アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

将軍家綱漫遊記 四

2020-10-10 09:41:58 | 漫画




将軍家綱
「首座殿が佐倉領民に謝る事になった」
「これで、惣五郎との約束も叶ったから
儂はまた旅に出ることにするぞ」

綱吉
「綱吉も連れてってよ」

将軍
「直ぐまた帰ってくるから
良い子にして待っておれよ」

綱吉
「んん」
「早く帰ってきてね」

将軍
「それから、小僧!」

小僧
「へい」
「突然、江戸に呼ばれたので驚いています」

将軍
「お主はこれから儂の代わりに将軍と成れ」
「もし、争いが有れば
家老の指示に従って速やかに逃げることじゃ」
「良いな」

小僧
「へい」
「あの?」
「私が将軍ですか?」
「将軍は何をすれば良いのでしょうか?」

将軍
「城のなかで安全に過ごすことじゃ」
「お主に仕える小姓には何でも言い付けるが良いぞ」
「後は、政務と学問、剣の鍛錬じゃ」
「好きなように過ごせばよい!」

小僧
「掃除や薪き割り、買い物や商品の持ち運びなどは
しないのですか?」

将軍
「そのような事はしてはならん!」
「儂が帰るまでじゃ」
「暫くの間、将軍を楽しめばよい」

綱吉
「ねぇ 綱吉は如何するの?」

家綱
「お前は副将軍じゃ」
「小僧と一緒に遊んでおればよい」

綱吉
「んん 分かった」
「綱吉は副将軍じゃな」

家綱
「では、達者でな!」



家綱
「余は旅に出る」
「後の事は帥に任そうと思うぞ」

徳川頼房
「んんゥ」
「旅にお出になる?」
「如何な事に御座いますか?」

家綱
「余が城に居ると
何かと困ることがあってな」

徳川頼房
「はァ?」
「いやはや」
「それは違いますぞ!」
「逆でござる!上様が城にいなければ我らが困ります」

家綱
「ところで、帥は何故に水戸に帰らんのじゃ?」

徳川頼房
「上様をお守りするためで御座いますぞ」

家綱
「そうか」
「それならば話は簡単じゃ」
「余は水戸に姿を隠すこととする」
「そうすれば、余は安全じゃ」

徳川頼房
「しかし、上様、江戸に将軍が不在となると
難儀に御座いますぞ」

家綱
「それならば、身代わりの小僧を用意しておる」
「小僧が将軍で、綱吉が副将軍じゃ!」

徳川頼房
「上様!」
「そのような事は絶対に為さなぬように
お願い致します」

家綱
「そうじゃな」

「ところで、帥のもとに光国が御座ろう」
「余は光国に会いに行こうと思うが」
「書状を持たせてくれんかな」

徳川頼房
「んんゥ」
「成りません!」
「上様が旅に出ることは
あい為りませんぞ!」

家綱
「んんぅ」
「そうじゃのォ」
「無理には頼まん」
「兎に角、後の事は帥に任す」

徳川頼房
「んんゥ」
「厳重に監視いたしますぞ」

家綱
「監視などするな・・・」

徳川頼房
「駄目です!」



徳川頼房
「上様が水戸に行きたがっておってな
油断すると出て行きそうじゃ」

松平信綱
「左様で御座いますか」
「では、行かせて上げたら宜しいのでは・・・

徳川頼房
「まさか?」
「危険ではありませんか!」

松平信綱
「一人で内緒に出かければ
危なう御座いますから
見張りを付けて
厳重な警護を伴い
移動する方が安心ですぞ」

徳川頼房
「では、儂にお任せ下さい!」

松平信綱
「其方の警護があれば安心じゃ」
「しかし、上様は自由に振る舞われるので
見つからぬように潜んでの警護が望ましいが
お頼み頂けますかな?」

徳川頼房
「おおゥ 上様に分からぬように厳重に警護致しますぞ」

松平信綱
「では、水戸での安全も万全にお願い致します」

徳川頼房
「しかし、何故に水戸に行きたいと申されるのかな?」

松平信綱
「いろいろ、事情が御座いましてな・・・」
「実は儂も
問題が解決するまでは
江戸を離れておいた方が良いと思っておる」

徳川頼房
「上様はご自身の身代わりまで用意しておりますぞ」
「綱吉は副将軍じゃそうな・・・」

松平信綱
「将軍不在は面倒じゃから
上様がお帰りになるまで
その身代わりを仮の将軍にすえておけばよいと思うが・・・・」
「使えそうかな?」

徳川頼房
「なんとも」
「分かりかねます・・・」




徳川頼房
「上様、一緒に水戸に参ろう」
「儂らが上様をお守り致しますぞ」

家綱
「そうか、一人で行きたかったが
仕方がないのォ・・・」
「どれ程が付いて参るつもりじゃ」

徳川頼房
「総勢数百人にはなるかと・・・」

家綱
「目立ち過ぎるのォ」

徳川頼房
「我らは目立たぬように
隠れておりますからご安心下さい」

家綱
「さようか」「では出かけるぞ」

徳川頼房
「上様は何故に光国に合いたいのですかな?」

家綱
「さして理由は無いが気になっておる」

徳川頼房
「ほォー」
「何か御座いましたか」

家綱
「光国は漢学を学んでおるようじゃが
余には価値が分からんのじゃ」
「史書は何か役に立つのかのォ?」

徳川頼房
「光圀はな事情があって家督を継ぐこととなったのじゃが、
光圀には兄がおる」
「兄を差し置いて世子になることに
対して勉学で応えようと思っているようじゃ」

家綱
「ほォー」
「では、兄を差し置いて世子にする意図は何じゃ」

徳川頼房
「んんゥ・・・」
「水戸のお家事情で御座いますので
あまり深く立ち入らないで頂きたい」

家綱
「そうはいかんな」
「その道理ならば余は将軍ではないぞ」
「綱吉が将軍でも良いではないか!」

徳川頼房
「上様!」
「その件は真に恥ずかしきことで御座いますが」
「水戸藩のお家事情で御座いますので
何卒、踏み込んだことは為さらぬように
お願い致します」

家綱
「光国も苦悩の末に
勉学に逃げておるのじゃのォ」

徳川頼房
「・・・・・・」
「上様はこのようにお若いのに
良くお分かりで・・・・」
「老人も太刀打ちできません
お許し下さいませ・・・・」

「しかし、光国は上様とは一回りも年が離れておりますが」
「はたして、話が合いますかな?」

家綱
「光国と論議しても敵わん」
「話は余の年齢に合わせれば良い」
「光国に申し伝えておけ」

徳川頼房
「はッ」
「抜かりなきように・・・・」






町奴 長兵衛
「やいやい」
「こちとら、商売あがったりじゃ」
「火付け盗賊改めなどになめられてたまるか!」

旗本奴 十郎左衛門
「儂しゃもう 奴は止めじゃ」
「もうおめェさんと遊ぶ暇はねェーや」

町奴 長兵衛
「何だてェめェー」
「てェめェーがおらんほォーが
やり易いじゃ馬鹿たれが」
「いまに見てろ
水戸の光国と組んで暴れてやらァー」

旗本奴 十郎左衛門
「光国ねェー」
「やつは使えねェーぜ」
「すっかり改心しちまって
勉学に励んでいるそうな」
「もう阿漕なまねはしねェーから
おめェーと組むこともありえない」
「儂も阿漕は卒業じゃ」

町奴 長兵衛
「なんだ、なんだ」
「すっかり老いぼれちまってよ」
「奴が荒んじゃ江戸も萎れちまァー」
「光国の事はなァ
おめェーが教えてくれたんだぜ」
「水戸の悪党と組んで
阿漕で遊ぶのが粋ってもんだとな」
「旗本奴と町奴が張り合ってよ」
「そこへ水戸の悪党の光国が加わりャー
面白いことになるじャーねェーか」

旗本奴 十郎左衛門
「光国も儂も改心じゃ」
「もう阿漕はせん!」
「今の江戸庶民は牢人がいなくなって
喜んどる」
「今に、奴などただの嫌われ者に成り下がる
改心するには潮時じゃ」

町奴 長兵衛
「あーーてェめェー」
「まさか、由井正雪に言いくるめられたんじャーねェーか!」
「由井正雪はつまらん野郎じゃねェーか」
「あんな野郎になめられて
恥かしくねェーのか!こんちくしょうめ」


旗本奴 十郎左衛門
「何とでも言え」
「儂は阿漕はせん」




将軍家綱
「宿屋に馬が足りぬようじゃな」

農民
「へい」
「今、馬を用意しております」
「水戸より江戸の往来が多くなったからな」
「今回はおらが助郷じゃ」

将軍家綱
「水戸領主は領民の為に満足なる施しを致しておるか?」

農民
「貴方様は誰ですかのォ」
「童っ子じゃが」
「お武家さまじゃ」
「おらは御武家様に従うだけじゃ」
「何も言うことはできないのォ」

将軍家綱
「そうか」
「少々出で立ちが良すぎたようだか
安心して話して欲しい」
「実は、私は淀屋の丁稚小僧なんじゃ」
「小僧と呼んでくれ」

農民
「なんだ、小僧かな」
「おらは、お武家様じゃと思っておった」
「ほんじゃ 話そう」
「水戸の農民はな年貢の他にも助郷があるんじゃ」
「宿場の馬は出払っているから
近くの馬駅に助け馬を用意するのが助郷なんじゃ」

家綱
「農民が馬を用意するのか!」
「では、年貢が低く設定されておるのか?」

農民
「へィ」
「米は四割程なんで助かっとるよ」

家綱
「他にもあるようじゃな」

農民
「畠の課税が六割を超えておるから
合せると五割以上の年貢を納めておる」

家綱
「まだ 他にもありそうじゃな」

農民
「小僧や」
「あまり立ち入るものではない」
「お武家様に目を付けられると
生きてはいけんからな」
「おらたちは死ぬまで働き続けるんじゃ」
「おらの子供も同じじゃ」
「いっそ、子供たちを庄屋に預けようかと思っとる」
「小僧の暮らし向きは良さそうじゃな」

家綱
「農家の暮らし向きを改善する必要があるのォ」

農民
「そうか 
お前さんが大商人になったら
おらたちに援助してくれ」
「あまり当てにはしてないがな・・・・」

家綱
「んんゥ」
「農家の暮らしを良くせねば!」




徳川頼房
「農民と話しを為されましたな」

家綱
「悪いか!」

徳川頼房
「徳川家の権威が御座いますので
話を為さる相手は御選び下さい」
「上様に相応しき者は用意しますから
その者とお話し下さいますように
お願い申し上げます」

家綱
「帥が選ぶ者と話してもつまらないぞ」
「しかし、関所が多すぎる通行の妨げじゃ」
「関所を無くせ!」

徳川頼房
「関所は悪人が江戸に入らぬように
監視する場所ですぞ」
「無くしては山賊やら牢人が
江戸の町に入ってきます」

家綱
「水戸と江戸の間じゃ」
「無くしても たかが知れておる」
「要らんぞ!」
「馬も無駄になる!」

徳川頼房
「うゥ」
「江戸家老と相談してみましょう」

家綱
「早急に致せ!」
「ところで、帥は江戸住まいだから
水戸は参勤もしないのじゃな」

徳川頼房
「徳川御三家として特別な恩恵を
与えられております」
「権威ある者は特別に優遇されるものに御座います」

家綱
「では、余と御三家は何方が格上じゃ」

徳川頼房
「それは、上様に御座います」
「我らは上様に仕える身に御座います」

家綱
「では、朝廷の天皇と余は何方が格上じゃ?」

徳川頼房
「我ら武士は朝廷の勅令をもって
天下に号令をかけることが出来ます」

家綱
「将軍は天皇の勅令に従うのじゃな!」

徳川頼房
「いかにも、幕府は朝廷から権威を託されております」

家綱
「では、朝廷が豊臣方と手を組めば
我らは賊軍じゃな」

徳川頼房
「豊臣方はもう御座いません」

家綱
「光国は如何思うかのォ?」

徳川頼房
「はい、同様に御座いましょう・・・」







徳川光国
「確かに・・
これは父上の消息の書じゃな」
「其方を丁重にもてなすように書かれておる」
「んんゥ」
「其方の年に合わせた話をせよとある・・・・」
「父上は何をお考えじゃ?」

将軍家綱
「暫く水戸で暮らすことになりました」
「お世話になります」

徳川光国
「んんゥ」
「申し訳ない! 儂には良く分からんのじゃが」
其方は何者じゃ?」

将軍家綱
「ただの童です」
「ちょっとした縁で水戸様のご恩を承りました」

徳川光国
「父上の恩人か?」
「んんゥ」
「何故、父上は黙ってお帰りになったのじゃ!」
「さっぱり分からん!」

将軍家綱
「水戸様からお聞きしましたが
世代様は勉学に精通しておられるとか・・・」

徳川光国
「んんゥ」
「儂の事か?」
「ちょっと漢学をな・・・」
「史記はおもしろいぞ!」
「史記を読むには漢文が必要じゃ」


「おもしろいことであれば
童にも教えて下さいませ」

徳川光国
「ああ」
「そうじゃな
見込みがあれば、其方を弟子にしてやるぞ」
「父上の恩人じゃ 遠慮はいらん」


「世代様は西洋の珍しき料理を召し上がると
聞いております」
「童も食してみたいのですが・・・」

徳川光国
「ほォー」
「知っておるのか!」
「南蛮人から手に入れたチーズがあるが
食べてみよ!」


「変わった食べ物ですね」

徳川光国
「大陸からは麺料理じゃ」
「珍しい食べ物じゃぞ」


「童は毎日冷や飯じゃったから
世代様の料理を楽しみにしております」

徳川光国
「旨いぞ!」


「楽しみですね」





伊藤友玄
「水戸の上様直々の恩師にしては小さき童に御座いますな?」
「大事な客人で御座いますから
このような爺ですが何なりと申し付け下さい」

将軍家綱
「其方は水戸領大老じゃな」

伊藤友玄
「はい、水戸の跡取り様の守役に御座います」

将軍家綱
「立ち入ったことじゃが
水戸領の石高は如何ほどじゃ」

伊藤友玄
「37万石で御座います」

将軍家綱
「ほォー凄いのォ」
「流石水戸御三家に御座います」

伊藤友玄
「ははは・・・」
「実は、これは、外向けの宣伝工作じゃ」


「宣伝と如何なことじゃ」

伊藤友玄
「水戸領は幕府御三家として
特別な地位にあってな」
「幕府も認めておるのじゃよ」
「まァ童っ子には分かるまいが」
「水戸城主の外向け宣伝のために
大見得を切って石高を大きく見せかけておるのじゃ」


「では、実際の石高は?」

伊藤友玄
「内緒だぞ」
「実際は28万石じゃ」


「見栄を張っておるのか?」

伊藤友玄
「見栄ではないぞ」
「対外的宣伝工作なんじゃ」
「まァ」
「童っ子には分かるまいがな」
「年貢の租率が四割と対外的に宣伝すればな
いやァー水戸領は領民に優しい城主に恵まれておるなァーと
宣伝になりましょう」
「しかしな、実際は五割以上の租率を負担しておるのじゃ」
「農民共の負担は大きいのじゃ」


「難しい事で御座いますね」
「ことろで、畠は?」

伊藤友玄
「これも対外宣伝工作じゃ
通常年貢は米だけじゃろ
米の租率が四割と言えば聞こえが良いが
実際は加えての畠の租率は六割なんじゃ
畠の年貢は金銀で支払うことになっておる」


「難しい話ですね・・・」

伊藤友玄
「まァ」
「童っ子には分かるまいな!」
「あっはははは」


「水路も作っておるのォー」

伊藤友玄
「水路を作って米の量産をせねばな」
「石高は領地の力じゃ」


「水路は誰が作るのじゃ?」

伊藤友玄
「農民に決まっておろォー」
「水路は農民が使うのじゃ
使うものが作るのが当たり前ではないかな」


「農民は大変ですね」

伊藤友玄
「そりゃ大変じゃわな」






徳川光国
「おお」
「童」
「遠慮なく暮らせよ」

将軍家綱
「その赤い物は何ですか?」

光国
「これはな、西洋から特別に取り寄せたワインという酒じゃ」
「童には毒じゃな」


「ほォー」
「お館様は毒を飲むのか!」

光国
「毒も少しならば薬になるのだ」
「まァ 大変に高価な品じゃ
少しだけ嗜むのが楽しみなのじゃ」


「流石御三家で御座いますね」
「調度品も目を引く物ばかりです」

光国
「おお! 分かるか!」
「西洋の高級品じゃ」
「みな高価な品じゃ」


「お館様は幸せですね」

光国
「そう見えるか・・・」
「実はな、儂は苦しんでおる・・・・」
「童にだけ胸の内を話しておこう」
「儂の母君は正室ではなく、
側室といっても身分の低い者であった」
「父君はそんな母君の子が世継になることを
許さなかったから
生まれたばかりの、この光国を始末しようとなされた」
「本来、儂はこの世にいない存在なのじゃ・・・・」


「そのような過去のこと、お忘れになれば宜しいかと・・・・」

光圀
「そうはいかんのじゃ」
「儂には兄がおる
生まれは同じ母君じゃ」
「それなのに父君は
儂を世継にすると言って聞かんのじゃ」
「儂は兄君を差し置いて
家督を継ぐことは出来ない」
「辞退しても許されない」
「何処にも逃げ場所はないのじゃ」


「きっと、水戸様は
生まれたばかりのお館様を亡き者にする命令を下したことを
後悔して、せめて世継にとお考えなのではありませんか・・・」

光国
「そうではないのじゃ」
「兄君もまた
生まれたばかりの時に殺されかけたのじゃ!」


「んんゥ」
「では、お館様が生まれたばかりの時に
殺されかけたのは嘘かもしれませんよ」
「更には、お館様の母君も・・・・」

光国
「はははははは・・・」
「それ以上申すな!」
「儂が哀れに思えるわ!」


「いえいえ」
「お館様は哀れどころか
水戸様に大変愛されて御座います」
「自信を持たれた方がよろしいかと・・・・」

光国
「儂の兄君は哀れではないのか!」


「なにも、水戸領に拘る必要はありません」
「他の領地を召し抱えれば宜しいのです」

光国
「・・・・・」
「そうよの・・・・・」




伊藤友玄
「童っ子はいつまで滞在なさいますかな」


「まだ暫く此処に居るぞ」

伊藤友玄
「上様の恩人で御座いますから
遠慮はいりませんぞ」
「今日は何をお話し致しましょうかな?」


「此処には白豚やら牛、兎などを飼っておるが
何故じゃ?」

伊藤友玄
「祭礼の供物となります」
「儒教式の祭礼で子龍様がささげものとする為に
飼っております」


「んんゥ」
「子龍(光圀)様が飼っておられるのか?」

伊藤友玄
「はい」
「肉料理は旨きものですぞ」
「子龍様は牛肉が好物ですが
牛乳にも大変興味が御座います」
「牛乳酒など調合し
今はご自分でチーズを作れないかと
試案しておるようです」


「研究熱心なのじゃな」

伊藤友玄
「はい 熱心に御座いますぞ」
「あと、祭礼には鹿や山羊もお供えいたしますから
それはそれは豪勢な肉料理が食べられるので御座います」
「更には、海産物もある」
「他領からナマコや昆布を持ってきて
海に放ち繁殖させております」
水戸の特産品を目指しておるのです」


「牛や豚の飼育は誰がするのじゃ」

伊藤友玄
「えッ」
「儂らは忙しいからとても無理じゃ」
「百姓が当番制ですることになる・・・・」


「村の牧場の世話も当番制なのか?」

伊藤友玄
「水戸領の特産品じゃ」
「水戸の為じゃ」
「まッ 百姓も大変じゃろォーが
水戸様の為じゃ」


「牧場の世話人は肉を食べるのか?」

伊藤友玄
「まさか!」
「百姓が牛肉を食べるなど・・・」


「牧場が大きくなれば百姓も
食えるのかな?」

伊藤友玄
「いやいや、それはダメじゃ」
「特産品は他領に売るためにある」
「百姓に食わしては儲からん!」


「では、百姓には手間賃じゃな!」
「牧場で飼育するのは片手間では出来ぬ」

伊藤友玄
「いやいや、まだ特産品とは言えんのじゃ」
「まッ 百姓は大変じゃろーが
水戸領の為じゃ」


「たまには、肉利用理を振る舞ってやれば
喜ぶと思うが・・・・」

伊藤友玄
「心配無用じゃ」
「百姓はな、水戸様の為だと言って
喜んで仕事に励んでおるぞ」
「特に子龍様の牧場は抜かりがあっては大変といって
夜寝る暇を惜しんで働いております」
「全て水戸様の為じゃ」


「寝ないのか・・・・」




徳川光国
「おい!」
「童は何年何日何時まで此処に居るつもりじゃ」

将軍家綱
「儂が居ると目障りになってきたようじゃな!」

徳川光国
「いくら何でも長すぎるぞ!」
「童っ子にも帰る所が御座ろう!」
「そろそろ帰れ!」

将軍家綱
「身元も知らず帰れと申すか?」

徳川光国
「お前は他領の間者のようじゃ!」
「我が領地の内情を探っておるように見える」
「童っ子じゃと思うて油断しておったわ!」

将軍家綱
「知られては困ることでも有るのか?」

徳川光国
「んんゥ」
「お前の最近の言葉使いは何じゃ!」
「童じゃとしても礼儀がなっておらん」
「儂はもう堪忍袋の緒が切れたぞ」
「叩きだしてやる!」


「そうか」
「では、そろそろ帰るかのォ」
「しかし、儂を此のまま帰せば
お主は責任を問われるぞ!」
「儂は一向にかまわんがな!」

徳川光国
「何を言ってやがんだ!」
「生意気な小僧じゃ!」


「水戸様から託された書状があったであろうが!」
「儂を丁重にもてなすように書かれておった筈じゃ」

徳川光国
「んんゥ」
「そうじったな・・・・」

「ところで、お前は何者じゃ」


「知らん方が身のためじゃ」

徳川光国
「いやいや」
「身元も知らずに追い出すのは気が引ける」
「教えてくれんか?」


「後悔するぞ!」

徳川光国
「そんな、・・・・・脅かさないで下さいよ」


「そうじゃな」
「では、お主の大切なワインを少々
儂にも飲ませてくれんか?」

徳川光国
「おおォ」
「これじゃな」
「いやいや」
「ワインが飲みたかったのか!」
「よしよし、特別じゃぞ」
「飲んだら教えてくれるな!」




将軍家綱
「ニャオーン」
「ゴロ ニャオーン」

光国
「うわァ~ア」
「酷い酒癖じゃ」
「如何しよう・・・・・」


「おい!」
「光国くん」
「旅にでるぞ!」
「御供致せ!」

光国
「旅ってさァ?」
「何処に旅するの?」


「これから助さんと格さんを連れて世直しの漫遊じゃ!」
「儂に続け!」

光国
「世直しって?」
「儂は水戸を守らねばならんぞ」
「駄目駄目じゃ!」


「ケチケチすんな」
「光国くんが来んと面白くないぞ!」
「これより、世直しの漫遊じゃ!」

光国
「しかたがないのォ」
「では、御供致します」
「お手柔らかにお願いしますぞ」


「そうか覚悟を決めたか」
「よしよし」
「これは世直しの旅じゃ」
「光国くんは私欲を忘れ庶民の為に尽くすのじゃ!」
「良いな!」

光国
「しかたがないのォ~」
「嫌じゃけど~しかたがないのォ~」


「では、行くぞ」
「付いて参れ!」

光国
「アッ はい・・・・?」



将軍家綱
「光国くん御供の格さんじゃ」

光国
「えっ」
「この汚い童が格さんなの?」

将軍家綱
「そうじゃ
この子は乞食の格さんじゃー
ニャオーン!」

光国
「おい乞食」
「お前には、てて親は居らんのか?」

格さん
「殺されたんだい・・・・」

光国
「誰に?」

格さん
「言えないよ・・・・」

光国
「哀れじゃのォ」
「儂は水戸の偉い殿さまじゃから
お前のてて親を殺した奴を成敗してやるぞ!」
「誰にやられた」

母親
「きっと言えば殺されます」
「だから言えないのです・・・」
「お許し下さい・・・・」

光国
「んんゥ」
「まッ」
「無理には聞かん」

将軍家綱
「格さんのお母さん」
「格さんを暫くお借りしますぞ
ニャオーン!」

母親
「はいはい」
「どうぞお連れになって下さいませ」
「どうにもこうにも食べさせてはいけませんので」
「ここに残っても飢え死にじゃけェ」

将軍家綱
「母様」
「もしや、てて親を辻斬りしたのは・・・・では
ありませんか?」

母親
「はい」
「そうです」

将軍家綱
「そうか!」
「・・・・は、とんでもない悪党じゃな」

母親
「そのような事」
「口が裂けても言えません・・・・」

将軍家綱
「まっ」
「格さんが親の仇を打ってくれるじゃろー
ニャオーン」

光国
「???」



将軍家綱
「光国くん、御供の助さんじゃ」

光国
「ひィィーー」
「何だっておめェーなんだよ」

助平
「紋所も用意してますぜ!」「悪友」

光国
「おい、儂はおめェーなんか連れていかねェーぞ」

助平
「何言ってやがんだ」
「また、一緒に遊ぼうじゃねェーかよ」「悪友」

光国
「あそばねェー」

助平
「あぁーあ」
「思い出すねェー」
「一緒に遊び歩いたよなァー」
「社会勉強に遊郭通りたァーおつなもの」
「帳簿には名前を並べて光国助平と書いて笑われたっけェーなァ」
「今度は宿帳に光圀の助平と書いてみようかのォー」
「くくくくくぅ 面白そうじゃ!」

光国
「何だよ」
「何でだよ!」
「おめェーなんか知らねェーよ」

助平
「あァーあ」
「昔の光国は如何しちまったんかなァー」
「また、派手に暴れまわろォーぜ」「悪友」

光国
「無礼者!」
「儂の名を気安く呼ぶな!」
「儂を呼ぶときは高譲味道根之命と呼ぶこと」
「絶対命令じゃ!」

助平
「そんなの読めねェーや」
「光国助平で呼び合いましょうや!」

光国
「ぶゥ ひィーーーーー」
「勘弁してくれ・・・・」



光国
「格さんや」
「さっぱりとしてこ綺麗になったのォ」

格さん
「・・・・・」

光国
「格さん?」
「何で睨んでるの?」

助さん
「そりャーそうさ」
「格さんの気持ちになりャー
睨みたくもならァー」

光国
「儂が何かしましたかな?」

格さん
「お主が寝た時ならば・・・・」

光国
「寝た時?」

助さん
「なァ」
「光国ちゃんさァ♪」
「格さんの顔に見覚えがないかい?」

光国
「んんゥ~」
「似ておるな!」
「まさか!」
「なァ~ 格さんのてて親は誰じゃ~?」

助さん
「それは聞かない方が光国ちゃんの為ですよ」
「聞くと怖いよ」
「おしっこ漏らしちゃうぞ♪」
「光国ちゃんも罪作りィ♪」

光国
「おおゥーーーー」
「よいよい」
「無理には聞かん!」
「おおおおーーーーーー」
「南無阿弥陀仏」

助さん
「これから楽しい旅がはじまるのよ」
「何、念仏を唱えてるのよ♪」
「光国ちゃんが寝た時に何か起こるわよ♪」
「早く宿場を探しましょ♪」

光国
「儂は寝んぞ!」

助さん
「夜になるのが楽しみね♪」

将軍家綱
「なァ 光国くん」
「また、ワインが飲みたくなった」
「少し分けてくれ!」

光国
「ひィーーー」
「怪談じゃ!」



光国
「なァ 助さんや」
「何でお腹が大きくなったんじゃ?」

助さん
「やだよ♪」
「あんたの子に決まってるじゃねいの♪」

光国
「よしてくれ!」
「儂は兄君に家督が譲れない」
「だからな」
「兄上の子供に水戸城主となってもらうことにしておる」
「だからな、絶対に子供はつくらんことに決めておるのじゃ!」
「子は処分しろ!」

助さん
「何だい!」
「勝手に決めんじゃねェーよ」
「生まれたら可愛いもんだよ」
「この子を跡継ぎにしたら良いじゃねェーか」

光国
「儂は子供はつくらん!」
「それはよその子じゃ」

助さん
「強がっても嘘はダメよ」
「本当は嬉しいくせして」
「生まれたら何てェ名前にしようかなァ」
「ねェ 格さん名付け親になっておくれよ」

格さん
「親の仇」

助さん
「それはちと困った名前だね」
「まっ 助平にちなんで大助平と名付けるか!」
「大きくなったら光国大助平で呼び合える」
「楽しみだなァ♪」

光国
「人の名前で遊ぶとは罰当たりな!」
「だからな、儂の事は小龍と呼びなさい」
「よいな、水戸の御公の小龍じゃ」
「絶対に光国と呼び捨てにしてはならんぞ」

将軍家綱
「光国くん!」
「せっかく子供が出来て目出度いのに
怒ってばかりいては駄目ですよニャオーン」
「もっと笑って」
「楽しくいきましょうーニャオーン」

光国
「儂には逃げ場がないのか・・・・」

将軍家綱
「今は台風の目じゃ」
「これから暴風が吹くぞ」
「洪水やら地震やらで全ての嘘が暴かれる」
「内乱がおこり、神々が粛清をするのじゃ
沼地の汚い水を抜き取り
腐敗したヘドロが顔を出す」
「今まで人々を欺いてきたヘドロは
神々によって浄化されるのじゃニャオーーーーーン」

光国
「そんなに腐敗しておるのか?」

将軍家綱
「しておるぞ」
「腐れきった者共は
互いに嘘をつき」
「罪なき者を冤罪にして
牢に入れ口封じをするのじゃ」
「特に独裁権力者は恐ろしいぞ」
「儂などは特に恐ろしいぞ」
「よいか」
「神に祈るのじゃ」
「物欲を捨て」
「私欲を捨て」
「食べるものを分かち合い」
「ひもじき者に食を恵むのじゃ」
「よいな」
「これから内乱となり、
経済は大転換をするぞ」
「大都市に近づいてはならん」
「人ごみに紛れておってはならんぞ」
「家の中で慎ましくしておるのじゃ」
「神に祈り
弱き者のために生きるのじゃニャオーーーーン」

光国
「おおおおおゥ」
「恐ろしい!」



「生まれた!」

助さん
「光国ちゃんにそっくりね♪」

光国
「おおォ 儂の子じゃ!」

助さん
「そんなにそっくりな子は他にはいないわよ!」

光国
「おおォ そっくりじゃ!」

格さん
「その子には、父がおってよいなァ」
「うらめしや~」

光国
「おおォ」
「格さん!」
「儂はお主の父じゃ」
「父上と呼べ!」

格さん
「無理してらァー」

助さん
「まだ、その子を捨てる気かい?」

光国
「しかたがないのじゃ」
「兄君の子に水戸を継がせるのが我が使命である」

助さん
「何だよ!」
「私の子を始末するつもりかい!」
「あんたは何処かオカシイよ」
「外ずらばかしじゃネェーか」
「あたしャー頭にきた」
「格さん! 懲らしめてやろうよ!」

格さん
「親の仇は寝た時に仕留める・・・・」

助さん
「あたいも助太刀するからね」
「息の根を止めてやる」

光国
「おおァ」
「あのね」
「暴力はいけないよ」
「儂は平和主義なのじゃ」

助さん
「何を言ってやがんだ!」
「悪友のくせしてよォ」

光国
「あのね」
「儂は改心してお勉強をすることに決めたの」
「大日本史を編纂するという偉業を成し遂げるのよ」

助さん
「そんなことは格さんと一緒にやってやらァー」
「あんたは、おとなしく成敗されることだよ」

将軍家綱
「もう喧嘩は止めるのだ!」
「日本史が知りたいなら教えてやるぞ」
「先ずはモン族のことを知らないとダメなのだ」
「中国の少数民族にミャオ族がいるんだ」
「少数民族のミャオ族は多様な文化と歴史があって、
その中のモン族は大昔に日本に渡って来たのだ」
「モン族はベトナム戦争やラオス内戦で
アメリカ軍について戦い敗戦後
アメリカにも移住しているのだ」
「アメリカに移住したモン族は
文化や言語、教育の問題で
低賃金の工場労働に従事し続けているのだ」
アメリカの低賃金の工場労働は
深刻な人種の問題となっているぞ」
「ウイスコンシン州のミルウォーキーには
州内の黒人の4分の3近くが住んでいる」
ウイスコンシン州のシボイガンは
ミャオ(モン)族が5千人暮らして居り
65パーセント以上が18歳以下なのだ」
多くの若者は低賃金に嫌気をさして
ギャングになった者もおるのだ」
「それからミネソタ州じゃ」
「セントポール市やミネアポリス市は
覚えておくことじゃ」

光国
「日本史はアメリカにあるのか?」

妖怪猫童
「バカ者!」
「今は台風の目じゃ」
「今に嵐になるのじゃぞ」
「備えをするのじゃ」
「嵐の前の静けさじゃ」
「全ての嘘が暴かれるぞ」
「神々は沼の水を抜き」
「底に溜まった腐敗したヘドロを露わにし
浄化しようとしておられるのじゃ」
「呑気に勉学等と言ってはおれんのじゃー」
「神に祈り」
「新しい神聖な世界を渇望するのじゃー」
「ニャオーーーーーン」




猫童
「光国くんは寝ないのか?」
「助さん、格さんは寝たぞ」

光国
「ああ、そうじゃな」
「そろそろ寝るか」

猫童
「秘密を教えれば、
助さんと格さんは寝たふりをしておるのだ」

光国
「まだ敵討ちを企んでおるのか?」

猫童
「助さん格さんは、強く決心しているのだ」

光国
「では、儂も寝ないで起きていよう」

猫童
「お主、自分の子を抱いておるのに
情が移らないのか!」

光国
「お前は如何時代の者じゃ」
「戦国の世から今まで主の心得として
子に情が移ることは許されん事なのじゃ」
「お家を守る事、
武士として潔く生きることが使命じゃ」

猫童
「お家も大切じゃが、家族も大切じゃぞ」
「自分の子が愛せぬのなら
なおさら家族は愛せぬ」
「家族を労わる気持ちが無ければ
お家も廃れる」
「ましてや、城主となる者が
其のようであれば、前途は真っ暗じゃ」

光国
「では、愛せぬものを如何せよと言うのじゃ!」

猫童
「決まっておるではないか!」
「愚か者めが!」
「報いを受けるのじゃ!」

光国
「いやだね」

猫童
「お主が嫌だと言って逃げ回っても報いは受けるぞ」
「何度も言うが
今は嵐の前の静けさじゃ」

光国
「しかしなァ」
「儂は良き領主になると評判じゃ」
「人気者だぞ」

猫童
「良き領主は人気者とは限らん!」
「アメリカの切り札と呼ばれる大統領は良いリーダーじゃが
人気者ではないぞ!」

光国
「・・・・」

猫童
「今世界は三つの精神世界が支配しておる
二つは善良だが、残りの一つは邪悪なのじゃ」
「切り札は複雑に絡み合った策略と陰謀に立ち向かっておるのだぞ」
「これから少しづつ寒くなるにつれて
停電やらサイバー攻撃が心配される」
「準備をしておくのだ」
「十分な食料を備蓄するのじゃ」
「必要な現金は必ず確保しておくのだ」
「無くなってからパニックに為らぬように
嵐が来る前に確保しておくことじゃ」
「嵐が過ぎれば平和が訪れるのだから
それまでの辛抱だぞ」
「切り札は良き指導者じゃ」
「人気者が正しいとは限らんのだ」

光国
「・・・・」
「日本は大丈夫じゃ」「アホらしい」




助さん
「酷いわ!光国ちゃん!」
「これは如何いうことなの!」
「此処、牢屋じゃないの」

光国
「そうじゃ」
「其方たちを処分することに決めたのじゃ」
「かっかかかかっ(笑)」
「其方たちが好き勝手にしておると
儂は落ち着いておれん」
「安心して寝ることも出来ん」
「儂との身分の差を思い知れ」
「だっはははは(笑)」

格さん
「父の仇!」
「卑怯だぞ!」

光国
「殿様の寝首をかくなどという
大それたことをねかしおってからに」
「卑怯なのはお主の方じゃ」
「でっへへへへへ(笑)」

助さん
「気持ち悪い笑い方しないでよ」
「早く此処から出しなさい!」

光国
「いやじゃ」

格さん
「もう勘弁しないぞ!」
「絶対に父の仇を討ってやる」

助さん
「私は格さんの助太刀をするわよ」

光国
「やれるものならやってみな」
「びぇへへへへへへ(笑)」

猫童
「なあ、光国くん」
「もう、お遊びは終わりにして」
「いつものお茶の間の人気者に戻らんか?」
「最近の光国くんは評判が悪いぞ」

光国
「儂は水戸領内では無敵じゃ」
「そして、領外では優しく思いやりがあり
領民に慕われる人気者じゃ」
「かっかかかか(笑)」

助さん
「また、笑う・・・」

光国
「儂の笑いはお茶の間の人気じゃ」
「儂は日本中で皆に愛されておるのじゃ」
「これは全て儂の戦略が旨く機能したからにほかならない」
「全ては儂の作戦通りになつたのじゃ」

猫童
「お主は子供が嫌いなんじゃな」
「しかしな、子も大きく成れば役に立つぞ」
「役立ててみんか?」

光国
「やだね」
「特にお前たちは危険だ」
「あのな、言っておくが」
「役に立つのは危険のない子供たちじゃ」
「おめェーたちじゃーねェー」

助さん
「どうやら、光国ちゃんは宇宙人に支配されたみたいよ」
「光国ちゃん目を覚まして!」

光国
「おい、助平!」
「おめぇーの方こそ宇宙人じゃねェーのか」
「この、おたんこなすのおたんちん」

助さん
「まァーいやなこと言うのね」
「でもね、光国ちゃんは良い人よ」
「頭を冷やして改心してよ」
「此処から出しておくれよ」

光国
「嫌だよ」

猫童
「今、世界中で子供たちが危険に晒されている」
「子供たちの安全を他人に委ねていてはならぬぞ」
「子供の安全を一番に考えるのじゃ」
「囚われの身になってから慌てても遅いのじゃ」
「細心の注意をはらい子供たちを守ることが
嵐の前には必要な事なのじゃ」

光国
「そうじゃ」
「もうお主たちは手遅れじゃ」
「其処からは出られんぞ」

猫童
「お言葉ですが」
「もうすぐ全ての企みが明らかになるぞ」
「そして、多くの子供たちが解放される」
「犯罪者は裁かれる」
「今のうちに改心しておく方が身のためじゃ」

光国
「へッ 何だよ!」
「また、沼の腐敗したヘドロの話かな?」
「もう聞き飽きた」
「つまんねェーぞ」

猫童
「何故故にヘドロが露わになるのか」
「それは、全ての嘘が暴かれるからじゃ」
「沼の水を抜かなければ隠された嘘は見えぬからな」
「これから世界を驚かせる大嘘が露呈するぞ」
「切り札はもうすぐ出される」

光国
「まっ 日本には関係無い事じゃ」
「アホらしい」
「かっかかかかかかっ(笑)」

助さん
「また笑ってる・・・・」




光国
「おおォ」
「そうじゃった。儂の子じゃ」
「こ奴も処分せねばな!」

助さん
「ねェ」
「光国ちゃん」
「こんなに沢山集めちゃって如何する気なのさ!」
「皆で、大声出して暴れちゃうよ!」

光国
「よせ」
「静かにしておれ」

助さん
「じゃあ、此処から出しておくれよ」

光国
「んんゥ」
「ちょっと待て」
「如何するか考える」

助さん
「光国ちゃんが情無しなのは親譲りなのよね」

光国
「んゥ」

助さん
「その子は私(花魁)の子よね」
「実はね、光国ちゃんのお父さん(水戸ちゃん)も
花魁の子がいてね」
「本当はその隠し子が長男なのよ」
「だからね、兄の頼重ちゃんは次男なの」
「家督は頼重ちゃんには渡せない理由があるのよ」

光国
「あのォー」
「では、何で儂が家督を継ぐのじゃ?」

助さん
「決まってるじゃない」
「長男の隠し子を跡継ぎにするためよ」

光国
「えっ」
「では、儂は如何なるのじゃ!」

助さん
「処分されるのよ」

光国
「えっ」
「嘘でしょ」

助さん
「嘘なもんか!」
「花魁仲間では知り渡っているわよ」
「知らないのは、光国ちゃんだけよ」

光国
「父上は、そのような情無しではない」
「立派なお方なのじゃ」
「無礼者!」

助さん
「だってさ、
あんただって自分の子を始末するつもりじゃないかさ」

光国
「これは、兄君の子に家督を譲るだめじゃ」
「お家を守ることが使命なのじゃ」

助さん
「そうよね」
「水戸のおとうちゃんも同じように考えてるのよ」
「お家を守る為に光国ちゃんを犠牲にするの」
「光国ちゃんは処分されるわよ」

光国
「嘘じゃ!」

猫童
「もう喧嘩は止めるのだ」
「おい、光国よ」
「早く目を覚ませ!」

光国
「頭がクラクラしてきた」
「地震でも起きるのか?」
「起きる起きると警戒しておったが
油断しておると足をすくわれそうじゃ」

猫童
「神々が全てを平坦にならしてしまうぞ」
「権力に溺れ人心を蔑ろにして
神に背を向けておれば
報いを受けるのは当たり前じゃ」
「今からでも遅くは無い」
「早く目を覚まして
おはようの挨拶をするのじゃ!」

光国
「おはよう?」





将軍家綱
「光國殿 お目覚めですな」

光國
「貴方様はもしや将軍様ではありますまいか?」

将軍家綱
「いかにも 将軍家綱じゃ!」
「隠しておいて悪かった」

光國
「これはこれは」
「恥ずかしいところを晒してしまった」
「真に此の光國の無礼 お許し下さいませ」

将軍家綱
「いやいや、無礼など有るものか」
「其方、夢を見てうなされておったが
怖い夢でも見たのかな?」

光國
「恐ろしき夢で御座った」

将軍家綱
「如何な夢を見たのじゃな?」

光國
「儂は妖怪猫童の夢を見ておった」
「夢とはいえ恐ろしい出来事であった」

将軍家綱
「そうか」
「夢で良かったのォ」

光國
「はい」
「真、夢であったこ事 安堵致しました」

将軍家綱
「夢から何か得るものが御座いましたか?」

光國
「はい」
「和を以って貴しと爲し忤ふこと無きを宗と爲す」
「篤く三寶を敬へ、三寶とは佛と法と僧となり」

将軍家綱
「其方は学者じゃな」

光國
「いいえ、厩戸皇子の十七条の二文で御座います」
「この事こそが強く意識された教訓であり
光國の目指す処に御座います」

将軍家綱
「さようか」
「儂にとっても天下を治める上において必要不可欠な習わしじゃ」
「悪い夢の中にも未来を光に導く教訓があるのじゃな」

光國
「真、お恥ずかしき事に御座います」

将軍家綱
「儂はこの世は不思議に満ちておると思うが」
「不思議とはいずれ解明されるものなのであろうかなァ」

光國
「光國の興味は日本史にあり、
その分野は疎いので御座いますが
西洋には天文学というものが御座います」
「上様は天文学を学ばれては如何でしょうか?」

将軍家綱
「ほォー」
「天文学か!」
「面白そうじゃ!」

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