Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

10/30(火)庄司紗矢香+ジャンルカ・カシオーリ/デュオ・リサイタル

2012年11月02日 00時57分38秒 | クラシックコンサート
庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ ヴァイオリン・デュオ・リサイタル

2012年10月31日(火)19:00~ サントリーホール・大ホール S席 1階 3列 20番 6,800円(夢倶楽部会員価格)
ヴァイオリン: 庄司紗矢香
ピアノ: ジャンルカ・カシオーリ
【曲目】
ヤナーチェク: ヴァイオリン・ソナタ
ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 作品96
ドビュッシー: ヴァイオリン・ソナタ ト短調
シューベルト: 幻想曲 ハ長調 作品159, D.934
《アンコール》
 J.S.バッハ: 音楽の捧げ物 BWV1079 No.4 上昇5度のカノン風フーガ
 ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」からロシアのダンス(ヴァイオリンとピアノのための編曲版)

 およそ1ヵ月間に全国各地で17回のデュオ・リサイタルを開催するツアー中の庄司紗矢香さんとジャンルカ・カシオーリさん。10月6日から始まったツアーも終盤を迎え、東京に戻ってきて、今日はサントリーホールである。東京では、10月8日(月・祝)に都民劇場の一環としてリサイタルがあり、その様子は詳しく書いたので、ほとんど同プログラムに近い今日の分については、気がついたことだけを簡単に記録しておこうと思う。

 前回の都民劇場と違う点は、プログラムが1曲だけ、シューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番が、シューベルトの「幻想曲 ハ長調」に変わっただけである。今回のツアーは、この2種類のプログラムのみで全国を回ったらしい。いずれもメジャーな人気曲とはいえない、マニアックなプログラムだといえそうだ。実際に都民劇場の時は、ヤナーチェクの曲が終わったことが誰にも分からず拍手がなかったくらい。さすがにサントリーホールではそのようなことはなかったが、聴衆の反応も今ひとつ盛り上がらなかった。ヤナーチェクのソナタは確かにあまり聴いたことがないし、続くベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第10番というのも、第9番のクロイツェルとは真逆にような盛り上がりに欠ける曲であり、演奏も淡々と続いていた印象である。

 後半のドビュッシーのソナタも珍しい。ドビュッシーの最大の魅力である変則的な和音の構成はほとんどがピアノ伴奏が受け持つことになり、ヴァイオリンは重音と半音階的な旋律を弾くことになるので、やはり主役としてはあまり魅力的に聞こえないようである。最後のシューベルトの幻想曲は、息の長い抒情的な旋律を美しく歌い上げるという点では、ヴァイオリンのひとつの魅力を発揮できるとは思うが、ヴァイオリンにしかできない音楽表現としての魅力は今ひとつであろう。

 正直な感想を言ってしまえば、今回のツアーは選曲にあまり魅力を感じなかった。庄司さんの名前だけで聴きに行ったようなもので、ベートーヴェンの全曲演奏という意味もあったし、珍しい曲を採り上げるのも新しい挑戦ではあると思うが、このプログラムで全国ツアーというのは如何なものであろうか。東京のサントリーホールでさえ、入りは良くなかった訳だし…。アンコールの「ペトルーシュカ」だけが明るく躍動的かつ技巧的にも面白い曲で大いに受けていたことをみても、同様の感想を持った人が多かったのではないだろうか。

 それともうひとつ気になったのが、ハードスケジュールの全国ツアー企画である。ツアー開始当初の都民劇場の時と終盤の今日のサントリーホールを聴き比べると(あるいは見比べると)、庄司さんは明らかにお疲れの様子。テンションが下がっているように見えた。演奏面でも、今日の方が音質に勢いがなかったような感じがする。最弱音部分でかすれたような音が混ざってしまうのが何度か聴かれたが、これは都民劇場の時(最前列の目の前で聴いている)にはなかったことだ。音楽家の皆さんの営業的な事情はよく知らないが、もう少しスケジュールに余裕を持たせた方が良いのではないかと思う。無理をして音楽が荒れてしまうのはしのびないので…。
 
 というようなわけで、今日のリサイタルは聴く人によって評価がまちまちであった。どこかしっくりこない印象を残してしまったので、記録は短めに留めておくことにしたい。

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