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nonfiction in fiction

豚×蚊 #005【2015.11.27】終わりまして。by:松本隆志

2015-11-27 05:12:04 | 【24】AMP THE CLASSIC:001「豚」×「蚊」
『豚にも程がある』×『蚊の子は水に湧く』、無事に終演しました。

自分としても整理する為に直接頂いたりアンケートにあった質問にお応えしてみようかなと思います。
所謂ネタバレですので今後の上演を楽しみにされたい方はスルーしてください。









すぐ目に入ってしまわない様にちょっと下のほうから始めます。































■豚、時間軸が前後し続ける。
今回の2演目に限らず、私が書く演目は場所や時間がよく飛びます。
あえて空白を作って観客の想像を掻き立てたいというのもありますし、書く必要があると思った部分しか書いてないです。
「豚にも程がある」はこれが殊更に顕著。簡単に分けると8つの場面で構成されていて、場所と時間軸を並べるとこんな感じ。

A:自宅・時間軸②
B:トルティーヤの店・時間軸①
C:トルティーヤの店・時間軸③
D:自宅・時間軸④
E:自宅・時間軸⑤
F:屋外・時間軸⑦
G:自宅・時間軸⑥
H:屋外・時間軸⑧

これだけ色々と飛んでいながら劇中での暗転は中盤に1度のみでした。
誰でも上演が出来る様にWEB上でも脚本を公開している中、今作は使用希望の連絡が全然来ません。
「その度に暗転して場面転換するのが大変だ」と思い込んで使用を避けられているのかなぁ。


■豚、最初からずっと真琴だった。
大介と真琴の二面性をもっと明確に打ち出すべきというお言葉を頂きまして。
これに関してはですね、もっと明確というか、そもそも劇中では一面しか出ていなくて。
要は最初からずっと真琴が大介の振りをして、感極まると素が出ていただけの状態です。
なので初めてあみんごすと会った時はちょっとぶっきらぼうでした。

私は中高生当時に快楽殺人とか自殺の仕方とか精神医学とかの本を読み漁った人間で、
創作物で人格の入れ替わりが都合良くキャラ扱いされる作品が好きではなくてですね。
(「ビリー・ミリガン」シリーズなどを読みました。「多重人格探偵サイコ」は好き。)

物語はフィクションといえど実在する症状ですから、あまりネタっぽくはなりたくない。
なので要素として入れただけで、大介と真琴の入れ替わり自体は見せ場にしませんでした。
亜美とあみんごすは完全にネタ。有り得ないもん。実際に同じ症状で苦しむ人いないもん。

ちなみに役名は、久慈亜美(くしゃみ)・あみんごす・関大介(せき)・関哲哉(せき)。
大介と哲哉は、師弟関係にある作編曲家の浅倉大介さんと小室哲哉さんから拝借。
真琴は、浅倉さんの多くの曲で作詞家としてクレジットされている麻倉真琴さんから。
浅倉さん本人もしくは本人を含めた連名ペンネーム説が20年以上ささやかれています。


■豚、西さんがモテまくった。
あみんごすを演じた西さんは直近1年半の間にAMPで5公演に出演。
短編集が多いから演目ではこれで10作品目で、一部のAMP劇団員よりも多い。

以前に行った2回の上演ではそれぞれ味わいの異なる熟女を配役しました。
いずれは男性でいこうと思っていての今回。任せるならこの男しかいない。
正直一番オイシイ役なので、これまで貢献してくれた人に花を持たせたい。

結果、得るべきものを得てもらえたかなという感じ。
若い女の子にとにかく好きだと告白をされ、その場で演出家にオファーをされ、
西さんの昔からの芝居仲間の方々からもとても高い評価。←これホント最高。

次回「パッションモンスター」にも出演してもらいます。
そっちは全くモテない役です。


■豚、作家以外の劇団員が命名。
初演時には公演情報ページに小さく「Titled by 藤川英希」とクレジットがあります。
家業を継ぐ為に地元に戻った20年間休団中のAMP劇団員です。

初演では草案が出る前からあみんごす役(グローブ座で主演経験者!)が出演決定済みで、
コントっぽいおばさんも合う方だったのでとりあえず下品な役をやらせようとしていました。
藤川と電話であれこれと下品な話をした中で彼の口から出たのが『豚にも程があるよね』。
印象的なフレーズだったのでそのまま命名。

今回の会場だったアトリエTANTOO。トイレ前の棚の上に豚のおもちゃが3体ありました。
稽古場使用を始めた2年前から何故かずっと置いてあって、待ってくれていたんですかね?


■蚊、演出はこっちのほうが大変。
こちらも暗転がないまま劇中で場所が多数出てきます。
ファミレスなんだか喫茶店なんだか何かの店、女性の自宅、産婦人科、医者の自宅。
そしてこちらも劇中での暗転は1度。

豚に比べると肉体的なアクションが圧倒的に少なく、会話劇としての純度が高め。
(豚とっていうか、あっちで動いてるのもほとんどあみんごすだけなんですけど)
動きの緩急が入って来ないとなると、如何に役者を見て聞いてもらえるかが命綱。

台詞ニュアンスを単語単位で指定した上で動作や停止も指定がありました。
「首の角度を動かさないで」とか「ここではまばたきをしちゃダメ」とか。
鑑賞作品だからといって演劇はただやれば観てもらえて当然ではないので、
やる側が集中した見せ方をしないと観る側の集中力をむしろ削いでしまう。

「気持ちで頑張る」とか「まずはやる側が楽しむ」とか、ではないですね。
練習ではなく稽古をしているので鍛錬して積み重ねた技術を披露するのみ。

ああ、信念の話になってしまった。

ざっくり言うと台本上の文字情報としてはメリハリが少ない作品なのです。
初演時に稽古の参加率を鑑みて書いた為、劇中は二人ずつの会話が続きます。
そのままただ交互に台詞を重ねるだけでは温い押し問答になるだけで終わる。
三人なら会話は膨らみやすいものの、二人で往復するだけでは変化がない。

台詞の表現にバリエーションを付けていかないと難産な演目でしょうね。
これも今後の上演希望が来なそうな気がしています。


■蚊、今回用に2バージョン書いた。
キャスティングを終える前、医者役を40代(西さん以外)想定で書いたバージョンがあります。
その場合、妹の今の彼氏&友達の高校時代の相手&主人公の結婚相手、という立ち居地。
近しい間柄で何やってんだ、そんな事しながらよく地元で医者やってんな、などと思ったり、
結局オファーを出していた40代の方々がことごとくスケジュールNGで岡田に合わせて20代に。

合わせて、上演版にも登場した医者の母親と、友達が養子に出した子の話。
物語の構造上、終盤で大きな意味を持たせたければ伏線を明確に張ったほうがいいのですが、
想像力次第でどうとでも捉えてもらって構わない緩い可能性を残しておいたりもするのです。
これに関しても医者の母親が今の家庭で引き取ったのがその子。かも、しれません。


■蚊、下ネタって全て下品なものですかね?
国や宗教によっては厳戒な扱いを受けていたり、昨今はジェンダー問題が多様化していたり。
人前で下ネタを口にするのは相当なストレスの表れとtwitterでRTされたりもしていますね。

私自身は22歳くらいまで下ネタを口にしませんでした。恥ずかしくて。いや、マジで。
酒もタバコもやらないので無礼講な場でテンションに任せて物言う機会がほとんどなく。
(でも高校時代に「ダンシング・ブレイド」というゲーム名がエロいと指摘した記憶はある)

年齢を重ねてから気付くのです。
育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない♪ そして、通じる話題にも差がある。
それを下ネタは軽く乗り越えてしまうくオーバーザワールドなジャンルにあるのだと。
だから若い世代との話題が見付からない上司は下ネタを口にして嫌われるんでしょう。

性というか肉体に関する事ですから、誰の身にも当てはまる話題に思えます。
でも脳科学や欲というもっと細かい観点で見たらそうでもないと気付くのですが。
性欲がないのは生物として問題があるなんて言っていられたのは、もう過去の話。
その辺りを話し出すと戯曲が1本書けるだけ語れてしまうので、今は一旦保留。

自分が性に対してどれだけ正確な知識量か、あまり他人と答え合わせはしない。
結果、妊娠するしかないと思って行動したあの女性は「種ください」へと到達。
真剣な人ほど思い詰めると何をしでかすか分からない。でも本人は本気なのです。

「空気に触れるとすぐ死んでしまうので…」は、事実にちょっと脚色しています。
空気に触れて乾燥すると死にます。保管さえ適切であれば発芽の可能性はある。


■蚊、妹役の花菜さんが中学生っぽいと好評。
本人が中学生でしたからね。
私がテアトルアカデミーで受け持っている生徒です。

稽古中に「先生、処女って何ですか?」と聞かれ、なんかちょっと嬉しく。
(先生が中学生にその言葉を聞かれて答えるプレイを楽しんだのではない)
今の中学生世代はその種の言葉を既に知っているかもという諦念が先にあり、
ああ、これからでいいよ、時間を掛けて大人になればいいよと思ったのです。

当初は台詞にあったから正確でいてやましくない程度に教えたのですが、
その後で周辺の演技に調整が入ってカットする事になったのですけれど。

お父様、お母様。結果的にお嬢様に余計な知識を与えてしまいました。
花菜さん、本当に必要になる時まではあの役柄みたいに焦らないでね。



[公演情報]

豚×蚊 #002【2015.11.19】会場までの道のり。by:制作部

2015-11-19 00:00:00 | 【24】AMP THE CLASSIC:001「豚」×「蚊」
会場のアトリエTANTOOは日暮里舎人ライナー『扇大橋駅』から徒歩2分。1つしかない改札を出ると左手に見える『すき家』を左折。


曲がるとすぐ『細長いビル』が見えます。その正面に設置された『自販機』の先の階段を降りれば到着。




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豚×蚊 #001【2015.11.01】けんがく。by:岡部あおい

2015-11-01 23:49:24 | 【24】AMP THE CLASSIC:001「豚」×「蚊」
AMPコント公演以来の日記です。お久しぶりです、らすかるです。

本日は、来る11/21~11/23に公演が行われる「豚にも程がある」「蚊の子は水に湧く」の稽古を見学させて頂きました。

どちらも再演ですが、今回はキャストががらりと変わっており、AMPの風味を失わずに新しい味が楽しめます。

真剣に作品と向き合いつつも和やかなコミュニケーションを失わない空気が、楽しすぎてうっかり稽古に混ざりたくなりますね!
そのくらい、とても愉快な座組でした。

是非是非、多くの方に観ていただきたい作品二本立てです。
冬の気配を纏う11月下旬は、どうぞ、アトリエTANTOOまで、足をお運びください。




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