鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

「大摑源氏物語 まろ、ん?」を読む。

2010-12-22 23:07:44 | 書籍
 

本日は鮎川の通う高校の二学期終業式でした。その後文芸部での作品発表に参加した後、ブックオフに立ち寄りました。
そこで購入した本のうち、一冊が写真のこれ。「大摑源氏物語 まろ、ん?」です。作者は「ブッタとシッタカブッタ」で有名な小泉吉宏氏。
実はこれ、私が二年の時に当時の古文担当の先生が、「源氏」の「桐壺」を授業でやったときに参考資料としてプリントにして配ってくれた本なんですね。見つけたときは「おっ、これは」と思いまして即購入。
内容としては「源氏」の五十四帖を各巻見開き8コマの漫画にしてダイジェストで紹介するという形式です。
その他、補足事項としての注釈、人物紹介、人物関係図、漫画に入りきらなかったエピソードの紹介など。ちょっと面白いのは「ブッタとシッタカブッタ」の作者らしくところどころに妙に教訓めいた文章が載せられていること。
例えば第二巻「輝日宮」では「初恋は、自分も周りも見えなくなることが多い。」という文章が。これは光源氏(この作中では「まろ」)が、父帝の後添いである藤壺女御にのぼせ上がって手を出してしまった事に対するコメントとなっています。ちなみにこの頃の光源氏の年齢は13歳から16歳、つまり大体中学生程度。
ま、元々当時は十二歳ぐらいで元服(=成人)でしたからアレですが、まあこの位の年頃になると一通りの事はやれる訳でして。色々な意味で(笑)。

一般的に光源氏はやれロリコンだのマザコンだのバイだのと結構散々なことを言われています。
あ、光源氏=バイ疑惑というのはですね。第四巻「空蝉」の中に、この巻のヒロイン?である空蝉の弟である「小君」に対して「いとらうたしと思す。手さぐりの、細く小さきほど…この子は、いといとほしくさうざうしと思ふ」という文章があるわけなんですが、この部分に関して、国文学者の田中貴子氏が「80%、ヤっていると解していい」(「セクシィ古文!」メディアファクトリー刊より)と言っているんです。
閑話休題。これまでそんな風評被害とも言うべき評判を受けてきた光源氏ですが、この本を読めばそんな噂がことごとく嘘だと…言えないwww
いやだって、既に二巻目の段階で藤壺との不義密通ですよ? 第三巻「帚木」の雨夜の品定めのシーンで藤壺を理想の女性と再認識ですよ? んでもって第五巻の「若紫」で理想の女性に育てるために幼女誘拐(マテ
さすがにその時点では手を出していないにしろ、第九巻の「葵」で新枕(=初夜)。その後いろいろあって明石・須磨へ行っていた源氏が十三巻「明石」で紫と再会した時のコマに「二年半ぶりに会った紫は美しく成人していた」とあるので「じゃあ新枕当時の紫はまだ未成年かよ?」とか邪推をせざるを得ないとか、ほかにも色々と庇えない言動が多々ありますな。極めつけは第八巻「花宴」の四コマ目の台詞。

「お静かに わたしは何をしても許されている身です」

何だとこの野郎www
いやー、教科書会社は是非こういうアホな部分を採用するべきですよ。絶対その方が学生は食いつくから。