Alphanumeric

ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

北京・香港・マカオ旅行~香港4日目 「新界のサッカー観戦」

2010年04月13日 17時45分09秒 | 旅――海外


香港と言えばカールスバーグカップ。
ある時はナショナルチームトーナメント、ある時はクラブチームトーナメント、そしてある時は両方を交えたミックストーナメントと、時代の変遷によってトーナメント形式を変えつつ、1980年代から続く東アジアを代表するサッカーのナショナルカップトーナメントである。香港という共産圏との緩衝地で開催されるカップ戦だけに、ソビエト時代のスパルタク・モスクワや、旧ユーゴ時代のパルチザン・ベオグラードなど、東西冷戦時の最中に東側の名門クラブを招いて香港選抜と戦わせたり、これら東側の名門クラブと、スイス、スウェーデン、デンマークといった西側諸国のクラブを戦わせるなど日本にはない魅力的なマッチメークを実現させてきた。これ以外にも、92年にルーマニアのステアウア・ブカレスト(85-86の欧州チャンピオン)、2008年にクロアチアのハジュク・スプリト、09年にチェコのスパルタ・プラハ(90年にも)といった中・東欧の古豪クラブを招聘してきた。
それらを迎え撃つ香港の実力もなかなかのもので、91年にアストン・ヴィラ(!)を、92年にパルチザン・ベオグラードをそれぞれ香港代表が下し、08年にはハジュク・スプリトを香港リーグ選抜が、09年にはスパルタ・プラハを香港リーグの強豪サウス・チャイナ(南華)が下し優勝の栄冠に輝いている。我が日本代表も加茂監督時代に参戦したことがあり、初戦のポーランド戦を5-0で軽くいなした後、決勝でスウェーデンに1-1のドローの後のPK戦で敗れ優勝を逃している。

とまあ、少し前置きが長くなりすぎてしまったが、そんな東アジアの隠れたサッカー先進国である香港サッカーの実力に触れるべく香港リーグの試合を観に行ってみよう、ということになった。折良くこの日は少し前まで岡野雅行が所属していた天水圍飛馬(TSWペガサス)の試合がある日。試合会場は我々の九龍からは遠く離れた香港の西の端、かつて中国との緩衝地帯として築かれた新界の中の行政区、元朗(ユンロン)にある元朗大球場。MRT(地下鉄)を何度か乗り継ぎ、さらにLRT(ライトレール)に乗ってやっと辿り着くという、香港最果ての街だ。



まずは腹ごしらえ、ということでいつものように茶餐廳でブランチを。これは佐敦(ジョーダン)にある『富都茶餐廳』。


一般的な茶餐廳よりもかなり広い店内。嬉しいことにカレーのメニューも豊富だ。


数あるカレーの中から選んだのが、この伽哩海鮮飯。エビやイカ、フィッシュボールなどが入ったボリューム満点のカレー。白身魚のフライも何枚か入っており、カレーに浸してあってもサクサクしたクリスピー感がしっかりと残っている。美味!


腹ごしらえが終わったらいよいよ旅へ。まずは佐敦站から荃湾(ツェンワン)線で尖東(チムトン)站まで行き、西鉄線に乗り換えて元朗(ユンロン)站へ。


元朗站到着。ここからLRTに乗り換え、水辺囲站へ。


このLRTだが、ロボットのようでなかなかかっこいい。ぜひ東京にも。


15分程度の乗車で水辺囲站到着。スタジアムの場所が分からないので近くにいたティーンの男子に尋ねると、「僕らは南華(サウスチャイナ)のサポーター。これからスタジアムに行くから一緒に行こう」と案内してくれた。そう、今日行われるのは、リーグ戦ではなく、「高級組銀牌」というカップ戦のセミファイナル。我々が目当てとする天水圍飛馬VS傑志(キッチー)戦の後、18:00から南華VS晨曦(スンヘイ)戦が続くのだ。


南華サポーターの男子とサッカー談義を交わしながらスタジアムへ。「傑志側にバルセロナにいたカメルーン人がいるよ」と教えてくれたが、誰か分からず。ボランチにR・ソングっぽい選手がいたがバルサに在籍してたことないんだよな。誰なんだろうと思って在籍外国人を調べてみたら、かつてレアルやバルサに所属し、98年のW杯にも出場したセラーデスが在籍していることが判明(この日は見かけず)。まさか香港でサッカーを続けていたとは。


天水圍飛馬はここ元朗地区をホームタウンとする地元チーム。元朗の有志たちによって組織・運営され、地域に対する各種社会活動の拠点としても機能する。Jリーグで言えば清水エスパルスのような市民クラブ。また、元朗区の企業や行政機関などを対象に、リタイア後の選手の再就職先の斡旋なども行う点でレアル・マドリー的だとも言える。選手側と運営側という相違はあるが、“純血”を大切にする点だけを見れば、アスレチック・ビルバオやかつてのピアチェンツァ(ビチェンツァではなく)にも通ずるところがある。


試合の方はホームの天水圍飛馬がポゼッションで上回り、序盤に2点を奪うも、後半、セットプレーとカウンターで傑志に3点を返され逆転負け。ちなみに我々が座ったのは天水圍飛馬側応援スタンドだったので、傑志に対する激しいブーイングをイヤというほど聞かされた(笑)。なぜか5番のリベロのスペイン人に対してのブーイングが多かった。ちなみにこの5番の選手、なかなか巧みで、ラインを的確にコントロールし、中盤との距離をコンパクトに保ちつつ、何度も天水圍飛馬側のアタッカーをオフサイドトラップで仕留めていた。ラインズマンのレベルもなかなかということか。


この後のサウス・チャイナ戦も観たかったのだが、終了時間が20:00を超えてしまうため断念。第一試合の終了と同時にスタジアムを後にすることに。


少し行けば中国の深セン。そういった場所だけにスタジアム周辺は低所得者向けの住宅街が立ち並ぶやや殺伐とした雰囲気。同じシチュエーションにあるセルティック・パークを思い出す。


それにしてもLRTが似合う街だ。無骨なデザインのLRTが見事に街の景観に溶け込んでいる。


いつの間にか水辺囲站から2つ先の康楽路站まで歩いていた。とりあえず来たLRTに乗る。


小学校。一度でいいから香港の小学校の給食を喰ってみたい。


最果ての街だが、九龍や湾仔と同じく、街は人で溢れかえり活気がある。どんな事情があろうが、どんな場所であろうが香港である限り、街はエネルギッシュで魅力的だ。


今度は、この元朗区に宿を取り、じっくりと街歩きを愉しんでみたい。日帰りで戻るにはあまりにもったいない街だ。


ということで戻ってきたぜ、我が九龍。夕食までにはちと時間があるが、小腹が空いたので麺を食べていくことにする。



入ったのはホテルにほど近い『鶏記 潮州麺色』という店。「地元で評判の潮州食堂」という看板に惹かれて入店決定。
夕食前の中途半端な時間帯だが、意外にも店内は地元っ子(年配客もいたが)で満席に近い状態。一番奥まった場所に空いたテーブルを見つけてなんとか座を確保することができた。

頼んだのは海老雲呑湯麺。
薬味がレンゲに載せられてくるのが潮州麺のスタイルだ。一見、あっさりとしていそうなスープは見た目以上にコク深く、滋養に溢れた力強い味。海老のワンタンは《一体、何尾の海老がこの中に入っているんだろう》と思ってしまうほどたっぷりはちきれそうで、それ自体が生き物のようにプリプリとした絶妙な食感。加えて秀逸なのはやはりシコシコ・プリプリとした麺。絶妙な歯ごたえと喉越しに、危うくきらめくヨダレを垂れ流しつつ白目を剥いたヤバ気な表情を周囲に晒すところだった(なんとか白目だけで堪えきった)。しかし、なぜに香港の麺というのはここまで外れが無いのだろうか。食に対する絶対的なセンスを国民全員が共有しているとしか思えない。常軌を逸したような極太麺なんてここではまず出てこない。これで30HK$そこそこ。まさに麺天国である。







旅へ出るとどうも野菜が不足気味になる。ということで晩メシは野菜がしっかり摂れる韓国料理を喰うことにした。何かを頼めばご覧の通りに野菜を中心とした小皿料理をズラーッと並べてくれるのが韓国料理のいいところ。焼肉の盛り合わせや味噌チゲがセットされるコースにしたのだが、これらの小皿料理ばっか喰ってたらそれだけで腹がくちくなってしまうほどの量。なんとか焼肉やチゲは喰いきったが、申し訳ないが結局小皿料理の方は残してしまった。それでもしっかりビタミン補給できたよ。ごっそさんなー。


最新の画像もっと見る