戯言

萌えやら呟きやらたまに更新記録も混じる無駄口日記
現在ジャンルが雑穀米

オーラス

2010年07月03日 | さらい屋
 作画は常に安定していたけれど、最終話は輪を掛けて美人イチさんのオンパレード。
 スタッフの本気度が半端ないさらい屋五葉最終話。箇条書きde感想参ります。


 ・ 遂に八木殿がイチさんに接触を図ってきたでござる
 ・ 台詞の前にサブタイトルを出す変則技
 ・ 店の外に置かれた樽を卓代わりに差しつ差されつ
 ・ 後のオープンカフェである
 ・ 「大きくなった誠之進と、酒を酌み交わしたかったもんだ」
 ・ 八木殿はイチさんが誠之進だと気づいていて、イチさんも八木殿の正体を知っている
 ・ お互い相手を知っているのに、初めて逢った者同士のように進む会話
 ・ 今まで斜に構えて聞いていたイチさんが、八木殿が使用人弥一の死を怪しんでいた事を仄めかすと、八木殿が席を外した隙に居住まいを正すのがなんとも興味深い
 ・ 正面から受け止める気になったのか
 ・ あの時御懐妊した子も結局死んじゃったらしい
 ・ 今まで自分が持っていた記憶と異なる八木殿の話
 ・ 内堀からも外堀からもどんどん希釈されていく使用人弥一の裏切りの実態
 ・ 「家に帰っても弥一が守ってくれる」と当時は思っていたけれど、子供だった自分が考えるより事態はずっと劣悪だったと
 ・ その証拠に、誠之進が戻らなくても弥一は消された
 ・ イチさん足元覚束ない
 ・ これはもうふらふらじゃない、ぐらぐらだ。否よろよろだ
 ・ 凄まじく痛々しい
 ・ 酒にやられたというよりは、八木殿が語った事実(弥一は殺されたんじゃないかとか、三枝家が潰れたとか)に打ちのめされたように見える
 ・ 「なんだか昔の事でも考えてるみたいな」
 ・ 鋭いなお絹ちゃん
 ・ 松が来た時の梅の含み笑いときたら
 ・ ほぉ~ら来やがった、とでも言いたげな
 ・ そういや二度と来ないとか言ってねかったか(笑)
 ・ 「おめえもイチが心配でやってきたクチか?」
 ・ 「イチさん? …別に」
 ・ この期に及んでまだツンデレラ
 ・ 口ではどう言おうとどいつもこいつもイチさんが心配な面々なんでござる
 ・  松が政に夜這いを
 ・ いつもはイチさんの部屋直行便な松が珍しく政の部屋に
 ・ 「イチさんが居ねぇから、待ってた」
 ・ なんというわんこ
 ・ これが桂屋の店裏でなく渋谷駅前だったらまんまハチ公だ
 ・ 松はほんに健気よのぅ
 ・ 志村ー! 後ろー!
 ・ 二度目の邂逅は橋の上で
 ・ 「紋次の奴が死んだってな。殺ったのはおめえか」
 ・ マジでsky!
 ・ 兄貴分を次々に手に掛けてきたってわけですかイチさん
 ・ 「おめえの家の使いの者な、弥一なんて名前じゃあなかった」
 ・ ななななんだってぇええええ!!
 ・ 誠之進が拐かされてから十数年後に明かされる超絶でっかい種明かし
 ・ 使用人弥一の裏切りが喉の奥の小骨のようにずっと引っ掛かったままだったので、呆気なく取れてよかったような「そんな単純な!」とツッコミ入れたいような
 ・ 種ってのは明かされてみるとな~んだというオチなのは世の常で
 ・ でもよかった、弥一は最後まで誠之進の一番の友だったんだ
 ・ イチさんが重い重いと背負っていた「過去」は、実は重さは半分だったという事実
 ・ 誠之進にとっての命綱(=使用人弥一)を切っておかないと、この子は間違いなく家に戻って殺されると懸念しての嘘だったと
 ・ 言うなれば、生かすための嘘
 ・ でもそれによってイチさんは人生狂わされたわけで
 ・ 無表情で首チョンパし、自分と同じ境遇の子を求めて拐かしをするようになったわけで
 ・ そうして遂には仁をもその手に掛けたわけで
 ・ 因果やねぇ…
 ・ っていうか何となく仁はイチさんに「殺されてくれた」ような気がする
 ・ 端から死ぬ気だったというか
 ・ もちろん一味を壊滅させた裏切り者には違いないんだけど、誠之進がそうするに至るバックグラウンドが理解出来てしまうというか
 ・ そいつを作ったのは自分だと解っていたというか
 ・ 償い、だったのかも
 ・ 梅もそうだったけど、この人も根は善人なのかもしれん
 ・ あーなんかこの人からはヒョーゴさん臭がする(笑)
 ・ 彼にとっての「けじめ」はつけられたのだろうか
 ・ イチさん、弥一との対面
 ・ やっと、泣けたね
 ・ だがイチさんが政の膝に縋って泣き出した時にゃ気恥ずかしさのあまり首筋掻き毟りながら夜空に向かって吼えたくなったのは私だけでいい
 ・ 政はホントにツンデレブレイカーだな
 ・ それにしても雪の中一重の着物は見ているこちらが寒くなる
 ・ 「さっさと入って来ねぇか鬱陶しい」
 ・ 確かにこんな図体のでかい男が戸口にぬぼーっと張り付いてたら鬱陶しいことこの上ない(笑)
 ・ 「年が明けたらつとめをしたいとイチさんが」
 ・ 五葉解散フラグは頭目自らへし折りました
 ・ っていうか今は年末だったのか
 ・ 「あっし等に、手伝ってくれるかと」
 ・ おお、イチさんから折れてきた
 ・ 「らしくねぇ」
 ・ 字面だけで見ると今まで松が再三口にしていた台詞と全く同じだけど、言い方一つでこんなにニュアンスが違って聞こえるとは声優さんグッジョブ!
 ・ イチさんに面と向かって言われた時の松の顔を見てみたかった
 ・ 一見無表情だけど、よ~っく見てみるとものすごい複雑な表情をしていそう(笑)
 ・ イチさんは「こうありたい」という自分なりの理想像を仮面として被っていたけど、松も松が思い描く「理想のイチさん像」が確立されているような気がする
 ・ でもまぁどんなイチさんでも松はついていくと思うけどね!
 ・ 日本犬は一度主と決めた人間にはとことん尽くすのです
 ・ 八木殿に梅の店常連フラグが
 ・ 八木殿が店に入ってきた瞬間、背中の毛を逆立てる猫みたいな反応をする松竹梅がまた(笑)
 ・ この先銭形警部とルパン一味のような関係になるってことでしょうか
 ・ 石灯籠の前でへたり込むイチさん
 ・ んん? その石灯籠は確か一話で政が…
 ・ と思ったら団子キターー!!
 ・ 「腹が減っていれば、何だって美味いでござる」
 ・ 一話の出会いの場面とシンメトリー
 ・ なんというニクイ演出
 ・ 差し出された団子に食らいつくのがイチさんなりの返事なのかもしれない(なんというツンデレ)
 ・ うん、腹が減ってると人間ロクなこと考えないからね
 ・ 団子で始まり団子で終わる
 ・ 綺麗に纏まった最終回でござった
 ・ ちょっとラストがホモホモしくもあるが(笑)
 ・ 話のオチが四畳半とピッタリ被っているのは、狙ってのことでござるかアニメスタッフ
 ・ EDの後に「さぁ~て来週の…」がないと何とも寂しい


 一見何の共通点もない正反対の人格をもつように見えるイチさんと政。でもそこに徐々に「過去」という共通項が見えてくる。イチさんにとっては忌まわしい過去の記憶。そして政にとっては不甲斐ない過去の自分。それを対比させながら進めていくストーリー運びは出色でござった。
 両者にとってどちらも決して振り返りたくないもの。
 片やそれに蓋をして、片やそれに押し潰されていたと。
 でも政は過去の情けない自分を思い出しては凹んで悩んで自己嫌悪に陥って穴掘って埋まって、それでも眼を逸らさなかった。逃げなかった。逃げずに直視していたからこそ「あああ…」と頭を抱えることになり、それがヘタレに見えていたわけだけど。
 思い出したくない過去に蓋をしてその上に虚像を立てるか、直視して凹むかの違い。
 一見余裕綽々で何があっても柳のように受け流せるイチさんが実は精神的に脆い人間で、野暮でヘタレで何をやらせても駄目な子代表みたいな政が実は剣の腕同様秘めたる強さを持っていた。
 イチさんと政の精神的立場はいつの間にか逆転していたと気づいた時、何や訳の解らん鳥肌が立ちました。原作者すげえ。特にこの「いつの間にか」というのがすげえ。
 何か大きな事件があって政が覚醒するんじゃなく、徐々に徐々に二人の内面的位置関係が露になっていくっていう表現方法は圧巻。(だって当初はどう見てもイチさんが主役だったもの/笑)

 そんなもやもや~っとした立ち位置が、前回イチさんが政に煙草盆を投げつけた辺りから完全に入れ替わったように見えます。
 鈍臭くてKYで野暮天のくせに妙に勘だけは鋭い政は、イチさんの触れられたくない過去に触れ、隠していた心の奥底を暴き、ピンポイントで核心ばかりをグサグサ突いて来る。イチさんから見たら鬱陶しいを通り越して憎悪さえ抱くだろう。
 面白そうだからと拾った馬鹿で気弱で臆病な野良犬は、実は犬なんかじゃなく狼でしたよ的な。純朴で優しく真摯だけど、狼の持つ牙は確実にイチさんの急所を捉えているよ的な。
 そして今回のラストシーン。
 一話で見せたイチさんと政との出会いのシーンを、配役を逆にして完全にコピーする手法はすごい!
 導く側と導かれる側との逆転。

 さらい屋五葉は、政とイチさんの逆転物語であったか。
 いやでも個人的には「逆転」っていうのとも違うような気がしています。政が目に見えて成長したのかといえば、それもちょっと違うように思えるので。
 政は最初っから空気の読めない野暮天で、今もやっぱり野暮天で、相変わらず気弱で要領が悪い。そのくせどうしようもないお節介。でも野暮ってのは言い換えれば普通なら言わずに濁しておくものを本人目の前に堂々と口にできちゃうってことだから。
 変わったんじゃなく、本来の政が見えてきた感じに近いんじゃないかな。遊女のお姉さんの言葉を借りれば、「先生は元からああだよ」。
 政は元から強かった。
 強いからこそ眼を逸らしたくなる過去ともがっぷり四つに組めた。四つに組んで惨敗してたけど(笑)。
 でも逃げるのと負けるのは違うから。

 強面で口が悪くて一見粗暴な男に見える梅が、つきあってみると根は善人なんだと解ってくるように、人の情なんかとは乖離した冷徹な人間に見えた松が、実は人一倍義理堅い男であったように、気弱でひ弱で完全負け組に見えた政は、内面的にも剣術的にも確たる強さを持っていた。そして、常に悠然としていて全てお見通し何でも出来ちゃうスーパーマンに見えたイチさんも、本当は悩みもすれば迷いもするしへこたれたり怒ったり泣いたりする普通の男だったんだと。おたけさんは相変わらず謎のままだけど。(もうおたけさんはこのままミステリアスな女を貫いてくれ/笑)
 何かが急に変わったわけじゃない。いきなりレベルアップしたわけでもない。その人が元から持っていたけど見えなかった(隠していた)ものが、顔を出したに過ぎないんじゃないかな。
「長い付き合いになるといいな」ってイチさんも言ってたじゃないか。時間を掛ければ見えてくる、「人柄」ってやつさね。

 この世の不幸を一人で背負い込んだように重い重いと喘ぐ。その重さのせいで周囲からの手が見えてなかったんだろうな、イチさんは。
 自分の周りには仲間が居て、仁や弥一や姐さんやその他色んな人たちに自分は生かされてきて、過去にあったこと全てが無駄じゃなかったと気付けた時、そこで初めて「今を生きる」ことができるんじゃないか。
 過去に囚われていた可哀想な子供は、ようやく一歩前へ踏み出せた。と考えていいんですよね。

 多分政以外の他の面子は、何もなかったように今までどおりイチさんと接していくんだろう。皆空気の読める大人ばかりだから。
 梅は相変わらず憎まれ口を叩いて、松は今までどおり寡黙で忠実な走狗に徹して、おたけさんはイチさんの一番の理解者であり続けるんだろう。そんで政は下手に慰めようとしたり「雨降って地固まるでござるな」的な発言をしたり「そういえばあの時」と蒸し返したりして皆に野暮だと言われるんだろう。
 そんな未来を匂わせてくれた綺麗な最終回でした。
 毎回半端ねぇクオリティを持続させてくれたスタッフに感謝。


 嗚呼、終わってしまった……。


 取り敢えず原作とサントラは買います。
 アニメのサントラに手を出すのは、おサムライとモノノ怪に続いて三作目ですよ(笑)。
 和楽器って、いいよね。


+++


 四畳半もブラボーな最終回でした。
 伏線の回収率と回収速度とその手腕に感嘆しつつ、「米が喰いたい」に激しく反応。
「小津! 小津! 小津ぅぅううううう!!」(ロングジャンプ)で不覚にも落涙しそうになり申した。
 マッパ男と女装男というどう見ても変態コンビの所業のくせに、此れは一体どうしたことか。
 それにしても、真夏の濁点一文字がこの世で一番恐ろしい人種にとっては拷問のような演出でございました。
 ぎょえええええええええ!!
 も、もちぐまを、にぎにぎさせてくれ……。


■■■


 >B杷様
  だから拙宅で「レス不要」は通じないんだって(笑)。サッカーの背中のアレ、気になりますよね! 多分どのチームも構造的には同じようなユニフォームを着ているんでしょうが、日本のブルーのユニフォームはあのラインが殊更はっきり見えました。(今ドイツvsアルゼンチン戦を見ていますが背中のラインはよく解らない) おサムライは2004年の作品だから、もしもその頃からこれを見越してのデザインだったらとんでもない先見の明ですな! 個人的にはキュウは疲労困憊になっても疲れている事に気付かず動き続けて、限界を超えるとパタッと倒れて動かなくなるようなイメージです。信号出せや。 さらい屋さん、レンタルで是非どうぞ。でゅらららも機会があったら見てみたいです。流血多しと聞いたらもう(笑)。


 拍手のお侍様方も有難うございました。おサムライももしも1クールだったらカンナ村決戦のところで終わっていたかもしれない。ヒョーゴさんなんて端から省かれていたかもしれない。きっとそうだ。多分そうだ。間違いなくそうだ。尺の余裕って大事だな。


 愛のツッコミございましたら→ 別窓でメールフォーム開きます



最新の画像もっと見る