fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

mon amour:

2009-07-30 00:00:00 | musik♪

National Geograpghic が言うには、「地理学とは物語である」らしい。
土地には歴史があり、人が住み着いては人が語り紡ぐ伝承があり…


古くからイスラームとキリスト教が争ってきたイスパニアでは
ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャが遍歴に出るより早く両者の文化が渾然一体となり、
フェリペ2世の建てたアランフエス宮殿にもその影響は見られる。

盲目の音楽家、ホアキン・ロドリーゴは
トルコ系の血を引く生涯の伴侶、ヴィクトリア・カミとこの地を訪れている。

Concerto D´aranjuez - Nicolas De Angelis

ラ・マンチャの郷士アロンソ・キハーナは、
恐らく未だ見えもせず、そして遂にまみえることのないであろうドゥルシネーア・デル・トボーソを
斯く哉とまで正確に想い描き、真に忠誠を尽くした。
このとき彼を衝き動かしたものは、高貴であれ単純にどこぞの何某のロマンスへの羨望だったのか。
 

イノセンス: 攻殻機動隊 Ghost in the Shell - Innocence Trailer

innocence:
  1  無罪,潔白.
  2 a 純潔,純真.
     b 無邪気,天真爛漫
     c 単純,無知.
  3  無害,無毒.
  4  無邪気[純真]な人; お人よし

1492年1月2日、イベリア半島において250年繁栄を続けたイスラム王朝、グラナダ王国は、
フェルナンド3世率いるカスティーリャとアラゴンの連合軍によって滅亡に追い込まれた。

ラ・マンチャの郷士は、とうとう麗しの姫君に一度も逢うことなく崩御なさった。
彼女は1905年、アステロイド・ベルトにて"発見"されることになるまで、
誰の目にもただ幻でしかなかった。



ロドリーゴは、アランフェスを一度も”見る”ことはなかった。
しかし彼はそれを肌と耳と鼻と口を使って感じ、
何より妻が物語を語って聞かせた。
そこには栄華と愛と、それらの滅亡があった。
何もかも幻でしかなく、また何もかもが現実であった。

幻の想い姫、ドゥルシネーア・デル・トボーソを、たしかに彼は見つけたはずなのである…。


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