Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ルイ・ジョゼフの誕生日

2015-10-22 00:05:54 | つぶやき

 1781年10月22日は、ルイ16世とアントワネットの第2子で長男のルイ・ジョゼフの誕生日。パリ市は王太子誕生を祝して、音楽時計や新生児用品一式を国王夫妻へ贈った。

 こちらはアントワネットと3人の子どもの肖像画。ルイ・ジョゼフは、一番右側の男の子。整った顔立ちで、幼いながら賢さが伺える。革命がなく、病魔に侵されなかったら、さぞ麗しい王太子に成長したのでは?

 ルイ・ジョゼフには数名の乳母がいた。その中の一人ボワトリングから、幼い王子は結核をうつされてしまった。

1786年4月、王子は高熱を出した。結核の初期症状だった。やがて王子の背骨が曲がるようになる。この年の10月、歩行困難になり、鉄製のコルセットを着用するようになる。

1788年1月、熱で体力を消耗。病状が急速に進行し、王子が脊椎カリエスのため、寿命が長くないことが知らされる。

1789年6月、三部会の会期中、わずか7世で逝去。ルイ16世は数日間悲嘆に暮れ、三部会の議員からの質問に立たなかった。議員は王を非難し、王は「この三部会には子を持つ父親はいないのか?」と応酬した。後にマリー・アントワネットは、「この頃、私たちの息子の死さえ彼らには伝わっていなかったのだ……」と述懐した。

 発病してから亡くなるまでの約2年、アントワネットもルイ16世も、本当につらく苦しかっただろう。息子の苦しむ姿を見て「自分と代わってやりたい。」と思ったはず。歴史に「もし~」は意味のないことなのかもしれないが、「もしルイ・ジョゼフが脊椎カリエスにかからなかったら----」フランス革命後、両親や姉弟と共にタンプルの塔に幽閉され、やがて両親と引き離され、弟ルイ・シャルル同様残酷な運命をたどったかもしれない。

 ブルボン家の歴代の王族たちは、パリのサン・ドニ教会の地下に眠っている。

これはルイ16世とアントワネットの像。アントワネットが聖母のよう。

中央左側がアントワネットの棺。

 母の棺の近くに、二人の息子のレリーフと、ルイ・シャルルの石の心臓が展示されている。これが弟ルイ・シャルルの横顔と石の心臓。

 弟と逆向きのレリーフがルイ・ジョゼフ。棺はない。ムートンで息を引き取ってから、彼の亡骸はどこへ行ったのだろう。

 原作では7歳ながら、ルイ・ジョゼフはフランスの行く末を案じていた。そしてルイ・シャルルが未来のフランス国王になることをほのめかしていた。オスカルを慕い、馬に乗ることを希望する。残された寿命が短いことを知っているアントワネットは、ジョゼフの希望どおり彼がオスカルと乗馬に行くことを許可する。

 オスカルがぽつりと「私は王妃になりそこなったぞ。」と言う。アンドレは何のことかわからない。ジョゼフの初恋の人はオスカルだったに違いない。

 読んでくださり、ありがとうございます。



8 コメント

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りら様 (marine)
2015-10-22 12:55:37
こんにちは。
ショゼフは小さいながらとても勉強家で聡明に描かれてますよね。ルイ16世も勉強家で質素と言われてましたが、王としての資質に何分欠けていたのが残念でしたね。ただ、16世が即位した時点でかなり財政難には陥っていたそうなので、アントワネット1人の浪費のせいではないですよね。
お葬式を出すお金もなく、亡骸はどこでどうしてるのでしょう?両親と共に眠らせてあげたいですね。
(ちなみに私の母も今日誕生日で、ささやかながら親孝行します、ってすみません、関係ない話で)

ブログの写真は毎回私も楽しみで、毎回ここはどこですか?と聞きたいくらいです。すみれ色の風7の写真も、ツボでした。私もまい様同様、独身の頃ブルージュのボビンレース工房を母のキルトの先生に連れられ母と見学したことがありました。お土産に買ったのは付け襟ではなくドイリーでしたが、大事にしています。まだ3月の寒い中歩き回り、カフェの暖炉の前で飲んだショコラの味は忘れられません。
写真の繊細なレースはフランスのアンティークでしょうか?ばあやの黒いメイド服の上に付けたところを想像しています。
ヨーロッパその土地により色々なレースの手法が存在しますね。オスカルのブラウスにも、ジェローデルのハンカチにも、貴婦人達のドレスにはもちろん、素敵なのが施されていたのだろうなぁ。
いつかフランスに行ったときにも、そんな部分も見られたら良いなぁ…夢は膨らむばかりですが。

まい様、お体大事になさってくださいね。お母様との素敵な旅行の思い出も、宝物ですね。
りら様も、嬉しい限りのペースでSS更新されていますし、皆様にいつも丁寧な返信も頭が下がります。ご無理なさらずに。
またまた長文失礼しました。
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子を失う哀しさ (まい)
2015-10-22 21:55:16
度々、拙いコメントでお恥ずかしいですが・・・。
りらさまの仰る通り、もしジョゼフ王子が重篤な病にかからなければ一家のその後の哀しい結末を見据えなければならなかったでしょうし、シャルルと同じように非道な仕打ちを受けたかもしれないと思うと夭折で気の毒でしたが少々複雑です・・・。シャルルは人間の尊厳を奪われたような扱いを長年された挙句の果てに失意の中で病死していきましたよね・・・罪もない子供に対してあまりに酷い仕打ちでしたね。


marineさま、お母様にお誕生日のお祝いをして差し上げたのでしょうね。孝行したいときには親は無し~突然に逝った母には思い残すことばかりで、一生この思いは引きずりそうです。どうか精一杯親孝行して差し上げてくださいね。
ブルージュも行かれたのですね!
私は11月の紅葉の時期に行きましたが運河に紅葉が映えて綺麗でした!そして、お気遣いのお優しいお言葉も有難うございます!

音楽療法ボランティアをやっているなかで素晴らしい方々と出会います。93歳の御婦人ですが、心身ともに大変しっかりされているのに壮絶な御苦労をされてきました。戦後、旧満州国から引き揚げてきてすぐ直後に、横須賀で米軍のジープに御主人が轢き殺されてしまい(敗戦国ゆえ)泣き寝入り同然だったなか乳飲み子を含む三人の男児を独りで育ててきた・・・と。その後、次男の方(当時18歳)を遊びに行った先の海で溺死で亡くし・・・この時は本当に辛かったと仰っておられました。そんな辛い過去があったとは微塵も感じられない強い素晴らしいおばあさまですが息子さんに先に逝かれた時だけは精神的に参ってしまわれたとのことで、きっとアントワネットも同じ気持ちだったのだろうと想像に難くありません。
施設の皆さんの気持ちが「前へ進めるように」と考え、昔~に弾いた「英雄ポロネーズ」を引っ張り出してきて再び練習していたのですが中断、ステロイド注射で左手が少し良くなったらまた頑張ります。
(何だか関係のない話をまた長々と綴ってしまい、申し訳ありません。)

marineさまが以前に仰っておられましたように、私も周りにベルばらの話題をする方がいないので、りらさまの素敵なブログの読者のお仲間に加えさせて頂き本当に嬉しく思います。
御返事は大変ですので今回は不要ですから~。




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marineさま (りら)
2015-10-22 23:09:22
 コメントをありがとうございます。

>16世が即位した時点でかなり財政難には陥っていたそうなので、アントワネット1人の浪費のせいではないですよね。

 そうなのです。ルイ14世がヴェルサイユ宮殿を建造した時から、借金地獄が始まり、アメリカ出兵でも多額の費用を負担。アントワネットの浪費などかわいいものだそうです。

>ちなみに私の母も今日誕生日で、ささやかながら親孝行します

 お母さまのお誕生日、おめでとうございます。どんな親孝行をなさいましたか?今日も一日、自分や家族、周囲の人々の身辺が無事に過ぎていくことに感謝---。ここ数年、自然災害が多いせいか、最近はそんなことをよく思います。

 ブログの写真は、自分がこれまで旅先で撮ったものから選んでいますが、なかなかピタッとしたものがない時もあります。実は「すみれ色の風 7」の写真は、自分で撮ったものでなく、アンティークレースのサイトから見つけました。本当はもう少し白くて素朴な感じのものを---と思ったのですが、なかなかピタッとくるものがなくて。はい、フランスのアンティークです。marineさまは、ドイリーを今も大切にしまっておられますか?とても繊細で、素敵な芸術品ですよね。今と違って機械を使わず、ひと針ひと針愛情をこめて作り上げたレース。作った女性の喜びや悲しみなど、いろんな思いが詰まっているような気がします。女性たちのささやかなおしゃれ---それがレースだったのでしょうか?貴婦人たちの肖像画を見ると、とてもゴージャスなレースが施されていて、これまたため息が出ます。

 marineさまもブルージュに行かれたのですね。まいさまも訪れたことがおありです。小さいけれどいい街ですよね。もう一度行きたいなあと思います。
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まいさま (りら)
2015-10-22 23:28:26
 コメントをありがとうございます。

 まいさま、いつでもお気軽にコメントをお書きくださいね。

>夭折で気の毒でしたが少々複雑です・・・

 私も同感です。王家の血を引く第一後継者ですから、どんな仕打ちを受けたかわかりません。マリー・テレーズが生き延びて、ウィーンに返されたのが奇跡に思えます。ロシアのロマノフ王朝最後の王女たちは皆、銃殺されましたから。

>そんな辛い過去があったとは微塵も感じられない強い素晴らしいおばあさまですが息子さんに先に逝かれた時だけは精神的に参ってしまわれたとのことで、きっとアントワネットも同じ気持ちだったのだろうと想像に難くありません。

 私もこれまで出会った中で「素敵だな」と思った女性は、実はとても過酷な経験をされた方でした。けれど表には一切そういう感情をお出しにならず、穏やかでいらっしゃる。こういう女性になりたいなと思ったものです。アントワネットは断頭台に向かうとき、フランス王妃として誇りをもってその人生に幕を引こうと決意したでしょうが、残していく幼い3人の子供たちのことは気がかりだったと察します。けれどおそらく、そんなそぶりは他人には一切見せなかったでしょうね。晩年のアントワネットは、王妃としての自覚を十分持っていましたから。

>昔~に弾いた「英雄ポロネーズ」を引っ張り出してきて再び練習していたのですが中断、ステロイド注射で左手が少し良くなったらまた頑張ります

 ショパンの「ポロネーズ」は、華やかな曲ですね。私はピアノは弾けませんので、まいさまが羨ましいです。どうかこれからもピアノをお続けくださいね。まいさまの奏でる音色に、心を癒されるお年寄りの方が大勢いらっしゃるはず。特にこれからの季節、お年寄りはなかなか外出することがないと思いますので、暖かい部屋で聞くまいさまのピアノに、ほっとすると思います。私も聞きたいです。

 いつでもコメントをお書きくださいね。
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Unknown (marine)
2015-10-23 15:17:59
去年ベルばらを再読して思ったのは、若い頃にはさらっと読んでいた場面に涙が出てしまうことに自分でも驚きました。
特にジョゼフが亡くなる場面と、オスカルがパリへ出動したとき、肖像画を見ながら将軍に頭を預けて震えて、泣いているであろう、オスカルの母の後ろ姿に涙が止まりませんでした。
子供に先立たれたり、まだ幼い子供を遺して逝かなければならなかったアントワネットの母としての気持ちはいかばかりかと推察します。
シャルルのその後も去年知り、そんな過酷で悲惨な最期を迎えたと思うと胸が痛みます。マリーテレーズも、天寿は全うしたのかもしれませんが、流転に次ぐ流転で、フェルゼンのように人を憎む気持ちが大きかったようで、幸せであったかはわかりませんね。

まい様は英雄ポロネーズを弾かれるのです!素晴らしいです。特に途中からの連打のところは圧巻ですね。力強くて大好きな曲です。
ピアノは今は娘のがはるかに上手で、私は発表会やコンクール(地区予選止まり)の、衣装を作る位しか応援できません。
音楽療法ボランティア、まい様のピアノで癒される方達は幸せですね。弾くのはセンスないですが、聴くのは大好きです。先日もNHKで、ベートーベンの皇帝をやっていて、録画してしまいました。イザークを思い浮かべて何度も聴いています。

また長くなりましたが、こちらに一緒にコメントしちゃいますが、大人の世界史、ナポレオンが冬将軍に負けて撤退した、のではなかったなんて!ほとんど認知されてませんよね。準備不足…なんとお粗末でした(^_^;)。
ギロチンも、家族はさぞや汚名?を晴らしたかったでしょう。
またまた興味深い話題をありがとうございました。
あ、それと写真の注釈もありがとうございます!
1人で長文、他の読者の方達にもすみません、ついお話したくなってしまいました。
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marineさま (りら)
2015-10-23 17:40:52
 コメントをありがとうございます。

>若い頃にはさらっと読んでいた場面に涙が出てしまうことに自分でも驚きました

 そうなのです。読む人それぞれがさまざまな人生経験を経て、「ベルばら」と再会した時、10代の頃には気づかなかったこと、あまり気にもとめなかったことが、ものすごくわかるようになってきます。ジャルジェ夫妻が、オスカルを革命の嵐に巻き込みたくないため、ジェローデルとの縁談を勧めたのは、親としてとても自然で当たり前だと今ならわかります。

>泣いているであろう、オスカルの母の後ろ姿に涙が止まりませんでした。

 そして隣で夫人を優しく抱き寄せる将軍だって、本当は複雑な思いだったと察します。将軍の立場としては、娘が王家を守る軍人として立派にその任務を果たしてほしいと願いながらも、一人の父親として、我が子が戦闘で命を落としてほしくないと思っていたはず。

>アントワネットの母としての気持ちはいかばかりかと推察します

 フランス王妃の誇りを保って、立派に断頭台に向かったものの、片時も残していく子どもたちのことは忘れなかったはずです。こういう気持ちは、10代の頃はわかりませんでした。

 marineさまは、お嬢さまに洋服を手作りされるのですね。世界にたった1枚しかないオーダーメイドのオートクチュール。お母さまの愛情を身にまとい、ピアノに向かわれるお嬢さま。母と娘のコラボによるステージは、とても心温まるものでしょうね。お嬢さまが大人になって、少女時代を振り返ったとき、とても幸せな気持ちに満たされると思います。

「皇帝」も華やかな曲ですね。つい最近開催された池田先生の歴史漫画展で、イザークが野外で「皇帝」を弾く場面の原画が展示されていました。絵から音符が飛び出してくるかのような、音が聞こえてきそうな素敵なシーンでした。

 世界史こぼれ話、面白いですよね。書店や図書館に行くと、ついついこの手の本のコーナーに行ってしまいます。marineさま、お話ししたくなったら、いつでも気軽にコメントをどうぞ。楽しみに待っております。ありがとうございます。
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りらさま.marinesama (まい)
2015-10-23 19:11:56
りらさま
お言葉に甘えて度々拙いコメントをさせて頂きますこと、お許しください。毎回律儀にお返事も頂き大変に恐縮しております。お疲れになってしまわないかと心配です。
marineさま、私も関係ない話を長々と綴ってしまっておりますので(・・;)拙い上に長文で、皆様に不快感を与えているのではないかと不安ですが、共通項が互いに沢山あるのでついお話ししたくなってしまうのですよね・・・りらさま、この場をお借りして本当にすみません。
marineさまの手作りのステージ衣装やウェデイングドレス、裁縫が全く出来ない私にとっては、まさに神の領域です!震災以降、本当に心身ともに辛いことが次々と押し寄せてきて自分の凹んだ気持にも喝を入れたくて昔に日比谷スタンウェイサロンで披露した「英雄」を再び練習していましたが(イザークと一緒で)一旦手指に障害が起きると何か違和感があり、独りよがりの演奏になってしまってもいけないので変更しようかと迷っています。聴いている人の心に思いが伝わることが一番大切ですから・・。

私も同じく、さらっと読んでいた部分を読み返すと涙してしまいます!
昔はあまり印象に残らなかったアニばらも毎週水曜日に会社から帰宅して録画を観るのが楽しみになっており(主人が第1話~ブルーレイにおとし続けてくれているので)見返したり・・・感情移入してもらい泣きしてしまうことがあります。この前はオスカルの生涯1度のドレス姿、気持ちに区切りをつける潔さと切なさが身にしみました。涙腺が緩くなったのは歳とった証拠ですかね・・・(^^;)
今日、20日発売だと、りらさまから教えて頂いた「ベルサイユのばらで学ぶフランス語」を買いました。綺麗な本ですね!これなら名台詞で気軽に初級フランス語が学べますね♥絵も綺麗ですし何十年経っても色褪せない魅力を放つ傑作だなと心からそう思います!
いつも情報をありがとうございます(・∀・)
大人の世界史おまけ編も、とても興味深いお話でしたね!
次回は簡潔に済ませます・・度々の長文、申し訳ありませんでしたm(__)m
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まいさま (りら)
2015-10-24 01:16:28
コメントをありがとうございます。
毎週欠かさず「アニばら」を録画してくださる旦那さま…いいですね。前回は「かた恋のメヌエット」でした。オスカルがドレスを着てフェルゼンと踊る回でした。いじらしいです。そこまでして、自分の気持ちにけりをつけようとする姿が。再放送終了は来春でしょうか?そしてフランス語の本をお買いになったのですね。実際に声に出したら…もっとロマンチックな気分に浸れそうですね。

長い書き込みを楽しく読ませていただいています。どうか心のままにこれからもお書きくださいね。
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