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ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

2013 マレーシア旅行 その3 シンガポール――マーライオンとチリクラブ

2013年04月08日 00時59分18秒 | 旅――海外
日中の街歩きではかなり汗をかいた。加えて帽子をかぶらず直射日光浴び続けたことで頭もズキズキする。
こういう時は無理をせず昼寝をカマすに限る。ということで、ラッフルズホテルを見学後、
タクシーで一旦宿泊先に戻り、一ッ風呂浴びて昼寝。2時間ほどの仮眠をとったことで幾分スッキリとした。
目が覚めてみればもう夕暮れ。ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらい、再び街へ繰り出す。
向かうはマリーナ地区。そう、あの「マーライオン」を見に行くのだ。

コペンハーゲンの人魚姫の像、ブリュッセルの小便小僧と並んで「世界3大がっかり観光名所」と言われる
マーライオン。確かに思ったよりもショボい小じんまりしているものの、がっかり感はさほど感じない。
なぜなら対岸にあるマリーナベイサンズが非現実的な存在感を放っており、ショボい小じんまりとしたマーさん
との対比があまりにも極端すぎて笑えてくるから。しかもこの宇宙船のようなホテル、ライトアップタイムになると
辺り一面にレーザー光線を放ちまくり、ギャラリーたちを興奮の渦にいざなうのだ。
やがてレーザー光線はマーさんをかすめるように挑発的な放射モードへと移行してゆく(俺の勝手な妄想だが)。
当然ギャラリーからはさらなる興奮の嬌声が上がる。
そんな一連の光景に、マリーナ地区における観光名物No.1の座をめぐるマーさん VS マリーナベイサンズの
対立の構図を見出してしまい、1人クックックッと不気味笑いを漏らす俺。妄想は観光の楽しみをを何倍にも増幅してくれるのだ。



マリーナベイサンズから放たれた無慈悲なレーザービームの束がマーさんを薙ぐ!



しかしマーさんも負けてはいない。必殺技「吐瀉物ビーム」でおぇぇぇっと反撃開始だ。
眉尻が下がり、号泣する直前の子供のような表情が厳しい戦いを物語る。つーか、マーさんかわええ。



浴びたらタダでは済まなさそうな滝ゲロ吐瀉物ビームだが、いかんせん射程距離が短すぎる。
それどころか、無慈悲にも桟橋にいるギャラリーたちに滝ゲロ吐瀉物の飛沫を浴びせてしまっている。
この聖戦の結末を見届けたい気持ちも強いが、まだ旅の序盤。ここで吐瀉物滝ゲロを浴びるわけにはいかない。
ということでここを離脱することに。さらばマーさん。勝利を祈る。



フラートンホテル。
客室400を有する巨大な5つ星ホテルだ。歴史もあり、評判もいい。でも高い。いつか泊まってみたい。



なんだかんだでここに来てから2時間以上が経過。腹も減ってきたのでチャイナタウンへ向かうことにする。



別アングルからのマリーナベイサンズ。
殺人レーザーの放射も終わり、システムのクールダウンを意味するブルーのイルミネーションに切り替わった(妄想ね)。
ちなみにこのホテルはリゾートホテルではなくカジノホテル。地下に世界最大規模のカジノを擁し、
そこを中心に一帯がコンベンションセンターやシアター、ショッピングモールはじめ複合エンターテインメント
施設となっている。よってホテルから出ることなくカジノを中心に施設内のスパやプールで遊ぶのが正しい滞在の仕方。
だから地下鉄の駅や繁華街からは離れており、移動はタクシーを使うことが前提となる。
観光の拠点として利用するようなホテルではない。



豪華客船のようなフラートンホテル。マーさんの目の前にあり、地下鉄のラッフルズ・プレース駅からも近い。
素敵なホテルだと思う。ただ、繁華街からは離れている。



マーさんからチャイナタウンまではかなり距離がある。個人的に出没頻度が高い東京駅周辺に例えると、
八重洲から浜松町辺りまでの距離感である。明日午後にはシンガポールを離れてしまうので、
その街並みを記憶に留めておきたいとの思いから歩いてみることにした。



チャイナタウンまではビジネス街をの中を抜けていく。東京で言えば大手町に相当するエリアだが、
ビルとビルの谷間にはこんなエキゾチックな光景が。ちょっとした飾り窓のようでワクワクさせられる。



iPhoneに入れたオフライン地図アプリの誘導に従って歩き続けること45分。やっとビジネスエリアを抜け、
サウス・ブリッジ・ロードはパゴダストリートへ。ここいらからチャイナタウンだ。
これはシンガポール最古のヒンドゥー寺院、『スリ・マリアマン寺院』。
創建は1827年。もともと(19世紀)この辺りは多くのインド人が住むエリアだったことで、
ヒンドゥー信仰の中心地として創建されたものらしい。


チャイナタウンの一角に楔を打ち込むかのごとく雄々しくそびえるゴープラムを持つヒンドゥー寺院。
「華僑どもに好き勝手させねえよ」との主張が感じられる。頼もしすぎる。



それまでのうら寂しい雰囲気が明転、いきなりこうした賑々しい光景が眼前に現れる。



いいねえ、この雰囲気。欧米からの観光客も多い。ここに来るまで1時間以上をかけて歩いた甲斐があったぜ。
お目当てはシンガポール名物「チリクラブ」。昼間のインドカレーがあまりにも美味く、なおかつ暑さが厳しいのと、
俺自身が無類のカレー好きであるため、ぶっちゃけカレー以外の食い物には食指が動かないのが本音だが、
日が落ちて幾分涼しくなったことと、明日にはシンガポールを離れてしまうので、思い出として食べてみることにした。



問題はどの店で食うか。
ひと通りチャイナタウン内を歩いてみて、もっとも流行っていたこの店で食べることにした。



これがチリクラブ。写真だと小さく見えるが、実際は近くにいた欧米人が「Wow! クレイジー……」
と呟くほどに巨大だ。カニはマッドクラブ。殻が半端じゃなく硬い。専用のカニバサミで殻を砕くのだが、
かなり力を入れる必要がある。最初、あまりに硬く殻を割るのが難しいので、何かコツがあるのだろうと
思い、お店のおばさんに実演してもらったが、単に力の入れ方が足りなかっただけだった。
これほど「全力」と「気合」が求められる食い物も珍しい。



このチリクラブはライスかパンを組み合わせ、殻を割ってほぐした身とカニ味噌を溶いた風味豊かな
チリソースを載せていただくのが正しい食い方。もちろん我々はライスでいただく。
カニ身はプリプリと弾力に溢れた筋肉質な食感。これをたっぷりのチリソースにまぶし、パラパラに
炊いた長粒米の上にかけて食う。美味い!「最高~」という言葉が口を吐く。



キングクラブに加え、海老の酒蒸しも頼む。あっさりとした上品な味付けで、唐辛子のパンチが効いた
チリクラブとは対照的。殻ごとバリバリと貪っていたら、鋭利な殻の破片が喉の奥に刺さってしまった。
喉奥がチクンとしてゲホゲホと咳き込み、次いで何故かくしゃみまでが飛び出す始末。
何をやっても取れないので、相方のライスを分けてもらい“気飲み”すること数回でなんとか殻の破片が
喉元を過ぎてくれた。危ねえ、危ねえ。



ちなみに会計だが、物価の高いシンガポールだけに日本円にして¥9,000超(笑)。
一応メニューにはちゃんと値段が提示されており、この値段は適正な明朗会計である。
物価の高さに加え、名物料理を頼んだがための結果ということか。
さきほどの欧米人の「Wow! クレイジー」はこの値段に対してのものだったのかもしれないな。
メシ自体は美味かったので良しとする。



ついつい長居をしすぎて気がつけば23:00過ぎ。
明日は移動だしとっとと宿に帰ろう、と思ったのだが思わぬ困難に直面することに。

タクシーが捉まらないのだ。

道を見ればタクシーは絶え間なしに行き来しているのだが、ほぼすべてが実車。
ごくまれに「空車」の表示を掲げているタクシーを見つけて手を挙げるも停まってはくれない。
一度信号待ちをしているタクシーに「乗せてくれ!」と頼んだら、「ここではダメだ」的なことを
中国語で言われた。どうもタクシー専用乗り場でなければ止まってくれないらしい。
しばらく歩いてタクシー乗り場を発見、「これで帰ることができる」と安堵するもそれはぬか喜び。
一向に空車のタクシーが来ないのだ。20、30分と時間が過ぎ、やっと2人前に並んでいたティーンの女子が
タクシーの乗車に成功。幾分希望が湧いてきた。
前に並んでいたおばさんが「リトル・インディアならタクシーよりもバスで言った方がいいわよ」
とアドバイスをくれる。しかしそのおばさんの指差す方角のどの辺にバス停があるのか皆目検討が
つかないし(バス停はいくつもある)、1つのバス停に対して複数の系統のバスが停車するのでどれに乗って
いいかも分からない。何よりもいずれのバスもうんざりするほどに混んでいる。シンガポールドルはまだ余っ
ているし、このままタクシーを待つことにした。

そこから30分ほどが経過して前のおばさんが乗車に成功。「いよいよ我々の番」と期するものを
感じながら待つこと20分、やっと空車のタクシーが停まった。「やった!」と叫び乗車するが、
行き先を告げた途端、中国語で「乗せられない」的なことを言ってくるではないか。中国語を手繰れる
相方曰く、「目的地が近すぎて商売の旨味がないゆえの乗車拒否」とのこと。
目的地が近いと言っても歩けば1時間以上は軽くかかる。いかにも拝金主義に染まった華人らしい
精神構造ではないか。結局そいつは逃げるように走り去っていった。
もう今が何時なのか、なんてことはどうでも良くなった。そして、ある程度の規模の街であれば、
労せずタクシーを捕まえられる日本の都市機機能のレベルの高さをあらためて再認識させられた。
こうした「不便さ」を楽しむのも旅の醍醐味ではあるが、ここは先進都市シンガポールだ。不便よりも利便性を
享受しながら滞在を愉しみたいのだ。

そこから待つこと30分。再びタクシーが停まる。今度はマレー系の気風のよさそうな青年ドライバーだ。
行き先を告げたが乗車拒否などされることなく「OK!」と快諾してくれる。しかもこのドライバーが実に
ホスピタリティに富んだ人物で、「ここはアート系の専門学校なんだ」「ここは自動車のミュージアムで…」と
車から見える主たる施設の説明までしてくれる。実際、その中のいくつかはマーラインを見に行く際の往路の
タクシーから眺める中「この建物はなんだろう」と気になっていた施設だったのでとてもありがたかった。
日本から来たんだよね? 日本のクルマってのはいいねえ。クラシックカーと呼ばれるクルマでも現役で走るもんね。
とプロトン・サガのハンドルを手繰りながらそんなことを言ってくる。そう言われると悪い気はしない。
おかげでホテルまでの15分程度の道のりがとても楽しく感じられた。ホテルに付いたのは24:00を大きく回った時間。
ありがとう。あなたのおかげで今夜は気持ちよく寝ることができそうです。


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