AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です。フィラリアについて

2017-08-14 14:09:27 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。
今日はフィラリアについて



現在は蚊が真っ盛りの夏ですので、もし、予防していない方は早めに動物病院へ



ワンちゃんを飼っている方はたぶん一度は『フィラリア』という言葉を聞いたことがあると思います。
また、ネコちゃんを飼っている方でも「フィラリアくらい知ってる」かもしれません。
ですが、基本だからこそ一度知識を再確認する意味でも読んだほうが良いかと思います
なぜかというとフィラリア予防をしていてもフィラリアに感染するワンちゃんネコちゃんが居るからです( ;゚Д゚)


ニャンテこったい
◎ 先ずはフィラリアの生活環について
フィラリアの成虫は心臓もしくは肺に向かう血管付近に寄生して、腸管から吸収され、肝臓で代謝された栄養豊富な血液から栄養を摂取して生活しています。メスの成虫は1日に2000~3000匹の仔虫を血液中に産みます。
この仔虫をミクロフィラリアといい、動物病院ではフィラリアに感染しているかを調べるときはこのミクロフィラリアが血液中に居ないかを検査します(成虫抗原を調べる病院もあります)。
ミクロフィラリアはワンちゃんの体内では成長できず、ワンちゃんが蚊に血を吸われ、蚊の体内に入ることで初めて成長することが出来ます。
蚊の体内で2回脱皮したフィラリアは蚊の吻に移動し、次にワンちゃん猫ちゃんの血を蚊が吸うタイミングを見計らい、血を吸っている間に動物達に感染します。
蚊から再び動物達に感染したフィラリアはすぐに血液中には戻らず、筋肉や皮下の組織で成長し、2か月ほどで血管内に戻り、成虫になります。
フィラリアは成虫の状態で通常8年ほどの寿命といわれております。
そしてフィラリアは哺乳類すべてに感染します。ネコちゃんではフィラリア感染により心臓内の血流が異常になってしまいショック死するような症状を起こすことも知られており、やはり予防が重要です


「イラストでみる犬の病気」より

ここで重要なのは

① フィラリアは蚊が居ないと成長できない。
② 感染して約二か月で成長する。
③ 成長したフィラリアは血液中に大量の仔虫を出す。
④ ネコちゃんもフィラリア予防が必要。

といったところでしょうか。

◎ 次にフィラリア予防薬について。
予防薬と書いてありますが、これは実は駆虫薬です。
ノミやマダニの予防薬は1か月~2か月体内で働き、ノミやマダニが感染したらその都度退治してくれますが、内服するタイプのフィラリア予防薬は1日程体内で働き、その間に血管内にいるフィラリアの仔虫を退治します。つまり、効果は1~2日程度と考えてください。
つまり、1か月間は蚊が刺した場所からフィラリアが感染していますが、これを月1回駆虫しているのです。
フィラリアが大人になるとお薬で殺すのは困難なので、成長する2か月以内に駆虫―ということで月1回が定着しています。
なので裏を返せば、月1回を少し過ぎても予防は間に合うということです。

現在では注射すると1年間効果のあるものや、スポットオンタイプのフィラリア予防薬としてレボリューションなどもあるのですがレボリューションの効果も1か月以上は保証しておらず、定期的な予防(月1回)を推奨しています。
1年間効果の続く注射に関しては使用した感ではワクチン接種よりワンちゃんが痛がるように見受けられました。
でも、年に1回の試練と思えば…

また、1年間効果がある注射は裏を返せば副作用が出ると副作用の種類によっては治り難い可能性があります。
正に一長一短ですね
ちなみに私も今年に入って年1回のフィラリア予防の注射も何十件か打っておりますが、今のところ重大な副作用は見たことはありません。

ネコちゃんは注射よりスポットオンがお勧めですホッ
◎ 次にフィラリアの検査について
こちらも動物病院の説明不足で理解されてない方もいるようですが、フィラリアの検査は大きく分けてミクロフィラリアが居ないか顕微鏡で確認する検査と、フィラリアの成体やミクロフィラリアが持っている固有のたんぱく質がないか検査する方法があります。
勿論、後者の方が検出率は高いですが、100%ではありません。
末梢血液にたんぱく質が出てくるのにはフィラリアがそれなりに寄生していないと検出できない場合もあります。
また、検出キットは目視で行うため、客観性が少し失われてしまうのです(-_-;)

自分の体験でもうっすら陽性とかこれをどう考えれば…という症例に当たったことは何度もあります

ですので、もしフィラリア予防を数か月忘れてしまった場合は

① 今年始める前にフィラリア検査(検査キットを使う)を行う
② 陰性だった場合は『現在大きい成虫はいない』んだと考え、予防を開始する
③ 来年フィラリア予防の時期にもう一度検査(検査キットを使う)して、陰性であることを確かめてから予防を始める。

が適切だと思います。
予防薬では成虫は駆虫できないことをついでに覚えておいてくださいね(o^―^o)


また、フィラリアの予防は蚊が居るかいないかがカギとなります。
なので、「5月末から12月末まで飲ませれば大丈夫と言われた」とか、「自分は蚊に刺されていないから家に蚊が居ない」というのはしっかり予防できない可能性があり非常に危険です

昨今の温暖化により最近では冬にも蚊が飛んでおりますし、地域によっては年中蚊がおりますので、ご家族が自分のいる地域をよく観察して予防期間を決めましょう
ちなみに高層階マンションに住んでいても蚊は人とともにエレベーターに乗ることがあります

なので、予防は

『蚊が出てから1か月後に初めて、蚊が居なくなった1か月後まで予防する』

と覚えましょう(^▽^)/

細かい部分が十分書けてないと思いますので、ご不明な点はかかりつけの病院などに聞いてみてくださいね。
今日はこの辺で失礼します。次回は何を書こうか…いろいろありすぎて困りますがリクエストあればメッセージくださいませ。

こちらもフィラリアについて簡単に書いてあるのでどうぞ
IRISアイリスペットドットコム https://www.iris-pet.com/wan/special/20120701/
ゾエティスフィラリアドットコム https://xn--cckbas0g1a1d0guhka.com/

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