矢作川堤防のノアザミです。
ミツバチが訪れています。
(ミツバチと頭花の大きさが不釣り合いですが、合成写真ではありません、念のため )
キク科の花序は小さな花(小花)がたくさん集まり、さらにそれが全体としてひとつの花に見えるようになっています。このような花の形状を頭状花序といいます。
キク科の中でもキク亜科の花は、中心の筒状花(管状花)の集合と外縁の花弁の役割をする舌状花の集合でできています。
キク科の中でもアザミ亜科の花は、中心の筒状花(管状花)の集合だけでできています。つまり周囲の花弁に相当する舌状花が無いのです。
キク亜科でもアザミ亜科でも、小花の集合を纏めて(総じて)包む普通の花でいう萼(がく)の役割をする「総苞片(そうほうへん)」が付いています。
タンポポではこの総苞片がカールしているとセイヨウタンポポ、していないと在来のタンポポと区別できます。
ノアザミはこの総苞片がネバネバします。
以下、筒状花(管状花)の構造を少し写真観察してみます。
先程ミツバチの口(歯)があった部分、筒状花の(一本の棒のように見える)シベのいちばん高いところは雌しべ(の柱頭)です。
めしべの柱頭が2つに割れてカールして受粉体制に入っています。
一帯ののアザミは花の後期(雌しべ活動期、雌性期)に入っています。
頭状花序はたくさんの小花の集合だということを観察します。
一つ一つの小花(筒状花)は 5つに割れた花弁をもっています。
花弁の中から 一本の棒が伸びています。
この棒は一本のように見えますけど、刀と鞘(さや)の関係に似た構造をしていて、鞘の部分が雄しべ、刀の部分が雌しべになります。
その部分を 横から見て見ます。
「一つの筒状花は中心に細長く伸びるめしべとそれを筒状にすっぽり包むおしべを備える。」(wiki「アザミ属」)
雄性期
この頭状花序はほとんどの小花がまだつぼみで、わずかに3個だけが花を咲かせています。
刀の鞘に当たる雄しべ筒の先から花粉が出ています。この花粉は筒の内側にあったものを雌しべの棒が押し出したものと考えられます。
矢作川のノアザミはすでにこの雄性期(花粉の時代)を過ぎていますので、別の場所の雄性期の画像を参考までに掲載します。
これは於大公園(東浦町)の薬草薬木園のアザミで、シベの途中についている白い粉のようなものが花粉です。
花粉の位置より下が雄しべ筒、上が雌しべ棒(まだ柱頭を開かず未成熟なのでこういう呼び方をしておきます)です。
おしべ筒の上は すべてめしべ棒の部分(明るいピンク)なのですが、よく見ると棒の途中まで白いめしべ棒があります。
先ほど 雄しべ筒の内壁の花粉をめしべ棒が上昇するときこすりつけて上昇するといいましたが、花粉の出方はもう一つあります。それは「虫が花に止まるとおしべがひっこんでめしべと擦れ、花粉が外にかき出される」(wiki)という方法です。
ここからは素人の推測ですが、雌しべ棒の途中まで白いのは 虫が止まって雄しべ筒が収縮して雌しべ棒の外に出てなくて未変色の部分があらわになったのではないかと思えます。
このように 開花の初期はめしべは未成熟で、雄しべ筒の中の花粉を押し出す、あるいは、虫が止まって雄しべが縮むときに花粉の擦りつき棒の役目をしているだけです。
雌性期
おしべ活動期が終わると、雌しべ棒(花柱)はさらに伸び、やがて花柱の先に柱頭を展開します。
同じような画像が続きますが、以下、矢作川堤防のノアザミの雌性期のシベの様子をご覧ください。
この画像にも、おしべ筒から出た雌しべ棒(花柱)が2段に分かれているように見える部分があります。
途中に花粉をつけている花柱もあります。
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