goo blog サービス終了のお知らせ 

どんぽのばぶさん61~

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

一時保育室から 子どものあそびと生活の風景 寸描⑦ 「きれいになったかな?」鏡を覗いて

2017-01-23 21:19:14 | 保育ネタ

保育園の1歳児クラスの子どもと2歳児クラスの子どもに該当する子供たちが混在しています。
1~2歳児の縦割り仲間です。 一日当たりの保育室の定員は10名が上限です。曜日によって登園するメンバーが異なります。その分少々ややこしい面もありますが一方極めて面白い保育です。

給食の食べ終わりに麦茶を飲みます。
そして保温してあるおしぼりで自分の口元と手指の汚れを拭き取ります。
1歳児の場合は保育者が行います。
何でも自分でやりたがる2歳児になってくるとこの場面で保育者は直接手を出さずに子どもさん自身に拭き取りを促し傍で見守ります。
そしてきれいに拭けたかどうかを点検し「オーケー」を出します。
子どもさんたちは日々成長しています。
自律度はどんどん習熟していくので、子どもさん自身が自分の脳みそを使って考え判断していけるように環境を整えたいと思いつつ仕事をしてきました。
この保育室には壁に鏡がありませんでした。
鏡が一つあれば次の段階へとステップアップできます。

12月の後半頃に壁に鏡を取り付けました。
食後の後始末(おしぼりで汚れをぬぐう)をした子どもさんに「鏡の中を覗いて見てごらん、きれいに拭けたかなぁ?」
この問いかけへの一人一人のお子さんの反応が様々で面白かったです。
・シャイな子は鏡のところに行きません。あるいは素通り。
・鏡を覗き込んでいるものの何しに行ったか忘れてご機嫌に歌を歌っている子もいます。
・おしゃまさんは鏡を覗き込んで自分の姿が映っていることをうっとりと確認します。
・口元の汚れが拭けているかをピンポイントで点検している子もいます。

壁に鏡を一枚付けたことで、毎回の食事やおやつの後におしぼりを使い手指の汚れと口元や口周辺の拭き上がり加減を自己点検できるようになりました。
当初は形骸化しかかっていたこの手順(子どもさんによっては儀式?)も最近では厳しく自己チェックして「まだよごれてる」と拭き残りや拭き残しを『発見し、拭き直し』をしに自分の食事した場所に戻りもう一度拭き取るこどもさんの姿も出てきました。
こういうところの育ちのプロセスを大事に見守っていってあげたいと思っています。

「百聞は一見に如かず」ということわざがあります。昔『じゃりン子チエちゃん』という漫画で「ひゃくぶんはみたらわかる」というギャグがあってツボにはまってしまった私は呵々大笑した感動が今でもあります。子どもさん方が鏡を覗いてそれぞれ自分の始末のチェックをしているさまざまな様子が実になんともほほえましいのです。

一時保育室から 子どものあそびと生活の風景 寸描⑥ はしゃいじゃおう

2017-01-05 22:20:54 | 保育ネタ

保育園の1歳児クラスの子どもと2歳児クラスの子どもに該当する子供たちが混在しています。
1~2歳児の縦割り仲間です。 
一日当たりの保育室の定員は10名が上限です。
曜日によって登園するメンバーが異なります。
その分少々ややこしい面もありますが一方極めて面白い保育です。
お正月休み明けの数日は、特に登園してくるお子さんが少ない保育室です。

たまたま普段自己主張の強い子の陰で目立ちにくいお子さんが二人(男の子が一人女の子が一人)、お昼寝から起きてきました。
他のお子さんたちはぐっすりとよく寝ています。
目覚めた二人にしてみればいつも通りの午睡の眠りの長さで目覚めたにすぎません。
他のお子さんたちは実にぐっすりとよく寝ています。
起き抜けの二人が穏やかにゆるゆるとあそべるおもちゃを今日も用意します。
とりあえずいつものパターンでデュプロブロックなどで騒がしい音もたてず静かに遊んでいました。
他のお子さんたちはよく寝ています。
こんなチャンスはめったにありませんから私のこころの中で『レッツ・はしゃいじゃおう』のギアスイッチをロウからドライブに入れてちょっとかまってみました。
段ボール製のおうち(パーテーション)を使って、二人をお家の壁で取り巻きました。
お家といっても屋根のないモンゴルのパオみたいな空間です。
壁には○△□の窓があちこちに明けてあります。
空間をすぼめたり広くしたりして不思議の国のアリスのお家もどきで、まず私自身がはしゃいで不思議空間の不思議を演出します。
二人も私の笑い声と不思議オノマトペに共鳴してケラケラ笑い出し、やがてげらげら笑いだし、さらにはげたげたと笑いのマックス域にせりあがってきました。
それなのに他のお子さんたちは二人の大笑いにもかかわらず、ぐっすりと眠りつづけています。
時間的にはもういつでも起き出してきても構わない頃合いです。
『レッツ・はしゃいじゃおう』のギアスイッチをドライブからハイトップに入れて、おうちの壁のほうがぐるぐる回ります。
中の二人は床の上に座っているだけなのですが、周りの壁がぐるぐる回っているのを見ているうちに、まるで自分たち自身がフィギュアスケーターのスピンをしているような錯覚状態になるのでしょう。笑い声のマックスは超マックス。
酔っ払い声のようで、おやおや、よだれまで垂らしちゃって…。
それなのになんとほかのお子さんたちはまだ眠っています。

夕方お母さんがお迎えに来た時に「おもしろかったねぇ」と報告していました。
このはしゃぎあそび体験の印象を大事にしてあげたいと思います。

一時保育室から 子どものあそびと生活の風景 寸描⑤ トイレに座っておしっこ出た

2016-12-29 23:53:39 | 保育ネタ

保育園の1歳児クラスの子どもと2歳児クラスの子どもに該当する子供たちが混在しています。
1~2歳児の縦割り仲間です。 一日当たりの保育室の定員は10名が上限です。曜日によって登園するメンバーが異なります。その分少々ややこしい面もありますが一方極めて面白い保育です。
日によって2歳児(満3歳のお誕生を迎える子迎えた子)と1歳児(満2歳のお誕生を迎える子迎えた子)の人数の比率が変わります。そしてこの2年間の幅の中で、おむつ生活からパンツ生活へと徐々に移行していきます。順調に移行するお子さんもいれば、おむつとパンツの両刀遣いのお子さんもいます。
そうかと思うとかたくなにトイレに行きたがらない(嫌がる)お子さんもたまに一人二人いるものです。今回はこのメンバーに関連してのお話です。
トイレ排泄に誘って嫌がるお子さんにはそれぞれの理由があります。何がどう嫌なのかどこがどう嫌なのかの謎解きをそのお子さんとともにじっくりと考えてみます。
トイレイコール「怖い」とか「やだ」とか感じているお子さんならば何が象徴的に怖いとかやだとか感じさせているのか思い込んでいるのかを探ってみます。広さ、照明の具合、壁などの装飾、便器の大きさ高さ低さ、便座の寒暖、etc。
トイレという空間や環境だけでなく、生理的な条件や体質、人関係の評価(例えば「おもらし」に対しての叱責や大人の表情や態度)

複数の担当職員による関わり、周囲のお友達などの様子、また、職員とほかのお友達とのやり取りの様子などによって『自分の抱えているトイレ事情の気持ちの転換なり意欲の向上を醸し出せたりきっかけを得たりできる』ところが家庭と保育室との違いでしょう。この利点を最大限生かして家庭と連携を深めます。親御さんにしてみれば自宅での様子と園での様子とその両方の姿を『複眼』で我が子理解を深め捉え返せるという利点があります。

4月から週1~2回のペースで通っていたお子さんの中に、トイレを嫌がる、あるいは行きたがらない、あるいは問われればそう「行かない」と宣言する子がいました。そのお子さんとのかかわりを振り返ってみます。
・「嫌なの、そういやなのね」とその気持ちをそのままに受け止め無理強いをしない段階。
・「嫌なの・わかったよ」とあなたの嫌の気持ちの理解者ですよと伝えていく段階。
・「嫌なの、解ったよ、っまいいか、ちょっとだけ座ってみよ」と場所慣れ行為慣れに向けて既成事実の積み上げの段階。お尻で便座に認め印を押してもらう程度の短期滞在型で反応を観察する段階。
   ~季節は巡って冬~
ある日の14:20お昼寝起きに誘ってみました。
「そうだよね、お家のトイレは(便座が)あったかいけど、保育園の(便座)は冷たいんだよね。あのね、冷たい時は『冷たい』って言って座ってごらん」と誘ってみました。
そしたらちっちゃな声で「ちゅめたい」って言いながら便座に座りました。
むむ、どうだろうかな・・・待つこと1~2分。
そしてなんとなんと
かすかな音が『チョロチョロチョロ…』なんとこの子にとって人生最初のトイレ排尿デビューです。他のお子さん方はまだ眠っている最中でしたから私は声と拍手をひそめて「出たねぇ、良かったねぇ。ばんざ~い」私は顔中だけでなく全身笑顔にして絶賛。スマイルに戸惑いつつもお子さんからも笑顔が返ってきました。
おやつも済んで16:09夕方のおトイレに誘ってみました。この時オムツには既に中くらいの量のおしっこが出ていましたが、お昼寝起きの『快挙』を世間話にしながら再び便座に座らせました。50秒ぐらいして排尿成功。しかも今回は、「意識して絞り出しての排尿」だったのです。2回もとなると排尿の意味世界が違ってきます。私は感動して涙がちょちょぎれました。63歳は涙腺が緩くなっているのです。お迎えに来たお母さんにビッグ・ニュースの詳細を報告しました。
いつもよりだいぶ遅くの退勤でした。なんと駅の階段で勤め帰りのお父さんにばったりと出くわしました。既にママさんから携帯で報告を聴いていたとのことでしたが敢えて、ちょっとお時間をいただいて今日の快挙の詳細を再度報告しました。お父さんの目にもうっすら光るものがあったような…。
今日の一件が「小さな自信」となってさらにどんどん自信が増幅していってもらえたらとお正月明けに再会するのがとても楽しみです。

トイレの件はトイレ排泄だけに限定して捉えていたのでは問題の克服には結び付きません。そのお子さんのあそびの様子、食事の食べっぷり、午睡の様子、対人関係での緊張やはしゃぎ加減などなど総合的に把握理解をしていって、そのうえでの排泄の自律の関門なのです。

一時保育室から 子どものあそびと生活の風景 寸描③

2016-11-30 03:39:26 | 保育ネタ


保育園の1歳児クラスの子どもと2歳児クラスの子どもに該当する子供たちが混在しています。
1~2歳児の縦割り仲間です。 一日当たりの保育室の定員は10名が上限です。 

今回は端的に言いますと「排泄の自律」のお話です。
日中の大半を「オムツ」で過ごしていた子供さんが、やがて「パンツ」での生活へと替わっていきます。おむつからパンツへの過渡的な日々、それはささやかですが実にドラマに満ちた日々です。排泄の自律を獲得していくお子さんたちにじっくり付き合っていくと、精神面での自律も併せ持って読み取っていけます。
いろいろなお子さんがいます。個々の生理的な条件や、その日の気分や体調や何やかやが絡んで来ますから、たいていの場合「オムツからパンツへの移行」はそうそう簡単には移行はしません。
遊びに夢中になっていて「おもらし」する場合や、トイレに行こうとしていたのにその手前で間に合わずに漏れちゃう場合もあります。
けれどもたとえおもらししちゃってもそれを「失敗」というスケールで見ないように心がけています。
もれちゃった場合は『失敗という評価や叱責』を持ち込まずに、その事実は事実として等身大のありのままを共有します。それ以上でもそれ以下でもないありのままの受け止めが大事です。
次への励みや希望や憧れとなるような対応を大切にしています。ドンマイ、ドンマイ。

肝心なのは「尿意」を感じ取れること、尿意を感じつつも漏らさないよう自分の身体を調整できるようになることです。その時の『自分の身体のありようを感じ取れ調整できること』が何よりもそのお子さんの自負という心映えの礎の一つになっていくのです。子どもさんの生活とあそびの丸ごと全体の処で付き合っていくとそのささやかな変化や波及効果の過程を感じ取れるものです。

「排泄の自律の獲得」はそのお子さんとそのお子さんに付き合う大人とが『信頼』をベースに二人三脚で取り組んでいく素敵なドラマなのです。
「漏れちゃったね、そんじゃあ 新しいパンツととっかえようか こん次はどうかな」

排泄の自律の過程につき合えることの喜びは保育という仕事を通じて味わえる醍醐味の一つです。

60年後に思いを馳せつつ

2016-10-05 23:20:36 | 保育ネタ
保育園の中にある一時保育室です。
曜日ごとに毎日登園してくる子の顔触れが変わります。満2歳になる子から満3歳になる子たちが一日最大10名定員の保育室です。実にいろいろなお子さん方がいます。

私は先月63歳になりました。
私が日々付き合っている子どもたちの60年後に思いを馳せながら保育の仕事をしています。
目の前の彼らの殆どは今から60年後もきっと生き続けて社会の中で活躍しているでしょう。
今から60年後の私は間違いなく生きてはいません。だからどんな命のバトンを彼らに手渡せるのかと日々自問自答しつつ仕事しています。

これから先の60年後の日本はどのような状況でしょう?
原子力発電所の事故現場ではその事故処理が果たしてどこまで進展していることでしょう。
原発からでる『核のゴミ処理』はどこまで技術が進んでいるでしょう?

原発事故現場では今よりもはるかに高度な能力を発揮するロボットが沢山働いているでしょう。

そのロボットたちを設計できる学者、その図面通りに寸分たがわずに加工&組み上げられる職人 (技術者)、組み上がったロボットをあたかも自分の身体の一部のように操作しきれるオペレ-ター、事故現場で予測を超えた緊急事態が発生したときに冷静沈着に現場全体を俯瞰して的確な指示を次々と出せる統括者や統括チーム。
現場で働く作業者に美味しいお昼ご飯を提供できる料理人、できた美味しいお食事を笑顔で配膳して『疲れた身体を癒し元気回復を提供』できるスタッフ。
ありとあらゆる人材が必要です。社会全体が大きなネットワークとなって問題解決に取り組んでいるでしょう。
そのありとあらゆる分野の人材になるかもしれない可能性をもったひとたちの乳幼児期の感性の根っこのところを日々の保育を通じてせっせと耕している…そんな保育を展開できる自分でありたいと思うのです。
と同時に同じ思いで東日本大震災後の復興支援をこれからもできる限り長く続けていきます。