以下は、2020年のこの季節に「日本にセイヨウヒイラギはあるのか」と題し問題提起したスレッドの2023年版です。
この時期になると 園芸コーナーにクリスマスの飾りつけ用として 葉っぱがトゲトゲで赤い実の木が並べられるようになります。クリスマスホーリー(ホリー Holly というのはモチノキ科のことです)として売られている木には 3種類あって、ヨーロッパでは セイヨウヒイラギ、アメリカでは アメリカヒイラギ、そして日本では シナヒイラギが使われることが多いのです。日本在来のヒイラギも葉っぱはトゲトゲなのですが、赤い実はなりません。
これらの3種のモチノキ(ホーリー)は 葉の形で区別することができ、それがいちばん分かりやすい区別法です。
(上の図は 荒木武夫氏:葉と枝による樹木検索図鑑「ヒイラギ ・セイヨウヒイラギ・ アメリカヒイラギ・ シナヒイラギ 」より引用させていただきました。記して感謝申し上げます。)
いちばん左の ヒイラギだけは モクセイ科、その他の3種は モチノキ科です。
このように 葉を比べてみると、それぞれちがいがあり、(アメリカヒイラギとセイヨウヒイラギは 多少似たところがありますが)とくに シナヒイラギの四角張った葉と葉の先端中央についている大きな棘は他と違い 間違いようがありません。
モチノキ科の3種は 原産地を名前にして セイヨウヒイラギ、アメリカヒイラギ、シナヒイラギとなっています。(名前が ヒイラギで終わっていますが ヒイラギモチを省略してヒイラギと呼んでいると思ってください)
また セイヨウヒイラギは クリスマス・ホーリー、 アメリカヒイラギは アメリカンホーリー、シナヒイラギは チャイニーズホーリーとも呼ばれます。ホーリーHolly というのはモチノキ科 (Ilex) のことです。Holy(聖なる)とは関係ありません。
先ほども触れたように、3種の ホーリーのうち、日本では 圧倒的に シナヒイラギ(モチ)が多いです。
2か所の施設でそれを確認します。
最初の3枚は 京都府立植物園の シナヒイラギ(チャイニーズホーリー) です。最近の撮影です。
シナヒイラギは ウィキにもある通り「ヤバネヒイラギモチ」の名前のほうが正式のようで、ここの樹名板もその名が書いてあります。
とげとげの葉っぱと赤い実が可愛いので、この時期になると クリスマスの飾りつけ用に園芸店に出回ります。
とげとげの葉っぱは ヒイラギの葉に似ているので、ヒイラギの仲間と思われがちですが、ヒイラギは キンモクセイなどと同じモクセイ科であるのに対し、今日の主題である クリスマスホーリーと呼ばれる木は 赤い実の付くモチノキ科で 黒い実の生るモクセイ科とは全く別の種類の木です。
つぎは 安城デンパークのシナヒイラギ(チャイニーズホーリー、ヤバネヒイラギモチ)です。
ヤバネヒイラギモチの名は 葉が弓矢のやばねのような形をしているからですが、学名も Ilex cornuta で 種小名の cornuta は 四角張っている、角が尖っているの意で、四角張った葉に最大の特徴をもつモチノキの仲間です。
(トゲトゲは ヒイラギの棘と付き方が違うので、ヒイラギモチという呼称は 個人的にはあまり好きではありません)
シナヒイラギ(チャイニーズホーリー)の名の通り、原産地は 中国です。
クリスマスの飾りとして流通するときは (日本の)クリスマス・ホーリーとして売られていますが、この「ホーリー」というのは 赤い実をつけるモチノキのことを指し、本来のクリスマスホーリーは 「セイヨウヒイラギ」というモチノキを意味していました。
ところが 日本(を含め 東洋)には セイヨウヒイラギというモチノキ(ホーリー)は自生してなく、その代わりとして 同じモチノキ科(ホーリー)で葉にトゲがある このヤバネヒイラギモチをクリスマスの飾りつけに使うようになりました。
同じことが アメリカでも起きました。アメリカにも セイヨウヒイラギ(モチ)はなく、代わりに アメリカヒイラギというよく似たモチノキがあったので これをクリスマスの飾りつけに使うようになりました。
安城デンパークにあるヤバネヒイラギモチの 解説板です。
このように、シナヒイラギ(チャイニーズホーリー、ヤバネヒイラギモチ)は日本にいればよく出会います。
その次に (たま~に)見るのは アメリカヒイラギ(モチ)のほうです。
これは 安城デンパークに植わっている アメリカヒイラギ(モチ)です。園芸品種で、品種名を「サニー・フォスター」と言います。
アメリカヒイラギ(モチ)の葉のほうが いくぶんヒイラギに近いです。
これは アメリカヒイラギの花です(2019-5-22撮影)。
ですが、シナヒイラギもセイヨウヒイラギも、花では見分けがつかないほどそっくりです。
3つのホーリーのうち 残るセイヨウヒイラギですが、実は、私は 実物を見た記憶がありません。
そこで、ネットを検索したのですが、セイヨウヒイラギの画像になかなか 出会えません。
唯一、これは正しくセイヨウヒイラギという画像は ウィキペディアのこの画像だけでした。
あとは、皆、偽物でした(ToT)
以下に、ネットにまだ彷徨う名前間違いの画像 をお見せします。2020年よりは少なくなったように見えますが、無頓着な記事がまだまだ存在していました !(^^)!
9サイトより10個の画像を「Doubt」印を押してアップします。
赤い実がなるのはモチノキ科に共通です(ただしイヌツゲを除く)
歳を取ると棘がなくなるのもヒイラギモチの仲間に共通した特徴です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギの実ではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)の果実です。
(庭木図鑑 植木ペディア「セイヨウヒイラギ」より)
なお、そこの画像で「若葉」とか「セイヨウヒイラギの葉」としているものも そうではなくアメリカヒイラギではと感じます(やや自信なし)
アメリカンホーリーではなくチャイニーズホリーです。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
クリスマスホーリーのひとつですが西洋ヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギの写真ではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)の写真です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
なお、2020年の記事では「日本に本当のセイヨウヒイラギは無いのではないか」という結論でしたが、最近 その記事を見てユーレタイドさんという方が
「アブリルさんが紹介して下さっているように、本物の西洋ヒイラギは見つかりません。
それでも近い物を庭に植えたくて、探して探して…、やっと見つけたのがブループリンセスという黒葉西洋ヒイラギでした。
葉の形が、本来の西洋ヒイラギによく似ています。」
とコメントくださいました。
Ilex meserveae Blue Prince
とか
Ilex x meserveae 'Blue Princess' (Blue Holly)
などで画像検索してみてください。
出て来る画像を見ると確かにセイヨウヒイラギ(モチ)の園芸品種のようですね
〔追記〕
これを書いてから、西尾市憩の農園にいったのですが・・・
名札の下に置いてある実物はヤバネヒイラギモチです。
3年前と何ら変わってませんでした。
がっかりです。
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この時期になると 園芸コーナーにクリスマスの飾りつけ用として 葉っぱがトゲトゲで赤い実の木が並べられるようになります。クリスマスホーリー(ホリー Holly というのはモチノキ科のことです)として売られている木には 3種類あって、ヨーロッパでは セイヨウヒイラギ、アメリカでは アメリカヒイラギ、そして日本では シナヒイラギが使われることが多いのです。日本在来のヒイラギも葉っぱはトゲトゲなのですが、赤い実はなりません。
これらの3種のモチノキ(ホーリー)は 葉の形で区別することができ、それがいちばん分かりやすい区別法です。
(上の図は 荒木武夫氏:葉と枝による樹木検索図鑑「ヒイラギ ・セイヨウヒイラギ・ アメリカヒイラギ・ シナヒイラギ 」より引用させていただきました。記して感謝申し上げます。)
いちばん左の ヒイラギだけは モクセイ科、その他の3種は モチノキ科です。
このように 葉を比べてみると、それぞれちがいがあり、(アメリカヒイラギとセイヨウヒイラギは 多少似たところがありますが)とくに シナヒイラギの四角張った葉と葉の先端中央についている大きな棘は他と違い 間違いようがありません。
モチノキ科の3種は 原産地を名前にして セイヨウヒイラギ、アメリカヒイラギ、シナヒイラギとなっています。(名前が ヒイラギで終わっていますが ヒイラギモチを省略してヒイラギと呼んでいると思ってください)
また セイヨウヒイラギは クリスマス・ホーリー、 アメリカヒイラギは アメリカンホーリー、シナヒイラギは チャイニーズホーリーとも呼ばれます。ホーリーHolly というのはモチノキ科 (Ilex) のことです。Holy(聖なる)とは関係ありません。
先ほども触れたように、3種の ホーリーのうち、日本では 圧倒的に シナヒイラギ(モチ)が多いです。
2か所の施設でそれを確認します。
最初の3枚は 京都府立植物園の シナヒイラギ(チャイニーズホーリー) です。最近の撮影です。
シナヒイラギは ウィキにもある通り「ヤバネヒイラギモチ」の名前のほうが正式のようで、ここの樹名板もその名が書いてあります。
とげとげの葉っぱと赤い実が可愛いので、この時期になると クリスマスの飾りつけ用に園芸店に出回ります。
とげとげの葉っぱは ヒイラギの葉に似ているので、ヒイラギの仲間と思われがちですが、ヒイラギは キンモクセイなどと同じモクセイ科であるのに対し、今日の主題である クリスマスホーリーと呼ばれる木は 赤い実の付くモチノキ科で 黒い実の生るモクセイ科とは全く別の種類の木です。
つぎは 安城デンパークのシナヒイラギ(チャイニーズホーリー、ヤバネヒイラギモチ)です。
ヤバネヒイラギモチの名は 葉が弓矢のやばねのような形をしているからですが、学名も Ilex cornuta で 種小名の cornuta は 四角張っている、角が尖っているの意で、四角張った葉に最大の特徴をもつモチノキの仲間です。
(トゲトゲは ヒイラギの棘と付き方が違うので、ヒイラギモチという呼称は 個人的にはあまり好きではありません)
シナヒイラギ(チャイニーズホーリー)の名の通り、原産地は 中国です。
クリスマスの飾りとして流通するときは (日本の)クリスマス・ホーリーとして売られていますが、この「ホーリー」というのは 赤い実をつけるモチノキのことを指し、本来のクリスマスホーリーは 「セイヨウヒイラギ」というモチノキを意味していました。
ところが 日本(を含め 東洋)には セイヨウヒイラギというモチノキ(ホーリー)は自生してなく、その代わりとして 同じモチノキ科(ホーリー)で葉にトゲがある このヤバネヒイラギモチをクリスマスの飾りつけに使うようになりました。
同じことが アメリカでも起きました。アメリカにも セイヨウヒイラギ(モチ)はなく、代わりに アメリカヒイラギというよく似たモチノキがあったので これをクリスマスの飾りつけに使うようになりました。
安城デンパークにあるヤバネヒイラギモチの 解説板です。
このように、シナヒイラギ(チャイニーズホーリー、ヤバネヒイラギモチ)は日本にいればよく出会います。
その次に (たま~に)見るのは アメリカヒイラギ(モチ)のほうです。
これは 安城デンパークに植わっている アメリカヒイラギ(モチ)です。園芸品種で、品種名を「サニー・フォスター」と言います。
アメリカヒイラギ(モチ)の葉のほうが いくぶんヒイラギに近いです。
これは アメリカヒイラギの花です(2019-5-22撮影)。
ですが、シナヒイラギもセイヨウヒイラギも、花では見分けがつかないほどそっくりです。
3つのホーリーのうち 残るセイヨウヒイラギですが、実は、私は 実物を見た記憶がありません。
そこで、ネットを検索したのですが、セイヨウヒイラギの画像になかなか 出会えません。
唯一、これは正しくセイヨウヒイラギという画像は ウィキペディアのこの画像だけでした。
あとは、皆、偽物でした(ToT)
以下に、ネットにまだ彷徨う名前間違いの画像 をお見せします。2020年よりは少なくなったように見えますが、無頓着な記事がまだまだ存在していました !(^^)!
9サイトより10個の画像を「Doubt」印を押してアップします。
赤い実がなるのはモチノキ科に共通です(ただしイヌツゲを除く)
歳を取ると棘がなくなるのもヒイラギモチの仲間に共通した特徴です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギの実ではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)の果実です。
(庭木図鑑 植木ペディア「セイヨウヒイラギ」より)
なお、そこの画像で「若葉」とか「セイヨウヒイラギの葉」としているものも そうではなくアメリカヒイラギではと感じます(やや自信なし)
アメリカンホーリーではなくチャイニーズホリーです。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
クリスマスホーリーのひとつですが西洋ヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
セイヨウヒイラギの写真ではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)の写真です。
セイヨウヒイラギではなくシナヒイラギ(ヤバネヒイラギモチ)です。
なお、2020年の記事では「日本に本当のセイヨウヒイラギは無いのではないか」という結論でしたが、最近 その記事を見てユーレタイドさんという方が
「アブリルさんが紹介して下さっているように、本物の西洋ヒイラギは見つかりません。
それでも近い物を庭に植えたくて、探して探して…、やっと見つけたのがブループリンセスという黒葉西洋ヒイラギでした。
葉の形が、本来の西洋ヒイラギによく似ています。」
とコメントくださいました。
Ilex meserveae Blue Prince
とか
Ilex x meserveae 'Blue Princess' (Blue Holly)
などで画像検索してみてください。
出て来る画像を見ると確かにセイヨウヒイラギ(モチ)の園芸品種のようですね
〔追記〕
これを書いてから、西尾市憩の農園にいったのですが・・・
名札の下に置いてある実物はヤバネヒイラギモチです。
3年前と何ら変わってませんでした。
がっかりです。
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