Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

ざしき童子のはなし

2023-04-02 21:46:37 | パネル
たしかにどこかで、ざわっざわっと箒の音がきこえたのです。
も一どこっそり、ざしきをのぞいてみましたが、どのざしきにもたれもいず、ただお日さまの光ばかりそこらいちめん、あかるく降っておりました。
こんなのがざしき童子です。
                                                 (宮沢賢治「ざしき童子のはなし」)



 

あまり有名な話ではないかもしれませんが、宮沢賢治の童話に「ざしき童子のはなし」という作品があります。直接その情景をイメージした絵ではないのですが、私のイメージする座敷わらしのパネルを2枚組で作ってみました。私の実家はそこまで古い家ではないのですが(築50年くらい?)、いかにもざしきぼっこが出そうな座敷があり、常に薄暗くて子供の頃は出入りするのがちょっと怖い場所でした。でも同時に、夏の夕方など、縁側から沈んでいく夕日を見るのも好きで、『ざしき童子のはなし』の中にある「ただお日さまの光ばかりそこらいちめん、あかるく降っておりました。」という一文が、とてもよくわかる気がします。岩手のざしきぼっこが出るお宿も泊まってみたかったけど結局果たせず💦でも基本寝具が変わると眠れない人間なので、泊まったらきっと一睡もできないだろうなぁ…(笑)

こだわりその1。よく見ると座敷わらしの着物と背景にダマ(透かし模様)が入っています。背景の模様は全部手描き!うっかり触ってしまわないようにアラビアゴムをきつくしたので、今度は模様を彫るのに力が要るようになって最後は手が痛くなったけど、我ながらよく頑張った!背景の模様は日本の伝統模様です。桜、千鳥、麻の葉、矢絣、青海波、亀甲、エ霞文。あえて完璧を目指さず、手描きっぽい柔らかさを大切にしました。

こだわりその2は髪の毛。おかっぱのガラスカットはかなり無理のある形なので、ギリギリまでガリで削って、それ以上はひたすら機械で削る、削る…さらに絵付けで、髪の毛を一本一本、勢いを大事にしながら描きました。

これからこのパネルに合う木枠を作ってもらい、衝立のようにしたいと思っています。

ミモザのおやすみランプ

2023-04-02 16:34:59 | コパー作品
3月8日はミモザの日・国際女性デー。ミモザの花をイメージしたおやすみランプを作りました。

 

イタリアではこの日、男性が女性に日頃の感謝や尊敬の気持ちを込めて、ミモザをプレゼントするそうです。この形のおやすみランプは何度も作っていますが、今回は初、葉っぱを入れてみました。こんな小さなガラスも活かすことができて嬉しいです。

黄色は自然光でもある程度色がしっかり見えます。暗がりで壁に映る黄色も良いですね。来たるイースターにも良さそうです

'23世界祈祷日(台湾)

2023-04-02 16:25:58 | 教会関係
3月3日(金)、花巻教会にて3年ぶりに世界祈祷日が行われました。今年は台湾を覚えて祈りを合わせました。



礼拝式文に、百合とランの花を用意するようにと書いてあったので、お花係の方にお願いして準備して頂きました。台湾はランの輸出が盛んだそうです。

 

テーブルを飾る4色の布は青→台湾の海、緑→台湾の山々、黄色と白→台湾の天然資源を表しています。その配色で作ったキャンドルホルダーを並べました。「最後の晩餐」のレリーフは、昔台湾の教会から花巻教会に贈られたもので、ずっと物置にしまいっぱなしでしたが今回それを思い出した方がいて久々に出しました。せっかくなので今後もどこかに飾ろうと思っています。

 

また、昔買った私のステンド仲間の作品がちょうどこの4色だったので、一緒に飾らせて頂きました。

礼拝ではオルガンを使わず、カフォンや打楽器も3年ぶりに!引っ張り出してきました。皆さん楽しんで下さったようで良かったです。礼拝後は台湾の烏龍茶とジャスミン茶をお出しして、久々に楽しい交わりの時を過ごすことができました。来年は昼食も復活できたらと思っています。

雪渡り③④

2023-04-02 15:58:37 | パネル
四郎とかん子はそこで小さな雪沓をはいてお餅をかついで外に出ました。
 兄弟の一郎二郎三郎は戸口に並んで立って、
「行っておいで。大人の狐にあったら急いで目をつぶるんだよ。そら僕ら囃してやろうか。堅雪かんこ、凍み雪しんこ、狐の子ぁ嫁ぃほしいほしい。」と叫びました。
 お月様は空に高く登り森は青白いけむりに包まれています。二人はもうその森の入口に来ました。

                                                  (宮沢賢治「雪渡り」)



しばらくブログの更新をしないうちにすっかり暖かくなってしまいましたが、この冬は、窓からしんしんと降る雪を眺めながら「雪渡り」を作っていました。3枚目からは打って変わって夜の風景です。丸いお月様は黄色のナギットで。夜間に人工照明で見ると、昼間の自然光とはまた違った雰囲気を味わうことができます。


二人もおじぎをしてうちの方へ帰りました。狐の生徒たちが追いかけて来て二人のふところやかくしにどんぐりだの栗だの青びかりの石だのを入れて、
「そら、あげますよ。」「そら、取って下さい。」なんて云って風の様に逃げ帰って行きます。
 紺三郎は笑って見ていました。
                                                  (宮沢賢治「雪渡り」)



「雪渡り」4枚目。これでひとまず今回は完結。同じく夜の光景ですが、背景の分割を3枚目とは変えてみました。



「雪渡り」4枚が揃いました。

  

昨年作った「十力の金剛石」を行灯から取り外し、「雪渡り」を入れてみました。和の雰囲気だからか十力よりも行灯に合うような気がします。そして夜の場面はやはり暗がりの方が際立ちますね。