行介(コースケ)はいつもの停留所でおりた。おりるとき、帽子に手をやらなくてはならないほど、風が強かった。
彼は赤っ茶けた風に押されて、歩いて行った。ときどき、紙くずや、こっぱなぞが、トンボがえりをしながら、彼のズボンのあいだをすりぬけて、ころがって行った。
行介はオーバーのえりを立てていたけれども、それでも、カラーの下まで、つめたい空気が流れこんできた。そのうえ、どうかすると、クギでも投げつけられるように、おゝ粒の砂がパラパラと、波のえり首に落ちてきた。
彼は、横丁に はいったら、いくらか風がよけられるだろう、と思った。急いで、うちのほうへ曲がる最初の横丁も曲った。
彼は赤っ茶けた風に押されて、歩いて行った。ときどき、紙くずや、こっぱなぞが、トンボがえりをしながら、彼のズボンのあいだをすりぬけて、ころがって行った。
行介はオーバーのえりを立てていたけれども、それでも、カラーの下まで、つめたい空気が流れこんできた。そのうえ、どうかすると、クギでも投げつけられるように、おゝ粒の砂がパラパラと、波のえり首に落ちてきた。
彼は、横丁に はいったら、いくらか風がよけられるだろう、と思った。急いで、うちのほうへ曲がる最初の横丁も曲った。