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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

八重のムクゲとタイタンビカス - アオイ科

2022-07-17 06:00:02 | みんなの花図鑑
ムクゲ

ムクゲの学名は Hibiscus syriacus
属名 Hibiscus ヒビスクスは 古代ギリシャでフヨウを意味する「ハイビスカスの」に由来し、
種小名 syriacus シリアクスは「シリアの」という意味ですが、原産は中国。
では なぜ「シリアの」なのか?




ムクゲの古い学名は Althaea frutex で 「低木のタチアオイ」とされていました。
タチアオイは 12世紀ごろに十字軍によってシリアから運ばれてきたと伝えられています。
当時シリアの一地域だったエルサレムから持ち帰ったのが タチアオイのヨーロッパでの始まりで、この逸話がムクゲの新学名のほうに引き継がれて Hibiscus syriacus となったということらしいです。
あるいはもっと単純に、シリアで採取された標本を基にリンネが名前を付けたため、「シリアの」が種小名に使われたとも説明されてるようです。



ところでこのムクゲですが、本来花弁は5枚なのに、花弁が重なってもっとたくさんあります。




5枚を超える内側の花弁は 雄しべが花弁化したものです。




ムクゲの雄しべ(というか、アオイ科の雄しべ)はみな合着して中空の筒になっています。
雄しべ筒の中から突き出て4つに分かれてアンテナのような柱頭を展開しているのがめしべです。




八重化が進むとこの雌しべまでも花弁に変わってしまうそうです。
この花は雄しべ筒も雌しべもまだ残っていますから、半八重といった状態でしょうか?





ムクゲ

別の場所で出会った紫のムクゲです。
やはり雄しべが花弁化しています。




でも、雌しべまでも花弁化はしていないようです。




他の花から虫が花粉を運んだら受粉するのでしょうか?




上の白のムクゲと同じで、雄しべの先の葯もまだいくらか残っています。
私は 完全に雄しべ筒と雌しべの無くなったムクゲの花をまだ見たことがありません。






タイタンビカス

安城デンパークのタイタンビカスです。
タイタンビカスは三重県津市の赤塚植物園がモミジアオイとアメリカフヨウを交配して作った品種です。
なので 花はアメリカフヨウにそっくりなのに、葉はモミジアオイのように切れ込みがあります。




シベは 雄しべ筒とその中を貫通してきた雌しべのセットです。








アメリカフヨウやタイタンビカスの雄しべや雌しべはみな 上を向いているのが特徴です。




さらに寄って、雄しべ筒の中から雌しべの花柱が出て来る境目を観察(図の矢印)しています。全部白色なので分かりにくかったですね。


〔参考〕
アメリカフヨウ









モミジアオイ












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