「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

カラス雑感

2005年04月16日 | 塵界茫々

 烏が鳥インフルエンザの運び屋の一つであることが証明されたようです。我が家の庭にもしばしば我が物顔で現れ、高い樹の上から睥睨しています。柿の実が色づく頃は当たり前のように一口嘴を突っ込んでゆきます。次の日はまた新しい実の味見です。
 このゴミ集積場の散らかし屋は賢くて、全くの迷惑の見本です。

 さらには、洋の東西を問わず死のイメージを伴って不吉な鳥とされていますが、わが国では古くは、古事記の神武東征の折、道案内をした八咫烏、また熊野の神々の御使いでもあり、修験道でも、羽黒修験の蜂子王子の使いもつとめているので、むしろ神聖な鳥と考えられていたのでしょう。

 熊野牛王宝印は誓詞を交わす紙に用いられた、いわゆるカラス文字の3本足のカラスがずっと気になっていました。忠臣蔵や心中天の網島に出てくる「くまのごおうの群がらす」です。
 熊野大社に詣でたときも記念に買って帰りましたが、日本サッカー協会のシンボルマークも、日本代表チームのエンブレムもこの3本足のカラスであるのはどういういわれなのかと興味を持っています。
 このカラスという鳥は、また、絵になる鳥なのです。黒いだけの不気味な鳥なのに誰が描いても様になります。