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ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

諏訪へ

2013年02月05日 03時34分36秒 | 旅――国内・出張・地方


出張で長野は上諏訪へ。今回はいつもの新宿からではなく、八王子から『特急あずさ 9号』に乗車。
新宿から乗車していたカメラマン(昨年暮れに一緒に松本に行った)さんと5号車で落ち合う。
ちなみに写真は電車は中央本線の普通電車。好きなのでついつい激写。



韮崎を越えたあたりから本格的な雪景色に。天気予報によれば上諏訪一帯は雨らしい。
雨が大嫌いな身としては、いっそのこと雪になってしまってもらいたいと思う。



昼近くになったので駅弁をカマす。これは車内販売で買った『五目わっぱめし』。
可もなく不可もなし。
本当は小淵沢駅名物、丸政の『高原野菜とカツの弁当』を食べるつもりだったのだが、
残念なことに車内販売では買えなかった(売り子さんによれば「扱ってない」とのことだったが…)。
小淵沢駅のホームには丸政の販売所があるのだが、いかんせん停車時間が短く、そこで買い物をするのはリスクがデカい。
こんなことなら八王子駅の駅弁ショップで見かけた昭和39年からのベストセラー「チキン弁当」を買っておくべきだった。



11:39 上諏訪駅着。八王子からだと約2時間。
少し前まで約3時間をかけて松本に行っていた身としては、この程度の乗車時間は苦に感じなくなった。





上諏訪駅名物の「足湯」。これまで何度もこの駅を利用しているが、一度も入ったことがない。
で、カメラマンさんとしばし協議。「まだ時間はあるし入ってみようぜ」ということになった。



「その前にタオルを買いに行こう」ということになり、駅前の“デパート”へ。



目的のタオルを買ったはいいが、ちょいと面白そうなリサイクルショップを見つけてしまったのが運の尽き。
ジャンクPCおよびPCパーツ、周辺機器が大量に売られており、狂悦しながら物色。
そうこうしていたらいつの間にか取材先へ向かわなければならない時間が来てしまい、足湯はお預けに。
ちなみにDDR2 SODMM 2GBの中古が¥1,500で売られており、愛用のモバイルノートのメモリ増設を
目論んでいたこともあって一度は手にとったものの、「中古」という点で相性問題のリスクがデカいと
判断して断念(以前、LOOX T90Dで中古で購入したSO DIMM2枚が認識されなかったことを思い出しのだ)。
アベノミクスによる円安誘導でメモリの価格が上昇している昨今だけに、かなり惹かれるものがあった。
ちなみに本日、ヨドバシでDDR2 SODIMM 2GBのリテール品を確認したところ¥5,000オーバーだった。



12:30からスタートした取材は15:45分、無事に終了。
新宿行き特急あずさの到着時刻までまだ時間があるので、信州そばを喰っていこうということになった。
取材先から上諏訪駅に向かうタクシーの車中、運転手さんに「美味いそば屋ありますか?」と
訊いたところ、「駅からそう遠くない場所に《更科》があるけど、この時間帯は中休みかもしれんね」とのこと。
さて、どうするか。少し足を伸ばして諏訪湖畔に向かうか、駅前で営業中のそば屋を探すか。
前者だと16:15新宿行きの『あずさ』に乗れない。となると必然的に後者だ。
そんな訳で駅の周辺を練り歩くと、労せず「信州そば」の幟を発見することが出来た。それがこの店である。
なんとデイリーヤマザキの店内に併設された立食いそば屋。これは面白そうだ。



店内に入ると「いらっしゃい~」とマダムが朗らかに迎え入れてくれる。
そばの種類はかなり豊富で、5×6のマス目のメニューにかけそばや天玉そば、月見そば、とろろ昆布そばを筆頭に、
30種類のそばが列挙されている。
カメラマンさんが「どれがオススメですか?」と尋ねると「天ぷらそばだね。店内で揚げるから美味しいよ~」とのこと。
迷わずその天ぷらそばの食券を購入。さらにメニューの片隅に「唐揚げ2ヶ¥100」という表記を発見したので、
それも入れてもらうことにした。ちなみにカレーライスはなし。ご飯ものはコンビニで買って持ち込んで食べるんだと。
重ね重ね面白い店だ。



ハァハァと息を荒くしながら天ぷらそばを待っていると、
コンビニの店員さんが揚げたてのかき揚げを持って小走りにやってきた。
それをマダムが受け取り、丼に盛ったそばの上に載せる。
そして湯気の立つつゆを注ぎ入れ、ネギを散らして出来上がり。
ちなみに追加注文した唐揚げ2ヶは、このかき揚げの下でつゆに浸っている。



そばは太さが不揃いの平麺。太さによって食感・のどごしが変化するのが面白い。
だしは塩分控えめの薄味。揚げたてサクサクのかき揚げの美味さもあって夢中で啜りまくる。
かき揚げ以上に美味かったのが唐揚げ。下味がしっかりついているので、この薄味のだしと良く合うのだ。
これは思わぬ発見。2ヶと言わず6ヶくらい頼んでおくんだったぜ。



いつのまにか乗車予定の「特急あずさ」の到着時刻が迫っていた。そばを食い終えてすぐさま駅舎へダッシュ。
特急券を買ってもう一ダッシュしてホームへ。すぐに当該の列車到着。なんとか間に合った。
車内は適度に空いているが、甲府あたりで一気に満員となるはずだ。とりあえず寝ることにする。


松本にて

2012年12月02日 23時52分04秒 | 旅――国内・出張・地方
久々に信州・松本へと出張。
数年前には月一ペースで訪れていたが、
お世話になっているクライアントの支社が長野市へと移転したことにより、
その長野市擁する北信や上田市を始めとした東信地方への出張頻度が高くなった。
なので松本を訪れるのは久しぶりぶり。
いつもは一人で訪れるのが常なのだが、今回はしばしば遠方出張を共にする気の合うカメラマン氏が一緒。
なので、いつもなら時間を持て余す「特急あずさ」での3時間の道中も、それなりに楽しく実のある語らいの場となった。
もっとも俺は、甲府を過ぎたあたりからリミット間際の原稿の執筆に着手しなくてはならなかったのだが。



久しぶりの松本だ。
いつも隣のホームから発車する『特急しなの』に飛び乗り、木曽谷を縫う名古屋までの旅を楽しむことを思う。
ちなみに以前、大雨で特急あずさの運行が大幅に遅れたとき、新幹線で長野駅まで行き、
そこから『ワイドビューしなの』で松本入りしたことがあったが、そのときは振替輸送につき、
社内は通勤電車並の混雑ぶり(長野―松本間立ちっぱなし)。よって車窓を楽しむ余裕などなかった。
霧に烟る山肌の風景はなかなかに幻想的だったが。



駅前のジェスロ・タルがなんとグラハム・ボネット風にデコレイトされているではないか!
さすがはサイトウ・キネンの街だ(全然関係ねえ!)



取材開始時刻まで少し時間があるので、何か食べていくことにした。
本当は中町通りの『デリー』でカレーか、日頃お世話になっている松本出身の編集氏が激しくリコメンドする、
『翁堂』で大盛り明太子スパゲティを食べたかったのだが、前者はやや距離があるのでパス、
そして後者は駅前にあるにもかかわらず、なぜかその存在を忘れてしまっていて、そもそもの選択肢から外れていた。
ジェスロ・タル像のそばにネパールカレーの店もあるのだが、昨年喰ってみたところイマイチだったのでここもスルー。
今回の取材ではディレクション担当ということもあり、取材前にカメラマン氏と打ち合わせたいこともある。
ということで、ゆったり食事ができそうな駅前のイタリア料理店へ。





採光豊かな窓際のカウンターに座を確保。
カメラマン氏は牡蠣のパスタ、昨晩パスタだった俺はポークソテーをオーダー。
可もなく不可もなく。スカした女性をアテとした“オシャレ盛り”のためかボリューム感にも乏しい。
そして供されるまで40分近く。これで『アベ』のカフェオレを喫する時間もなくなった。
ま、お店の雰囲気自体は悪くなく、カメラマン氏とゆっくり話も出来たので良しとしよう。



そして取材だが、思った以上に長引き、終わったのは18:00過ぎ。
4年連続で取材を担当させてもらっている企業だけにこちらも気合が入りまくってしまった。
この時間に特急あずさに乗ると新宿着は21:00を過ぎる。
本当は松本滞在の定宿であり、ここ6年間ほど毎年年賀状をくれる女鳥羽川沿いの『池田屋』に
泊まっていきたいのだが、翌日も東京で取材があるため帰らねばならない。



『ワイドビューしなの』。いつかは取材が終わった後、新宿行きの『あずさ』ではなくこちらに飛び乗ってやろう。

宮古へ

2012年11月29日 02時17分16秒 | 旅――国内・出張・地方
去る10月の下旬、取材で岩手県は宮古へと行ってきた。
宮古へ行くには、東北新幹線で盛岡まで行き、そこから山田線に乗る必要がある。
東京―盛岡までが新幹線で約2時間半。盛岡―宮古までが山田線で約3時間。締めて5時間を超える長旅だ。
5時間を超える行程は一昨年に同じく取材で赴いた酒田以来か。
あの時は単独行だったが、今回は仲間がいるのでまた違った趣きの出張となることだろう。
遠方取材大好きな身としては誠もって嬉しい限りである。



制作・カメラマン両氏とは盛岡駅の山田線ホームで待ち合わせ。
大阪方面に行く際でも、極力『のぞみ』を使わず、『ひかり』や『こだま』を使うへそ曲がりんな俺様氏は、
もちろん東北新幹線においても『はやぶさ』『はやて』ではなく盛岡終点の『やまびこ』をチョイスしたことは言うまでもない。
この『やまびこ』、仙台を過ぎたあたりからほぼ各停になることもあり、
盛岡に着いた時には自分の乗る車両の乗客が途中駅で全員降りてしまった。久々の貸切新幹線だった。



心配性なもので、少し早めに盛岡駅に到着し、構内のベンチに座って原稿を執筆。
ややあって盛岡駅に到着した制作氏と落ち合い、とともに山田線車中で食らう駅弁と飲み物を買う。



宮古行きの『快速リアス』の発車時刻までには少し時間があるので、制作氏とともにホーム上の列車を激写したり、
運転席を見学するなどして時間を潰していると、発車時刻数分前でカメラマン氏が合流。
それを合図とするかのように、ぶるるんと『快速リアス』が発車した。

ちなみに《制作氏》は、去るGWに浅草探訪を共にしたY課長。
そして《カメラマン氏》は懇意のカメラマン氏としてこのブログに度々登場するKDさんである。



時間ギリギリで合流したこともあり、カメラマン氏は駅弁を買いそびれたとのこと。
これから3時間近くの道中、駅弁をカマせないというのはツラい。
「もしかしたら駅弁の売り子さんがいる駅があるかもしれない」と思い、車掌さんに訊いてみたが、
ほとんどの駅が無人に近い駅だそうで、道中、弁当はおろか、口に入れるものすら入手不可能なことが判明した。
青ざめるカメラマン氏。おお神よ、なんと残酷で気まずい状況なのだ…



盛岡を出て間もなくすると、ご覧のとおり、車窓の風景が形勝に溢れたものとなる。
いい景色は食欲を促進させる。しかしカメラマン氏に悪くて弁当の掛紙を破ることができない。
悩むわたくし。流れゆく景色――

しかし、さすがはY課長である。
「よかったらこれどうぞ」と美味しそうなパンをカメラマン氏に手渡すではないか。
訊けば、「長旅になるので、お腹が空いたら食べようと思って…」と、
自宅近くのベーカリーで出勤前に買っておいたものらしい。
まさに「備えあれば憂いなし」である。
これで道中における、カメラマン氏のカロリー摂取問題はクリアされた。
ちなみに俺は何一つ力になることができなかった。



さて弁当を食おう。いや、その前に撮影だ。
ありがたいことにカメラマン氏が仕事用の資料を簡易レフ板に、光を回してくれる。
しかし俺の方は左手で弁当を抑え、右手でコンデジを構えての撮影となるだけに手がプルプルと震えてしまい、
どうしても手ブレを連発してしまう(列車の揺れも激しい)。
仕方ないのでISO感度を400あたりまで上げ、なおかつ連写モードにして「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」作戦を敢行。
結果、なんとかブレずにものに出来たのがこのカット。



しかし素晴らしい風景だ。
こうして車窓から流れ行く山々を眺めていると、ここで飛び降り、残りの人生を山に篭って朽ちるように土に還りたいと思う。
実際は寒くてひもじくて2日ともたず下界へ降りてきてしまうんだろうけど。
いや、飛び降りた時点で天上界へ昇天か。それも違う、俺の場合は煉獄真っ逆さまのはずだ。



鶏肉のうま煮、卵焼き、煮魚(鮭)、牛肉時雨煮、帆立、ひじき、高野豆腐、
椎茸・人参・絹さやなどの煮物、南蛮味噌、五穀こんにゃく、山菜など
多品目で構成されたバランス重視のお弁当。
日頃、偏った食事ばかりの身には実にありがたい。そしてなによりも「迷い箸」が楽しいではないか。



標高が高くなり、景色も荒涼としたものに。その昔スキーやスノーボードで滑りに行った八幡平や安比高原を思い出す。
余談だが盛岡駅南側からは岩手山を一望することができ、同じ奥羽山系の八幡平も車で1時間以内で行く事ができる。
ああ、久々に滑りに行きたいなぁ~。



3時間近くをかけてやっとことさ宮古駅到着。ここで広告代理店の担当者さんと落ち合う。
長い道のりだったが、車窓からの眺めも美しく、実に楽しいローカル列車の旅だった。
そして改札を出ると小さな駅そば屋が。あえぐようにカメラマン氏がそこに飛び込んでいったのは言うまでもない。
さそや胃の腑に染み入るそばだったことだろう。
なにはともあれ、定刻通りに宮古駅に到着することができて何より。



帰りの盛岡行きの発車時刻をチェックしておく。
18:11盛岡行きの電車に乗り遅れると、その日のうちに東京には戻れない。
取材開始は13:30。複数の拠点を移動しながらインタビューや撮影を行う予定なので、
手際よく仕事を進めて行く必要がある。


            *            *            *

結果として取材は、対象の方々がとても協力的だったこともあり滞りなく終了した。
ビジネス面の話だけでなく、
企業使命として取り組んでいる被災者への支援活動の話も併せて伺うことができ、
非常に有意義な取材となった。
ちなみにこの宮古市は震災で大津波に襲われた地域。
取材対象の企業周辺の建物には、津波の水位がはっきりと判る傷痕が。その高さは優に3mを超えていた。



盛岡行きの電車が出るまでに30分ほどの余裕がある。
駅前の「みどりの窓口」で帰りの新幹線のチケットを予約しようと思ったら、
ほぼ満席状態で、あと6席程度しか空きがないらしい(『はやぶさ』『はやて』は全席指定)。
どうやら震災復興需要で東北新幹線は活況らしい。
我々4名が予約すると、残りはあと2席。なんとなく満員の新幹線で帰る気力が湧かないのと、
この2席を本当に帰途で困っている人たちに譲りたいとの仁愛的な気持ちが芽生えたのと、
明日の9:00までに入れなければならない原稿があるのとで、俺だけ盛岡に泊まって行く事にした。

そして、これから21:00過ぎまで何も口にできないので、満場一致でここで何か食べて行こうということになった。



10月末といえど、陸中だけにかなり寒い。となると恋しくなるのが温かいラーメン。
もっとも飲食のクオリティが高そうな駅前の小さな商業施設内のフードコートに赴くが、
なんとほとんどの店が18:00で閉店。
まさかの状況に焦りつつ、商業施設1Fの茶寮風のお店を覗くとありがたいことに営業中!
しかもうれしいことにラーメンをはじめとした麺料理も食べられるという。
残されている時間はわずかだが、全員同じメニューに収斂させれば調理時間が短縮できる。
ということでプレーンな「ラーメン」を頼もうと提案したら、「せっかく宮古まできてそりゃねえだろ」と
カメラマン氏が異議を唱え、「浜ラーメン」なる海鮮系の塩ラーメンに変更。
そしてやってきたのが上記のラーメン。寒いこともあり、めちゃくちゃ美味そうである。



ムール貝や帆立、イカ、カニ爪、海草など三陸の海の幸がたっぷりとはいっており、
そうした海鮮から染み出た潮の風味が豊かでなかなかに美味い。
寒かったこともあって、「うめぇ~」を連発しながら夢中になって食べきる。ちょっとだけ、「宮古の味」を愉しめた気がした。
さて、帰途に就くことにしよう。電車の発車時刻まであとわずかだ



やや余裕をカマし過ぎたせいで本当にギリギリの乗車となった。
当たり前だが、車窓の外は漆黒の闇。それも恐ろしいほどの密度を持った闇だ。
そこを我々4人と数名の地元客を乗せた2両編成のディーゼルカーが進んでゆく。
「次は賽の河原駅~、賽の河原駅ィ~」などというアナウンスすら聞こえてきそうである。

男4人だが、素晴らしくいい雰囲気である。自然と会話もスピリチュアルなものへ――
となる訳がなく、いつものように即物的なモノの話題で会話に花が咲く。
これから約3時間もこの雰囲気の中にいられるだなんてじつに幸せではないか。
        ・
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余談だが、後日、この取材を仕切った代理店の担当さんから素敵な手書きのカードが届いた。
ありがとう、Iさん。

【温泉】新潟旅行 DAY.2―DAY.3

2012年11月18日 01時02分39秒 | 旅――国内・出張・地方
このエントリがアップされる頃にはアルビレックス新潟の運命が決していることだろう。
今シーズンは、“異常”とも言える得点力不足に悩まされているが、前回も述べたように、
残留・昇格争いにはいくつものミラクルが起きるもの。
もしかしたら絶不調のブルーノ・ロペスとミシェウが残り2節で大爆発するかもしれない。
ぜひともJ1残留を果たし、13シーズンはトップ争いを繰り広げてもらいたいものだ。
ついでにチームメンバーの三宝亭のCMへの出演も続けてもらうことを切に願う。

さて、夕食である。
今晩のカニは紅ズワイだったが、今晩は待望の本ズワイが食べられる。
前回GWに訪れたときは一日目のメインがアワビと白子の杉の香焼きで2日目が本ズワイ。
今回は2日間ともカニである。
しかし1日目のベニズワイと2日目の本ズワイはまったく味わいの異なるカニである。
ベニズワイが¥99具なしのレトルトカレーなら、本ズワイは本場のインド人シェフが作るインドカリーである。
見た目は同じなのにそれほど味も食感も旨さも違う(実際に2つのカニを食べ比べてみての感想だ)。
昨晩のベニズワイはあくまでもジャブ。そう、ここからが本番なのだ。



下段3種の小鉢は、百合根の月見だんご、くじら味噌漬け、鮭白子豆腐。
上段の円盆は、海老にいがた焼、すり身のフロマージュ(ヤスダヨーグルト使用)、茗荷寿司、緑豆寄、卵黄の味噌漬けなど。



くじらの味噌漬け。皮の下の脂肪なのかな? フルーツのような食感でもある。珍味。



牛肉の陶板焼き。魚介類にばかり目が行ってしまうが、実は肉も美味い。
特に前回食べた越後もち豚酒粕漬けの陶板焼きの美味さは衝撃的ですらあった。



そして本ズワイ。昨晩のベニズワイとは何もかもが違う。
GWの時ほどではなかったが、味噌、身、いずれも十分に美味い本ズワイガニであった。



お造りは鯛、カンパチ、アカガレイ、鯵。特筆すべきはカンパチ。どれも新鮮。
新鮮ゆえ、しっかりと角が立っており、とろけるような甘さがある。





んでもって松茸の土瓶蒸し。すだちを搾ってお猪口で出汁を啜り、土瓶内の海老や銀杏等を食べる。
んで、再びお猪口で出汁をグビッ。いや、最高。





酒盗で和えた南蛮海老の石焼。あまり火を通しすぎると小さく縮こまってしまう。レア状態を見極めて、パクッと食う。
プリッとした絶妙な歯応えと口中に広がる潮の香り。最高!



『五頭の旬菜 南禅寺蒸しと 秋なす』と銘打たれた椀物。フワッとしたフェティッシュな食感で美味。



ヒメダイの松板焼き。添えられたなますと一緒にいただくともう最高。
昨晩のモミジダイに続き、東京ではなかなか食べられない魚の一つ。



この旅館の名物料理、『揚げ餅まんじゅう』。素揚げした野菜と一緒に。俺のお気に入り料理の一つ。



「食事」は、鮭イクラご飯。止椀は失念してしまったのだが、大ぶりの魚の身が入った味噌汁。いやぁ、幸せ。
今晩も大満足でした。ごちそうさま。



そして、部屋に戻るといつものようにフルーツとチーズケーキが。
アルビレックスを応援しつつもぐもぐしよう(試合はないけど)



    *               *               *


で、翌朝。8:00に起床。起床といえば矢野貴章でアルビ残留ムニャムニャ…
ま、とりあえずメシを食おう。朝メシが起きがけの身体をシャキッとさせてくれるはずだ。



ああ、美味そうな朝めしだ。このヴィジュアルだけで酩酊気味の頭がシャッキリしてくる。



村上の鮭と安田名物の三角油揚。火で炙るとすぐに脂(油)がジュワジュワと。



マグロのたたきと、マンボウの刺身。
記憶力が極端に悪いもので、この“さえずり”風の切り身がマンボウであったか定かではない。
ただなんとく、以前食ったマンボウの食感に酷似していたからそう書いたのだ。
コリコリとした独特の食感で淡白。朝めしにピッタリな刺身だと思った。



うれしいうれしい具だくさんの味噌汁。
特に朝だとか寒い日には、こうした根菜の入った具だくさんの味噌汁は腹に沁みる。



この炊きものふくめ、料理はすべて優しく、滋味に満ちた素材重視の味。
この料理に惚れ込みリピーターとなる人も多いのだろう。本当に美味い食事だった。



お世話になった弓月さんともお別れ。相も変わらずに美味しい食事にいい湯、そして素晴らしいホスピタリティでした。





『三宝亭』で酒井高徳お薦めの味噌ラーメンまたは創業よりの名物五目うま煮麺ではなく……
『おさかな亭』なる割烹風和食店でランチ。
魚で勝負する店だけあり、寿司も美味いが、それ以上に大海老のフライが美味かった。



このエントリを綴っている間に、J1第33節でアルビレックスがアウェイでリーグ2位の仙台を下すという奇跡を起こしてみせた。
しかしあくまでも最終節に望みをつないだだけ。依然として“首の皮一枚”でつながっている状況は変わらない。
残留を争うG大阪はFC東京に痛恨のドロー(家永の2得点!)。大宮は驚異的な残留力を発揮して磐田を下して降格圏脱出。
神戸は柏の前になすすべなく惨敗。そして意外だったのが、安全圏にいたはずのC大阪が、
広島戦の大敗でまさかの降格争い組に加わっていたこと。
結果、G大阪、C大阪、神戸と関西圏3チームと新潟で残留を争うこととなった。
次戦最終節の相手は札幌。降格が決まったチームゆえ、最後のプライドを賭けて全力でぶつかってくることだろう。
決して楽な相手ではない。そして俺は札幌も応援している。ついでに言えばC大阪にもG大阪にも降格してもらいたくない。
だが勝つのはアルビレックスだ。

【温泉】新潟旅行 DAY.2

2012年11月07日 23時51分45秒 | 旅――国内・出張・地方
前節のフロンターレ戦の敗戦により、いよいよアルビレックスのJ1残留に赤信号が灯りつつある。
皮肉にも、昨晩のUEFAヨーロッパリーグ グループステージでのシュツットガルト VS ステアウア・ブカレスト戦では、
元アルビの酒井高徳(期限付きレンタル中)が1G1Aの大活躍で勝利の立役者となった(ちなみに岡崎は2ゴール)。
反して古巣は文字通りの“危急存亡の秋”のさなかにある。

J1残留・降格の大勢決する明日第33節は、優勝争いを繰り広げる仙台が相手(しかもホームでめっぽう強い)。
非常に厳しい状況だと言わざるをえないが、残留・降格争いではいくつもの“ミラクル”が起こるものだ。
先日のJ2のプレーオフでは、ハットトリックの経験すらもないデカモリシが“落とせない”試合で4得点を決め、
所属チームである大分トリニータは、プレーオフ進出チーム中で最下位の6位ながら奇跡のJ1昇格を決めた。
前節では残留を争うライバルG大阪、大宮、神戸3チームすべてが勝利し、
今シーズン、ホームで圧倒的な強さを誇る仙台とアウェー戦を戦わなければならない四面楚歌状態だが、
かならずミラクルは起きるものと信じている。



8:00に起床。「起床」と書いて思い出したが、矢野貴章にはもっと頑張ってもらいたい。
アルビは絶対にJ1にいなくてはならないチームだと思うのだ。



さて、朝めしだ。
まずはのっぺい汁。この優しい味が寝起きの胃壁に染み渡る。
「うまい…」という言葉が自然と口を吐く。



「かきのもと」という食用菊のおひたし。越後の国のおいしい初秋の味。



基本的に料理はどれも塩分控えめで素材重視の味。
料理は調理のみならず、素材の吟味含めてのものなのだということをあらためて実感させられる。



豆乳鍋。湯豆腐の豆乳鍋版。野菜や豆腐はポン酢でいただく。



刺身はイカ。なぜ、朝食に食べるイカ刺しはこんなに美味く感じるのだろう。



焼き魚は鰈。意外と肉厚で食べでがある。また、骨との身離れがよく食べやすい。朝食にピッタリな焼き魚。



普段、朝食を食う習慣はないが、料理の美味さ、そしてなによりも米の旨さについつい食べさせられてしまう。
こんな美味い朝めしで一日を始められることは最高に幸せなことだと思う。



実に満ち足りた朝食だった。食後のまったりタイムで再び睡魔が鎌首をもたげてくる。
いかんいかん、やべえやべえ。



残念なことに、外は雨。結構、降りが強い。そんなに日頃の行いが悪いのか。



さて、出かけるとしよう。
前回叶わなかった新潟市内の万代シティ バスセンターでの“幸せの黄色いカレー”との再開。
そいつを果たしにいこうじゃねえか。



「新潟」と言えば、“バスセンターのカレー”と並んで想起させられるのが『三宝亭』のラーメン。
自分自身は食べたことはないのだが、
元アルビレックスの酒井高徳(現Vfbシュツットガルト)がここのローカルCMに出演していたことで、
新潟におけるラーメンチェーンの代名詞として頭にインプットされてしまったのだ。
ちなみにこの三宝亭のCM、高徳バージョンに加え、田中亜土夢バージョンもある。
(高徳は味噌ラーメンで田中亜土夢は豚丼)



万代シティのバスセンター到着。
ここに来るのは2年ぶり。ああ、やっと幸せの黄色いライスカレーとの再開が果たせる。



ここのライスカレーは《小盛》《並盛》《大盛》と3種類の盛りを指定できるようになっている。
前回、《並盛》にして「ああ、もっと食いてえ…」と後悔の念に駆られたことを思い出し、
今回は《大盛》に挑戦してみることにした。



予想以上に“盛り”が凄かった《大盛》。
写真では分かり難いが、その盛りの山たるやかなりの偉観っぷりである。
盛りが凄いので、付け合せの福神漬の量もハンパない。

さて、味の方だが、2年前とまったく変わりない「いにしえ」を感じさせる懐かしい味。
しかし胡椒系のピリリとした強めの刺激が効いてて、思ったよりもパンチがある。
優しくも刺激的。刺激的でありつつも老若男女誰にも愛される味。
そば屋系カレーの理想形がここにある。



思ったよりも盛りが良かったので完食するまでにやや時間を要したが、最後まで美味しくいただくことができた。
いや~最高だったぜ。このカレーが東京でも食べられれば……
余談だが、この万代シティバスセンター2Fには、新潟名物「イタリアン」が食べられる軽食店『みかづき』がある。
いつかは訪れ、イタリアンを試してみたいと思うのだが、やはりはるばるここに来た以上は、
“幸せの黄色いライスカレー”のプライオリティが勝ってしまうのだろう。



新潟市内から五頭温泉まで戻ってきた。
腹ごなしがてら、付近の林道を散歩。軽くガスっていてちょっと幻想的。
ああ…そういや最近SILENTHILLやってねえなぁ



「……ジリリリリリーン---…---ジリリリリ-----……」

【温泉】新潟旅行 DAY.1

2012年10月18日 00時48分59秒 | 旅――国内・出張・地方
少し前、GWに続いて新潟は阿賀野の五頭温泉へと旅行に行ってきた。
新潟と言えば、美味い米に美味い海山の幸、そして旨い酒(下戸ですが)。
さらに言うなれば空気も水も雪(その昔、ハイクアップの途中で食った雪は旨かった)も旨いし、
へぎそばを筆頭に旨い蕎麦の宝庫だし、三条のカレーラーメン&背脂ラーメン、“イタリアン”、タレカツなどB級グルメも豊富。
わたくしのような「色気より食い気」派にとっては、天国のような土地なのである。
もちろん、今回の旅行でも、観光はそっちのけで「食い」に徹するつもりであることは言うまでもない。
それではアルビレックスのJ1残留を心から願いつつ、旅の記録の始まりです。



関越自動車道を越後川口インターで降り、山道を走って阿賀野市へ向かう。この美しい棚田の風景は山古志村のもの。
ちなみに現在は「山古志村」ではなく、長岡市に編入されて「新潟県長岡市山古志」というのが正しい名称。
そして山古志村と言えば、新潟県中越地震で小千谷村とともに甚大な被害を被った地域。
この素朴で平和な風景を目前にしていると、過去の忌むべき震災の光景が嘘のように思えてくる。



いくつかの峠を超えてやってきました、燕三条。
そして燕三条と言えば「カレーラーメン」。
前回は、カレーラーメンの代名詞的存在の『はらや』にて、三条カレーラーメンを初体験したが、
今回は『はらや』と双璧をなすカレーラーメンの代名詞的存在、『正広』で食べることにした。



さて、カレーラーメンを頼むことにしよう、と思ったが、メニュー上のライスカレーの写真があまりに美味そうであり、
なおかつ『カレーライスと半ラーメンのセット』なる、誠にもってわたくし向きのセットメニューを発見してしまったことで
予定変更。当初の志どこへやらで、気が付けばそちらをオーダーしていた。

カレーだが、素朴ながらカレー粉の風味をストレートに感じる、思ったよりもキリリとした味。
辛さも思った以上に効いており、なかなかにパンチがある。見た目以上に大人が好む味でかなり美味い。
そして『はらや』のライスカレーも同様だが、こちらのライスカレーも塩分が控えめ。
推測だが、ラーメンなどと組み合わせることを考慮しているのだろう。なるほど、これならば他のメニューと合わせてみたくなる。
久々に心底から「美味い」と思えるライスカレーと出会った。



ラーメンだが、こちらもあっさりと淡麗テイスト。
そしてこれも『はらや』の麺同様、モッチリ・シコシコとした力強い歯応えがある。
よって、最初から最後まで麺が伸びることなく、シコシコとした食感を愉しむことができた。
この麺ならば、きっとカレーラーメンも美味いことだろう。
しかし、カレー野郎の悲しい性。次回訪店しても、ライスカレーの魔力に抗えるとは思えない。
気がつけば、今回と同じライスカレーが主役のセットメニューを頼んでしまうのであろう。



そしてやってきました『弓月』さん。
相変わらず「ホッ」とさせられる門構えです。
ご主人、女将さんの温かな人柄と相まり、「ただいま~」とでも言いたくなるような雰囲気がある。



前回は1階の部屋だったが、今回は2階。
2階の場合はフロアすべてが貸切り。寝室は和室と洋間の2つが用意され、食事をいただく専用の間もある。





まずは一風呂浴びて旅の疲れを洗い流すことにしよう(運転していないのでさほど疲労はないが)。
湯船の檜の香りに加え、周囲の杉木立が放つ芳香――フィトンチッドが実に清々しい。
そうした木々の香りに包まれながら浴する源泉かけ流しの湯…いや~最高!

ほどなくして夕食の時間。
2階だけに付く専用の間に移動し、さぁ飯だ。



前菜の小鉢。
見てよし、味わってよしの逸品たち。
迷い箸が楽しくなる。



陶板焼きで食べる牛肉。さっぱりとポン酢でいただく。最高!



前菜アップ。
たらのこ旨煮、菊花まんじゅう、鯛の身の蓬莱巻き、海老の黄卵寿司ほか。
意外性と創作性に富む、オリジナリティ溢れる料理たち。



こちらはマスカットを酢味噌で和えたものだったっけか。旬のものと地元の食材、



ベニズワイガニが3パイも。ちなみに二日目の夜は本ズワイが出てくる予定。
こちらはジャブといったところ。



お造り。
モミジダイという小ぶりで美しい鯛を筆頭に、カンパチ、ホウボウなど。
いずれも甘味があってとろけるような味。最高!



つみれの吸い物。魚は確か「ギス」という名前だったような…。



炙ったカマスを阿賀野市が誇る「ヤスダヨーグルト」を用いたソースで。
蛋白なカマスとヤスダヨーグルトの濃厚なコクがマッチしておりなかなかに美味い。
ほのかな酸味も良いアクセント。「なるほどね~」と唸らされてしまった。



弓月名物の「揚げ餅饅頭」だったかな。
詳細は失念。もちろん美味ったことは言うまでもない。



エビのしんじょう。
南蛮エビのプリプリとした食感がたまらないぜ。
文句なしの絶品!



鮑の蒸し焼き。
味が濃厚で蒸し鮑ならではの柔らかさ。これまた絶品。



焼きおにぎり(みそ味)と止椀のギスの吸い物。ああ、美味しかった。



いや~、弓月さんならではの地の物をふんだんに採り入れ、独創性に富んだ料理を堪能させてもらいました。
「幸せ!」の一言。



部屋に戻ると『ヤスダヨーグルトドリンク』やフルーツ、ワッフル、お茶などのサービスが。
これは嬉しい。
『アイアムアヒーロー』を読みながらいただくことにするぜ。




そして就眠前の一風呂。至福のひと時。
鈴木光司の『エス』を友に長風呂を愉しむ。

【国内旅行】新潟食彩紀行~3日目

2012年06月02日 10時06分17秒 | 旅――国内・出張・地方




3日目――
今日は五頭温泉最を離れ、新潟市内に向かう。この居心地のいい宿を離れてしまうのは残念だが、遅かれ早かれ、別れは必ずやってくるものだ。しかしこの別れは今生のものではなく一時の別れ。この宿との付き合いは、これからもずっと続いていくだろう。



さて、朝めしである。本当は一風呂浴びてから朝食に臨むべきなのだが、朝が弱い体質ゆえ、今朝もギリギリまで布団の中にいることを選択してしまった。美味い朝飯を食って目を覚ますことにしよう。



先ほどまでまとわりついていた眠気も、眼下のこの光景を目にして一気に吹き飛んでゆく。品の良い賑々しさが楽しい。



優しい味の野菜の炊きもの。目覚めたばかりの胃壁に優しく染みこんでゆく。



カレイの干物と、阿賀野市名物三角油揚げ。三角油揚げは厚揚げのように肉厚で、火で炙って食べる。醤油を垂らすと絶品!



切り干し大根の煮物も優しい味。こういった素朴な味の料理がなによりも嬉しい。



そして宿の朝食と言えばイカ刺し。甘くて鮮度の良さを感じさせる弾力があって実に美味い。もっとも飯が進む一品。



カレイもいい具合に焼きあがってきた。これは身をほぐして茶漬けで食うことにするぜ。



白米をお代わりすること4回。今朝も食べ過ぎてしまった。料理が美味いのはもちろん、米自体が美味いのでいくらでも食べられてしまうのだ。



いよいよこの居心地のいい宿ともお別れ。二日間、お世話になりました。また、近いうちにお世話になりに来ます。



宿を後にして一路新潟市街へ。その前に約5kmの林道に250余りの歌碑や句碑が並ぶ「やまびこ通り」に寄っていくことにする。



このように道に沿って歌人の詠んだ句碑が延々と並ぶ。トレッキングコースとして歩く人の姿も。



東京ではとっくに桜は散ってしまったが、こちらではちょうど桜前線が上陸したばかり。満開の桜の下の句碑群。いいものを見させてもらったぜ。



『新潟ふるさと村』に寄って買い物。ただし、鮮魚等は最終日である明日、『おさかなセンター』で買うので、お菓子類にとどめておくことに。家族は煎餅を購入。俺は何も買っていない。



新潟といえば“へぎそば”。つなぎに布海苔を使ったこの地方特有のそばで、緑がかった鮮やかな色が特徴。「へぎ」とは木で作った折敷のこと。そこに小さく畳んだそばを並べて供するのが、正しいへぎそばのあり方らしい。

朝食をしっかりと食べたせいか、あまり腹が減ってはいないが、せっかくの本場であるしということで啜っていくことにした。
訪れたお店は、大正11年創業の老舗、『小嶋屋・小針店』。13:00過ぎという時間帯だが、店内の待合スペースにはまだまだ席待ちの人々が。生来の行列嫌いとしてはげんなりするものを感じるが、別の店を探すのも面倒だし、何よりも相当に美味いらしいのでじっと耐えて待つ。
待つこと30分。思ったよりも早く席に着くことができた。頼むは「天ざるそば」。あまり腹が減っていないので全部食べ切れるか心配だったが、いざ、食べ始めるとそれは杞憂で、そばの旨さにスルスルと食べさせられてしまった。「シコシコ」とは一線を画す「ブリンブリン」とした独特の強いコシがあり、布海苔特有のヌメリも感じる誠に個性的なそばで、ちょっとした感動を感じる歯応えと風味がある。我慢して待った甲斐があった。家族の話によれば、総本店の六日町店はこの何倍も行列がすごいという。今度はもっと腹を空かせて、へぎに入った大盛りを食べてみたい。



翌日は13:00から、最近始まったばかりの連載企画の取材がある。
ハイエンドのデジタルグッズの開発秘話を、エンジニアリングやマーケティング、マーチャンダイジングなどの観点からキーパーソンに語ってもらうという、エンスージアスト向けのインタビュー企画。編集さんが一生懸命考えてくれた連載企画につき、顔を潰さない意味でそれなりの正装で客と向きあわなければならない。ということで、明朝に家族と別れ、俺は新幹線で午前中までに東京へと戻り、自宅でスーツに着替えてから取材先へ向かうことにした。『Maxとき』を使えば東京までわずか2時間弱。だから直前までこうして旅の空の下にとどまることができる。便利な時代になったものだ。







新潟市街へ到着。本日の宿は『ホテル日航新潟』。
泊まるは28階のエグゼクティブフロアのファミリールーム。最上階の一つ下の階だけに見晴らしが素晴らしい。脳髄がズキズキと痛むので、頭痛薬を飲んでしばしベッドで一眠り。

家族はすぐにホテル内のカフェへ。俺はそのまま原稿執筆に入る。明日はGWのなか日だが、納品しなければならない原稿がある。この景色をニンジンにすれば仕事も捗るだろう。

一度戻ってきた家族が、今度は近くの鮮魚センターに買い物に行くという。お伴したいが、まだまだ原稿が書き終わらないので、独り残って原稿執筆を続けることにした。

今夜は2年前に訪れた新潟の万代シティバスセンターで、幸せの黄色いカレーを喰らう予定である。旅を締めくくる晩餐としてはいささか華に欠けるが、俺にとっては最高の御馳走。ちなみに家族はホテルの前にある日本海最大級の旬鮮市場『ぴあ万代』内にある魚屋直営の廻転寿司屋で寿司を食べるとのこと。かなりの人気店であり、魚屋直送の新鮮なネタを握ってもらえるとのことで激しく惹かれるものがあるが、やはりあのノスタルジックなレモンイエローのライスカレーの魅力には及ばない。

そうやって焦がれた万代シティバスセンターのカレーであるが、結果から述べると、「ありつくことができなかった」と報告しておかなければならない。なぜなら営業終了時間が19:00であることを確認していなかったから。ついつい東京の感覚で、「立ち食いそば屋は夜遅くまで営業しているもの」と思い込んでしまい、気がつけば21:00。一応、バスセンターの中に入ってみるも、もちろんすべての店は閉まりきっていた。
ここからが新潟の恐ろしいところ。「じゃあ、別のカレー屋を」ということでカーナビで代替候補を検索するも、松屋などの丼チェーンばかりがリストアップされ、唯一ヒットしたインド料理店と思しき店に向かうも、店そのものがない(撤退した模様、というか店が存在した痕跡もない)。以前、万代シティを訪れた際に発見した、裏通りの小さなカレー屋ももちろん閉まっている。ネットでやっとこさ調べあげたネパール料理の店に電話をしてみるもあえなく閉店。どこをどう探そうがカレー専門店とは出会えそうもない。「じゃあ、妥協して松屋でも吉野家でもすき家でも」とカーナビで検索した店舗に向かうも、その店舗は撤退してしまったのか、カーナビが指し示す場所に存在しなかった。というかカレーにかぎらず営業している店がない。そうこうしているうちに回ってしまった23:00。万策尽きる――
結局、コンビニでカレーを買い、ホテルで喰う。相当に腹が減っていたことと、久々に24時間を超えてカレーを断っていたことでやたらと美味く感じる。よっしや、明日もカレーを食うことにしよう(結局、ランチで立ち食いそば屋のカレーを食い、夕食でベトナムカレーを食った)。

    ◇                ◇                ◇    


最後にこんなオチがあったものの、燕三条のカレーラーメンも五頭温泉のチキンカレーも、小嶋屋のへぎそばも美味かったし、何よりも五頭温泉の『弓月』という素晴らしい宿と出会えたことで、旅の思い出もより印象深いものとなった。そういった意味では、最終夜の件も、旅の思い出を引き立たせるための一つのエッセンスだと捉える事もできる。いずれにせよ、万代シティバスセンターだけでなく、いにしえなる様式のライスカレーは『丸屋』『大衆食堂正広』『食道にしかわ』をはじめとしたお店でも食べることができ、それらを食わずして新潟の旅は完結などしないと思っている。これらの“ライスカレー探訪”を次回の新潟遠征のテーマに据えることにし、旅の記録を締めくくることとする。





    ◇                ◇                ◇    



後日、家族がクール宅急便で送ってくれたズワイガニや甘エビ、村上のシャケが届いたのでさっそくいただく。

ズワイガニは浜茹でしてあるのでそのままポン酢で。
甘エビは刺身と唐揚げで。
刺身で余った殻は軽く炒って味噌汁に。

もう最高。特に唐揚げは殻ごとポリポリと食えて、味噌を含めたエビの旨さを存分に堪能できる。新鮮であるだけに刺身も美味いが、唐揚げは甲殻類ならではの殻の香ばしさを堪能できる点でかなり気に入った。ちなみに村上のシャケは翌日の夕餉に上ることになる。こちらは塩がしっかりと効いており、茶漬けで食うといい塩梅であった。


【国内旅行】新潟食彩紀行~2日目

2012年05月30日 00時58分35秒 | 旅――国内・出張・地方




2日目。
昨晩はなんだかんだで眠りに入るタイミングを逃してしまい、気がつけば明け方近く。
この宿自体の居心地があまりに良すぎることもあって、朝食の時間(8:30~)ギリギリまで爆睡してしまった。
本当なら6:00頃に起床して、早朝の朝風呂を楽しんで周辺を散歩、などという健全なる朝のひとときを画策していたのだが、あまりに普段の生活とかけ離れたことをやろうとしたせいか、我が遺伝子たちに「頼むからいつも通り半目で惰眠を貪っていてくれや」とヌクレチオドレベルからの拒絶を喰らってしまった。

さて、そんな訳で朝飯だ。
見ての通りの豪華で粋があって美しい朝飯。スタインベックの「朝めし」がアメリカそのものであるように、自分にとってはこれが日本そのものの姿。普段、あまり朝食を摂ることはないが、そして幾分寝不足ではあるものの、この眼下の美しい光景に食欲がモリモリと沸き上がってくるのを感じる。野菜はすべて地元の有機野菜。鮭は村上の塩ジャケ。豆乳の湯豆腐が寝起きの胃壁に優しく染みこんでいく。小皿がたくさんあって迷い箸が楽しい。これは飯一膳だけでは足りないぜ。



新潟といえばこののっぺい汁。里芋やニンジン、ギンナン、青菜などの野菜やカマボコなどを優しい味付けで炊きこんだ、朝にピッタリの一品。イクラが載るのが新潟風。これ一杯でかなりのボリュームがある。美味!




朝飯を食った後ひとっ風呂。
あまりに気持ちが良すぎて思いの外長風呂になってしまった。火照った身体を覚まそうと少しだけ横になったら、そのまま寝てしまい、気がつけば11:00。そう、この旅館、あまりに居心地が良すぎるのだ。食事は美味いし連泊にして本当に良かった。そろそろ昼だ。ランチをとりがてら、クルマで出かけることにする。



採れたての新鮮野菜や加工品を直売する『うららの森』で出来上がったばかりのパンを数点購入。本当は野菜を買いたいのだが、あと2日間こちらにいる予定なので、とりあえず今はパス。そして宿のご主人に評判を聞いてやってきたのがこちらのお店。スイーツのお店だが、併設されるカフェで供される軽食が美味いらしい。



「カツサンドが美味い」という評判でやってきたが、カレーも評判とのこと。メニューは「チキンカレー」と「カツカレー」。朝食をしっかり食べたせいでさほど腹は減っていないが、カレーと聞いちゃ黙っていられねえ。ということで「チキンカレー」をオーダー。



さほど期待していなかったこのカレーだが、予想を遙かに上回る美味さだった。
上品な酸味とゴロゴロと入った柔らかなチキン、そしてキリリと効いたスパイス。「おっ!」と言わせる美味さがある。果実を煮込んだような甘みも感じるが、過剰ではないのでいいエッセンスになっている。付け合せは微塵に切ったピクルス。これがこのカレーの美味さをなお引き立たせる。かなりレベルの高いカレーだと思う。宿のご主人オススメのカツサンドも購入。これはどこか景色のいい場所に行って食べることにしよう。



昼食後は新発田方面へドライブ。月岡の温泉街にも行ってみたが、隠れ里的な雰囲気の五頭温泉にくらべ、やや俗化された賑わいある雰囲気。他の温泉街同様、スナックなども多い。その後、五頭連峰を間近に望む場所に車を停めてカツサンドを食べ、宿に戻る。夕食までにはまだ時間がある。また周囲を歩いてみることにした。




昨日よりも足を伸ばして遠くまで歩いてゆく。フィトンチッドとマイナスイオンが身体の隅々まで行き渡るよう、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。2時間以上をかけ、じっくりと歩いた。



華報寺から宿へと続く裏道。重畳とした五頭山系からの雪解け水が流れる用水路の脇を、滑らないように歩いて行く。“猫道”と命名した。ニャー



夕食までには少し時間があるので、風呂で汗を流す。
ちなみに、この五頭温泉に向かう道中には「羽黒歓迎塔の清水」という水場があり、そこで旨い清水を汲むことができる。初日にペットボトルに汲んで宿に持ってきたが、宿の水もそれと同等以上に旨いことが判ったので、二日目からはそちらの水を氷入りのポットに入れて飲んでいた。阿賀野川水系の水道水ということで、まったくクセがなく湧き水のような見事な甘露。入浴にあたっては、その冷水をペットボトルに容れ、チビリチビリとやりながら長風呂を愉しんだ。

しかし居心地のいい宿である。ご主人をはじめ気の良い宿の人々、美味い食事、ゆったりとして適温な露天風呂、そして「隠れ家」という言葉がぴったりな佇まいと雰囲気。今まで泊まった温泉宿の中で、間違いなく三指に入る宿である。

この近くには、あの瓢湖があり、初冬の飛来シーズンには、宿の近くの広場から見学者を運ぶバスが運行されるらしい。昨年11月に白鳥見学に行ってきた家族によれば、それは感動的な光景だったという。
また、この一体は豪雪地帯であり、降雪シーズンは雪見露天が楽しめるのも魅力的だ。それなりの装備と覚悟が必要となるが、いつか、冬にこの宿に泊まりに来てみたい。



さて、いよいよお楽しみの夕食だ。
二日目はもちろんカニをチョイスした。思ったよりも大きなズワイガニが2ハイ。東京で見慣れたもっと小ぶりなものを想像していたので、思わず「おぉ…!」と感嘆の声を上げてしまった。
形も綺麗で足には身がパンパンに詰まっており、甲羅の中には緑色の味噌がこれまたたっぷり詰まっている。
あらゆるカニの中でズワイガニがもっとも好きな身としては、これ以上の幸せはない。もう、のっけからテンション上がりまくりである。



カニの前にまず前菜。海老のにいがた焼/安田ヨーグルト使用のすり身のフロマージュ/あなご鳴門巻/たたみ白魚/たずな黄身ずし/蓬だんご/南蛮海老麹漬け/翡翠そら豆/がお重の内訳。いずれも独創的で味の変化が実に楽しい。



「たたみいわし」ならぬ、「たたみ白魚」。なんと贅沢な一品であろうか。日本酒と好相性の味。



先付けはプチヴェールとはまぐりの豆腐。素材重視の優しい味だが、それぞれの素材の滋味が交互に感じられるなかなかの一品。





牛肉・陶板で焼き目を付けていただく。肉が一品入るといいアクセントが生まれて食が進む。鮮度のいい肉は美味い。



時季のものの刺身。やはり新潟と言ったら日本海産の新鮮な魚介類。どの刺身も本当に美味かった。



煮物椀。たけのこと白身魚の葛打ち、あおさざんしょうの吸い物。さっぱりと上品でありつつも、さんしょうがいい刺激となって、いくつもの味わいが楽しめる。美味。





南蛮海老の酒盗和え。写真のように熱した石の上で焼いて食べる。生でも美味いが、焼くことによってプリプリ感と香ばしさが一層際立つ。感動するほどに美味かった。



焼き物はメダイの越後味噌漬け。肉厚で上品に脂が乗っている。思った以上にボリュームもあって美味し。



「五頭の旬菜 雪下にんじんの米粉カステラ」と銘打たれた一品。秋に収穫する人参をわざと雪の下で越冬させ、翌春に収穫することで糖度を高めさせた「雪下にんじん」を米粉と合わせて焼き上げたカステラと、白しめじ、ブロッコリー、白髪ネギなどをホワイトクリームで合わせた独創的な一品。



揚げ物は、揚げ餅まんじゅうと野菜素揚げ。煮浸し風になっており、思ったよりもあっさりとしており美味。



最後は焼きおにぎりと香の物。もちろん、この時点で先のカニは完璧に殻だけになっていることは言うまでもない。本場だけに、カニは身も味噌も本当に美味かった。これだけで新潟に住みたいと思ってしまうほど。当たり前だが、米も美味いしね。



デザートはメロンとチーズケーキ。先程から胃の中が危険水位に達しているが、これは別腹。チーズケーキだが、一般的なものよりもふんわかしており、なおかつ濃厚。あまりの美味さに「うめぇ!」と感嘆の声を上げてしまった。





やや寝坊が過ぎたが、美味いカレーに巡りあう事もでき、森林浴も存分に楽しめた。そして最高の夕食。いや、実にいい一日だった。さて、風呂だ。


【国内旅行】新潟食彩紀行~1日目

2012年05月19日 00時01分52秒 | 旅――国内・出張・地方




GWの前半を利用して、実家の家族と新潟の五頭温泉へと3泊で旅行に行ってきた。
この旅行では、“ある重要なテーマ”がある。それは「できるだけご当地カレーを食べること」。とりあえずは燕三条の名物、「カレーラーメン」を食べることを第一のミッションとし、次に温泉地近辺の地カレーの探索、そして新潟市街に戻ってくる最終日に「万代シティバスセンターのライスカレー」を喰らって〆るという計画である。夕食と朝食は宿で新潟の郷土料理をいただくので、基本的にはランチタイムを利用してのカレー屋めぐりが中心となる。あまり量を求めるタイプでも、店のはしごに命をかけるタイプでもないので、1日1皿のカレーにありつければ上出来。ゆえに、より印象深いカレーと巡り会えるよう、しっかりと情報収集をカマして事に臨む……というのは苦手なので、全力で鼻をクンつかせてカレーの芳香を嗅ぎ嗅ぎ、本能でイケてるカレーを探し当てることとしよう。それが記憶に残るカレーとの出会いをたぐり寄せることになる。
――それでは安全運転で関越自動車道を一路新潟方面へ







出発地点の四ツ谷から約5時間。まずは燕三条へ。なぜこの街なのかというと、「カレーラーメン」という名物があるから。燕三条のラーメンを全国に発信している『燕三条ラーメン王国』によれば、

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三条の金物、燕の洋食器と言えば日本のみならず世界的に有名。約70年前から三条の鍛冶職人を中心に愛されている食べ物。
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とあり、思った以上に深い歴史を持つ郷土食であることが判る。加えて同ページに諸説に関しても記述があり、

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1)三条市の繁華街、本寺小路にある「東京亭」の現在の店主倉茂敬也(62)の父仁作さん(故)が昭和初期に東京の修行先から持ち帰ったとされる説(毎日新聞記事より)
2)「大黒亭」の二代目が初代からイギリス風カレーを教わり改良した説などあるが、真実は未だ分かっておりません・・・
ただ、全国的にカレーラーメンの一躍有名にしたのは何と言っても1973年発売の日清食品「カップヌードルカレー味」であろう。(実際は1961年に日清食品から「チキンラーメンプラスカレー」、エースコックから「カレーラーメン」という袋入りのインスタント麺が発売されている)
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と、我が国におけるカレーラーメンのルーツであることを確信できるに足る興味深い所説が展開されている。これは食わずにはいられねえ、ということでやってきたのが、このお店、『お食事処 はらや』さんである。三条燕インターからすぐ、国道8号線からわずか300mほど横道に入るだけ、そして駐車場が併設されるというクルマでのアクセス抜群のお店。ネットでの評判によると、それなりの人気店のようだが、お昼時よりかなり早い時間に到着したので、店内に先客の姿なし。
座敷席に座を確保し、さっそくカレーラーメンをオーダーする。当たり前だが、メニューにはカレーライスもある。ひと通りのジャンルのカレーを食べ歩いた末、やはり昔ながらのライスカレーが全てを圧倒するという確信を得た現在の自分にとっては、これも捨てがたい、というか本能はこちらを選べと囁いてくる。しかしここはカレーラーメンの街。プライオリティは“ライス”ではなく“麺”の方に置かなければならない。「だったら両方頼めや」という意見もあるだろうが、自分の胃袋のキャパシティでは到底その両者を一気に味わうことは不可能。つーことで、同行の母にラーメンとミニカレーのセットを頼んでもらい、それを御裾分け(≒奪う)させてもらうことにした。

やや待ってからカレーラーメン到着。ここでは写真のように茶碗に盛られたライスが付いてくる。福神漬が添えられていることから、麺を啜り終わった後の汁に投入するのではなく、カレーラーメンの上の餡を掬ってかけ、ミニカレー的に食うためのものらしい。さすが米処にしてカレーラーメン発祥の地。なかなかニクいツボを突いてくる。



さて、カレーラーメンだが、醤油ベースのラーメンの上にカレーをかけただけの誠に実直な味である。昨今流行りのクリーミーでやたらと濃厚なカレーうどんのような変化球だらけのクドいシロモノではなく、ごくごくシンプルな思想に基づき生まれたラーメンだという感じで、なかなかにイケる。特筆すべきはカレー味のスープよりも麺。特有のもっちりとしたコシがあり、見た目よりもしっかりと腹にたまる。米処だけに、もしかしたら炊きあげた米ないしは米粉を加えて麺打ちを行なっているのかもしれない。一方、母から奪ったカレーライスも見た目通りの実直にしていにしえを感じさせるなつかしい味。肉は豚バラのブロック。これがゴロゴロと入っており見た目以上の食べ応えがある。自分の中の理想に近いカレーが出てきたこともあり、ムッハムッハと一心不乱、わき目もふらずに食いきってしまった。そうやって食後のカレーの余韻に浸っていると、ランチタイムを迎えたからか年配の男性客や学生とおぼしき青年が入ってくる。いずれも至極当然といった感じでカレーラーメンを頼んでいく。いかに郷土食として地域に根付いたものなのかを実感させられ、自分の行動範囲内にある地域とは全く別の世界にいるのだということを改めて感じさせられた。




カレーラーメンを味わった後は、国道8号線を山形方面へ北上して阿賀野市に入り、五頭温泉へ。霊峰五頭の山麓に湧き出る、「出湯」「今板」「村杉」の3つの温泉で構成される新潟を代表する名湯。



今回はその中の出湯温泉にある『弓月』さんにお世話になることに。一日三組限定、各部屋に檜の露天風呂が付いた隠れ家風の宿だ。



まるで自分の家にいるかのような錯覚に陥る館内。実家の家族がリピーターとなるのも頷ける。こりゃ落ち着くわ。



ご主人自らお茶を淹れてくれる。お茶請けは栗ようかんと味噌漬け。一息ついたら散歩に出てみよう。



宿の裏に良い感じの散策コースがあるので歩いてみることにする。



こんな具合に、周辺の山々からの雪解け水による小渓がいくつもある。昔はこういった渓に分け入り、ネイティブトラウトとの出会いに心をときめかせたもんだ。




ガラにもなく花なんぞを撮ってみた。たまにはこういう写真もいいもんだ。



開業300余年という歴史を持つ温泉宿『清廣館』。趣きは異なるが、「ゲンセンカン」という言葉が自然と口を吐いた。ちなみに出湯温泉は開湯1200年という県下最古の歴史を持つ名湯中の名湯。



華報寺。曹洞宗の寺院だが、もともとは真言宗の寺で、30数坊の伽藍が存在していたという。さぞや荘厳であったことだろう。



華報寺の裏山に登ってみる。なんとなく金閣寺の夕佳亭からの眺めに似ている。



裏山のどん詰まりに小さな池があり、なにやら半透明のゼリー状の物体が。アストラルコードかと思って近づいてみたらケロッグ氏の卵塊だった。






小一時間ほど周囲を散歩。数日前には雪が降ったそうだが、この日は思い切り夏日で抜けるような青空の日。いい汗をかいた。夕食の前に一風呂浴びることにしよう。木曽ヒノキのゆったりとした湯船。源泉が敷地内に湧いており、この弓月さんでは、放射能(ラドン)や成分がを少しでも損なわれないよう、一切の加温 加水をせずそのままの源泉を各風呂に供給している。温度も熱すぎず微温すぎずでちょうどいい具合。虫の羽音や敷地内の川のせせらぎなどをBGMに、ゆっくりと時間をかけて湯を愉しむ。これ以上の幸福があるだろうか?



さて、いよいよお待ちかねの夕餉だ。
弓月さんのHPによれば、「弓月では、「新潟料理」の伝統を大切に懐石の手順を採り入れ、天然塩で薄味に仕立てるなど、より軽く健康に配慮して現代人の味覚にあうよう工夫を重ねています」とある。これは期待できそうだ。ちなみに新潟だけにカニも選べるが、明日もここに泊まるため、そちらは明日食べることにして、今夜は白子と鮑をチョイスした。



まずは先付け。これは「とろろ豆腐のぬた和え」。とろろをゼラチンで固めて作った豆腐。実に上品な味。



前菜。海老のニ身焼/玉子寄せ/あなご博多/椿すし/牛アスパラ巻き/桜花百合根/塩鮭麹漬け/真鱈子自家製からすみ/
下戸だが地元の酒蔵の冷酒を頼み、これを肴にチビリと呑る。



越後もち豚酒粕漬けの陶板焼き。柔らかくも、プリプリとした絶妙な食感。衝撃的な美味さだった。



時季の魚の造り。ホウボウにカマス、サヨリと何か(だと思う)。いずれもプリプリとしており、なおかつ新鮮な魚ならではの甘みも。絶品!



椀物。蟹のしんじょタケノコ寄せ。これも薄味で素材の風味がしっかり感じられる上品な味。美味。



焼き物は鮑と白子。杉の香焼きとなっている。これほど濃厚で柔らかく、絶妙な歯応えの鮑を初めて食べた。そして濃厚といえばこの白子! 自然に「ムッハムッハ」と鼻息が荒くなってくる。強烈な奥味と濃厚な甘さ、そして鮮烈な潮の香りと爽やかなな杉の香りが交互に押し寄せる。これまた絶品。



カマスの味塩焼き 玉味噌ソース。ソラマメとホタテが添えられている。フレンチテイストでいいアクセントになる。美味。



五頭の旬菜桜蒸し。桜の葉の下は道明寺風の餅米。葛かけ風の餡が絶妙。



揚げ物は南蛮海老の寄せ揚げ。さっぱりとした料理が続いていたので揚げ物が嬉しい。



止め椀は甘エビや根魚をふんだんに使った潮の香り爽やかな味噌汁。これまた絶品!


刺身で出てきたホウボウのアラが入っていた。もちろん皮も中骨に幾ばくか残った身も吸い尽くしたことはいうまでもない。



食後のデザートを喰って、再び露天風呂へ。重ね重ね言わせてもらうが、これ以上の幸せがあるのだろうか? 間違いなくここは天国であり極楽浄土の極み。この湯で常世の汚れを徹底的に洗い流すことにしよう。そして寝しなに読もうと思っていた『進撃の巨人 第7巻』は、東京に帰ってから読むことにした。愉しみに愉しみを重ねてしまっては勿体無い。






こだわりの蕎麦の宿 朋賛

2012年01月14日 00時49分22秒 | 旅――国内・出張・地方




そば好きの間でちょっとした話題の宿、『こだわりの蕎麦の宿 朋賛』に行ってきた。
この宿、いわゆる温泉宿ではなく、蕎麦屋にコンドミニアムタイプの部屋がくっついたタイプの宿で、食事は店舗の方でいただくスタイル。供される料理はそばを主軸としたコース料理。これを求めてそば好き達が集ってくる。
こうした料理の評判もさる事ながら、コンドミニアムタイプの部屋がとにかくすごい。山中湖を一望できる開放感溢れる絶好の展望を持ち、和室8畳、ベッドルーム8畳、リビング25畳、システムキッチンと2つの冷蔵庫がついた客室は100㎡の広さ。今まで泊まったあらゆる部屋の中で広さ・快適さともにNo.1の部屋である。バスルームはガラス張りで、リビングルーム同様、山中湖が一望できる。が、湖上にボートを浮かべる人々からもこちらが一棒されてしまうので注意が必要だ。


夕食は20:00から。下戸だがせっかくのそばづくしなので熱燗を頼む。これは前菜。


有頭車海老の塩焼き。身もさる事ながらミソが甘くて美味かった。


蕎麦寿司。淡白で上品な味。美味!


蕎麦が主役のコースだけに、腹が熟れた終盤ではななく、このタイミングで蕎麦が登場する。香ばしさ満点の十割蕎麦。歯ごたえ・喉越し・風味が高いレベルで調和した逸品。文字通りの「旨い」蕎麦だった。


揚げ出し豆腐の蕎麦の実餡かけ。豆腐は自家製。蕎麦の実の香ばしさがアクセントとなった個性的な味。美味かった。


公魚の天ぷら。岩塩を振っていただく。ホクホクと柔らかく上品な味。頭を掻き毟りたくなるほどに美味。


蕎麦の実入りの炊き込みご飯(おこわ)。薄味な分、香ばしさが際立つ。食べ切れないのでおにぎりにしてもらった。


そばがき。醤油を垂らしていただく。ここら辺で相当に腹が膨れている。


紙すき鍋と和牛の蕎麦巻き。


十割蕎麦のパスタ。シコシコとした蕎麦は確かにパスタに通ずる味わいがある。旨し。


〆は梅風味のかけ蕎麦。相当に腹が膨れているものの、さっぱりとした味わい&喉越しでするっと食べられる。淡い味よし、風味よし、歯ごたえよし。


評判通りの美味なる料理だった。腕に縒りをかけた蕎麦料理を少しでもたくさんの品数で愉しんでもらいたい――そんな主人の心意気を強く感じさせてもらったぜ。



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そして翌日――


朝食は8:30から。個人的にはこれだけでも十分なボリュームなのだが――


甲州だけに「ほうとう」も付く。煮込んでもしっかりとコシの残るストロングなほうとう。根菜がゴロゴロと入っており、芯から身体が温まる。日本人でよかったなァと思わせてくれる朝食だった。


チェックアウトし、もっとも美しいフォルムで富士山が望める展望台へ。


富士吉田周辺といえば、イトリキのカレー。驚くべきことに、ちゃんと富士吉田の本店で仕込んだものをこちらへ運んできて供しているらしい。思ったよりも薄味であっさりとしており、食べ進めていくに従い味わいが増していくタイプのカレー。長野駅そばの『山小屋』のカレーを思い出した。確かに飲んだ後の〆にピッタリのカレーだ(イトリキは居酒屋)。今度は富士吉田のお店にも行ってみたい。「道の駅かつやま」にて。