久しぶりです。沢木耕太郎さん。
うっかり「さん」をつけてしまうのは、やっぱり特別扱いしているのかもしれません。
その本を読んでいるとき、あの人が書いているのだと意識にのぼるのがなぜか池澤夏樹と沢木耕太郎のふたりなので。
…なぜかなぁ。「深夜特急」読んでないんですけど…。
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「愛」という言葉を口にできなかった二人のために
著者:沢木耕太郎
発行:幻冬舎
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すごいタイトルですが、映画についてのエッセイです。念のため。
「暮しの手帖」に連載されていたものをまとめた本の第2弾だそうで、1篇は5000字前後。長過ぎず、短すぎず、持ち歩いて読むにはちょうどの本でした。
とりあげられている作品はおよそ30本。
新旧取り混ぜ、でも、その時間的な幅は狭く、そう古くもないしそう新しくもない作品たちです。
映画に多少なりとも興味があれば、すべてではないにしても、ああ、そういうのがあったなと思い出せるのではないでしょうか。
たとえば、目次はこんな感じ。
「トウモロコシ畑に消えていく」
「帰れなかった者たちのために」
「威風堂々滅びの道を」
「勇気あふれる滑稽さ」
「スター誕生」
直接、作品名は入っていないのです。
上にあげたのはごくわかりやすいもの。
ちなみに「トウモロコシ畑に消えていく」は「フィールド・オブ・ドリームス」、「帰れなかった者たちのために」は「硫黄島からの手紙」、「威風堂々滅びの道を」は「ブラス!」、「勇気あふれる滑稽さ」は「ライフ・イズ・ビューティフル」について書かれたもの。
「スター誕生」は、はい、「プリティ・ウーマン」です。当然「ローマの休日」も引き合いに出されています。
観ていない作品は観たくなり、観ている作品はもう一度観たくなるという30篇。
いわゆる「ネタバレ」的に、ある程度の展開や印象深い場面などについても書いてあるのですが、不思議と観終わっちゃった気分にならない。
逆に、ものすごく観逃がした気分になります。
単純にぼやかされた部分を知りたいというよりは、著者にこういう文章を書かせたその場面が観たい、それを確認したいという気分。
もちろん、同じものを観たからといって、同じように感じて、その先の思考につながるわけじゃありませんけど。
作品によっては、観ないまま、その作品によって生まれた気持ちのほうを覚えておきたいような章もありました。
映画を観るのは(本を読むのも)気持ちを動かされたいからなのよねーとぼんやりと思います。
楽しいとか、切ないとか、綺麗とか、カッコいいとか、スゴイ!とか、どきどきするとか。
正直、あんまり難しそうなのも観たくないですねぇ。
そういう単純な気持ちで。文句を言うためじゃない。
でも期待値が大きいとギャップも大きいからなー、つい、ぐちぐち言いたくなってしまうのですよねー。
あー、ぐちぐち言ってるな、しょっちゅう。
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