安全神話が重大事故を招く−−これが東京電力福島第1原発事故の教訓だろう。安倍晋三政権は「世界で最も厳しい水準」をクリアした原発から「再稼働させる」と明言している。だが今、その「世界一」こそが新たな安全神話では、と疑う声が上がっている。【浦松丈二】
原発の屋根は航空機でも破壊出来る。原発があることが逆に国防を危機に曝すと言うのに、安倍政権の好戦的態度は止まない。
発売中の「週刊新潮」によると、昭恵夫人が半年ごとに約10個購入している。作り方は水1リットルにボール1個を10分間浸すだけだ。
安全神話が重大事故を招く−−これが東京電力福島第1原発事故の教訓だろう。安倍晋三政権は「世界で最も厳しい水準」をクリアした原発から「再稼働させる」と明言している。だが今、その「世界一」こそが新たな安全神話では、と疑う声が上がっている。【浦松丈二】
2011年3月13日、東京電力福島第一原発の吉田昌郎(まさお)所長は首相官邸から電話を受け、原子炉を傷める3号機への海水注入を断念して淡水に変更した。電話の相手は誰だったのか。東電が12年に開示した社内テレビ会議録で判明しなかった事実について、吉田氏は政府事故調査・検証委員会の聴取でも「記憶が欠落している」と答え、その人物の名を口にしていなかった。
海水注入を巡っては、吉田氏が12日夜、官邸にいた東電の武黒一郎フェローからの中止要請を無視して1号機で継続したことが知られているが、実は13日未明にも3号機を舞台に「海水か淡水か」を巡る論争が繰り広げられていた。
吉田調書などによると、3号機は原子炉の水位が下がり、核燃料がむき出しになる危機を迎えていた。午前5時42分に淡水の入ったタンクがすべて空だという報告があり、吉田氏は海水注入を決断した。
「緊急です、緊急です、緊急割り込み!」
午前6時43分、官邸に詰めていた東電社員から電話が入った。吉田氏がこの時、原子炉を傷める海水注入は極力避け、真水や濾過水を使用するよう要請されたことはテレビ会議録で判明している。吉田氏は12日夜と異なり、この13日朝はあっさりと要請を受け入れた。吉田氏はのちの聴取で、電話の主が「官邸の誰か」に代わったことを明かしたうえでこう語っている。
「私は海水もやむを得ずというのが腹にずっとありますから、最初から海水だろうと、当初言っていたと思います。その後に官邸から電話があって、何とかしろという話があったんで、頑張れるだけ水を手配しながらやりましょうと」
ところが、質問が電話の相手に及ぶと、吉田氏の歯切れは悪くなった。
「ここは申し訳ないけれども、私の記憶はまったく欠落していたので(中略)、本当に誰と電話したかも完全に欠落しているんです。ですから、そこは可能性だけの話しかない」
吉田氏は電話の相手の可能性として、当時官邸にいた東電と原子力安全・保安院の幹部の名を挙げたが、断定はしなかった。真相は今もはっきりしない。
テレビ会議録によると、吉田氏が淡水を注入することを決めた後の午前9時13分、福島オフサイトセンターに詰めていた東電の武藤栄副社長も「もう海水を考えないといけないんじゃないの。これ官邸とご相談ですか」と淡水注入に疑問を呈した。吉田氏はそれでも淡水注入を続けた。
吉田氏は使える淡水をかき集めようとしたが、うまくいかなかった。そして午後0時18分。吉田氏はついに「あの、もう、水がさ、なくなったからさ」と海水注入への切り替えを指示した。
吉田氏は10分程度で切り替えが終わると思っていたが、実際に海水注入が始まったのは午後1時11分。この間、1時間近く3号機には水が入らず、原子炉はますます過熱した。深刻な事態を招く発端となった「官邸からの電話の相手」は今も謎のままだ。(朝日新聞 木村英昭)
青森県六ケ所村に4月、英国から返還された高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の輸入価格が、1本あたり1億2800万円だったことが税関への申告でわかった。過去最高額で、海外に処理を委託した廃棄物の返還が始まった1995年の3倍。管理や輸送の費用がかさんだとみられる。費用は電気料金に上乗せされる。 原発から出る使用済み核燃料を再処理して再び燃料として使う「核燃料サイクル政策」について、政府は4月、閣議決定した新たなエネルギー基本計画のなかで「推進」するとしたが、再処理で出る核のゴミの費用もかさむことで、サイクル政策の非経済性が改めて浮かんだ。
再処理事業では新たな燃料のほか、利用不可能で強い放射線を出す高レベル放射性廃棄物も発生する。六ケ所村にある日本の再処理工場はトラブル続きで完成しておらず、電気事業連合会によると、日本は69年以降、英仏両国に送って再処理を依頼してきた。
再処理でできたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料などは英仏から日本の各原発に順次運ばれて一部は使われてきた。一方で、高レベル放射性廃棄物を固めた「ガラス固化体」も95年以降、六ケ所村に返還されている。固化体は円柱形で直径約40センチ、高さ約1・3メートル、重さは約490キロ。地下深くに埋める地層処分を目指すが、処分場の候補地は決まっておらず、六ケ所村の施設内で保管されたままの状態だ。
固化体の返還は今年4月が16回目で、132本が入った。固化体を所有する各電力会社は「私企業間の契約のため」として価格を明らかにしていない。
だが函館税関八戸支署への届け出によると、4月に管内に入った固化体の輸入総額は169億3800万円で、1本あたり1億2800万円。13年2月の前回は1億2200万円で、95年4月の1回目は4400万円だった。
固化体はテロ対策などのために管理や輸送に厳重な警備が必要となる。また、再処理を委託した英国の工場でトラブルが相次ぎ、事業費もかさんだとみられる。固化体は英国に約640本残っており、19年までに順次運ばれる予定だ。
使用済み燃料の再処理費用について、各電力会社は電気料金算定のもととなる経費「原価」に組み入れている。東京電力福島第一原発事故後に相次いだ電気料金値上げの際も原価に入れて申請し、認められた。 (朝日新聞 大谷聡)
2兆2千億円という税金をつぎ込み、完成が20回も延期されて、未だに正式稼動していない六ヶ所村再処理工場。国策のサイクルがいっこうに回らない中で、使用済み燃料や核のごみは六ケ所村にたまる一方だ。
危険な使用済み核燃料を弄び、高額な給料を受け取り、失敗の責任も取らずに研究という名の遊びを続ける科学者。
当初は1997年完成予定だった。現在の予定は今年の10月。建設費は当初の3倍の2兆2千億円に膨らんだ。
2006年に実物の使用済み燃料を使う試運転を始めた。今年1月には原子力規制委員会に稼働に向けた審査を申請。日本原燃の赤坂猛理事(60)は「技術的には完成している」と強調するが、規制委の審査をクリアできるかは不透明だ。
再処理工場に隣接する使用済み燃料プールは北海道電力泊原発(後志管内泊村)のプールの3倍の3千トン、国内最大の貯蔵容量を誇るが既にその98%が埋まっている。使用済み燃料は99年から受け入れ始めたが、再処理工場が動かないのでプールから取り出せない。使用済み燃料は各地の原発のプールで1年、再処理工場のプールで3年の計4年冷却し再処理する予定だったが、今は「平均して13年ぐらい寝ている」(赤坂理事)。
海外で再処理され返還された核のごみも六ケ所村に集まる。放射能の強い廃液をガラスと混ぜ固めたガラス固化体1442本が一時貯蔵庫で保管され、今回132本を受け入れた。国は、核のごみを「青森県以外の場所」(資源エネルギー庁幹部)で地下300メートルより深くに埋める方針で、処分技術の研究は宗谷管内幌延町で行われているが、実際に処分する場所は全国どこにもない。
暴走する原発を止める責務は誰が負っているのか。いよいよ原発が破裂しそうになったときは逃げてもよいのか。そもそも人間に暴走を始めた原発を止める能力はあるのか。命に危険がせまったとき人間は規則通りには動かない。自らの命を優先する者もいる。それを計算に入れずに、どう安全を設計できるのか。
福島第一原発では濃度の高い放射能汚染水を別の建物に送っていたというドジが発覚した。3年経っても原発事故はまるで収束していない。汚染水誤送は想定外のことだというから、これからも想定されていない事態が目白押しだろう。それにもかかわらず、安倍政権が新エネルギー基本計画を閣議決定して原発再稼働を進めると言う。
今回の基本計画は原発政策を続行していくという宣言のようなものだ。これからは、規制委の審査結果によって自動的に再稼働していくことになる。
「エネルギー政策に奇策は通用しない」とか「万全の対策を尽くす」など無内容な文言が並ぶ。「高レベル放射性廃棄物は国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進める」そうだ。言葉だけの努力規定で最終処分が進展するなら世話はない。数値も期限も明示されない計画?単なる「再稼働宣言」に過ぎない。
事故を検証し、教訓を経た形跡がない。集団的自衛権問題と同じく、「民意などくそくらえ」の姿勢だ。
安倍政権の原発政策に、都知事選で連携した細川護熙元首相と小泉純一郎元首相がまたもや立ち上がった。「自然エネルギー推進会議」を立ち上げ、自然エネルギーの推進、原発再稼働と原発輸出を阻止するための活動を開始する予定だ。
原発事故は、「安全性」より「経済性」を重視したために起きた。それにもかかわらず、政権は「経済性」を最優先とする計画を掲げたのである。原発にしがみつくことが経済性優先になるとは露ほども思わないが・・・・
田中龍作ジャーナルよると、原発再稼働に警告を発する集会に自民党の国会議員が参加していたと言う。主催者が参加国会議員の名前と政党をアナウンスすると、「なぜ自民党が来るんだあ」・・・ヤジまで飛んだ。原発に反対しても河野太郎議員のように祖父の代から受け継いだ盤石の地盤があれば怖くないが、当選回数が少ない議員にとって執行部の方針に逆らうことは、自殺行為にも等しい。1選挙区で3人も4人も当選する中選挙区制度の頃は、執行部の方針にタテついても、派閥の力によって公認が配分されていたため、公認を外されることはなかった。公認を外されても、後援会の力で当選できた。派閥の力が衰えた今、党を牛耳るのは総裁と幹事長だけだ。2人が原発推進派となれば、ハト派と原発慎重派は肩身が狭くなる。安倍政権の行き着く先は、戦争と原発だらけの世界だ。
稼働している原発の核燃料に課してきた核燃料税の仕組みを、原発が止まっていても電力会社などに課税できるように原発を抱える八つの道県が変えていたことがわかった。朝日新聞の調べでは、これにより原発停止状態でも2014年度以降、少なくとも年間計109億円の税収が確保されることになった。税収の大半は値上げされた電気料金で賄われており、電気利用者に負担が押しつけられている構図が浮かんだ。
核燃料税は、自治体が地方税法で定められた住民税などのほかに、条例で課すことができる「法定外普通税」の一つ。原発の安全対策に使うとして福井県が1976年に始めた。
東京電力福島第一原発の事故前は、古くなった核燃料の代わりに新しいものを挿入するたびに価格に応じて課税する仕組みで、原発が動いていることが前提だった。
ところが、朝日新聞社が全国13の原発立地道県を調べたところ、8道県が事故後に、原子炉の規模を表す出力に応じて課税できる「出力割」を採り入れる条例を作っていた。新潟、静岡、島根の3県も導入を検討中だ。新たな仕組みでは、原発が止まっていても一定額の税収を確保できるためだ。
現在、全国48基のうち稼働している原発はない。12年度実績では、13のうち8道県が税額ゼロだった。
福井県は11年11月、最初に新制度を導入。それまでは原発停止中の税収はゼロだが、出力割によって常に年間60億円が入ることになった。同県税務課の担当者は「稼働の有無に税収が大きく左右され続けるのは好ましくない」と説明する。
青森県は12年4月に出力割を導入し、今年4月から濃縮されるウラン製品などにかける税率を2・3倍にすることも決めた。4月以降、年間37億円増える。これを加えると、青森を含めた8道県は少なくとも146億円の税収を得ることになる。
一方、福島県は「原発の稼働を前提とするはずの核燃料税は福島の状況にそぐわない」とし、12年12月に核燃料税をやめた。宮城県も13年6月の条例更新時に出力割の導入は見送った。
電力各社が13年、料金値上げ申請で経済産業省に提出した資料によると、北海道、関西、四国、九州の電力各社がそれぞれ、北海道、福井県、愛媛県、鹿児島県の核燃料税の増額分を、料金算定の基礎となる経費「原価」に上乗せしていた。核燃料税は道県の一般会計に入り、交付金として原発立地・周辺の市町村に一定割合が支払われることが多い。各道県は出力割導入や増額の理由について「福島事故により安全対策の必要性が増えたため」とするが、交付金の使途を見ると、物産館の建設費や商店街活性化策など安全対策からは遠い事業もある。(朝日新聞 大谷聡)
福島事故後にもかかわらず、原発立地地域が原発への依存を続けていることの現れで、悪循環から抜け出す気もないらしい。
電力会社がいわれのない税金に「ノー」と言わないのは、金が地方自治体を黙らせる良い方法だと分かっているからであろう。それにコストはすべて電気料金に上乗せできる独占企業である。すべてのコストを電気料金に加算できるのだから、設備投資や地方へのバラマキをためらう必要は無い。むしろ電気料金の値上げで売り上げが伸びるのだから、こんなおいしい仕組みはない。原発銀座の福井県が1976年導入し、2011年通年課税に改定した核燃料税。福井県が発表した2012年度一般会計の決算によると、県税収入は前年度比8・0%増の926億5700万円で5年ぶりの増収となった。前年度大きく落ち込んだ核燃料税が、11年11月に導入された「出力割」が初めて通年課税になったことなどにより、過去2番目に多い77億7400万円と増えたことなどが要因だと言う。しかも12%から17%に5%も上げている。
敦賀市樫曲の山あいに広がる中池見湿地(約25ヘクタール)。多様な動植物が生息し、重要湿地とその生態系を保護する「ラムサール条約」への登録を目指す市民運動も展開されている。貴重な自然遺産を守る事業の原資が、実は<原発マネー>県から受け取る「核燃料税」で賄われる。ある県幹部は「実のところ、こんなにおいしい税収はない」と漏らす。原発が存在する限り、たとえ停止していようが核燃料税は支払われる。県は半永久的に巨額の収入を得る。まるで、唱えるだけで好きな物が手に入る「打ち出の小づち」だ。
最大のメリットは、税収がどれほど大きくても、国の地方交付税交付金を減らされる心配がない点。この交付金は自治体の財源不足を補うのが目的なので、通常の県税の場合、増収があると、その75%にあたる額の交付金が減らされる。たとえば100億円の増収なら、〈ごほうび〉として県の取り分になるのは4分の1の25億円だけ。一方、核燃料税だと、100億円がまるまる入る。
こんな仕組みがあるから福井県は日本総合研究所が調査した都道府県別幸福度ランキングで燦然と一位に輝く。分析には▽人口増加率▽財政健全度▽食料自給率▽国政選挙の投票率▽1人当たりの県民所得―の基本指標5項目と、健康、文化、仕事、生活、教育の5分野50項目の計55項目を活用。「新たな観点や重要な要素」として、14年版では信用金庫貸し出し平均利回り、平均寿命、女性の労働力人口比率、自殺死亡率、子どもの運動能力の5項目を追加した。 福井県は分野別順位で仕事、教育が1位、待機児童率や持ち家比率などの項目で比べる生活分野が3位だった。新たに加えた5項目のうち女性の労働力人口比率、子どもの運動能力も1位となった。 西川知事は「県民の日々の努力や、これまで進めてきた子育て・教育などの政策の成果が認められたもの。これからも幸福度の向上をさらに高いレベルで追求するとともに、夢と希望があふれるふるさとづくりを進めていきたい」とのコメントを出した。原発マネーで幸福度日本一。かたや福島が復興もできず瀕死の状態だと言うのに、福井はますます肥え太る。こんなことが許される世の中なのだ。
3月9日午前のNHKニュースが報じるところによると、ドイツの首都ベルリンで8日、日本政府に対してすべての原発を廃止するよう訴えるデモが行われた。
デモは原発に反対する市民グループの呼びかけで行われ、地元の市民やドイツに住む日本人などおよそ1000人が参加した。
ドイツ政府は日本の福島第一原子力発電所の事故を受けて2022年までに国内のすべての原発を廃止する方針を決定しており、ヨーロッパではイタリアやスイスも脱原発の方針を打ち出している。にもかかわらず事故当事国である日本の政府が急ピッチで原発再稼働への準備を進めている現況にドイツ国民とドイツ在住日本人が抗議の意思表示をしたものといえる。
参加者たちは風車を手にしてデモ行進をした。これは、風力発電も含む再生可能エネルギーへの転換を意味するもので、「再稼働反対」「原発を止めろ」と声を上げながら、ベルリン市内をおよそ2時間にわたって行進。そして日本大使館の前で集会を開き、日本政府に対して、すべての原発の廃止や原子力技術の海外への輸出を止めるよう訴えた。
「福島にチェルノブイリ、もうたくさん!」(デモのシュプレヒコール) 「福島は警告する」と書かれた横断幕を掲げ、原発の廃止を訴えるデモが首都ベルリンをはじめ、ドイツ全土で行われた。
ドイツでは、安全性を見直すため、国内にある17基の原発のうち、稼働年数の長い8基をすでに一時停止させているが、反原発運動の高まりは「原発政策」の見直しにも影響を与えそうだ。
PM2.5以上に原発(放射能汚染)は地球環境を悪化させる環境問題なのだ。
自民党は政府に対し、放射性物質の除染作業や原子力発電所の廃炉作業に関する新たな国家資格「放射線取扱業務士」の創設を求める方針を固めた。東京電力福島第一原発周辺の除染を巡り、不適切な作業が広がっているとの見方があることから、国民の除染への不信や不安を払拭する狙いがある。
現在、原発関連の国家資格には、原子力規制委員会が所管する「核燃料取扱主任者」(核燃料物質の取り扱いの保安・監督)と「原子炉主任技術者」(原子炉の運転の保安・監督)があるが、原発事故後に浮上した除染作業や廃炉に関する国家資格はない。除染については、厚生労働省令で請負業者に対し、除染に使う機器の取り扱い方法や構造などについて4・5~5・5時間の講習(学科と実技)を作業員に行うよう義務づけているだけだ。
自民党の原案では、新設する放射線取扱業務士は、〈1〉除染業務〈2〉放射線量測定業務〈3〉原子炉運転・保守業務の3分野に分かれる。それぞれ1~3級の資格を設ける方向だ。試験科目や内容は、法案の成立後、厚労省令で定める。除染作業の知識、放射線の正しい測定法や人体に与える影響、関係法令などを幅広く問うものとなりそうだ。
原案では、請負業者の放射線取扱業務士を雇用する割合などに応じて、公共工事の受注の機会が増えるよう国に配慮を求める規定も設けた。請負業者に対し資格を持つ作業員の雇用を促し、現場の作業員の指導に当たらせることで、作業のレベルアップを目指す。
除染を巡っては、厚労省が2013年1~6月、福島県内で作業を請け負う388業者を対象に労働基準法などの違反の有無を調査。その結果、264業者で、作業員の被曝(ひばく)線量測定の不備などが計684件見つかり、是正指導した。環境省が、除染の排水処理が適切でないなどとして改善指示したケースもある。(2014年2月12日08時54分 読売新聞)
自民党案の新たな「放射線取扱業務士」は、除染や放射線量の測定などを行うとされているが、現行の国家資格で十分カバーできる業務だ。新たに設ける必要なんてまるでない。放射線業務の適正化なんて、もっともらしいことを言っているが、要するに霞が関の新たな天下り先の設置が狙いだろう。
実際、放射線管理業務に携わる団体の関係者も呆れている。
「車に例えると、現行資格で『大型』まで運転できるのに、新たに『原付』だけに適用する免許をつくるということ。仮に、専門性が必要だとしても現行資格の試験科目を増やしたり、新たに講習時間を設けたりすることで十分、対応可能だと思います。まあ、所管が厚労省なのか、環境省なのか分かりませんが、無駄なカネがかかるのは間違いない。福島原発の被災者も怒ると思いますよ」
原案では、請負業者が「放射線取扱業務士」を雇用する割合に応じて、公共工事の受注の機会を増やすような規定も設けるという。ゼネコンを使いながら新資格を定着させ、見返りにカネをばらまく算段である。こんなバカな法案は早く潰した方がいい。 (日刊ゲンダイ)
大手マスコミの記事は殆どが事実を述べるだけで批判的な記事はない。日刊ゲンダイがなければ、基礎知識のない国民は簡単にだまされてしまう。本来なら、大手マスコミが論評すべきなのだが、批判精神ゼロ。太鼓持ちでしかない。これだから頭脳明晰な役人の私腹を肥やすシステムづくりに対抗できないのだ。
こんな資格を設けたところで、でたらめ除染はなくならないし、ヤクザ介入による原発作業員の違法派遣はなくならない。孫請けの問題点は、賃金のピンハネと、責任の所在が曖昧になることである。東電が現場の実態を把握して改善しようとしている様子はまったくない。
福島原発の除染・解体には30年掛かると言われており、作業員はまるで足りていない。違法派遣にはヤクザ・ギャングが関わっており、債務者やホームレスを強制的に送り込んでは被曝するとクビにする・・・・こんなことで福島の事故は収拾できるのだろうか。