「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

移ろう季節

2005年04月27日 | 季節のうつろい
 藤の花見に出かけて、いよいよ春も過ぎ去るのだなという季節の移ろいのときの、ほのかな感傷を、甘い花の香につつまれる中で味わいました。

この移ろう季節のしみじみとした情感がたまらなく好きです。まさに「折節の移りかはるこそ、ものごとに哀れなれ。」です。

 「灌仏のころ、祭りの頃、若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ」と、人の仰せられしこそ、げにさるものなれ。と兼好法師は書いていますが、 すでに、つれずれ草や、源氏物語に言い古されたことが、今更のように身にしみて感じられるのは、それだけ残りの持ち時間が少なくなったということでしょう。

門の前の椎の大木が木の葉を落し続け、今、花盛りです。