◆リード:わが子が障害児(広汎性発達障害)の可能性が高いとわかったある母親(友人)は、専門家(特別支援学級担任)としての私にアドバイスを求めてきた。「わが子が障害をもっている」と初めてわかったときの、親のショックは、きわめて大きい。私は、どんな対応をしたか?!(前々号・前号からの続き)
2009.7.31 わが子が障害をもっていると知った衝撃! その3 612号(ここをクリック)
ー障害児をもった親へのアドバイスー
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前号の続き、<障害児(広汎性発達障害)の可能性が高いとわかったある母親(友人)の悩み(質問)>への、私の対応について紹介する。
【母親の悩み(質問)への対応 その4】
4.母「障害があると、働けないの?!」
→ 私は、現在3名の障害をもった子供を担任しているが、その3名ともほぼ間違いなく働けるようになるだろうことを話した。
つまり、障害があっても、もちろんその程度にもよるが、十分働けるようになるので、希望をもってよいことを話した。
(※ たとえ現在の実態がほど遠いように見えても、教育や医療の力で、大きく可能性は開かれていく。)
【母親の悩み(質問)への対応 その5】
5.母「(もし働けない、それどころか自立できないとしたら)子供たちが大人になっても、私が一生面倒見なきゃならないわけ?!」
→ 「将来のことを考えると、荷の重さに押しつぶされるような感じなんだ。」と気持ちを受け止めたうえで、福祉サービスが充実しており、社会全体でサポートしていくシステムがあるから、安心するように話した。
※ 実際、親自体も障害をもっているケースもあり、親任せにできない現実もある。
【母親の悩み(質問)への対応 その6】
6.母「女の子なら私も女だからまだしも、男の子だから性の問題が出てきたら、どうしたらいいの?!」
→ それは、女の子でも同じであること。
私も二人の娘の親として、性の問題にどう対処したらよいかと悩み始めていること。
まだだいぶ先のことであるので、その時期になったら考えればよいのでは…と話した。
※ 遠い将来のことではなく、現在にフォーカスすることが大切だ。
【母親の悩み(質問)への対応 その7】
7.母「最近、今まで息子が仲よくしてきた幼稚園の女の子にも『イヤ。』と言われ、心配?!(仲間はずれにされたらどうしよう。)」
→ 「今まで仲よくできていたのに、それだけに心配だよね。」と気持ちを受け止めたうえで、ハンデキャップ(障害)があるわけだから、特別なサポートが必要なことを話した。
具体的に言えば、
・ハンデキャップがあるわけでだから、放っておいて自然にうまくいくのは難しいこと。
・保育士さんや親が、Aさんとお友達がうまくかかわれるように、遊びの仲立ちというサポートをする必要があること(段階によっては、むしろ保育士さんや親とマンツーマンで遊ぶこと。) を話した。
【母親の悩み(質問)への対応 その8】
8.母「(子ども同士で一緒に遊べなくなってくると)、今つきあっている親たちとつきあえなくなるの?!」
→ 子ども同士のかかわりが切れることが、そのまま親同士のつながりが切れることにつながらないと、私は思うこと。きっとつきあいが続くお友達があるだろうこと。
そして、同じ障害をもった親同士という新しいお友達も現れるだろうこと を話した。
【母親の悩み(質問)への対応 その9】
9.母「(こんな悩みが多く)お先真っ暗で、もう二日間寝てないの。今、どうしたらいいの?!」
→ 「栄養をとって、ゆっくりと睡眠と休養をとって休んで。」と言いそうになったが、それが分かっていてもできなくて苦しんでいるのだから、そう言うのを思いとどまった。
・まず、医師からきちんとした診断を受けること。(既にその日も決まっているという。)
→ 正式な診断があれば、保育士さんが一人付くようになり、特別なサポートができる。
・その際、お家や幼稚園での(困っている)実態を、医者によく話せるように、メモに整理しておくこと。
・と同時に、Aさんの困っている言動について、親として具体的にどう対処したらよいかも問うとよいこと。(様々な困っている言動を聞かされた。)
・障害をもった親同士でつくる「親の会」へ問い合わせてみることもよいこと。
・早めに気づいてよかったこと。早めに正しい診断を受け、適切な対応をとれば、それだけ障害を軽減し、二次障害も予防できやすいなどを話し、励ました。
・最後に、一人で悩まない。ゆっくりと休養をとり、栄養をとることも、忘れないことを話した。
以上、58分間の友人でもある母との、電話での会話であった。
はじめに比べて終わりにはずいぶん落ち着いたように、私は感じた。
【私の大学時代の学びから】
実は、私が大学時代「障害者問題研究会」というサークルに所属していた。
障害をもっている大人と一緒に(介助・介添えを兼ねて)旅行したり、障害児を集めて日曜学校を開いたり、障害児教育や障害者問題の学習会をしたり…今考えると、実に真面目なサークルで、私は4年間過ごした。
その中で、今でも覚えている文言がある。
「障害者(児)問題は、社会でどれだけ人間が大切にされているか問う試金石である。」
この文言が、サークル室の壁にずっと貼られていた。
障害者が大切にされている社会、安心して暮らせる社会…ならば、お年寄りも、病人も、乳幼児も…(誰しもそういう時期があるが)…もちろん大人も、きっと大切にされ、安心して暮らせる社会に違いない。
ある%で、必ず産まれてくる障害をもった子供たち。
私は、小学校特別支援学級担任として、障害をもって産まれた子供たちを、教え育てている。その可能性を精一杯伸ばそうと、日々精進している。
大学時代に学んだ文言のように、障害者(児)が大切にされる社会の実現のために、自分のできるところで一役を担っている私は、大学時代に学んだ一番大切なことが生きているのかなと、ふと思った。
【関連記事】あったかい家族日記 「家族の広場」
わが子が障害をもっていると知った衝撃! その1 610号
子育ての心構えとポイント
かわいい子に育てよう!
※ 本記事は、ソネットブログ『あったかい家族日記』をもとにしています。
その『あったかい家族日記』は、七田眞氏よりオススメブログとして推薦されています。
最新版ないし写真付き版は、トップページより『あったかい家族日記』最新記事をクリックしてください。
◆キーワード:1 障害児 2 親の悩み 3 特別支援教育
◆留意点・その他
・ころりんさんのブログ『ころと―旅する』の記事「☆オランダへようこそ☆」という記事(ご自分で訳された話)がすばらしい。
次の書き出しで始まる話である。
「オランダへようこそ」作 エミリー・パール・キングスリー
私はよく、障害を持っている子どもを育てた経験を語ってほしいと頼まれることがあります。
そんな時障害児を育てるというユニークな経験をしたことがない人に、それがどんな感じなのか理解してもらったり想像してもらったりするために、こんな話をします。……
(ころりんさんの記事「☆オランダへようこそ☆」より引用)
続きは、ころりんさんのブログ『ころと―旅する』の記事「☆オランダへようこそ☆」http://koroto-tabisuru.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26-1をご覧ください。障がいをもったお子さんをもつ親に気づきを与えてくれるでしょう。
2009.7.31 わが子が障害をもっていると知った衝撃! その3 612号(ここをクリック)
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【母親の悩み(質問)への対応 その4】
4.母「障害があると、働けないの?!」
→ 私は、現在3名の障害をもった子供を担任しているが、その3名ともほぼ間違いなく働けるようになるだろうことを話した。
つまり、障害があっても、もちろんその程度にもよるが、十分働けるようになるので、希望をもってよいことを話した。
(※ たとえ現在の実態がほど遠いように見えても、教育や医療の力で、大きく可能性は開かれていく。)
【母親の悩み(質問)への対応 その5】
5.母「(もし働けない、それどころか自立できないとしたら)子供たちが大人になっても、私が一生面倒見なきゃならないわけ?!」
→ 「将来のことを考えると、荷の重さに押しつぶされるような感じなんだ。」と気持ちを受け止めたうえで、福祉サービスが充実しており、社会全体でサポートしていくシステムがあるから、安心するように話した。
※ 実際、親自体も障害をもっているケースもあり、親任せにできない現実もある。
【母親の悩み(質問)への対応 その6】
6.母「女の子なら私も女だからまだしも、男の子だから性の問題が出てきたら、どうしたらいいの?!」
→ それは、女の子でも同じであること。
私も二人の娘の親として、性の問題にどう対処したらよいかと悩み始めていること。
まだだいぶ先のことであるので、その時期になったら考えればよいのでは…と話した。
※ 遠い将来のことではなく、現在にフォーカスすることが大切だ。
【母親の悩み(質問)への対応 その7】
7.母「最近、今まで息子が仲よくしてきた幼稚園の女の子にも『イヤ。』と言われ、心配?!(仲間はずれにされたらどうしよう。)」
→ 「今まで仲よくできていたのに、それだけに心配だよね。」と気持ちを受け止めたうえで、ハンデキャップ(障害)があるわけだから、特別なサポートが必要なことを話した。
具体的に言えば、
・ハンデキャップがあるわけでだから、放っておいて自然にうまくいくのは難しいこと。
・保育士さんや親が、Aさんとお友達がうまくかかわれるように、遊びの仲立ちというサポートをする必要があること(段階によっては、むしろ保育士さんや親とマンツーマンで遊ぶこと。) を話した。
【母親の悩み(質問)への対応 その8】
8.母「(子ども同士で一緒に遊べなくなってくると)、今つきあっている親たちとつきあえなくなるの?!」
→ 子ども同士のかかわりが切れることが、そのまま親同士のつながりが切れることにつながらないと、私は思うこと。きっとつきあいが続くお友達があるだろうこと。
そして、同じ障害をもった親同士という新しいお友達も現れるだろうこと を話した。
【母親の悩み(質問)への対応 その9】
9.母「(こんな悩みが多く)お先真っ暗で、もう二日間寝てないの。今、どうしたらいいの?!」
→ 「栄養をとって、ゆっくりと睡眠と休養をとって休んで。」と言いそうになったが、それが分かっていてもできなくて苦しんでいるのだから、そう言うのを思いとどまった。
・まず、医師からきちんとした診断を受けること。(既にその日も決まっているという。)
→ 正式な診断があれば、保育士さんが一人付くようになり、特別なサポートができる。
・その際、お家や幼稚園での(困っている)実態を、医者によく話せるように、メモに整理しておくこと。
・と同時に、Aさんの困っている言動について、親として具体的にどう対処したらよいかも問うとよいこと。(様々な困っている言動を聞かされた。)
・障害をもった親同士でつくる「親の会」へ問い合わせてみることもよいこと。
・早めに気づいてよかったこと。早めに正しい診断を受け、適切な対応をとれば、それだけ障害を軽減し、二次障害も予防できやすいなどを話し、励ました。
・最後に、一人で悩まない。ゆっくりと休養をとり、栄養をとることも、忘れないことを話した。
以上、58分間の友人でもある母との、電話での会話であった。
はじめに比べて終わりにはずいぶん落ち着いたように、私は感じた。
【私の大学時代の学びから】
実は、私が大学時代「障害者問題研究会」というサークルに所属していた。
障害をもっている大人と一緒に(介助・介添えを兼ねて)旅行したり、障害児を集めて日曜学校を開いたり、障害児教育や障害者問題の学習会をしたり…今考えると、実に真面目なサークルで、私は4年間過ごした。
その中で、今でも覚えている文言がある。
「障害者(児)問題は、社会でどれだけ人間が大切にされているか問う試金石である。」
この文言が、サークル室の壁にずっと貼られていた。
障害者が大切にされている社会、安心して暮らせる社会…ならば、お年寄りも、病人も、乳幼児も…(誰しもそういう時期があるが)…もちろん大人も、きっと大切にされ、安心して暮らせる社会に違いない。
ある%で、必ず産まれてくる障害をもった子供たち。
私は、小学校特別支援学級担任として、障害をもって産まれた子供たちを、教え育てている。その可能性を精一杯伸ばそうと、日々精進している。
大学時代に学んだ文言のように、障害者(児)が大切にされる社会の実現のために、自分のできるところで一役を担っている私は、大学時代に学んだ一番大切なことが生きているのかなと、ふと思った。
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子育ての心構えとポイント
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最新版ないし写真付き版は、トップページより『あったかい家族日記』最新記事をクリックしてください。
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◆留意点・その他
・ころりんさんのブログ『ころと―旅する』の記事「☆オランダへようこそ☆」という記事(ご自分で訳された話)がすばらしい。
次の書き出しで始まる話である。
「オランダへようこそ」作 エミリー・パール・キングスリー
私はよく、障害を持っている子どもを育てた経験を語ってほしいと頼まれることがあります。
そんな時障害児を育てるというユニークな経験をしたことがない人に、それがどんな感じなのか理解してもらったり想像してもらったりするために、こんな話をします。……
(ころりんさんの記事「☆オランダへようこそ☆」より引用)
続きは、ころりんさんのブログ『ころと―旅する』の記事「☆オランダへようこそ☆」http://koroto-tabisuru.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26-1をご覧ください。障がいをもったお子さんをもつ親に気づきを与えてくれるでしょう。