ポール・ジョンのニューアイテム、“ニルヴァーナ”が入荷しました。ポール・ジョンについて、ご存知ない方もまだ多いと思いますので、まずは、そちらの説明を少し。
ポール・ジョン社は現社長のポール・P・ジョン氏が1992年に創業したインド第4位の総合酒類メーカーで、ウィスキーの他にワインやブランデーなども造っています。創業地はインド南部のカルナータカ州、バンガロールです。シングルモルトを発売するまで、同社の主力商品は「オリジナルチョイス」というモラセス(廃糖蜜)原料の安いウィスキーで、その85%はカルナータカ州のみの販売です。しかし、「世界に通用するウィスキーが造りたい」という社長の強い思いで、2000年代にシングルモルトをつくることを決意。世界中のモルト蒸留所を回って見聞を広めた。当初は本社のあるバンガロールで造り始めたが、2008年に現在のゴアに蒸留所を建て、2009年から本格的にモルトウィスキーの生産を始めた。
ゴアはおポルトガルの旧植民地で、現工場長のマイケル・ド・ソウザ氏の祖先はポルトガル人。ポルトガルのパスポートを持っているため、ヨーロッパやイギリスの蒸留所を見て回ることが可能だったといいますが、「造る以上は世界を唸らせるウィスキーを」というように随所にポール・ジョンならではのこだわりが詰まっています。
まず、第一にスコッチ、やアイリッシュ、ジャパニーズで一般的な二条大麦ではなく、インド産の六条大麦を使っていること。二条に比べて六条はでんぷんの含有量が少なく・アルコール収量が劣ってしまうが、反対にタンパク質の含有量が多いことで、リッチでオイリー、うまみ成分が擬縮されたようなウィスキーになります。
さらに、ピート麦芽をスコットランドから輸入するのではなく、ピートのみをスコットランドから輸入し、それを精麦所に依頼して焚いてもらっています。しかも、そのピートもアイラ島産、東ハイランド産の偉2種類を使い分けています。
マッシュタン、発酵槽、スチルもインド産。蒸留後のニュースピリッツの度数は64%にしかならないので、樽詰めの際にスコッチのように加水せずに済むことがメリットになります。
ゴアは北緯15度の熱帯なので、エンジェルシェアは平均で、年間8%。スコッチに比べてそのスピードは3~4倍。樽材成分の溶出量も多く、熟成は早く、ダイナミックに進行します。
ニルヴァーナは今までのラインナップに比べ、リーズナブルな値段設定のいわばポール・ジョン入門アイテム。熟成年数は4~5年と若いですが、ポール・ジョン独特のクリスピーかつフルーティーさが感じられ、適度なピート香もあいまって、バランスのいい飲みやすい味わいです。おすすめはロックやハイボールです。ぜひお試しください。