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Letter to the Editor concerning the Article "Adolescent Idiopathic Scoliosis"

2017-10-30 16:15:23 | 側弯症と体操療法
側弯症に対する体操療法に関する医学論文を拙訳しました。和訳にあたっては細心の注意を払っていますが、もし誤訳等がありました際は、ご容赦ください。

2015年 Letter to the Editor concerning the Article "Adolescent Idiopathic Scoliosis: A 71 Cases Study Ascertaining That Straightening Is Possible, and a New Etiological Hypothesis". PDF入手可能
臨床報告「71症例で脊柱をストレートすることは可能であることを確認」に対する論評。報告書の内容には多くの問題、データ欠落などがあり、研究報告書として信頼性に欠けるものである。装具に代えてこのテクニックを使用することはデータからは保証されておらず、読者をミスリードしている。
there are some methodological biases that greatly concern us: many details are missing, and the conclusions are far from supported by the data.Proposing this technique alone as an alternative to bracing is not supported by data, and can be totally misleading for readers.

論評対象の「A 71 Cases Study Ascertaining That Straightening Is Possible, and a New Etiological Hypothesis 2013年」の和訳も試みてみました。PDF入手可能。



Study Design
Seventy-one children (23 boys and 48 girls, aged 6 to 18 year-old) with adolescent idiopathic scoliosis (AIS) between 11° and 62°, without braces, have been treated manually, only at the level of the neck.
試験方法:71症例(男子23名、女子48名)、年齢6~18歳の思春期特発性側弯症患者(コブ角11~62°)に対して、装具なしで、施術のみで治療
-6例は 30°以上
-19例は20°から29°の間
-46例は11°から19°の間

年齢・骨成熟度に関しては
-5例は10歳以下   (リッサーは0)
-51例は、11~15歳 (リッサーは記載なし)
-15例は、16~18歳 (リッサーは記載なし)

Purpose
To ascertain that non-surgical straightening of AIS is possible (without brace).
目的:思春期特発性側弯症の治療に対して、装具を用いない施術治療の可能性を示す

Overview of Literature
So far no disease modifying treatment for AIS existed. Braces can only slow down worsening (and this can only be achieved if they are worn 23 hours a day). Surgery is not without important risks.
文献レビュー:これまでに施術による治療法は存在しなかった。装具はカーブ進行が悪化することを抑えるのみであり(しかも、これは一日23時間の装着を必要とした) 手術にはリスクが伴った。

Methods
All patients have been treated exclusively with a manual therapy called Brachy-Myotherapy. This method treats spasmed (contractured) muscles by placing them in a shortening position according to a specific protocol.
方法:全ての患者は、唯一 Brachy-Myotherapy(Brachy施術)だけで治療した。この施術は、特別のプロトコルに従って拘縮した筋肉を短縮位置に置くことで治療するものである。 平均施術期間は 6か月。 (フォローアップ期間に関する記載は不明)

Results
An average straightening of 8° of AIS was observed, with a maximum of 25°. 94% of cases improved, 67 out of 71. The worst prognosis was, the better results. The more advanced AIS was, the better the results.
結果:カーブを平均8°伸ばすことが確認された。最大は25°であり、患者のうち94% 67名は改善した。



(comment by august03)
・上記Fig1の縦軸はコブ角度0~70°、横軸は患者数1~71を現しています。
・装具療法の適応は 25°以上、とされています
。(引用:国立村山病院HP) 表から見ますと、71例のうち、25°以上と思われる患者は10数名ほど、残りの60名前後は脊椎学会の治療基準からしますと、経過観察ということになります。マイルドカーブでの自然治癒については、別途医学論文を提示します。
・SOSORTのレビューにもありますように、この60名前後のマイルドカーブは全てが真の側弯(構築性側弯症)であるかどうかが不明。機能性側弯が含まれていた可能性が否定されていません。
・この報告においては、患者個々の状態が見えません。 例えば Patientナンバー1の年齢、初潮の有無、そして1年後、2年後にはコブ角はどうなったのか?
・例えばデータに平均値が示されていたとしても、グループの大半がマイルドカーブですから、側弯症治療上、意味のあるデータとは考えられません



関連記事Research quality in scoliosis conservative treatmentの記載より引用を下記に示します。
「アウトカムの結果報告が、エクササイズ実施直後のものだけで、長期間のフォローアップがされていない。結果が過大評価を伴う不適切な報告である。骨成熟後の評価がなされていない為、そのエクササイズの結果が安定したものとは考えられない」



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august03

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☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?


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