あろてあろあ日記

単なる日記です。特にテーマもありません。
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離婚

2006-03-24 | Weblog
『小早川伸木の恋』というドラマを見ました。

僕はこのドラマを,単なる恋愛ドラマだと思って,ふろあがりに30分ぐらい見たり,見なかった回もあったり,ちゃんとは見ていませんでした。
しかし,途中から離婚の話が出てきて興味を持つようになりました

ドラマは,簡単に言えば,孤独がゆえに夫に過剰に依存する専業主婦の妻を持つ医師の夫が,夫婦関係に疲れ,不倫に走り,最終的に離婚に至る,という話です。
このドラマでは離婚調停の場面が出てくるのですが,その中で「不貞行為をした有責配偶者からの離婚請求は認められない」「婚姻関係の破綻後に不貞行為があった場合には離婚請求を妨げられない」など,法的主張が交わされるので,興味を持ちました。



離婚が問題となる場合には,大きく分けて①双方が離婚に同意しているが財産分与や慰謝料,親権の所在など条件面で争いがある場合②一方が離婚そのものに反対している場合があります。

①については,財産分与や慰謝料にはある程度客観的な基準があるので,それほど大変ではないかもしれません。また親権も正当性を主張するしかないという意味では,やるべきことは決まっているといえるでしょう。

けれど,②の場合は大変かもしれません。なぜなら,離婚すべきかどうかに正しい答えはなく,ましてや第三者にはそのことを判断することができないからです。たしかに,結婚するときも双方の合意で結婚したのですから,結婚の維持について双方の合意が得られないならば,解消すべきかもしれませんが,そう単純にはいかないでしょう。



ただ,養育費の事前の差し押さえが認められるようになったことや,2007年からは年金の分割が認められたことなど財産面では,妻が圧倒的に不利益にならないように制度が変わってきています。また,父子・母子家庭に見られるように,夫婦関係になくても子供に対して親としての責任は果せるという考え方も広まりつつあります。険悪な夫婦の間で育つ子供への悪影響も指摘されつつあります(ドラマでもこの点が指摘されてきています)。

そうなると,離婚したくない側の代理人になった場合,無理目の主張をせざるを得なくなるのですが(ドラマでも法外な要求をして離婚をあきらめさせる,という戦法が採られている),離婚に応ずるよう説得するわけにもいかず,ちょっと困ってしまうでしょう



離婚事件は,法的理論を主張する話ではないので弁護士ではなくカウンセラーなどがやるべき仕事だと言う人もいるし,客観的な基準がない場面だからこそ弁護士が関与していくべき仕事だと言う人もいます。

先日,ある番組で,離婚したいが子供が成長するまで我慢し,年をとってから離婚するという,いわゆる熟年離婚を問題にしていました。その中で,欧米では,離婚するような夫婦は我慢などせずにもっと早く離婚してしまうので,熟年離婚ということは考えられないらしい,ということが紹介されていました。キリスト教の影響の強い欧米ですらこうなので,日本も変わってきているのかもしれません。

いずれにしろ,結婚するときに弁護士を立てて交渉するということがない以上(そのうち婚姻条件をめぐって,そうなるかもしれません),離婚事件というのは法律家が法制度としての夫婦・家族の問題を考えられるよい機会なのかもしれません