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うたのちからー和歌の時代史

2005年10月03日 | 今号いちおし
【写真】太平記絵巻ー南北朝の動乱を描いた軍記物語の大作「太平記」から、主要な場面を抽出し12巻の絵巻としたもの(歴博収蔵)
 
 佐倉市城内の歴博(国立歴史民俗博物館)では10月18日から11月27日まで人間文化研究機構連携展示「うたのちからー和歌の時代史ー」(歴博・国文学研究資料館主催、和歌文学会後援)が開催される。同博物館は昨年4月より大学共同利用機関法人人間文化研究機構に所属する大学共同利用機関(歴博以外に国文学研究資料館、国立民俗学など)のひとつとして再組織された。同機構の要覧によると「学問的伝統の枠を超えて連合し、人間文化の総合的研究拠点として形成される」とする。
 「このことにより、今回のように大掛かりな企画も開催することができるようになりました」と副館長の吉岡眞之さんは話す。今展示の目玉のひとつ「高松宮家伝来禁裏本」の一括公開も、そうした経緯から実現した。「これまでも企画の一部分としての展示はありましたが今回のような展示は初めてのことです」(副館長)。
 今年は古今和歌集編纂1100年、新古今和歌集編纂800年の節目の年。両歌集の序文に「うたのちから」についての記載があるという。今回の展示ではその全貌が歴史の流れを追って紹介される。 展示の構成は①古代の漢詩、和歌とその場②摂関期における和歌③王権の変容と和歌⑤地方領主の文芸愛好⑥宮廷文化と知の集積⑦泰平の世と文化⑧大名・民衆と和歌⑨うたの造形の9項目からなる。
 展示の中心になるのは前出の「高松宮家伝来禁裏本」。禁裏本とは天皇家の文庫に収められている書籍のこと。これらの本には和歌に関する資料が大量に含まれている。今回展示のコレクションについては2年程前からプロジェクト委員会が作られ共同研究が行なわれてきた。同展示はその中間発表的な役割も果たしている。
 このほか和歌に関連する着物、絵画、工芸品などの展示も興味深い。
 「和歌は文学作品としての役割だけでなく政治的な役割も果たしていました。宮廷の儀式にも密接な関係があり、和歌を詠む事は漢詩、漢文、音楽などと並ぶ王としての条件のひとつでした。和歌を指導する連歌師たちによるネットワークも力を持ち、地方と中央を繋ぐ重要な役割を果たしていたようです。是非ご来館いただき、このような様々な“わかのちから”を感じとっていただければと思います」と吉岡副館長は話している。

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