新宿・紀伊国屋書店地下1階。PM5:30。
「薬・舞台用化粧品専門店」の看板が掲げてある「○○堂薬局」に僕はいた(一応名前は伏せておきます)。僕の友人である舞台俳優君に教えてもらった。でも・・・
どー見ても、ア・ヤ・シ・イ
そして
極端に狭い・・・
「本当にここでドーランが買えるのだろうか?」
心配だ。
不安度数120%の眼差しで、ショーケースを覗いてみる・・・。
「歌舞伎用おしろい」
「羽二重」
・・・違う!カテゴリーが決定的に違う!
僕はそんなもの欲しくないし、多分、一生僕に必要のないものの一つであろう。
しかし、僕の友人である舞台俳優君が教えてくれたのはここで間違いなさそうだ。もちろん、彼は「歌舞伎役者」ではない。その友人は僕にこう言っていた。
「入り口の右手に、メガネをかけた小柄ですごい低姿勢のオバハン(40代後半)がいると思いますよ。その人に聞けば大体のことはわかりますから・・・」
いた。
僕は「永谷園のお茶漬け」に入っている浮世絵カードのような、「歌舞伎用おしろい」のパッケージを横目で見ながら、不安度数が150%の面持ちで、恐る恐る入り口をくぐった。
「いらっしゃいませ、お客様・・・本日は、何を御探しで御座いましょうか?」
うーむ、なるほど低姿勢だ。
「あのぉ、音楽のライブで使うドーランが欲しいんですが・・・」
「音楽のライブ」を強調して聞いてみる。ショーケースのパッケージが、僕に向かって大見得を切っている気がしてならない。
「はぁ、左様で御座いますか。色の濃さや、『あかみ』は如何ほどの物をご利用になられますか?」
あ・か・み?
「あかみ」って「赤身」?部位的には「トロ」に近いほど好きだが・・・
「あかみ・・・ですか?」
「はい、左様で御座います。照明が強く当たると、色の『赤』が飛んでしまうんですね。ですから、お客様のステージの照明が如何ほどの強さで当てられるのかをご参考までにお伺いいたしたいと思いまして・・・」
僕は正直恥ずかしかった。耳たぶが「赤身」化しているのがよく分かる。この店員、ていうかオバハン、只者ではない。
でも、この低姿勢なオバハンに任せれば大体のことはわかりそうだ、僕の友人が言っていたように・・・。
「そんなに強い照明ではないと思います。ただ、スポットは浴びると思うんで・・・。スポットを浴びて、ナチュラルに見えるくらいのものがあれば欲しいんですが・・・」
「かしこまりました。では、何回分ほど御必要ですか?」
ステージは1回ポッキリだ。素直に「1回分です」と言えばいいのに、変なところで見栄を張るのが僕のいけないところだ。そりゃあ、パッケージに見得を切られもしますわい!
「5回分くらい(でも控えめ・・・どうせなら20ステージ分くらいとか言えばいいのに)」
「それではこちらで大丈夫ですね」
オバハンは、女性がよく使うファンデーションくらいの大きさのものを出してきた。テスターを慣れた手つきで手の甲に3種類塗ってくれる。
ぼくは、中間の色合いのものをチョイスした。
変な汗をかいていた。実は、ここまでこうしていかにも初心者っぽく書いてきたが、「ドーラン」を買うのはこれが初めてではない。昔、ステージに立ったときも、ドーランだけは塗って出ていた。ただ、知り合いのスタイリストさん(プロ)から、
「みずきくんはこの色だよ。プロの私が言うんだから間違いないわよ!」
と、半ば強引に買わされていた。でも、確かにプロ!ステージに立ったときの自然な色合いは、本当にすごいと思えるほどフィットしていた。
だから、一人でドーランを選んで買うのは初めてだった。
その時のことを思い出してみる。何か、同じ色のものを買っているような気がしないでもない。まあいいや。このオバハンはやはり、僕みたいな三流ミュージシャンから歌舞伎俳優まで、今までに色んな人を相手にしてきたのであろう。照明がどれくらい当たるのかを聞いただけで、3種類に絞って僕にチョイスさせたのだ。すごく低姿勢だが、心の中では、
「この似非ミュージシャンが!ぜってー売れねーよ!」
と舌を出して笑っているのかもしれない。それでもいい。少なくとも、似非であれ「ミュージシャン」だと思われていることが、今嬉しいのだ。
今日はこのオバハンを信じよう!
「(オバハン、僕をミュージシャンだと認めてくれてどうもありがとう!オバハンの期待に応えられるよう、最高のライブにするよ!(決意!)」
心の中でそう叫び、パフを選び、レジに向かおうとした。
その時、
「あの、お客様。ドーランの上に塗る『おしろい』などは必要御座いませんか?」
おらっちはどんなアーティストやねん!!
この『おしろい売り』めが!!
「結構ですぅ(怒)!!」
僕は、オバハンと大見得を切る歌舞伎役者の視線を背中に感じながら、そそくさと店を出た・・・。
僕がどんな色のドーランを塗るのかは、当日のお楽しみ(てか、多分自然に見えるはず)。
「薬・舞台用化粧品専門店」の看板が掲げてある「○○堂薬局」に僕はいた(一応名前は伏せておきます)。僕の友人である舞台俳優君に教えてもらった。でも・・・
どー見ても、ア・ヤ・シ・イ
そして
極端に狭い・・・
「本当にここでドーランが買えるのだろうか?」
心配だ。
不安度数120%の眼差しで、ショーケースを覗いてみる・・・。
「歌舞伎用おしろい」
「羽二重」
・・・違う!カテゴリーが決定的に違う!
僕はそんなもの欲しくないし、多分、一生僕に必要のないものの一つであろう。
しかし、僕の友人である舞台俳優君が教えてくれたのはここで間違いなさそうだ。もちろん、彼は「歌舞伎役者」ではない。その友人は僕にこう言っていた。
「入り口の右手に、メガネをかけた小柄ですごい低姿勢のオバハン(40代後半)がいると思いますよ。その人に聞けば大体のことはわかりますから・・・」
いた。
僕は「永谷園のお茶漬け」に入っている浮世絵カードのような、「歌舞伎用おしろい」のパッケージを横目で見ながら、不安度数が150%の面持ちで、恐る恐る入り口をくぐった。
「いらっしゃいませ、お客様・・・本日は、何を御探しで御座いましょうか?」
うーむ、なるほど低姿勢だ。
「あのぉ、音楽のライブで使うドーランが欲しいんですが・・・」
「音楽のライブ」を強調して聞いてみる。ショーケースのパッケージが、僕に向かって大見得を切っている気がしてならない。
「はぁ、左様で御座いますか。色の濃さや、『あかみ』は如何ほどの物をご利用になられますか?」
あ・か・み?
「あかみ」って「赤身」?部位的には「トロ」に近いほど好きだが・・・
「あかみ・・・ですか?」
「はい、左様で御座います。照明が強く当たると、色の『赤』が飛んでしまうんですね。ですから、お客様のステージの照明が如何ほどの強さで当てられるのかをご参考までにお伺いいたしたいと思いまして・・・」
僕は正直恥ずかしかった。耳たぶが「赤身」化しているのがよく分かる。この店員、ていうかオバハン、只者ではない。
でも、この低姿勢なオバハンに任せれば大体のことはわかりそうだ、僕の友人が言っていたように・・・。
「そんなに強い照明ではないと思います。ただ、スポットは浴びると思うんで・・・。スポットを浴びて、ナチュラルに見えるくらいのものがあれば欲しいんですが・・・」
「かしこまりました。では、何回分ほど御必要ですか?」
ステージは1回ポッキリだ。素直に「1回分です」と言えばいいのに、変なところで見栄を張るのが僕のいけないところだ。そりゃあ、パッケージに見得を切られもしますわい!
「5回分くらい(でも控えめ・・・どうせなら20ステージ分くらいとか言えばいいのに)」
「それではこちらで大丈夫ですね」
オバハンは、女性がよく使うファンデーションくらいの大きさのものを出してきた。テスターを慣れた手つきで手の甲に3種類塗ってくれる。
ぼくは、中間の色合いのものをチョイスした。
変な汗をかいていた。実は、ここまでこうしていかにも初心者っぽく書いてきたが、「ドーラン」を買うのはこれが初めてではない。昔、ステージに立ったときも、ドーランだけは塗って出ていた。ただ、知り合いのスタイリストさん(プロ)から、
「みずきくんはこの色だよ。プロの私が言うんだから間違いないわよ!」
と、半ば強引に買わされていた。でも、確かにプロ!ステージに立ったときの自然な色合いは、本当にすごいと思えるほどフィットしていた。
だから、一人でドーランを選んで買うのは初めてだった。
その時のことを思い出してみる。何か、同じ色のものを買っているような気がしないでもない。まあいいや。このオバハンはやはり、僕みたいな三流ミュージシャンから歌舞伎俳優まで、今までに色んな人を相手にしてきたのであろう。照明がどれくらい当たるのかを聞いただけで、3種類に絞って僕にチョイスさせたのだ。すごく低姿勢だが、心の中では、
「この似非ミュージシャンが!ぜってー売れねーよ!」
と舌を出して笑っているのかもしれない。それでもいい。少なくとも、似非であれ「ミュージシャン」だと思われていることが、今嬉しいのだ。
今日はこのオバハンを信じよう!
「(オバハン、僕をミュージシャンだと認めてくれてどうもありがとう!オバハンの期待に応えられるよう、最高のライブにするよ!(決意!)」
心の中でそう叫び、パフを選び、レジに向かおうとした。
その時、
「あの、お客様。ドーランの上に塗る『おしろい』などは必要御座いませんか?」
おらっちはどんなアーティストやねん!!
この『おしろい売り』めが!!
「結構ですぅ(怒)!!」
僕は、オバハンと大見得を切る歌舞伎役者の視線を背中に感じながら、そそくさと店を出た・・・。
僕がどんな色のドーランを塗るのかは、当日のお楽しみ(てか、多分自然に見えるはず)。
明日は、送別会という名目の飲み会があるため、更新できないと思います。本当にすみません。
その代わり、とまでは言いませんが、明後日は、超大作の予感が・・・
今度は、備品?パクらないでね。特にタンバリンとかは、必要かもしれないけど。
コメント消去 可
松波たちのもあるらしいが、合流できたら行く感じで・・・。
「お、よゐこ浜口」と思ったら、G仁志。
ライブで使えるタンバリンないかなぁ~?
最初は大人しい人かと思ったんですケド、
違いましたね!
もうすぐ、本番ですね☆
楽しんでイベントやりたいですね!
では、本番の日に会いましょぉ~☆
> miyukiさん
基本的に「大人しい」ですよ、おらっち。割と人見知りする方かも・・・。
> りっこちゃん
CD見つかりましぇーん(哀)。田舎に帰ったときに忘れてきたかなあ?弟に電話して聞いておきます。見つかったら、もちろん貸しますよ!
では、12月4日、新宿HEAD POWERで会いましょう!!