サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

新作。

2016年05月22日 | 都築響一

時間があるかぎり描け!
これが、ここ7年ぐらいの僕の日常でした。
その結果、昨年は目標だったリーグ優勝を経験し、その軌跡として「プロ野球画報2015」を上梓することができました。
これで一つの作品を終え、…っていうか気持ちの中で終わってないからいけない。
そこで、Jリーグならどうだろう?と取り組み始めたわけですが、やっぱり根っこは野球小僧。
一本化できずに、今度はロッテの試合を観ている。
今季は浪人生活のつもりで、ちょこちょこっとメモ程度に描こうと思っていました。
本筋は、FC東京。週1~2試合と小平練習場通い、それを描く。

ところが、プロ野球は毎日試合があるわけで。
ロッテのチーム状況とファンの動向が分かってくると、案の定ズブズブとハマり始め、いつしか目が離せなくなってくる。
そうこうするうちに小平練習場への足が遠のく。ウチから自転車で10分ぐらいなのに!

4月、週末はサッカーを優先し、ロッテは録画で見ていました。
しかし、そのうち逆転し始める。
サッカーも面白い。選手も、ポジションも分かってきた。戦い方や動き、見る視点も変わってきた。
しかし、観ることと描くことが今イチ連動せず、未だどう描いていいか分からない。
基本的に、サッカーはどこかひとつのシーンを切り取るということでは成立しないみたい。
さぁ、本当ならここからが勝負。ならばどう取り組むかということを考え、試行錯誤しながらその方法論をみつけていくべき。
ところが、プロ野球がそうさせてくれません。何しろ毎日試合がある。
選手と特徴が分かるようになり、ロッテファンの応援に体が反応するようになってきた。

もっと野球が見たい!

サッカーも野球も、っていうと毎日追われるように見ては描きを繰り返すだけで、ほとんど思考停止に陥ってきちゃって。
それで絵のクオリティが上がるのならまだいいのだけれど、何だかどんどん下がっているように感じられ…
端的に言って、画面に覇気がない。何のために描いているのか分からなくなってきた。

5月に入り、サッカーを描くのをちょっとやめてみました。
そしたら連敗していたFC東京が勝ち始めた。以降、まだ負けてない!
新チームの戦い方ができ始めているということですが、
ボク的には「描かない方がいいんじゃん」と。観ることだけを楽しもう!と。言い訳ですけど。

さて、サッカーを描かないと決めたら、週に1~2日、その分だけ他のことができるようになりました。
すると、街へ繰り出すようになる。
何しろ映画好きだし、観劇、寄席、ライブ等イベントごとに行きたくてたまらない。
そして、今年2冊目となる『に・褒められたくて』が出版され、それについて考えることが多くなります。


ーーーーーーーーーーーーーーー


5/14、神保町の特殊古書店「マニタ書房」の店主・とみさわ昭仁さんと都築響一さんのトークライブに行ってきました。
かたや「無限の本棚」、かたや「圏外編集者」。
今年読んだ本(そんなに読んでないけど)の中でも抜きん出て身につまされた2冊、その著者のトークライブ。
新宿5丁目の路地を入ったところの雑居ビル2階の《Cafe Live Wire》にて。
とみさわさんには「プロ野球画報2015」を、都築さんには『に・褒められたくて』をお渡しするつもり。
すでに都築さんには「プロ野球画報2015」をお渡ししています。3/29、文禄堂高円寺店で。
雑誌「ヨレヨレ」の編集長・鹿子裕文さんとのトークセッションを見に行ったときです。
一番まえでしっかり見ておきたかったので、その日は早い時間から書店内で待機していました。
といって、単に立ち読みしていただけですが、ふと隣りに目をやると、なんと!
都築さんも立ち読み、というか本を物色されてて。
思わず「あっ!」と声が漏れ、その声に都築さんが振り向き、目が合う。
アワアアワしつつも、頭ん中は高速回転し、この何分か後には都築さんのすぐ前の席に座って話を聞こうとしているわけだし、
ならばいま、そ知らぬフリで普通の客を装い、あとあと余計なことを考えては気まずくなる自分の姿が目に見えてる。
いま話しかけなきゃ!と…

「あ、都築さん、こんにちわ。今日、お話聞きに来ました。ボク、絵描きです。
 野球の絵とか描いてて。スワローズの絵なんですけど。一試合一枚がボクのプレーで。
 6年描き続けて去年優勝したんです。それを本にしたんです。あのォ、受け取ってください!」

すると都築さん、

「え~いただけるんですか~ありがとうございます~」と。受け取っていただけて。しかも、
「これ、村上春樹さんは知ってるのかな~?」と。
「いや、まさか」
「え?渡した方がいいですよ~」
「いやいや、そうそう会える人じゃないですし…」
「じゃあ私からお渡ししますよ。ここでも売ってるのかな?」と。

エッ、エ~~~!!!

「いや、あ、それならもう一冊お渡しします!」と、じつはコレ、鹿子さんにお渡ししようと用意していた分だったのですが…
鹿子さんにはあとで自分で買って渡せばいいやと思ったのですが、残念ながら文禄堂高円寺店に在庫はなく…
取り扱いしてないのかもしれません。しっかり営業しなきゃな…
でも、こんな嬉しいやりとりがあって。最後に、こう付け加えました。

「来月もう一冊、本を出しますので、また持ってきます!」

それが『に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦』で、それを持って出向いたのがこの日なのでした。

さて、「圏外編集者」と「に・褒められたくて」には共通点があって。
どちらもデザインが佐藤亜沙美さん(サトウサンカイ)、一緒なんです。イエ~イ!

「デザインは佐藤さんにやってもらったんです」
「あっ、そうなんだ~」

これが話のとっかかりになります。何もないと、また僕はアワアワしてしまうから。
そして今、この機を逃してはいけない。

「あの…都築さん、都築さんを、都築さんを描かせてほしいんです!」
「え~本当ですか~いいですよ。よろしくお願いします~」

 やった~!!!

じつはこれには伏線があって。
昨年末、「平野甲賀に褒められたくて」を完成すべく、平野さんに会いに小豆島へ向かった折り、
高松空港と高松築港を結ぶバスの中、なんと!出発間際に都築さんが乗ってこられて。
“うわっ、都築響一だ!”
おそらくは羽田から同じ便だったのだろう、なんという偶然。
でも、満員に近い4列シートの車中、臆して声をかけることできず…
「バスを下りた時にしよう、そうしよう」なんて、都築さんも高松築港で下りるとばかり思い込み。
ところが、途中、高松市内で先に下りられてしまい…
いや、自分もそこで下りればよかったのですが、それもできず…
だって平野さんに会いにきた旅先で、都築さんと会えたから「ファンです!」とかって、
それはちょっと失礼なような気が…って、やっぱ言い訳ですけど。

これって今の状況、FC東京もロッテもってのはどうなのよってことにも通じるのですが…

とにかく「平野さんに褒められたくて」が完成したら、そしたら改めて都築さんに会いに行こう!と、そのとき自分に言い聞かせて。
そのリベンジ戦なのです。

ともかく、OKをもらい、お写真を撮らせてもらうことができました。
都築さん、ありがとうございます!

さぁ、次は『都築響一に褒められたくて』だ!

 

左から、見きれてるけどカメラを構える僕、お客さんにサイン中の とみさわ昭仁さん、右が都築響一さん


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東北楽天 vs 千葉ロッテ(9~... | トップ | 埼玉西武 vs 千葉ロッテ(6~... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

都築響一」カテゴリの最新記事