「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

二月を描く

2009年02月16日 | 季節のうつろい
 蕗の薹が一気に伸びてしまいました。もう食べるのには向かなくなっています。
 梅は琳派の先人たちの好んで取り上げた画題です。毎年何枚も描くのですが、今年は、徹底して琳派ならいです。自分の梅がなかなか生み出せないでいます。

 ところで、梅一輪一輪ほどのあたたかさ(嵐雪)の、手紙で時候の挨拶にさえ用いられる人口に膾炙した句があります。恥ずかしいことに私は、一輪ずつ次第に咲いて、春の季節が暖かさへと静かに移行してゆくのを詠んだものと安易に思っていました。
 この句は、梅一輪。やっと花開いたかすかな一輪ほどの暖かさをあらわしたもので、一輪ずつの暖かさではないのに気付いたのは、芳中の花卉図を手本に、梅を描いている時でした。手本の梅を減らして一輪だけにしました。

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  蕗の薹と梅は2枚ずつ入っています。マウスオンでどうぞ。

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8 コメント

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合評会 ()
2009-02-16 18:06:23
 琳派ならい楽しげですね。洋画の自由さに比べ日本画は、梅はこう、竹はこのように描くなど、なにか形式? 制約を感じますが。(何もわかりません)

 蕗の薹、雪も降らないうちに花が咲きましたね。 boa!さんの絵、春を謳歌するように生き生きしています。紫の襲ねも美しい。構図の違いで雰囲気も大分変わりましたね。

(白梅)梅一輪ほどの暖かさ… 鶯が飛び込んできそうです。バックに変化があると奥行きが出るかも知れない と生意気。洋画も模写は勢いがなくなります。

 紅梅の枝先、芽のシルエット、これぞ梅。堅くて勢いのある線は、何気なく見えてもむずかしそうですが、感じが出ています。濃淡やたらしこみに樹齢も感じました。 
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似非美術評論家 (香hill)
2009-02-16 19:57:05
二番目の芳中と記されている絵は100点満点

①梅の枝に勢いがある
②バックの色と木の色のバランス良し
③よって花に気高さと凛が

琳派追っかけの本格化いよいよ、
you can change

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危きには遊べなくて (boa!)
2009-02-16 21:45:36
蛙さんなればこそです。蕗の薹も何枚も描くうちに次第に行儀悪く投げやりになってしまいます。待ち焦がれる春の躍動感がでればいいと、少し狙いすぎでしたでしょうか。

梅は日本画でも今は自由な表現がされているようです。私の琳派へのこだわりなのです。自分では生成りの手漉きの未晒しに描いて、珍しく品がいいと、一輪ほどの暖かさが気に入りの一枚です。扇面で入れてみたり、切箔を入れてみたりしましたがどぎつくなってしまい止めました。蛙さんお得意の印象派風のバックを今度他のもので試してみます。
貴重なご意見ありがとうございました。そのうち「奇想の画家」が誕生するかも痴れません。
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豊かさ (boa!)
2009-02-16 21:54:16
中村芳中は表現力にすぐれた人で、癖のある絵で、好き嫌いの分かれるところですが、発想が特に思い切った構図に惹かれます。

江戸時代のものとは思えないモダンさがあります。
香HILLさんのご講評ありがたく受け止めました。
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琳派 ()
2009-02-17 07:28:49
 学びはじめが賢しらにコメントしてお許しください。お気に入りは 琳派の境地でしたね。洋画の眼でみていました。品のないことです。

 boa!さん どうぞ懲りませずこれからもご教示ください。
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垣根 (boa !)
2009-02-18 11:30:01
現代の琳派を目標に遊んでいますが、洋画との垣根を越えて、彼らの目指したものを目指してゆけたらどんなに仕合せでしょう。

ただの真似はしたくないのです。ただ、入り口は、徹底して写すことだと思っています。それが難しくて、思うに任せずに、つい勝手な方向にずれてしまいます。

洋画風で、琳派の目指したものを追えればすばらしいのですが。
これからも、こちらこそご指導ください。
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永遠の琳派 (雪月花)
2009-02-18 13:17:05
boa!さま、こんにちは。琳派三昧の記事にワクワクしながら拝見しております ^^

こちらはMOA美術館の「紅白梅図」が公開中ですが、先日、西陣でもトップクラスの技術を誇る「ながしま成織物」のセミナーに参加いたしましたところ、MOA美術館館長の依頼により、ながしま織物が製作した紅白梅図をそっくり写した反物‥といますより、もう美術品ですね、それを(写真ですが)拝見することができました。1/10,000ミリの生糸を顔料で染め、経糸数はなんと7,200本、しかも丸帯反の幅で金糸銀糸をよじれることなく打ち込む技術をもって織り上げたもので、とても織物とは思えません、絵画そのものです。驚嘆いたしました! これほどの匠がまだ残っていると知り、うれしい限りでございました。美術工芸の世界において、琳派は永遠のテーマなのでしょうね。

boa!さまがすでに手中にされているたらし込みの技法も、俳画で試してみたいことのひとつです。

静岡の河津桜が二週間以上も早く満開を迎えました。古稀を迎えた母が楽しみにしておりましたのに、予定よりずいぶん早く散ってしまうでしょうから、がっかりしていることでしょう。東京の桜の開花予想も3/20とか、春はますます足早にすぎてゆくようです。
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懐かしの正倉院模様 (boa !)
2009-02-19 20:55:09
ながしま織物は私30代の頃は正倉院文様の帯を盛んに織っていました。
今のわが国で最高の技術を誇る会社ですね。伝統工芸の世界にはまだまだすばらしい技術を伝承する方々がいらっしゃいます。
ながしまは、主だった劇場の緞帳も数多く手がけていると思います。

MOAの光琳代表作が織物に。いいことですね。美術工芸の世界に日本の誇る山脈として、時代に沿って変貌しつつも脈々と受け継がれてゆくと信じています。

またまた、垂涎の見学記事を嬉しく拝見しました。ありがとうございました。
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