レビューが遅れに遅れたので、今週は2回分をまとめて投稿!(汗々)
で、今週はとうとう秀次が切腹させられてしまう。口うるさい江は、よりによって秀忠に嫁ぐよう言い渡されてしまうし…。溺愛する拾のことで頭はいっぱい。それ以外の人間は、たとえ身内であろうと容赦なく切り捨てる、愚かなエゴイストに成り果てた秀吉…。
文禄三年(1594)春、秀吉は「建造中の伏見城が出来しだい移り住む」と宣言。が、幼い拾は連れていかないという。かつて生後間もない鶴松を大坂城に移住させ、早逝させてしまったことがトラウマになっているのだ。
「秀吉様は幼い拾を関白にするため、秀次様を追い落とすつもりでは?」
満開の桜を前に、縁側でおねと側室・龍子の二人と話していた江は、ふと頭をよぎった不安をぶつける。
そこへタイミングよく?現れたのは当の秀次。ベロベロに酔っ払っている。
「たとえ伏見城に移り住んでも、叔父上は隠居などなさらん。いずれは拾に大坂城を譲り、自ら後見人になられるつもりじゃろう」秀次は鋭く指摘する。
「拾を授かった今、ワシは邪魔なのでしょうな。ワシを退けたくて仕方ないのじゃ!」すっかり自暴自棄になってる秀次。
「そんな埒のない疑いのために昼間から酒を飲み、鷹狩りに興じておるのか! それより、関白としての仕事をしなされ!」おねは醜態を晒す秀次を叱責するが「無駄です! 叔父上は私を退けたくてしょうがないのです!」と、秀次は聞く耳を持たない。
「関白殿下、お茶など召し上がりますか?」龍子は気まずい空気を察し、そう取りなすが「関白のう…。いつまで関白でいられるかのう」秀次はそう呟き、千鳥足で縁側を去ってゆく。
そんな秀次を見やりながら、おねは「大丈夫じゃ…大丈夫」自らに言い聞かせるように呟くが、本心では秀次と同じような危惧を抱いていた。
それから月日が流れ、淀と拾はようやく伏見城に移り住む。迎えた秀吉は親バカぶりを発揮してデレデレ。
秀吉の親バカは留まる所を知らず、翌年には朝廷に対し、拾に授五位下の位を授けてほしいと願い出る。
(いよいよ、拾を関白の座に就けるための布石を打ってきた!)朝廷の使者を迎えた場で、同席した秀次は慄然とする。
もちろん、秀吉はそのための見返りを忘れてはいない。襖がバーンと開かれると、そこには山盛りの砂金が積み上げられていた。秀吉自身が関白の座を射止めた時と同じ、露骨なワイロ作戦だ。
「きな粉でござる。食べられぬきな粉ですが…」秀吉が、悪代官に菓子折りと称して小判の詰め合わせを送る悪徳商人張りの説明をすると、使者は恐縮し「ま、間違いのう、お上に奏言いたしましょう~」と、ひれ伏す。
「良かったのう~拾や~。偉くなるなるのじゃぞ~」秀吉は拾を抱き上げ、満面の笑顔で話し掛けるが、横目でチラッと秀次を見やった瞬間、表情は一変。冷酷な眼差しで秀次を睨み付ける。この時の秀吉、眉毛がなくて不気味なことこの上ない。『龍馬伝』の時の慶喜も眉毛がなかったけど、その時の慶喜よりもいっそう気持ち悪い。ともあれ、この瞬間に秀次の運命は定まったといえよう。
「秀次について、どう思う?」伏見城にて、秀吉が三成に問うている。
「秀次様に良からぬ噂があります」秀吉に不満を持つ公家や寺社勢力は多く、それらが秀次を担ぎ出そうとしている、と三成は告げる。
「ワシも、いつまでも元気でいられるとは限らん。ワシの目の黒いうちに、何としてでも拾を関白の座に就けたい。信頼できるのはソチだけじゃ。淀と拾のことを宜しく頼む。秀次のことは全てソチに任せる。諸々のこと、好きに致せ」暗に、どんな手段を使ってもいいから秀次を引きずり下ろせ…との含みを持たせる秀吉。
碁盤の真ん中に白い碁石を置き、少し離れた斜め左上に黒い碁石を置いて、秀吉はじっと見つめる。白い碁石の位置が伏見城だとすると、黒い碁石の位地は聚楽第に当たる。すなわち、拾と秀次を暗示していると見たがどうだろうか? 白い碁石(拾)を中心(関白)に据えるため、黒い碁石(秀次)は排除する。秀吉のそんな邪悪な意志を、碁石を使って表した、なかなか意味深な演出だった。
その後、家康が秀忠と本多正信を伴い聚楽第を訪れる。建前は秀次のご機嫌伺いだが、実際は豊臣家の内情を偵察するためだ。
秀次もそのことは分かっていて「家康殿は伏見城の側に立派な屋敷を建てられたそうな。偵察のためでしょ?」と問い掛けるが、家康は「屋敷のことは家臣に任せておりますので…」と惚ける。その上で「関白殿下が京都を治めておられれば天下は安泰ですなあ~」と、無難な誉め言葉で切り返す。そんな父を見ていた秀忠は、傍らで小さく「狸めが…」と呟く。
家康らは続いて仏間を訪れ、秀勝の位牌に手を合わせる。同席した江は「秀吉様と拾、秀次様のことをどう思われます?」と、思いっきりストレートに訊くが、家康がそんなデリケートな問題にちゃんと答えをわけはなく「豊臣家の家中のことはよく分かりません」と、これまた無難な答えを返す。が、今度は秀忠が黙っていなかった。「秀次様は焦っておられるようですね。太閤殿下から、関白の座を追い落とされるのではないかと…」と、踏み込んだコメントをしたもんだから、家康も一言付け加えざるを得なくなった。
秀次様はどうされたらよいか?と問う江に「関白としての務めをしっかり果たされ、一分の隙も見せないことです」無難ではあるが、それなりに有益なアドバイスを与えた。
江の前を辞した家康は、廊下を歩きながら秀忠と正信に指示を与える。「秀次様のことをしっかり見張るように…。それと、もし秀次様と殿下との間に何かあれば、迷わず殿下の方に付くように」家康は、器量も人望も、秀次は太閤に遠く及ばないことを見抜いていたのだ。
秀次は自身に迫る危機を知りながら、ゴロゴロと寝そべって和歌の本などを読むばかり。江は秀次の身の上が心配でならず、「関白のお務めをちゃんとして下さい!」って文句を言うが、秀次は「そなたには関係ない!」と不貞腐れる。
そこへやって来たのが秀忠。秀次に呼ばれてやって来たのだった。
秀次はそれとなく家康の真意を尋ねるが、秀忠は何も答えない。「聚楽第でしばらく逗留されては?」と秀次は薦めるが、秀忠はさりげなく断って退席する。
跡を追ってきた江が問う。「なぜ泊まるよう薦めたりしたんでしょう?」秀忠は言う。「私を人質にするためですよ」
江が恐れていたことは2ヶ月後に起こった。夜半、三成が家臣を率い聚楽第に乗り込んでくる。秀次に謀反の疑いあり、との理由で…。
三成は「身の潔白を証明するため、誓紙を書かれませ」と求め、秀次は即座に応じるが、そんなものは形だけで、どう転んでも処罰は免れようもない状況に陥っていた。
間もなく秀次は伏見城に幽閉され、聚楽第では大々的な家宅捜索が始まる。
「何のためにこんなことを!」と詰め寄る江に「謀反の疑いがあれやこれやあるからです」なんて史実通りの説明をする三成。
「そんなものは作り話です! 利休様の時と同じやり口ではないか!」と、江は責め立て、「秀吉か、秀次様に会わせよ!」と求める。三成は体よく断るが、江は三成の短刀を素早く抜くと自分の首に突き立て「会わせなければ自害する!」と脅したので、三成はやむなく要求に従う。
伏見城に到着した江は秀次が幽閉されている一室に通される。
「秀吉に会って濡れ衣を晴らして下さい!」そう懸命に懇願するが、秀次はもうすっかり諦めていた。
「身内思いの叔父上が、実の姉の子で、実の甥であるワシを殺そうとしている。もう何を言っても無駄じゃ。叔父上は拾が生まれてからおかしくなられた。思えば、57歳の叔父が子に恵まれ、しかも男の子だったという時点でワシの命運は尽きていたのかもしれん。ワシはもう生きてるのが嫌になった。早く秀勝のいる場所に行きたい。ワシが居て許される場所に…」
ほどなく高野山へ追放された秀次は、切腹を命じられ果てた。続けて、秀次の妻や側室、幼い子供らもことごとく三条河原で処刑された。ただでさえ係累の少ない豊臣家は、これでますます先細りになってしまった。我が子かわいさのあまり、自らの首を締めてしまうようなこの所業。愚かしいにも程があるなあ…
秀吉の非道さに江は怒り心頭。直接抗議すべく、家臣の制止を振り切って秀吉の元へ赴くと、そこには驚くべき光景が! 秀吉が狂ったように見えない何かから逃げ惑い、必死で許しを乞うていた。
「ひぃぃぃ! 秀次~! 許してくれ~っ!!」
結局、江は話もできず引き揚げるが後日、淀から「殿下は、昼も夜も秀次様の亡霊に怯えておいでじゃ」と聞かされ「あれだけのことをしたのです。自業自得です!」そう吐き捨てる。
そこへ侍女ヨシから急報。聚楽第が徹底的に破壊されていると言うのだ!
秀吉は、亡き秀次の痕跡を完全に消し去り、秀次の亡霊から逃れようとしていた。
秀勝との思い出が刻まれた聚楽第を破壊されたことで、江は秀吉との決別を決意。秀吉にその意志を告げるべく面談を申し出る。
「私は秀吉様に愛想が尽きました。生涯、絶対に許しません。もう二度と顔も見たくありません。養女の縁も切らせて頂きます」江の絶縁宣言を無表情で聞いていた秀吉だったが、江が立ち去ろうとした時、背後から声を掛ける。「そなた…もう一度嫁に行かんか? 相手は家康の嫡男・秀忠じゃ」
もちろん、江はキッパリと断る。「あなたは人の命も、運命も、全て自分の思い通りになると思ってるんですか? そんな話、お断りします!」
「もう決めたことじゃ。徳川と結べば、豊臣家はより磐石となる」秀吉の身勝手さに呆れた江は「全ては拾のためではありませんか!」と責めるが、秀吉はさも当然といった表情で呟く。「悪いか?」
この時の表情も不気味だぁ~! ま、それだけ岸谷の演技が秀逸ということだろうけど…
次回は、経緯はともあれ江と秀忠が縁あって夫婦になる トンデモ夫婦のドタバタ劇と共に、晩年の秀吉がどこまで狂ってゆくのかも楽しみ?だなあ~
で、今週はとうとう秀次が切腹させられてしまう。口うるさい江は、よりによって秀忠に嫁ぐよう言い渡されてしまうし…。溺愛する拾のことで頭はいっぱい。それ以外の人間は、たとえ身内であろうと容赦なく切り捨てる、愚かなエゴイストに成り果てた秀吉…。
文禄三年(1594)春、秀吉は「建造中の伏見城が出来しだい移り住む」と宣言。が、幼い拾は連れていかないという。かつて生後間もない鶴松を大坂城に移住させ、早逝させてしまったことがトラウマになっているのだ。
「秀吉様は幼い拾を関白にするため、秀次様を追い落とすつもりでは?」
満開の桜を前に、縁側でおねと側室・龍子の二人と話していた江は、ふと頭をよぎった不安をぶつける。
そこへタイミングよく?現れたのは当の秀次。ベロベロに酔っ払っている。
「たとえ伏見城に移り住んでも、叔父上は隠居などなさらん。いずれは拾に大坂城を譲り、自ら後見人になられるつもりじゃろう」秀次は鋭く指摘する。
「拾を授かった今、ワシは邪魔なのでしょうな。ワシを退けたくて仕方ないのじゃ!」すっかり自暴自棄になってる秀次。
「そんな埒のない疑いのために昼間から酒を飲み、鷹狩りに興じておるのか! それより、関白としての仕事をしなされ!」おねは醜態を晒す秀次を叱責するが「無駄です! 叔父上は私を退けたくてしょうがないのです!」と、秀次は聞く耳を持たない。
「関白殿下、お茶など召し上がりますか?」龍子は気まずい空気を察し、そう取りなすが「関白のう…。いつまで関白でいられるかのう」秀次はそう呟き、千鳥足で縁側を去ってゆく。
そんな秀次を見やりながら、おねは「大丈夫じゃ…大丈夫」自らに言い聞かせるように呟くが、本心では秀次と同じような危惧を抱いていた。
それから月日が流れ、淀と拾はようやく伏見城に移り住む。迎えた秀吉は親バカぶりを発揮してデレデレ。
秀吉の親バカは留まる所を知らず、翌年には朝廷に対し、拾に授五位下の位を授けてほしいと願い出る。
(いよいよ、拾を関白の座に就けるための布石を打ってきた!)朝廷の使者を迎えた場で、同席した秀次は慄然とする。
もちろん、秀吉はそのための見返りを忘れてはいない。襖がバーンと開かれると、そこには山盛りの砂金が積み上げられていた。秀吉自身が関白の座を射止めた時と同じ、露骨なワイロ作戦だ。
「きな粉でござる。食べられぬきな粉ですが…」秀吉が、悪代官に菓子折りと称して小判の詰め合わせを送る悪徳商人張りの説明をすると、使者は恐縮し「ま、間違いのう、お上に奏言いたしましょう~」と、ひれ伏す。
「良かったのう~拾や~。偉くなるなるのじゃぞ~」秀吉は拾を抱き上げ、満面の笑顔で話し掛けるが、横目でチラッと秀次を見やった瞬間、表情は一変。冷酷な眼差しで秀次を睨み付ける。この時の秀吉、眉毛がなくて不気味なことこの上ない。『龍馬伝』の時の慶喜も眉毛がなかったけど、その時の慶喜よりもいっそう気持ち悪い。ともあれ、この瞬間に秀次の運命は定まったといえよう。
「秀次について、どう思う?」伏見城にて、秀吉が三成に問うている。
「秀次様に良からぬ噂があります」秀吉に不満を持つ公家や寺社勢力は多く、それらが秀次を担ぎ出そうとしている、と三成は告げる。
「ワシも、いつまでも元気でいられるとは限らん。ワシの目の黒いうちに、何としてでも拾を関白の座に就けたい。信頼できるのはソチだけじゃ。淀と拾のことを宜しく頼む。秀次のことは全てソチに任せる。諸々のこと、好きに致せ」暗に、どんな手段を使ってもいいから秀次を引きずり下ろせ…との含みを持たせる秀吉。
碁盤の真ん中に白い碁石を置き、少し離れた斜め左上に黒い碁石を置いて、秀吉はじっと見つめる。白い碁石の位置が伏見城だとすると、黒い碁石の位地は聚楽第に当たる。すなわち、拾と秀次を暗示していると見たがどうだろうか? 白い碁石(拾)を中心(関白)に据えるため、黒い碁石(秀次)は排除する。秀吉のそんな邪悪な意志を、碁石を使って表した、なかなか意味深な演出だった。
その後、家康が秀忠と本多正信を伴い聚楽第を訪れる。建前は秀次のご機嫌伺いだが、実際は豊臣家の内情を偵察するためだ。
秀次もそのことは分かっていて「家康殿は伏見城の側に立派な屋敷を建てられたそうな。偵察のためでしょ?」と問い掛けるが、家康は「屋敷のことは家臣に任せておりますので…」と惚ける。その上で「関白殿下が京都を治めておられれば天下は安泰ですなあ~」と、無難な誉め言葉で切り返す。そんな父を見ていた秀忠は、傍らで小さく「狸めが…」と呟く。
家康らは続いて仏間を訪れ、秀勝の位牌に手を合わせる。同席した江は「秀吉様と拾、秀次様のことをどう思われます?」と、思いっきりストレートに訊くが、家康がそんなデリケートな問題にちゃんと答えをわけはなく「豊臣家の家中のことはよく分かりません」と、これまた無難な答えを返す。が、今度は秀忠が黙っていなかった。「秀次様は焦っておられるようですね。太閤殿下から、関白の座を追い落とされるのではないかと…」と、踏み込んだコメントをしたもんだから、家康も一言付け加えざるを得なくなった。
秀次様はどうされたらよいか?と問う江に「関白としての務めをしっかり果たされ、一分の隙も見せないことです」無難ではあるが、それなりに有益なアドバイスを与えた。
江の前を辞した家康は、廊下を歩きながら秀忠と正信に指示を与える。「秀次様のことをしっかり見張るように…。それと、もし秀次様と殿下との間に何かあれば、迷わず殿下の方に付くように」家康は、器量も人望も、秀次は太閤に遠く及ばないことを見抜いていたのだ。
秀次は自身に迫る危機を知りながら、ゴロゴロと寝そべって和歌の本などを読むばかり。江は秀次の身の上が心配でならず、「関白のお務めをちゃんとして下さい!」って文句を言うが、秀次は「そなたには関係ない!」と不貞腐れる。
そこへやって来たのが秀忠。秀次に呼ばれてやって来たのだった。
秀次はそれとなく家康の真意を尋ねるが、秀忠は何も答えない。「聚楽第でしばらく逗留されては?」と秀次は薦めるが、秀忠はさりげなく断って退席する。
跡を追ってきた江が問う。「なぜ泊まるよう薦めたりしたんでしょう?」秀忠は言う。「私を人質にするためですよ」
江が恐れていたことは2ヶ月後に起こった。夜半、三成が家臣を率い聚楽第に乗り込んでくる。秀次に謀反の疑いあり、との理由で…。
三成は「身の潔白を証明するため、誓紙を書かれませ」と求め、秀次は即座に応じるが、そんなものは形だけで、どう転んでも処罰は免れようもない状況に陥っていた。
間もなく秀次は伏見城に幽閉され、聚楽第では大々的な家宅捜索が始まる。
「何のためにこんなことを!」と詰め寄る江に「謀反の疑いがあれやこれやあるからです」なんて史実通りの説明をする三成。
「そんなものは作り話です! 利休様の時と同じやり口ではないか!」と、江は責め立て、「秀吉か、秀次様に会わせよ!」と求める。三成は体よく断るが、江は三成の短刀を素早く抜くと自分の首に突き立て「会わせなければ自害する!」と脅したので、三成はやむなく要求に従う。
伏見城に到着した江は秀次が幽閉されている一室に通される。
「秀吉に会って濡れ衣を晴らして下さい!」そう懸命に懇願するが、秀次はもうすっかり諦めていた。
「身内思いの叔父上が、実の姉の子で、実の甥であるワシを殺そうとしている。もう何を言っても無駄じゃ。叔父上は拾が生まれてからおかしくなられた。思えば、57歳の叔父が子に恵まれ、しかも男の子だったという時点でワシの命運は尽きていたのかもしれん。ワシはもう生きてるのが嫌になった。早く秀勝のいる場所に行きたい。ワシが居て許される場所に…」
ほどなく高野山へ追放された秀次は、切腹を命じられ果てた。続けて、秀次の妻や側室、幼い子供らもことごとく三条河原で処刑された。ただでさえ係累の少ない豊臣家は、これでますます先細りになってしまった。我が子かわいさのあまり、自らの首を締めてしまうようなこの所業。愚かしいにも程があるなあ…
秀吉の非道さに江は怒り心頭。直接抗議すべく、家臣の制止を振り切って秀吉の元へ赴くと、そこには驚くべき光景が! 秀吉が狂ったように見えない何かから逃げ惑い、必死で許しを乞うていた。
「ひぃぃぃ! 秀次~! 許してくれ~っ!!」
結局、江は話もできず引き揚げるが後日、淀から「殿下は、昼も夜も秀次様の亡霊に怯えておいでじゃ」と聞かされ「あれだけのことをしたのです。自業自得です!」そう吐き捨てる。
そこへ侍女ヨシから急報。聚楽第が徹底的に破壊されていると言うのだ!
秀吉は、亡き秀次の痕跡を完全に消し去り、秀次の亡霊から逃れようとしていた。
秀勝との思い出が刻まれた聚楽第を破壊されたことで、江は秀吉との決別を決意。秀吉にその意志を告げるべく面談を申し出る。
「私は秀吉様に愛想が尽きました。生涯、絶対に許しません。もう二度と顔も見たくありません。養女の縁も切らせて頂きます」江の絶縁宣言を無表情で聞いていた秀吉だったが、江が立ち去ろうとした時、背後から声を掛ける。「そなた…もう一度嫁に行かんか? 相手は家康の嫡男・秀忠じゃ」
もちろん、江はキッパリと断る。「あなたは人の命も、運命も、全て自分の思い通りになると思ってるんですか? そんな話、お断りします!」
「もう決めたことじゃ。徳川と結べば、豊臣家はより磐石となる」秀吉の身勝手さに呆れた江は「全ては拾のためではありませんか!」と責めるが、秀吉はさも当然といった表情で呟く。「悪いか?」
この時の表情も不気味だぁ~! ま、それだけ岸谷の演技が秀逸ということだろうけど…
次回は、経緯はともあれ江と秀忠が縁あって夫婦になる トンデモ夫婦のドタバタ劇と共に、晩年の秀吉がどこまで狂ってゆくのかも楽しみ?だなあ~