀香が沈黙を貫く一方、熊切は先月29日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』に続いて今月16日、ネットの『ニコニコ生放送』にも出演し、号泣しつつ「別れ話はしていない」と従来の主張を繰り返した。が、未練などはないそうで、それどころか「(愛之助が)自分だけを守ろうとして、自分に有利な発言ばかり繰り返すのを見て、尊敬の気持ちや愛情がなくなった」と愛之助に対し痛烈な批判を浴びせている。要は愛之助の身勝手さや、自分だけが悪者にされている状況に納得がいかないということのようだ。
一般的に恋愛関係の内情は、当事者でないと分からないことが多い。今回の騒動について一番の当事者といえる愛之助は「僕が死ぬまでに真相を本に書く」とのコメントを出しており、少なくとも当面は封印する構えを示唆しているから、なおさら真相は藪の中だ。
ただ個別の内情はなかなか窺えなくても、愛之助の経歴を遡っていくことで、愛之助自身の恋愛観や性癖などを、それとなく推測することは出来る。

愛之助の恋愛観形成に少なからぬ影響を与えたと思われるのが、愛之助の養父である二代目 片岡秀太郎だ。愛之助は1981年、秀太郎に歌舞伎への才能や情熱を見出され、秀太郎から誘われる形で片岡一門の部屋子(へやご。内弟子のようなもので、住み込みで稽古や行儀作法をつけてもらう立場)となっている。愛之助が秀太郎と正式に養子縁組したのは93年で、多感な思春期の全期間を通じ、師匠である秀太郎から大きな薫陶をうけている。
秀太郎は上方歌舞伎界で女形の大御所といわれるほど偉大な存在だから、歌舞伎の面で熱心な指導を受けたことは愛之助にとって大変な財産に違いない。
だが引っ掛かるのは秀太郎の隠された一面で、そのことについてはどのメディアも触れない。一応、愛之助と熊切の騒動については『週刊文春』が、
「あの人(愛之助)は優しすぎるところがあるから。誤解が生まれているようだけど、しっかり(説明)しなくてはいけないね。女性を傷付けるのはよくない
との秀太郎のコメントを紹介はしているが、秀太郎自身の「過去」については言及なし。一連の騒動に直接関係ないとはいえ、類似した、いやもっとおぞましいといえるほどのスキャンダルをかつて秀太郎が巻き起こし、当時すでに部屋子となっていた愛之助にも影響なしとは思えないのに、完全スルーとはおかしい。意図的に秀太郎の過去を封印してるとしか思えない不自然さだ。

秀太郎は84年、女優でもある妻 高田美和と泥沼の離婚騒動を繰り広げている。美和は当時、そのことで記者会見を開いているのだが、そこで語られた言葉は、往年の時代劇スター高田浩吉の娘で、大映のお姫さま女優として名を馳せた彼女には、およそ似つかわしくないドギツイものだった。彼女は秀太郎のことを「SMの趣味がある変態で、そばに寄られるだけで鳥肌が立つ!」と、吐き捨てるような口調で罵倒したのだ。大女優である妻が、歌舞伎界のスターである夫をこれ以上ないくらい過激な表現で非難したことで芸能界は騒然となり、ワイドショー等でも連日取り上げられた。
美和が離婚を申し入れた最大の理由は、夫 秀太郎の特殊な「性癖」。それを具体的に物語るかのように、美和はこの離婚騒動を遡る2年前の82年、なんと日活ロマンポルノの『軽井沢夫人』という映画で主演を務めている↓



高田美和 主演『軽井沢夫人』(日活ロマンポルノ)ダイジェスト版

正統派女優がロマンポルノに出演したことは衝撃を呼んだが、その出演も美和の意志ではなく、夫が強く勧めたからというのには驚かされる。なんと秀太郎は妻が犯されることを望む性癖の持ち主だったというのだ。秀太郎は撮影現場を訪れ、「美和はこうすると感じるんだ」と言いながら、熱心に演技指導までしていたのだという。
この時は出演を渋々承諾した美和だったが、秀太郎の要求はさらにエスカレート。全身緊縛シーンまである、団鬼六 原作のSM作品『花と蛇』の出演を日活と交渉するまでになり、遂に耐えられなくなった美和が離婚を懇願するに至ったそうだ。
その経緯は当時、女性週刊誌『微笑』(96年に廃刊となったエロ系記事を目玉とした雑誌)にも詳しく掲載された↓



表紙の左端に"「私が犯されるのを見て喜ぶ夫に、もう耐えられない!」泣いて離婚を懇願する妻は…。強姦サド! 高田美和と片岡秀太郎が異常夫婦生活" と、これまた過激な見出しが躍っている。
当時これほど世間を騒がせた大スキャンダルであったにも関わらず、今ネットで検索してもこれらのことは殆どヒットしない。せいぜい2ちゃんねるの掲示板か、個人ブログやTwitter等で散見される程度だ。秀太郎のWikipediaを見ても前夫人 美和との離婚に関しては「秀太郎に起因したといわれる諸々の問題から不和となり破局」と、極めて抽象的かつ簡略化された内容が述べられるに留まっている。
秀太郎と美和の異常夫婦生活の内幕をメディアがこれほどストレートに報じられたのは、ネットシステムがなく、無秩序に情報が拡散される心配がない当時の社会背景があればこそだったろう。だが今日に至ってもなお、全然蒸し返されないのをみると、何らかの力が作用してると感じざるを得ない。
秀太郎と美和は、離婚騒動が勃発する前はテレビのバラエティにも2ショットで数多く出演していた。そこでは異常なほど仲の良さを強調し、終始ベタベタしっ放しという惚気ぶりで、だからこそ後の記者会見での豹変に驚いたわけだが、芸能レポーター界の鉄則として「仲の良さを強調し過ぎる夫婦は離婚が近い」というものがあるそうで、当時の二人はこれにピタリと当てはまっていた。もしかしたら、仲睦まじく見せていた当時から、本当は仮面夫婦だったのではないかと、後になってみると確かにそう思う。
これらを見ると「女性を傷付けるのはよくない」との今回の秀太郎のコメントは、まるでブラックジョークだ。

さて愛之助に話を戻すと、こんな異常な夫婦関係のさなかで、思春期に差し掛かったばかりの少年が、部屋子として寝食を共にしていたとすれば、(悪い意味で)精神的に多大な影響を受けたと考えるのが、やはり自然ではなかろうか。
夫婦が不仲になったもう一つの原因として、秀太郎が愛之助を「可愛がり過ぎた」からという理由も囁かれているが、これも秀太郎が女形であることと、上記の異常な性癖の数々とを考え合わせると、何やら別の意味合いが思い浮かんでくる。芸は芸でも、違う芸(ゲイ?)の道を仕込んだのでは?との疑念だ。
もともと歌舞伎界は両刀使いが主流で、女性だけしか恋愛対象にしない方(海老蔵など)が少数派といわれるほど衆道が盛んで、少年愛にも寛容な、世間一般とは異質な価値観で回ってる世界。加えて師匠がとんでもない変態性癖の持ち主とのことであれば、単なる師弟関係だけとは正直思いにくい(ジャニーズの世界とも重なって見える…)
近年の愛之助を見ていても、師匠であり養父でもある秀太郎の性癖(ゲイ&サディスティック)を色濃く受け継いでいるのではないかと思えたシーンが幾つもある。例えばドラマ『半沢直樹』で見せたおネェ口調の国税庁エリート官僚黒崎役の、あまりにリアルな演技や、今回のスキャンダルでの、週刊誌記者の追跡を振り切る乱暴極まる運転などだ。
後者は、日本でのデリバリーが先月開始されたばかりの最新モデル「フェラーリ488」を駆って、新恋人と噂される紀香の自宅マンションへ向かう際のもので、週刊新潮の記事では
「(首都高で)150キロを越える猛スピードでコーナーを駆け抜け、車と車の間を縫うようにして前に出て、車線が塞がれている場合はパッシングして蹴散らす。
あんなメチャクチャな運転は初めて見ました。
重大な事故を起こしかねない、あまりに危険な運転…」

と書かれており、如何に無法な暴走だったかが分かる。いくら記者に追われイライラしていたとしても、普通に理性があればここまで危険な運転はしない。よく車の運転にはその人間の本性が表れるというから、一見穏やかに見える愛之助も、その奥にはサディスティックな本性を秘めてるのではないかと思える。



歌舞伎界の、世代を跨いで継承されているであろうドロドロした内幕を知るにつれ、世間やメディアから幼稚とか未練がましいと非難されている熊切がむしろ、社会通念上は一番マトモではないかとさえ思えてくる。紀香にしても、歌舞伎界や愛之助を取り巻く内情を全く知らぬわけではないだろう。親しい友人には「彼の才能にめっちゃ惚れてるの! 芸のためなら寝る時間すら惜しむ姿勢とかも尊敬してる!」と、無邪気に惚気てるそうだが、これを額面通りには受け取り難い。本音では愛之助の人気と財力に惚れてるのではないか? その上で、仮に異常性癖を受け継いでいようが、ゲイ道に精進していようが、そんなことは承知の上で割り切って交際していると、勝手ながら推測してしまう。
愛之助の贔屓筋(スポンサー)も、歌舞伎界の異常性に対して耐性を持たない熊切よりも、したたかで計算高い紀香の方が何かと安心できる、そう踏んでいるのだとしたら、紀香との交際に難色を示さないのも分かる(ただ結婚となると話は変わってくる。紀香の場合、年齢的に跡取りを設けることが難しいから…と思いきや、週刊文春の記事によるとそうではないようだ。片岡家には既に跡取りがおり、部屋子出身の愛之助は別に跡取りを設ける必要はないというのだ。紀香が梨園の妻に相応しくないのは、派手で目立ちすぎる、芸能活動に比重を置きすぎ、などの点らしい。熊切に対しては、グラドルという肩書きを贔屓筋は嫌っているようなので、どう転んでも了承はしなさそうだ。なお歌舞伎役者にとって贔屓筋の意向は絶対で、その了承なくして結婚は出来ないというのは、いわば不文律の掟)。

だが、そもそも紀香は愛之助との結婚を本当に望んでるのか、との疑問もある。本業である女優業でなかなかヒット作が出ず、やる事なす事バッシングを浴びせられっ放し。そんな閉塞状況を打開するため、歌舞伎役者として今一番の注目株といえる愛之助を話題作りに利用しようとしてるのではないかと、そういう邪推もしてしまうのだ。しかも紀香の所属事務所は大手かつ「悪名」高いバーニングプロダクション。同事務所が、迷走気味の紀香を影から強力にプッシュしてるのだとすれば、話はますますややこしくなる。
愛之助とて、熊切と完全に手を切るため、紀香を利用してるのでは?と、やはり邪推してしまう。少なくとも芸能マスコミにキャッチされることは計算ずくだろう。でなければド派手なフェラーリで「密会」へ向かうなどあり得ない。捻くれた見方かも知れないが、お互いに利用し合ってるのだと解釈すれば、何となく合点がいく。
とにかく考えれば考えるほど、愛之助と紀香の「熱愛」が純粋なものには程遠い印象が強くなって仕方ない。

で、今回のツボは、当事者の愛之助でも紀香でも熊切でもなく、騒動(の本質)の隠れた原点ともいえる片岡秀太郎に決定!

AKB総選挙、指原莉乃のスピーチ力!

2015-06-07 12:32:08 | 特番・スペシャル

またまた久々になってしまった拙ブログ…。今回取り上げる番組は6月6日放送の『AKB48選抜総選挙 生放送SP』。
「AKB総選挙はオワコン」などと揶揄されながらも、今年で第7回日を迎えた同特番は大きな注目を集めた。各メンバーの順位・得票数が一番の注目点であるのは言うまでもないが、それとともに毎年話題になるのが受賞時の各メンバーのスピーチ。ネットニュースでも各メンバーの順位・得票数・スピーチ内容が続々と報じられている。中でも劇的な返り咲きを果たしたHKT48のメンバー指原莉乃の得票数とスピーチ内容は、今回の一番のツボだ。

指原莉乃 AKB選抜総選挙で1位も自虐スピーチ「私はブスで貧乳」

「さ・し・は・ら・り・の!」
司会の徳光和夫が一文字ずつ区切りながら指原莉乃の名を告げた瞬間、超満員の福岡ヤフオクドームは大歓声に包まれた。
第2位に柏木由紀が選出された時点で、指原の返り咲きは決まったも同然ではあったのだが、そこはやはり「お約束」。例年通り、優勝者本人の名前が挙がってから、会場の盛り上がりは最高潮に達した。

圧巻だったのは、19万票以上という空前の得票数もさることながら、なんといっても指原のスピーチ力。得票数同様、メンバーの中でも頭抜けていた。
感激で涙にむせながらも、自分を落として笑わせ、メンバーやファンを持ち上げて泣かせ、励ますという、緩急自在、ツボを押さえた見事なスピーチをやってのけた。大袈裟ではなく、国政選挙に出ても当選するのでは、と思えたほど。一昨年、初めて1位に選ばれた時よりも一層の進化を見せている。
以下はそのスピーチ(後半部分を抜粋)↓


《以下引用》
私はAKBグループの中でもかなり特殊な存在です。
そんな私でも大分県で学生をしているときは、自分のことをまあまあ可愛いと勘違いしていました。ですが、芸能界に入って、AKBに入って、センターになれない私は、どうやったらセンターになれるんだろうとずっと考えていました。どうやったら、前田敦子さんや大島優子さんになれるのか考えたけど、なれませんでした。

私は開き直りました。私は指原莉乃をやり通そう、そう決めました。私はブスで貧乳で、いいところは本当に少ないです。(そんなことないよ~!)ありがとうございます。お決まりのセリフありがとうございます。

いいところのない私は開き直って、1位になることができました。でも、その1位はスキャンダルからの大逆転、HKTの立役者、AKBのストーリーに支えられての1位だとずっと思っていました。

私もみんなのように指原莉乃として評価されたい。そう思っていました。AKBグループには可愛い子がたくさんいます。今年はこんなに自分に自信のない指原が1位になることができました。(大拍手)ありがとうございます。

全国の自分に自信のないみなさん。私のようにイジメられて引きこもりになって、親にたくさん迷惑をかけてしまったみなさん。日の当たっていないみなさん。私はもう一度1位になることができました。奇跡の1位ではなく、自分が1年間頑張ってやってきたことを評価されての1位だと信じています。

私は落ちこぼれです。選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれのみなさん、私の1位をどうか自信に変えてください。

あの日私に力をくれたアイドルのように、私もみなさんの力になれることが本当に嬉しいです。今日は本当にありがとうございました!(大拍手)

最後に一つ。いつものやっていいですか?これからもAKBグループを応援してくれるかな~?(会場から一斉に“いいともー!”)ありがとうございました!



総選挙という大舞台で、これほど感情に訴えかけられるスピーチなどなかなか出来るものではない。文字で起こしただけでも内容は分かるが、映像を見るとよりリアルに凄みが伝わってくる↓

第7回 AKB総選挙 1位 指原莉乃のスピーチ(注:たった一日で削除された模様。別のリンク先を貼ろうとも考えたが、またすぐに削除されそうなのでやめた。「指原莉乃 スピーチ」等のワードで各自検索してもらった方が確実かと思う)

AKB総選挙なるイベントはファン心理を巧みに操った催眠商法の類、との思いは正直変わらない。茶番劇に過ぎない、と言われても否定はできない。
が、指原のスピーチ力は紛れもなく本物だ。昨日リアルタイムでスピーチを聴いて、(本人も言ってるように)なぜ特別可愛いとも思えない指原がこれほどまでに支持されるのか、その理由の一端を垣間見れたような気がした。

指原のスピーチ力に対する高評価は今に始まったことではない。一昨年のAKB総選挙の直後すでに、『なぜ指原莉乃ばかりが躍進を続けるのか~AKB総選挙のスピーチにみるコトバの力』という、そのものズバリのタイトルの本が上梓されている。
指原のみならず、躍進する上位メンバーに共通の要素としてスピーチ力の高さを挙げ、それぞれのメンバーのスピーチの特徴も含め、詳しく解説している。
同じ2013年には、ジャーナリスト田原総一朗との対談という形で『AKB48の戦略!~秋元康の仕事術』という本も上梓されていて、AKBグループを売り出す戦略について秋元自身が語っているのだが、その中で元メンバーの前田敦子に対する思いを以下のように吐露している。

秋元康に聞く、なぜ前田敦子さんがセンターだったの?👈

対談の中で秋元は、前田敦子はもっともセンターに向いていないがゆえに、敢えて初代センターに抜擢したと逆説的に語っている。ファンは、全然アイドルらしくない女の子を、自らの応援によって魅力的なアイドルへと育て上げる「シンデレラ・ストーリー」を求めているからと。
確かにかつての前田は、不器用で引っ込み思案で泣き虫という、いわゆる「アイドルらしさ」からは程遠いキャラクターだった。その代わり人一倍の頑張り屋で、努力の量では誰にも負けなかった。だからこそ、パッとしない女の子がアイドルの階段を駆け上がってゆくというAKBグループのコンセプトには、これ以上ないくらいに合致した存在だったともいえる。

前田がAKBグループで一番必要とされ、「不動のセンター」と称されるほどファンから熱烈に支持を受けた理由を知れば、自ずと指原が高い支持を受け続ける理由も見えてくる。
指原も本質の部分では前田と同じなのだ。指原曰く「ブスで貧乳」で、いじめられっ子で落ちこぼれの女の子が、開き直って「指原莉乃をやり通す」ことによって見事1位の栄冠を勝ち取ったというのだから、まさにAKBグループのコンセプトを体現したといってもいい。前田に対して秋元が感じたという「なにか」(=天才的なオーラ)は、指原の雰囲気からも充分に感じ取れる。
加えて指原には、前田にはなかった喋りの達者さがある。AKBグループのファンが求めるキャラクターを備えている上に、スピーチで感動を呼ぶ才まであるとなれば、まさしく鬼に金棒。空前の得票を得たのも、当然すぎるくらい当然のことだったのかも知れない。
今後も当分の間、指原を中心にAKBグループは大いに話題を提供してくれそうだ。


これぞバラエティの真髄! 見事な「有終の美」

2014-04-07 08:51:38 | ワイドショー・バラエティ


またまた久々となってしまった拙ブログの更新で、再び登場願うのはやはり「笑っていいとも!」。とうとう迎えた最終日(お昼の最終回と、夜のグランドフィナーレ)は、まさしくテレビ史上に残る伝説の神回となった(番組が終わって一週間以上経ってからUPしたのは、その後「いいとも最終日ネタ」を各メディアがどう伝えたか知りたかったから。具体例は後述)。
なぜ伝説の名に値するのか。多くを語らなくても、冒頭にUPした画像を見たらその理由は一目瞭然だろう。誰がこのメンバー達での共演を予想し得ただろうか。「実現したら凄いな」と、願望としては抱いていても、大半の人は「やっぱり無理だろうな」と諦め半分で観ていた筈。実際、当事者が後日ラジオ番組で明かした裏話によると、「犬猿の仲」と噂されているダウンタウンVSとんねるず・爆笑問題は、スタジオ内でも絶対顔を合わせないよう配慮され、出番も別々に設定されていたらしい。
ところが、である。テレフォンショッキングの最終ゲストとして登場した明石家さんまが、引き続き「タモリ・さんまの日本一の最低男」コーナーでも長々と喋りまくり、業を煮やしたダウンタウンとウッチャンナンチャンが「長~~い!!」と怒声とともに乱入してきたことで予定調和の流れは吹き飛んだ。浜田雅功が、悪態をつきながらさんまの口に粘着テープを貼り付けて喋りを封じ、松本人志は「とんねるずが出てきたらネットが荒れる!」と煽り立てた。
だがここまでならまだ、想定の範囲内といえなくもなかった。問題シーンはこのあと。松本から公然たる挑発を受けたとんねるずが黙っていなかった。すぐさま爆笑問題の楽屋を訪れ、「おい、殴り込みに行こうぜ!」と加勢を求め、まずはとんねるずが先陣を切って乱入。スタジオ内はステージ、客席とも大騒ぎになった。「今出てきたらダメでしょ!」と浜田が制するなか、続いて爆笑問題も乱入。スタジオはさらにヒートアップした。

その際の松本のリアクションは見ものだった。明らかに虚を突かれたようで、苦笑とも照れ笑いともつかない表情を浮かべ、困惑した様子がありありだったのだ。が、そこはベテラン芸人。すぐさま態勢を立て直し、ある種"禁断のフレーズ"である「ネットが荒れる~~!」を再び繰り出した。これに対して太田が吠えた。
「荒れろ、荒れろ~~! 燃やせ、燃やせ~~! この野郎~!!」
両者の応酬でステージはカオス状態に陥った。客席を埋め尽くす、いいともゆかりの有名タレント達も「悪乗り」して大いに盛り上げた。
とんねるず石橋、ダウンタウン松本、爆笑問題太田の三者のなかでも、特に松本と太田の確執は半ば都市伝説のようになっていて、発端は次のようなことであったとされる。
20年以上前、松本はチンピラ紛いのジャージ姿で漫才をしていて、それを見た太田が自身のラジオ番組でさんざんバカにした。そのことを松本が聞きつけて激怒。太田を楽屋へと呼び出し、「俺に殴られるか、芸能界を引退するか、土下座して謝るか、どれかを選べ!!」と凄んだというのだ。太田はやむなく、その場で土下座して謝罪。以来両者は「絶対共演NGタレント」になったそうな。
この噂、両者とも全く言及しないので真偽のほどは定かではないが、太田がパーソナリティを務めるラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」のなかで水道橋博士から「もしダウンタウンDXにゲストで呼ばれたら?」と問われ「絶対行かねえよー!」と答えている(動画サイトで確認済み)ので、何らかの確執があったのはどうやら事実のようだ。松本も遠回しながら、確執の存在を暗に認めている→松本人志が「不仲説」認める

乱入後も太田はいつもの芸風通り言いたい放題。ステージのあまりの荒れように、見かねたディレクターが出した「みんなで仲良くお話しして下さい」というカンペに対しては「はっきり言って、このメンバーで仲良くできるわけねえじゃねえか!」
タモリへの労いの言葉を求められると「タモリさんのお陰で、こうして仲悪い人達と会うことができた」。当の松本が真横にいるにも関わらず、だ。ピリピリした緊張感が漲る、何でもありの「真剣勝負」は実に見応えがあった。

ネットニュースや雑誌記事などで続報を更に調べてみると、不仲説が取り沙汰されているのは上記の芸人達だけではないようだ。さんまと松本も、松本シンパの後輩芸人をさんまが引き抜こうとしたことが原因で犬猿の仲になったと噂されており、木梨と浜田の間にも、かつて小川菜摘(現在の浜田の妻)と木梨が恋人同士だったことで、今だにシコリが残っているという。ナインティナインに対しては、松本が自身の著書のなかで非難、というより完全に見下した論評をしていて、そのことによりナイナイの二人は松本のことを怖がって共演を避けてきたのだそうだ。これらの報道が事実だとしたら、ウッチャンナンチャンを除き、あとはことごとく「敵同士」の芸人が一堂に会したことになる(以上のことを踏まえて録画を観るとなお面白い)。

これほど本気度溢れるバラエティは近年なかなかお目に掛かれない。第一線の芸人が、手抜きなし・タブーなしでステージに臨み、それを編集なしでストレートに放送すれば、これほど面白くなるのだということを改めて認識させられた。巷でもそう感じた人は多かったのだろう。放送後、ブログや掲示板だけでなく、ネット上のニュースサイトでも「いいとも最終日」のネタで持ち切りになった。まさしくネットが「荒れた」のだ。もちろん肯定的な意見ばかりではない。辛辣な批判も相当ある。だがそれでいい。バラエティは賛否両論真っ二つに割れるほどアクの強いものでなくては面白くない。クレームを恐れ、無難に予定調和でまとめる生温いバラエティが蔓延る現状では尚更その感が強い。

「グランドフィナーレ」のハチャメチャ振りは、昼の「いいとも最終回」から既に始まっていた。皮切りはテレフォンショッキングの最終ゲストとなったビートたけしが読み上げた「感謝状」。タイトルこそタモリへの感謝状となっているが、たけしが真面目な感謝状なんか持ってくるわけがない。当然ながら内容は感謝とは程遠いふざけたものだ。以下その全文を記してみたい。



表彰状、タモリ殿


長らく「笑っていいとも!」の司会を務めてきたタモリさんに、私から表彰状を送りたいと思います。
ちなみにこの表彰状はゴーストライターが書いたものです。私は一切書いていないことをご了承ください。

本日は32年間続いた国民的長寿番組「笑っていいとも!」の最終回という晴れの日に、世界的人気映画監督であり、高額納税者人気タレントであり、さらに「総理大臣にしたい男」5年連続ナンバーワン、「上司にしたい男」3年連続ナンバーワンという、人気と実力を兼ね備えた超一流タレントである私を呼んでいただき、誠にありがとう。

私の「笑っていいとも!」の思い出と言えば1983年2月、理屈ばっかり言っていた田中康夫が気に食わず、生放送中に乱入し、首を絞め上げたこと。その結果、翌日のスポーツ新聞には「たけし、心身症」と書かれてしまいました。今となってはいい思い出です。

「いいとも青年隊」と言えば、かつて女をだまし、金をせしめ、詐欺恐喝罪で訴えられたH賀研二、パチンコでマンションを買ったといばっていたK保田篤さん、いまだ「世界ふしぎ発見」でしか姿を見ることのないN々村真さん、さらにはいいとも青年隊卒業後、ホームレスになってしまったK田健作さん、そして全く売れなかった萩本欽一さんのところのあさりど。などなど、数々の一流タレントを輩出してきたことを忘れてはいけません。

そして何と言ってもこの番組の名物コーナーである、「テレフォンショッピング」。友達を紹介するという名のもとに、いきなり電話をして出演をお願いするという斬新な企画でありました。
しかしながら、女優の矢田亜希子さんが大竹しのぶさんを友達として紹介するときに、思わず「初めまして」と言ったとき、私はショックのあまり、耳が聞こえなくなりました。得意の作曲活動をあきらめなければいけない事態に陥ってしまいました。あらためて芸能界というのはヤラセの世界だなと痛感した次第でございました。

そして32年間、初めて新宿に来た番組観覧の田舎者を相手に何もやらず、まぬけな芸人に進行を任せてきたタモリさんに触れないわけにはいきません。
かつてあなたは、ヘルスの呼び込み、オレオレ詐欺の出し子、パチンコ屋のサクラ、フィリピン人との偽装結婚の斡旋などを経て芸能界に入り、イグアナの形態模写、4か国語麻雀、意味不明なハナモゲラなどの卓越した芸で、一部のエセインテリ集団から熱狂的な支持を受け、あれよあれよという間に国民的人気番組の司会者まで上り詰めました。

しかし、そんな「笑っていいとも!」も今日をもって終わってしまうのかと思うと、私としては残念でありません。明日からは、O倉智昭さんの「かぶっていいとも!」という番組がはじまると知ったとき、私はそのとき思わず聞こえなかった耳が回復し、今は歪んで聞こえるまでになりました。最近では、新垣さんとの一度壊れた友情も復活し、今では二人で元気に作曲活動にいそしんでおります。ですからタモリさんも何の心配もすることなく、二流とも三流ともつかない芸人しか出ないと言われている「タモリ倶楽部」に全精力を注いで頑張ってください。


2014年3月31日 「A女E女」復活を望む会
会長 イジリー北野



「いいとも!」で封印されてきた矢田亜希子の「初めまして事件」や、フジテレビでタブー視されている小倉智昭の「かつらネタ」を堂々と盛り込み、時事ネタの「佐村河内ネタ」までトッピングした、如何にもたけしらしい感謝状だ。
因みに末尾にある「A女E女」はこちらを参照→A女E女 この番組もまた素晴らしい! 今回の「グランドフィナーレ」以上に問題視された番組だが(実際バッシングの嵐になった)、これもこれでやはりバラエティの真髄と言って差し支えないと思う。なぜならタブーに挑戦しているから。バラエティはタブーに挑むか、もしくは緻密なストーリーを構成しているかのどちらかでなければ魅力を感じない。無理だと分かってはいるが、こんな番組こそぜひ復活してほしい。

「グランドフィナーレ」に話を戻す。確執を抱えた松本・太田を核に、一癖も二癖もある「お笑い怪獣」が勢揃いしたステージは、もはや誰も仕切れない。意味不明なボケや怒号が飛び交い、ついには全く関係のないサンコンやおすぎとピーコ、田中康夫や橋田壽賀子まで客席からステージ上に引っ張り上げておもちゃにする始末。田中康夫などは、たけしの感謝状に書かれていた内容そのままに、太田に首を絞められ床に背中から叩き付けられた。必死で謝る相方の田中に対し、田中康夫は何を思ったかいきなり田中にハグしてチューをしたもんだから、さあ大変。田中は「なにチューしてんだよ!」とブチ切れ、田中康夫をステージ上から蹴り落とすようにして客席へ追い返してしまった(同じ苗字でややこしいなぁ…)。
ネットニュースによると、この時ステージ裏の各芸人のマネージャーや事務所関係者の間でも「聞いてないよ!」とか「ヤバイよ、ヤバイよ!」などといったダチョウ倶楽部や出川哲朗張りの怒号が飛び交っていたそうだ。彼等にしてもとんねるず&爆笑問題の乱入劇は完全に想定外だったようで、ベテラン芸人の暴走にはさぞ頭を抱えていたことだろう。

今回のツボは、こんな滅茶苦茶なステージ上で、何ら動じることも熱気に水を差すこともなく、淡々と司会をこなし続けたタモリ本人。自らは全然仕切ったりせず、芸人たちに好きなようにやらせてるにも関わらず、タモリを軸に番組が動いてる感が醸し出されていて感心させられた。ギネスに掲載されるほどの長寿番組の司会者の存在感はやはり伊達ではない。
ダウンタウンらが乱入してきたのが、番組が始まってから52分30秒後。そのあと3回のCMを挟んでの約35分間は「奇跡の35分間」と言っても過言ではないくらい光っていた。確かに内容らしい内容は何もなかった。ネット上での批判意見の大多数も、無意味なドタバタ劇は見苦しいという類のものだった。けれど個人的にはそんなことは問題ないと思っている。生放送で、かつタブーに挑戦する、その二つがあれば充分。次の瞬間、何が起こるか予測できないドキドキ感こそバラエティの醍醐味なのだから。

さて肝心のテレビが「いいとも!」をどう伝えたかだが、これはどうも物足りない。全部は見ていないが、総じてネットの充実ぶりとは比較にもならない。
まず翌日(火曜日)のワイドショー。フジテレビ以外は他局とあってスルー状態。お膝元の「とくダネ!」にしてもあっさりし過ぎ。芸人の乱入劇については紹介したが、なぜそれが凄いことなのか、裏事情に関しては(おそらく意図的だろうが)完全スルー。笠井アナが「爆笑問題が入ってくれば、そりゃ大荒れになります」なんて無難にサラッと触れただけだった。もちろんと言うべきか、最終回でたけしが読み上げた「感謝状」については何も触れなかった。小倉キャスターに関するタブーはまだまだ破られそうにない。
日曜日の情報バラエティの中では、「アッコにおまかせ!」がもっとも突っ込んだ情報を提供していた。ステージ裏が大騒ぎになっていたことも紹介し、さらには「不仲説」にまで言及したが、レギュラーのIMARUが「あくまで説ですからね」と釘を刺し、番組内でも内幕については一切触れなかった。当人同士さえ触れないことだから仕方ないとはいえ、この辺りにテレビの限界を見た思いがした。同じくお昼の時間帯、関西系の芸能情報番組「上沼・高田のクギヅケ!」はというと、こちらは完全スルー。上沼の毒舌に期待していたのに肩透かしを食らった。前々から思っていたことだが、関西ローカル系の番組はどうしても関西芸人のスキャンダルについてはツッコミが甘過ぎる!
深夜枠から移動してきた「ワイドナショー」は前述の通り。同時間帯の「サンデージャポン」は一番期待していたのだが、残念ながら完全スルー。確執の根深さを匂わせた。
以上、テレビ報道の概要を見るにつけ、如何に「大人の事情」が幅を効かせているかが分かる。それだけになお、「いいとも最終日」の凄さが窺えようというものだ。

「いいとも最終日」の素晴らしさに引き換え、後番組の「バイキング」のなんと生温いことか…。はっきり言って失望を通り越している。MCが不慣れとか、内容が生煮えとか、そんなことはどうでもいい。あんなお化け番組のあとだ、いきなり上手くいかないのは当然のこと。フジテレビの広報も、現段階では試行錯誤しながら進めているのを認めている。
問題はもっと根幹、そう去年のちょうど今頃、やはり「笑っていいとも!」の偉大さを称えた際、最後の一節に込めた願望が全く叶えられなかった。「生放送で、かつVTRを一切使用しないこと」この二点のうち後段の部分が無くなり、凡百の情報バラエティと同類に成り下がってしまった。いくら生放送であっても、VTRを使用したら意味がない。タレントが100%トーク力と演出力だけで勝負するのと、VTRの逃げ道を作るのとでは画面から滲み出てくる緊迫感が段違いなのだ。
「VTRを使用しない」という最大の美点を引き継がなかった時点で、新番組は死んだも同然と言っていい。「いいとも!」があんなに生温く、マンネリ化してもギネス級の長寿を達成し得たのは、ひとえに「VTRを使用しない」というコンセプトだけは絶対に曲げなかったからだと推察している。今後どんなに企画に工夫を凝らしたとしても、根幹部分を変更してVTR無しにするとはとても考えられないから、「バイキング」には全然期待していない。

バラエティでVTRを使用していいのは、「VTRでなければ表現できない映像を映し、なおかつその映像が番組のコンセプトと密接に関わっている」場合のみだと思っている。過去の番組で例えれば「トレビアの泉」がその典型だ(奇しくもタモリがMCの番組!)。
「トレビア…」はバカバカしい疑問に対し、潤沢な予算を投じ、大変な手間暇を掛けて検証するという、バラエティの王道を歩む素晴らしい番組だった。「バカバカしいことを大真面目に…」これを貫けば、たいてい優れたバラエティになる。翻って「バイキング」でのVTR映像は、グルメ情報とか最新トレンドとか、どうでもいいものばかり。こんなものなら他にいくらでも代わりがあり、見応えも何もない。

ロウソクは燃え尽きる寸前にもっとも明るく輝くという。「いいとも!」はまさしくそれ。最終日に最高の輝きを見せた。と同時にそれは一つの番組のみならず、真のバラエティの終焉を告げる弔鐘のような気がしてならない。ある有名ブログでは「いいとも最終日」を「テレビのお葬式」と例えていたが、まさに言い得て妙だと思う。
だがこのままバラエティを死なせてはならない。生放送で、かつVTRを一切使用しないバラエティか、もしくはバカバカしさの極みに対し、大掛かりに、かつ大真面目に取り組むバラエティか、そのどちらかの復活を強く望む。もちろんその際のMCは、タモリでお願いしたい!