「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

酒を勧む

2005年01月08日 | 歌びとたち
お正月気分も、お屠蘇の気もだいぶ抜けて、新しい年になじんできたようです。 酒に親しむこの季節思い出す詩があります。
唐の詩人干武陵に「勧酒 」と題す五言絶句があります。
  君に勧む金屈巵   満酌辞するを須ひず
  花発いて風雨多し  人生別離足る
この,本の詩の端的さも並みではありませんが、この詩を翻訳した井伏鱒二の訳がたまらなく好きなのです。それも三、四句目の訳が。かれは、次のように訳しています。
ハナニアラシノタトヘモアルゾ  「サヨナラ」ダケガ人生ダ   この軽妙、洒脱は、到底たどり着けない境地です。
金の杯でなくても、なみなみと注がれた杯を、心許した友と挙げ、しんみりと語り合う至福のときにあって、なお人の生涯には別離ばかりが多い、その嘆きなのですが、あなたは、こう粋に突放せますか。

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2 コメント

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一人で飲むのも良い (友と一緒がもっと旨い)
2005-01-09 21:21:19
この年になると、仲の良い友達がみんないなくなったときのことを考えるだけで寂しくなってたまりません。 浦島太郎じゃつらすぎますよね、

仲の良い友達と何のわだかまりも無くお酒が飲める時に幸せを感じますねー。友よ長生きしろよ-って。
蘇東坡のこころ (虚庵)
2005-02-27 21:46:17
山姥様



拙い私のブログ「落葉」の、『勧酒』にコメント有難う御座いました。早速、拝読させて頂きました。千年の時空を超えて、友人になれる素晴らしさを共有しておられる「朋」をまた一人見出し、トラックバックを付けさせて貰いました。お礼のしるしデス。



贈王寂      蘇東坡



与君暫別不須嗟  俯仰帰来鬢未華

記取江南煙雨裏  青山断処是君家



  

王寂さんの気持ちで、蘇東坡君へ反歌を詠んでみました。



ただそばに 居てくれるだけ それだけで

心やすらぐ 君 行きたもうかや



とりたてて 話もなきに 君がいて

ともに茶を飲む 日々ぞまたるる