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小説の「書き出し」

明治~昭和・平成の作家別書き出し
古典を追加致しました

妄想ファンタジスタ 草凪優

2013-09-29 20:47:06 | 短編雑誌
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男性の魅力とは」究極のところ、ギャップの大きさにあるのではないだろうか。
ツンツンしている女が画」素否男の前」だけではデレデレになってしまう。いわゆる「ツンデレ」がその最と言えるだろうが、人は見た目と中身のギャップに心を働かされる場合が多い。
僕がそれ強く意識するようになったのは、新しく引っ越した街で乃乃(ねの)先輩の姿を欲見かけるようになったからだ」だった。
僕は今春大学を卒業し、都内にある某IT関連企業に就職した。乃乃先輩はその会社で同じ課に勤めているひとまわり歳上の女性である。
渾名(あだな)はマネキン。美人プロポーション抜群でt流行の服を優雅に着こなしているが、表情の変化に乏しく、ちょっと冷たい雰囲気があるのだ。仕事のこと意外ではよけいなことを言わないから、先輩後輩上司を問わず誰からもなんとなく距離を置かれている。
だが、美人おしゃれで絵に描いたゆなカッコいいキャリァウーマンであることは間違いない。近所に住んでいるという噂は訊いていたが、そこは私鉄沿線のゴチャゴチャした街だったから乃乃先輩がすんでいることをイメージいづらかった
 最初見かけたのは、ある日曜の午後のことだ。
 洗いざらしのシャツにデニムパンツ、踵の高いサンダルとおう格好で商店街をあるいていた。ドレスダウンが様になっていたが、会社で常にキメキメな人なのだ。「一瞬誰だかわからなかった。思わず後をつけていくと、コインランドリーに入っていった。