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Research quality in scoliosis conservative treatment

2017-10-30 14:52:54 | 側弯症と体操療法


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一点ご紹介いたします。英文和訳は、当ブログ作成者の拙訳となります為、万が一誤訳等がありました際は、ご容赦下さい。

Research quality in scoliosis conservative treatment: state of the art. 2015年


概要
側弯症に関する保存療法分野の研究・調査の公表は、長い衰退期の後、次第に増えつつある。2014年、3件の品質の高い科学的論文が側弯症保存療法に新しい息吹を与えた。経過観察を超える保存療法の効果は、2件の装具療法のRCT(ランダマイズ試験)と1件の理学療法士による側弯症特化エクササイズ報告により提示された。この分野でのより説得力のある試験方法をデザインすることは、フォローアップに長期間要すること・被験者である子どもの患者に参加してもらうことが難しいこと・また両親が試験参加決定プロセスに関与してくることなどから困難である。またそのような難しさもあることながら、試験における主な実施上のエラーは試験デザインによるものというよりは、実施それ自体に内在するものであり、そのことが試験結果の信頼性を損なうものとなっている。

最も一般的なエラーとしては : 被験者選択上のバイアスであり、多くの保存療法研究報告が、被験者の中に、真の側弯症である構築性側弯症患者だけではなく、機能性側弯のこどもも含んでいること。試験結果の計測が、側弯症進行やQOLとは関係のない項目を用いているために不適切であること。アウトカムの結果報告が、エクササイズ実施直後のものだけで、長期間のフォローアップがされていないこと。結果が過大評価を伴う不適切な報告であること。骨成熟後の評価がなされていない為、そのエクササイズの結果が安定したものとは考えられないこと。不確定な研究をもとに疑わしいエクササイズが実施されることを避けるために、このようなエラーがあることを認識することが非常に大切である。

結論
(略)特に側弯症の分野では、インターネットやSNSで科学に基づかないビジネスの為の不適切な施術が広がっていることが最大の心配ごとである。このような低い品質で公表された研究により、不適切な施術が行われ、専門性の高い施術の統合を妨げ、そして患者を守る為に、我々科学に基づく側弯治療研究機関にとっての最大の心配ごとである。


論文は、下記URLよりPDFをダウンロードできます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4537531/



用語
・ランダマイズ試験(バイアスを抑えるため、偶然の要素を利用して割り付けを行うことにより臨床試験被験者を治療群または対照群に割り振るプロセス) CDISC標準推進プロジェクト 臨床試験用語集より
・選択バイアス : グーグル検索より資料を得られます。下記は大阪大学より引用しました。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub14.html
臨床研究の第1段階は、研究の対象となるtarget population(目的母集団)を設定し、target populationの中からsample(標本)●をランダムに抽出する事です。選択バイアスが存在すると、target populationからのsampleの抽出がランダムに行われず、target populationとsampleの間にズレ(歪み)が生じてしまいます。


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☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?



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