「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

水鳥

2006年01月20日 | 歌びとたち
 母の入院する病院の裏手には、かつては暴れ川として、大雨の折には災厄を齎すことで知られた川が流れています。今はすっかり改修され、高い護岸工事が施され、安全と引き換えに殺風景な流れに変貌を遂げてしまいました。

 その殺風景も、地域の人々によって植樹された桜の並木が大きく育ち、根元に植えられるチューリップや、コスモスが季節を彩って、ウォーキングや散策する人の目を楽しませています。

 この季節は、冬鳥たちが悠然と流れに浮かんでいます。水鳥に押されてもりあがる水のきらめきに目を放っているうち、自然に今は亡き柴田白葉女さんの句が浮かびました。そういえば水鳥は、冬の季語でした。
  水鳥のしづかに己が身を流す 
 冬の水面をしずかに進む水鳥の悠揚迫らざる姿に、自らを重ねて眺める作者自身の姿ともみえてきます。
 冬の寂寥と自愛の情を漂わせた秀句と思います。今日は孤独なアオサギのお洒落な立ち姿もみられました。

 




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12 コメント

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悠揚と生きたい (R.H)
2006-01-21 11:07:34
 遠望ではっきりとは判りませんが、ヒドリガモでしょうか。これは確かに、「水面をしずかに進む悠揚迫らざる姿」のようですが、アオサギは孤独ですね。「孤高」といってもよいような佇まいです。しかし、チラと現れるマガモのグループは、恐らく忙しなく水草をせせって食事をしているところです。このようなときは、細かなことまで気になってあくせくする我が身のようにオイソガしい姿です。これも、「冬の水鳥」です。とすると、孤高のアオサギも実は目を凝らして水中を見詰め、餌を求めているかもしれません。頭の中は、動き回るマガモ以上にフル回転でしょう。人も見かけによりません。
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游ぐ (ラグタイム)
2006-01-21 12:34:46
 別所の水鳥はおよぐと言うより 流れていくようです。 悠揚たる物腰、ほんとうに見習いたい。しかし、餌を撒くとみれば、なりふり構わず、見かけによらぬものです。おのれのようで 恥ずかしい。 技を磨いて水鳥二種、思いにふけり、泳いだり、おいそがしいことで。泳ぐと游ぐは、わずかにちがう。漢字はおもしろい感じがします? 
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ゆったりとしたリズム (boa !)
2006-01-21 15:41:46
 水鳥の名前をいつか機会があれば教えていただきたいものです。私が識別できるのは限られています。それでもマガモ、ユリカモメ、ハクセキレイと結構数種の鳥がいます。

 句のリズム同様、水鳥たちは悠然として漂うかのようでしたが、頭の中は??。

 見るほうの勝手な想像とは異なるものでしょうか。鴉なら勝手でしょうが。
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この鳥たちは「游ぐ」です。 (boa !)
2006-01-21 15:51:31
 浮いて漂うこの鳥たちは、カイツブリとは違って、游ぐですね。

 うっかりしていました。

 マガモたちは、餌をもらい慣れているのか、人影に賑やかによってきますが、餌をなにも持っていないと判断すると、後も見ずにサーと離れて行きます。それは見事なもので、なにか人間社会の反映があるのでしょうか。美しい別所沼の水鳥たちもどうやら同じようですね。
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? (Unknown)
2006-01-21 22:44:07
泳ぐと游ぐは
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ごめんなさい (ラグタイム)
2006-01-21 22:48:57
 泳ぐと游ぐは ニュアンスが違うとは分かっていても どう違うのか 自問と質問の疑問符でした。ごめんなさい。上のコメントは誤送信です。削除してくださいませ。お手数をおかけします。
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いろいろな「およぐ」 (boa !)
2006-01-22 16:43:42
 Unknownさん、ラグタイムさん

 漢字に敏感なことは、日本人としての「品格」に関わる大切なことだと思います。



 浅学ですが、「泳ぐ」は訓読みはオヨグ、

もぐる、水くぐる、水中を潜行すること。

「游ぐ」は、オヨグ、アソブの訓を持っています。本義は旗が風になびくで、浮く、うかぶ、の「およぐ」です。游子、游雲など。

「泅ぐ」は変換には出ていますが、使われることがないようです、水上に浮かぶ、の意です。大字典で確認しました。

 これからも啓発のきっかけをお与えください。ご一緒に勉強してゆきたいものです。
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立ち姿 (香HILL)
2006-01-22 16:44:33
立てば芍薬・座ればボタン・・・って美人の代名詞ですね。



”客と白鷺は立ったが見事”って諺もあるようですが、アオサギの立ち姿も優雅なのでしょうね。

ご隠居さんも背筋をピンと伸ばしたいものですね。

バックシャンを目指して頑張りましょうか?
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游蕩、游禽 (ラグタイム)
2006-01-22 21:45:03
はい、ありがとうございます。

 蛙もたのしく調べました。ともに水中で泳ぐ意ですが水面を浮くようにして泳ぐと游になり、水中を潜行しながら泳ぐのが泳でした。雲白く游子かなしむ の詩が浮かびました。
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游泳近視 (R.H)
2006-01-22 23:49:16
 立てばクシャクシャ座ればペタン歩く姿はユーラユラ というのが、最近の若者の(仲間内での)美人の条件というのをご存知ですか。ご存じないでしょう。私の勝手な評語ですから。「游」も「泳」もいいですね。いかにも水と戯れているようです。そして、游子といい、泳子というようなシャレた名前の女性で、芍薬、牡丹、百合の花と見紛うばかりの美女に出会うようなことになるといいのですが、近視眼ではなかなか真実は発見できません。

 スミマセ~ん。いよいよ勝手な方向にお酔いでしまいました。まだ正月気分から抜け出せません。
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