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2009-11-02 | 世の中のこと
ホンダ社長 伊東孝紳インタビュー「時代は変わった!トータルな価値を高めないとクルマは売れない」
2009年10月16日 DIAMOND ON LINE

「電動化」という大転換期を迎えた自動車産業。世界に名立たる自動車メーカーのなかで独特の企業文化を育んできたホンダが目指すものは何か。今年6月に就任した伊東孝紳社長に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」前編集長 鎌塚正良、写真撮影/住友一俊)


いとう・たかのぶ/1953年生まれ、56歳。1978年ホンダ入社。1979年本田技術研究所に配属後、ボディ設計を中心に四輪車の開発を担当。1997年同取締役に就任。2000年ホンダ取締役に就任。愛車はフィット、インサイト、XRバハ。趣味は旅行とツーリング。社内の愛称はコウシンさん。

─ホンダの社長の椅子には、代々エンジン開発出身者が座ってきましたが、伊東社長はボディ設計の出身です。不文律が破られた。社長に求められる条件が変わったのでしょうか。

 エンジンが技術者の憧れ、エンジンがクルマの性能を決めていた時代は確かにあったと思います。けれどクルマには今、ただ速いだけでなく居住性や燃費のよさといったトータルの性能や商品価値が求められています。総合的な技術を磨いて、ホンダブランドの確固たる地位を築いていくことが私の使命だと考えています。

─本田技術研究所の社長も兼務することになりました。

 (当時の福井威夫社長に)兼任させてほしいと頼みました。ホンダ本体と研究所のつながりがより密接にならないと、この時代を乗り切っていけないからです。

─狙いは迅速な意思決定を行なうことですか。

 意思決定よりも、次の時代に対する考え方を本社と研究所が共有するためです。それも5年先ではなく、10年、20年先の考え方の共有が非常に重要なんです。

─本体と開発部門がちぐはぐだったわけですか。

 近年は地域経営を強化していました。お客様は地域にいらっしゃるわけですから、地域に貢献する商品をその地域で生産し、そして地域で販売する。

これは間違いなく未来永劫に正しいことだと思いますが、一方で各地域の注文を研究所が全部聞いて開発を進めるやり方を放っておくと、ただ忙しいだけで、一つひとつの商品が薄っぺらなものになってしまいかねません。その商品の先進性だとか、トータルのホンダブランドの強さや経営効率も損なわれていきそうだという気配を前々から感じていました。
 そのようなときにリーマンショックが発生し、世界経済が急変した。全体を束ねる意思を強めて実行に移さないと生き残れないぞ。そのように考えたわけです。
─そういうなかで、ハイブリッド(HV)車インサイトが発売されヒットしています。200万円を切る衝撃的な価格設定でした。
 インサイトは福井前社長の指揮で企画段階から普及型低価格車を目指していました。
 以前は「これだけ燃費効果を出すためにはこれだけのシステムコストがかかって、そうすると売価がこうなって……」という積み上げ型の開発でしたが、インサイトは「これぐらいの性能の向上に対して、これぐらいの金額はお客様も出してくれるのでは」という議論をしてから開発を始めました。
 もともとホンダのHVシステムは電池やモーターがコンパクト。いかにシンプルに効果を出すかというわれわれのポリシーが凝縮されたクルマがインサイトで、ちょうどこの時代にマッチしたというわけです。
今後20年でクルマは
すべてHV車になる

─今後はHV車を収益の柱に育てていくわけですね。
 そうはいうものの、そんなに甘い商売ではないんです。やはりガソリン車に比べて特殊なぶん、コストもかかります。電池も進化させなければいけない。
 ただ世界の潮流として、エコカーの中心がHV車になるのは間違いない。2030年ぐらいまでには、世界のクルマのほとんどがHV車に置き換わると思います。だから、ラインナップを増やし量産してコストを下げていきます。
 HV車の基本概念は、走行中、減速時に発生したエネルギーを次の走行のために使うということ。これまでは捨てる一方だったエネルギーを拾って戻すというのは、自動車技術において、革命的な変化なんです。
─環境規制もさらに強まりそうですね。
 今後はどのクルマも、大なり小なりHVシステムを搭載することになるでしょう。
 たとえばアイドリングストップシステムという技術があります。これは走行中に、ないしは制動中にバッテリーに電気を蓄えるシステムですが、といっても走行に寄与するというよりは、アイドリング中に捨てているエネルギーをセーブするように使っているわけです。捨てるエネルギーをセーブするシステムこそ、いちばんシンプルなHVだと私は思います。

 それから、販売車両のうち一定割合を無公害車にしなければならない米カリフォルニアのように特に規制の厳しい地域には、ホンダはかねて燃料電池車FCXクラリティを用意していますが、水素インフラ整備やコストダウンがまだ追いついていません。
 電気自動車の世界的な普及に関してはまだまだ課題は多いと思いますが、カリフォルニアでは企業経営上必要に迫られているので、電気自動車での対応を考えています。地域によって求められる基準に対して、一生懸命に技術を用意しているところです。
─ホンダという会社は、独創性や先進性を核としたモノづくりの企業風土が特徴的です。伊東社長自身はどのような研究・開発に従事してきたのですか。
 大学時代は航空機の風洞研究が専門で、航空機開発がやりたくてホンダに入社しました。でも配属されたのは初代シティの開発現場。初期段階のデザインを空力学上から決めて、粘土を盛ったり測定したり。チームでの共同作業がおもしろくなって、自ら希望して泊まり込むほど熱中しましたね。
 次に(小型車の)初代CR‐Xの事前プロジェクトだった超低燃費車用オールプラスチックボディの研究、続いてスポーツカーのプロジェクトに参加しました。そこではオールアルミボディの提案をしたんです。そうして生まれたのが(高級スポーツカーの)NSX。とにかく現場ではいろいろとやりたいことをやらせてもらいました。
─NSXは発売当時、斬新でとても話題になりました。
 じつは役員会では当初、大反対されました。そもそも経営陣は米国でヒットしていた日産・フェアレディZに毛が生えたくらいのクルマを求めていたわけです。
 オールアルミボディなんていったら材料も溶接機も塗装システムも新しく開発して、工場だって建てないといけない。商売が成り立たないといって、特に営業系のトップからは猛烈に反対された。
─よく販売にこぎ着けましたね。
 研究所と本部営業系の最終会議でなぜこのスポーツカーにアルミが必要か、これでいかにすばらしいスポーツカーができるか、事業はこうすれば見通せると営業側を説き伏せたんです。
─NSXは自社で作りたいもの、作りやすいものを市場に投入する典型的なプロダクトアウトのクルマですね。
 結局、モノづくりは強い情熱と意志を持って進めるところがないと技術は進化しないんです。反対していた営業系の人間も「10年に一回くらいは明日の技術を象徴するような商品が必要だよね」と最後は納得してくれたのをよく憶えています。

 ホンダには技術系だけでなく営業系にも、そうやって新しいものにチャレンジしなくてはいけないという気風が流れているなと感じました。
「買う喜び 売る喜び 創る喜び」

─しかしながら、経済情勢が不透明な時代はプロダクトアウトではなく、市場のニーズを汲み取ってモノを作るマーケットインに重心を置いたほうがリスクが小さくてすむのでは。
 難しいけれど、両立させたい。まずはプロダクトアウトの精神は強く持ち続けなければいけません。でもその背景には常に、クルマに乗るお客様がいる。潜在的ニーズや社会の要請に対して、一歩先に応える独創性や先進性を持ち続けるということがホンダらしさにつながるんです。
─F1レースから撤退後、HV車開発に配置転換した技術者にもそのような動機づけをしているのですか。
 むしろ彼らをF1より厳しい状況に追い込んでいるつもりです。ホンダがどれだけ先進性を発揮できているか、どれだけ世界中のお客様に対して喜びを伝えられているか、やらなければならないことはいっぱいあります。
 本田宗一郎の「なにかおもしろいことをして人を喜ばせてやるぞ」という原点は脈々と受け継がれていると思います。「買う喜び、売る喜び、創る喜び」の三つの喜びは究極の基本理念で、変わっていません。
─今期は同業他社が軒並み赤字に転落しそうですが、ホンダは二輪事業が収益を下支えしています。
 二輪はホンダの原点。現在、普及型のカブおよびスクーターと趣味のスポーツモデルの二極化に直面しているわけですが、クルマも行き着く先は普及型の道具と趣味の領域の二極化でしょう。
─ロボットやジェット事業は計画どおり進んでいますか。
 ジェットは2011年末に米国で引き渡しをします。ほとんど一人の作品なんです。そこがおもしろい。強烈な一人のリーダーがいないと飛行機はできない。
─クルマづくりとはだいぶ違うのですか。
 クルマも同じなんです。並のクルマは集団指導体制で作る。売れるクルマはリーダーがいてできる。だからたとえば初代オデッセイと初代フィットは開発者の個人名が特定できます。「誰々のクルマだ」というふうにね。
─多少周りから反対されても押し通すぐらいでないと、ヒット商品はできないのですね。
 人間性、考え方、思想が表れた商品がいちばんいい。それを潜在的に望まれていたお客様と波長が合ってウケるんです。マニュアルに従って作った商品というのは人の心は打たないです。
─開催が近づいている東京モーターショーで披露されるスポーツタイプのHV車CR‐Zにも情熱が詰まっていますか。
 あれは2~3回企画がつぶれた人間が担当しているから、彼の最後の怨念がこもっています(笑)。HV車とスポーツカーマインドを満たすバランスが絶妙。期待してください。
<聞き手独白/「週刊ダイヤモンド」前編集長 鎌塚正良>
 環境対応車の開発競争は100年に1度の自動車革命といっていいでしょう。その戦略商品をいち早く市場に投入したホンダには、競合他社に一歩も二歩も先んじてユーザーを喜ばせたいという創業者のDNAが連綿と受け継がれています。ユーザーの潜在的欲求をつかむことに長けているホンダがこれからの100年を生き残るカギも、したがって、いかにしてマーケットに迎合しないヒット商品を作り続けられるか、が握っています。ホンダという特異な企業のトップは、常にこの難しい宿題と格闘しなければなりません
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ポルシェ博士でしたか。

「最後に残る自動車はスポーツカーだ」

って言ったの。

スポーツカー受難の時代だからこそ、出さなきゃいけないコトもある。

アウディR8なんかはえらいですよ。

見識を感じる。

トヨタも頑張ってるようですし。

ホンダも是非。

本当はCR-Xの現代版じゃなくてビートの現代版が欲しかったですよね。

荷物も積めないコンパクトなミドシップ2シーター。

今度は軽自動車より大きくて良いでしょ?

1.3リッターのハイブリッドで。

案外ヒットするかも。


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