AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です。本日は眼の健康について。

2017-09-02 17:30:21 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。本日は眼の健康・予防についてお話ししたいと思います。
眼の大きなワンちゃんや鼻の短い猫ちゃんと住んでいるご家族は下のようなお悩みを持っている方が多い気がします



① 年齢を重ねるごとに涙やけがひどくなった
② 眼がすぐに赤くなる
③ 最近目を痒がる
④ いつも目の周りが濡れている
など

これらの症状の一因として、眼瞼(まぶた)の問題があるかもしれません。
そしてそれは日々のスキンシップにひと手間加えるだけで劇的に改善されることもあります

先ずは眼の構造を見てみましょう。



上記は眼の断面図です。
眼の表面や眼球は周囲には栄養を細胞の老廃物を運搬する血管があっても、ものを見る部分には血管がありません。
でも角膜などは生きた細胞で構成されてます。
それなら栄養などはどのように取り入れているのでしょうか。
答えは

そう、涙です




わかさ生活研究所より http://kenkyu.wakasa.jp/sp/hitomi/sickness/dryeye.php

涙は体液成分が流れており、角膜表面に付いたごみなどを落とす、細菌感染を防ぐなどの作用以外にも細胞に栄養を与え、老廃物を流す作用があります。
涙は涙腺で産生され、鼻涙管を通って鼻水などになります。

この涙ですが、水分であるため、眼の表面から鼻の方向つまり上から下に流れ落ちることはできても、眼の表面でとどまり続けることはできません。眼球表面に涙をとどめておくには表面張力の低い油の層が必要になります。





わかさ生活研究所より http://kenkyu.wakasa.jp/sp/hitomi/sickness/dryeye.php


この油はまぶたの裏側にあるマイボーム腺という場所で産生され、眼球の表面に分泌されます。この油のおかげで眼は水分を保てるのです。
しかし、瞼の炎症や、マイボーム腺が詰まってしまう(マイボーム腺梗塞)と油が目に供給されなくなり、涙が目に留めておけなくなってしまいます。
結果、眼の表面が乾いて、角膜の細胞は弱くなり、傷つきやすくなります。涙の防御機能がなくなれば細菌は感染しやすくなり、少しのことで眼の表面が傷つきやすくなってしまうのです。
この状態が一般にいうところの『ドライアイ』です。



人の場合は涙の産生が抑制されたり、瞬きが少ない場合でも起こりますが、ワンちゃんネコちゃんは眼瞼炎やマイボーム腺梗塞が良く起こります。
眼瞼炎の原因は感染症やアレルギー、外傷などが多いと思いますので予防は難しいですが、毎日顔を見てあげると変化に気付き易いので注意してみてあげてください
マイボーム腺梗塞は油が流れずに固まっているだけのことが多いため、温めて溶かしてあげると出るようになります。



では、方法は?
マイボーム腺の油分は40-42℃程度で溶けるため、人肌くらいの蒸しタオルをまぶたにあてて、ゆっくりと上下に揉んであげます。
これを『眼瞼マッサージ』と呼んでおります。
毎日2回(朝、晩)、1回15分程度やってあげると見違えるように涙やけや流涙が改善されることがあります



しかし、飼い主様が見逃している病気や傷、感染などがあるといけないので、まずは動物病院で健診を受けてくださいね。



次は歯科か定期駆虫について書こうと思っております。
また、相談したい病気などについてご要望がございましたらコメント等いただけたらと思います。
今後ともよろしくお願いいたします
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