私と彼の秘密 今思うこと

彼とのLINEは、いつか消した方がいい。
それは、残された人のために…



先手を打つ

2022-08-19 08:01:00 | 日記

学生食堂には、昼休みになると、大群が押し寄せてくる。

私達は、それを見越して、先手を打つ。

けど、何かの歯車が狂って、後手に回ってしまったら、

大したことじゃなくても、大したことになる。


先手を打つということは、些細なことであっても、とても重要だということを

この職場で、痛ほど感じていた。






目覚ましが鳴る前から、目が覚める。

私は、スマホばかり気にして、

彼にLINEをしたいけど、理性で必死に抑えていた。

そしたら、彼からまさかのLINEが来て、

驚いた。

起きてる?

そう言って、お風呂からの眺めを送ってきてくれた。

いい天気だね。



私はその時、初めて、背中を向けていた窓の方を見た。

ほんとだ。清々しい青空だ。






犬の散歩に出ると、私も景色を撮ってみた。

ここにも、素晴らしい空があるよ。

心の中で、そう、彼に語りかけていた。

朝のLINEでとても幸せな気分だったけど、本当はもっと話したかった。

彼は今頃、奥さんといる。

もう、電話で声を聞いて話すことなど、あの日以来、諦めてしまっている。

また、通話中になったら、ごまかしが効かないもんね。





今日は、不思議な事が起きる。

また、彼からLINEが来た。

そして、電話で繋がった。




あの日のあの後のことを

ようやく聞けた。

確かに、奥さんが疑いを持っているかなんて、わからない。

たまたま、上手く誤魔化せただけなのかもしれない。

でも、長電話はしない方がいいだろうし、連絡も回数が減るだろうと、

そんなことを言われた。

私は、それで、全然構わない。

もう終わりだと思った時の、どん底の気分を味わったから。


あの気持ちを忘れない。


彼は、コンビニでコーヒーを買った後、またかけ直してくれた。


さっき、家に電話して、

今コンビニだけど、なにが買うものある?って、こっちから電話しといたよ。

先手を打っといたから、大丈夫。

そう話してくれた。

彼は、そうやって、この時間を守ってくれる。


彼の頭の良さは、色んなところで発揮される。

私は、ここだけでしか知らないけれど、充分そう感じてる。

それは、気配りにも、現れる。



奥さんを嫌な気持ちにしなくてすむように。

私が、怯えてなくてすむように。

彼が打ったのは、あの先手だった。





やがて、背後に車のバックする音を拾った。

家に着いたんだとすぐにわかった。

そしてお互い、またね。と言って電話を切った。


彼の優しさは、計り知れない。

昨日の不安だった私に、そう言ってやりたかった。




最新の画像もっと見る