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ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

2013 マレーシア旅行 その10 マレーシア――マラッカのバナナリーフカレー(マラッカ)

2013年06月21日 19時43分12秒 | 旅――海外




カリー・デビルを求めての日中の街歩きでは、あまりの暑さに塩をかけられたナメクジの如く全身が融解しかけたが、溶けきる寸前にホテルにたどり着き、クーラーとシャワーの助けを借りてなんとか生き存えることに成功した。さらに1時間ほどの仮眠を貪ったことでかなり身体がシャキッとし、再び酷暑の街歩きに挑む気力が湧いてきた。そんな生き存えることのよろこびをリアルに実感するにはカレーを食うしかない。それもできるだけ“本場感”の強いカレーが理想だ。

実はここマラッカでは、もう一軒、どうしても行きたいカレー屋があった。印僑が経営する本場の南インドカレーを食わせる店で、バナナリーフカレーが名物。調べたところによると我々が宿泊する『ラマダ・プラザホテル』からすぐの場所にあることが判明した。別段、そのカレー屋を目当てにこのホテルに決めたのではなく、あくまでも偶然なのだが、C・G・ユング言うところの深層心理が知らずのうちに俺とカレー屋を引き寄せ、偶然を〈必然〉へと変えてくれたらしい。「生き存えたよろこび」はこのカレー屋で実感すべきだろう。ということで、夕涼みがてら、ここへ行ってみることにした。



ホテルの近くにある公園。18:00を過ぎた時刻のはずだが、まだ日は高い。しかし日中よりもいくぶん暑さは穏やかだ。観覧車に乗ってみたい気もするが、まずはカレー、カレエだ。



とはいえ、歩けば瞬く間に玉の汗。昼過ぎの街歩きの時のようにとろけないように気をつけねばならない。どうせとろけるのなら、カレーの美味さにとろけるべきだろう。



歩くことしばしで目的のカレー屋到着。まだ日が高いからか、店内は数組の年配地元客のみ。日本ならば老人客がカレー屋を溜まり場とすることなど考えられないが、ここは南国マレーシア。70代、80代と思しきおじいさんたちが飲み物を片手に軽食をつまみながらよもやま話に花を咲かせている。素敵な光景だと思う。



例によって指差し作戦でカレーをチョイス。今回は海老のカレーとチキンカレーにしてみたぜ。ちなみにミールス(定食スタイルのカレーセット)をオーダーしているので、ライスには最初からダルカレー(豆カレー)がかけられているのだが、せっかくのマラッカカレーだしということで、野菜系以外のカレーも追加オーダーしたという次第。



カレーはバナナリーフに載せた南インドスタイル。インゲンのサブジとマンゴーではない酸味あるなんらかの果実のチャトゥニ、パパドがセットされる。これほどソソってくれやがるルックスがあるだろうか?
そんなソソるルックスのカレーを混ぜ混ぜしていただく。その味はああだ、こうだと薀蓄をカマすのが野暮なほどに素晴らしかった。カレーの豊かな風味と爽やかな刺激感、チャトゥニの酸味、サブジの滋味深さ、長粒米ならではののどごし、パパドのクリスプ感と香ばしさ。そんなものが渾然一体となり、この気候、この地域、このスタイルのカレーでしか味わえない至高なる味わいを生み出す(結局薀蓄っぽいものをカマしてしまった)。その美味さたるや、「口福」という言葉が明確な輪郭をともなって頭の中に浮かんでくるほどである。昼食に食ったカリー・デビルもなかなか美味かったが、こいつはそれを遥かに超える。こんな凄いカレーを当たり前のように供してくれるこの国はガチのカレー天国だと思う。



マレーシアの国王であるアブドゥル・ハリム・ムアザム・シャー陛下および同王妃陛下(中央2人)、左端は現マレーシア首相ナジブ・アブドゥル・ラザク閣下。その隣がモッド・カリル・ヤコブマラッカ州知事。右端がモッド・アリ・ラスタムマラッカ州首相。ユニークなのが、マレーシアの国王は任期5年の「持ち回り」で行われるという点。我が国外務省のHPによれば、
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マレーシアを構成する13の州(ほかに3つの連邦直轄区)は,それぞれが小さな王国や直轄の植民地であった歴史的経緯があり,うち9つの州の首長であるスルタンの互選による輪番制で国王が決められます。
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とある。この点は7つの首長国の君主から国家元首が決定されるUAE(アラブ首長国連邦)と共通するものがある。ただしマレーシアは我が国同様の立憲君主制であり、UAEは絶対君主制である点で両者の王政は決定的に異なる。このように、マレーシアでは飲食店にかぎらず、多くの商店において国王夫妻や首相の写真が飾られているのを目にした。我が国でも見習うべき慣習だと思う。



食後の運動で再びスタダイス広場方面へ散歩。これはマジェスティックホテル。本当はここに泊まりたかったのだが、人気ホテルのためにすでに満室だった。マジェスティック・ホテルと言えばホーチミンの『サイゴン・マジェスティック・ホテル』。歴史あるホテルでありながらも、宿泊代は高くないので、いつかは泊まってみたい。



かわいいキャット氏発見。ちょっと警戒気味。ごめんな。



スタダイス広場の裏では日曜マーケットが催されていた。昨日まではどこにでもいた中国人観光客の群れが今日は少ない。昨日とはうってかわって街に落ち着きがあり、喧騒はウソのように消えさっている。これが本来のマラッカの姿であり、雰囲気なのだろう。



この帆船は、財宝を積み母国へ帰る途中、マラッカ沖に沈んだポルトガルの交易船「フロール・デ・ラマール丸」を模した海洋博物館。写真で見るよりも遥かに大きい船だった。



そんな海洋博物館を華麗にスルーしてやってきたのはマラッカタワー。地上110mまで駆け上る展望キャビンに乗ってマラッカの街並みを眺めてみようと思うのだ。



地元の人々による結構な長さの行列ができていたが、展望キャビンの収容人数が高くて、20分待ち程度で乗車することに成功。ちなみにこうした長い行列を伴う状況で順番待ちをする場合、おそるべき確立で俺の順番で入場が打ち切られたり、売り切れになってしまうのだが、案の定というべきか、今回も我々の順番でキャビンへの入場が満席となり、次便の搭乗を余儀なくされてしまった。ある意味持ってるぜ、俺は。圭佑以上にな



マラッカ海峡。相変わらず厚い雲に覆われており、海原に没しゆく太陽は見られない。こうして見ると、海岸線近くにはかなりの広さの造成地があることが分かる。



マラッカのメインストリートだが、ここの道路、やたらと横断報道間の距離が離れており、老若男女みんなが見切り横断を余儀なくされる。見切り横断に関しては カオス極まるベトナムの道路で鍛えられたのでさほどの苦労はなかったが、道路のインフラがしっかり整備されている分、こちらの方が乗り物のアベレージスピードが高く、距離感を掴むのにやや慣れが必要だった。



市民プールだろうか。夕暮れだが、まだまだ遊泳を楽しむ人々がいる。ここからあのプールまでダイブしたらどうなるのだろうか。

マラッカタワーからの眺望




10分ほどの空中散歩を愉しんで再び下界へ。いやぁ、楽しかったぜ。そしてこれがマラッカタワー。まるでスキーのストックだ。



もはや芸術の域と言っても過言ではない、電飾仕様のトライショー。かつて日本でも多く見かけた“デコトラ”を彷彿とさせる煌きだ。



再び海洋博物館。「フロール・デ・ラマール丸」が美しくライトアップされていた。でも入りません。代わりに近くの土産店を冷やかす。



マラッカ川畔のテラスを散歩。日が落ち、夜の帳が下りて涼しくなると、地元の人々が夕涼みにやってくる。



巨大水車。歴史的建造物らしいが、なぜここまで巨大である必要があったのか、具体的にどういったことに利用していたのかは不明。(レリーフの説明書を読むのを忘れてしまったのだ)。



『カーサ・デル・リオ・マラッカホテル』。ジョン・カーストリートにあり、歴史遺産地区からも近い。しかもマラッカ川沿いという絶好のロケーション。なのに安い。今回はリトルインディアのラマダホテルにしたが、もし次回この街を訪れたときは、ここかマジェスティックホテルに泊まってみたいと思う。



この水車を見たとき、最初に頭に思い浮かんだのはハケ水車である。



スタダイス広場にある風車。おそらくはレプリカだろうが、やはりすぐに頭に思い浮かんだのはハケ風車である。



すっかり日も暮れ、めっきりと人通りが少なくなった。そろそろ帰ろうと思った刹那、狂おしいほどのカレー衝動が沸き起こってきやがった。18:00過ぎにバナナリーフカレーで晩メシを済ませたばかりだが、カレーなる気分で満ち足りたかと言われればまったくそんなことはなく、もっともっとカレーが喰いたいという気持ちが際限なしに湧いてくる。これがカレー以外の料理――たとえば中国料理などであれば間違いなく“追い晩メシ”などしようとは思わないのだが、カレーならば話は別。胃袋のキャパシティなど関係なしにいくらでも食うことができる。
ということでもう一つ目をつけておいたカレー店に突入。ここもインド系バナナリーフカレーの店だが、生憎と閉店時間でテーブルの上を片付け始めている。「持ち帰りはできる?」と聞いたらOKとのこと。つーことで、鍋に残っているカレーをありったけ容れてもらう。



ホクホク顔でホテルへ帰還。さァカレーを食うぞ、と思って包みを解いたらこのような状態。カレーをビニールに容れるのは想定内だったが、まさかライスまでビニール(つーかパラフィン紙?)に容れてくるとは思わなんだ。
ライスがテイクアウト容器に入っていれば、それがカレー皿の役目も果たしてくれ、危惧せずカレーをブッかけられるのだが、パラフィン紙の上に載っているライスにこのような汁っけの強いカレーをかければたちまち滲み出し、テーブルの上に広がってしまうこと必至である。



つーことで、苦肉の策としてコーヒカップにカレーを、ソーサーにライスを盛ってみた。なんとか人間らしい食い方でカレーにありつくことができて一安心。ちなみにカレーは、チキンとエビのカレー2種に、ジャガイモのサブジ、タンドリーチキン。
当たり前だが、食後はこれらの容器をきちんと洗っておいたことは言うまでもない。



当然だがすんごく美味い。風味含めてやや甘みのあるエビカレーよりも、ストレートなスパイス感のチキンカレーの方が今の自分にとっては好みである。美味いカレーを喰って一日を締めくくることができるのは間違いないなく幸せなことだ。
気がつけば、昼食のカリー・デビル、夕食のバナナリーフカレー、そして今食っているインドカレーと、この日一日の食事すべてがカレーであった。なあに、日本で毎日のようにやっていることだ。


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