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包括・継続的な支援必要

2005-04-15 22:44:35 | NEWS
宮本みち子 「経済教室 若年雇用への視点 下」日本経済新聞 2005.04.15.

若者の雇用をめぐっては、意欲の欠如や、コミュニケーション能力の不足という若者自身の問題だという認識があるが、一人前になるための社会の枠組みそのものが崩壊している。学卒と同時に職場に入り、そこで教育されて一人前の職業人、社会人となる仕組みは200万人を超すフリーター、同じく200万人を超す無業者の急増という事態を前に機能しなくなった。 
学卒後一貫して正社員に就いている20歳代の若者は半数に満たない。また、大多数が離転職を経験し、同じ職場に長く勤めようという者も急減している。  
欧米諸国は20%に達する失業率、貧困化やホームレスの増加から、無業者が若者政策の最重要課題となり、97年の欧州連合(EU)雇用サミットの「欧州雇用戦略」では「ニュースタート」と呼ばれる教育・訓練プログラムが採択された。 
英国では2001年コネクションズ・パートナーシップという組織が作られ、13歳から19歳の早期に学校を離れる若者を支援している。職業訓練の機会を与えて、就職へと誘導する従来の手法から、ボランティア活動や、音楽・スポーツ活動への参加や、学校に戻すなどの手法が主流になって、若者集団を一括して扱うのではなく、個人ベースのカウンセリングがとられている。 
いま我が国に必要なことは、欧米先進国の経験に学び、教育・生涯学習・就労・社会保障・家族・健康医療など、青少年の発達過程の障害を取り除き、長期継続的にフォローアップして自立させる支援を推進することであり、そのための社会的コンセンサスを形成しなければならない。