サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

『都築さんに褒められたくて』その2

2016年06月26日 | 都築響一

前回、凶悪犯のごとき形相で終わった「都築響一さんに褒められたくて」です。
エッチングは刷ってみるまで分からないから恐い。
日常的に描いていれば感覚的に分かりそうなものだが、ここ2年ぐらい離れていたからか、
自分で描きながらも絵の状態が分からないまま手を動かすことになった。自業自得です…
前回刷り上がった極道顔に手を入れながら温和な都築さんに近づけていくことに。

背景にも手を入れておきたい。
都築さんの著書を読み返し、そこからチョイスしたキャラクターを描くことにした。
ほとんどは『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』からのものだ。

我ながらヘタクソだが、それは仕方ない。頑張るしかない!

ここからアクアチントを併用。
トーンを載せたいところ以外を黒ニスで覆う。

アクアチントとは、地金が露出した部分に粉末状にすり潰した松脂を振りかけ、熱を加えて定着、
そのまま腐食液に入れるとトーンが載る、という仕組み。

腐食後、黒ニスを剥がし、インクを詰めて刷ってみると…

こんな感じ。

紙ヤスリで磨きをかけて濃淡を演出すると…

こんな感じ。…ムムム、まだ目が違うかな。

思いが足りないのかもしれない。著書を読み返しながら、同じ工程を繰り返す。

アクアチントして、

 ヤスリをかける。

おっ、近づいた!

遠い存在だった都築さんが、ようやく歩み寄ってきてくれた。思いが通じた!あともう少しだ。
行きつ戻りつしながら、少しずつ手繰り寄せる。

つ、都築さんだ!

もうちょっと、もうちょっとで完成です。

 


///////////////

 


そんななか始まった、渋谷アツコバルーで開催中の展覧会『神は局部に宿る 都築響一 presents エロトピア・ジャパン』。早速、行ってきました。

今は亡き、鳥羽国際秘宝館・SF未来館のインスタレーションが再現されています。

これまでにも何度か見てきた等身大マヌカンのジオラマ。「また会えたね」という気分になるから不思議。
最初の出会いは前述した都築さんの写真集『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で、まだ僕が学生のときだった。
その後、秘宝館は閉館、その一部を都築さんが引き取り、横浜トリエンナーレで “アート作品” として展示された。
鳥羽国際秘宝館のことは、都築さんによってこれまで何度か記事にされてきたが、
巻頭を飾った『現代美術場外乱闘』の序文にこう記してある。

 “(前略)
 売れっ子でも一流でもオシャレでもない君が、ほんとに食べたいもの、ほんとに着たいもの、ほんとに愛したいアート。
 それはどこかほかの場所にあるはずだ。
 美術館の床でもなく、ギャラリーの壁でも、大学の教室の黒板でもなく。
 すごく意外で、たぶん、すごく近くに。
 これからそれを、いっしょに探しに行こう。”


悩める僕らに “アート” を示し続けてくれる都築さん。受けた影響は計り知れない。

今回の展示では、ラブドールに触れることもできる。初めての経験に奮えました。ドキドキ…

 

〜7/31まで!

 

(つづく)

 

※ 『に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦』編集室 屋上)発売中です!


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